ブレイヴ×スクランブル   作:しばじゃが

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 通信エラーならしょうがない。




途中離脱は萎えまくります。

「きゅーなん、しんっごう!」

 

 砂が顔にめっちゃつくけどこんにちは。

 今日の俺は、大蟻塚の荒地にきています。

 なんでここに来たかって言われれば、そりゃあもちろん救難信号が撃ち出されてたから。

 

「さぁーて、なんかアンジャナフが出現したって聞いたんだけど……どこだろ?」

 

 アンジャナフ。それは、この新大陸に生息する大型の獣竜種モンスターだ。

 新大陸の、と言ったように現大陸には生息していない。ボルボロスとは違い、現状この大陸の固有種と認識されている。といっても、森にゴロゴロ生息しているけど。

 コイツの特徴は、とにかく暴れん坊。草食竜であろうと他の肉食竜であろうと、そんなに関係ねぇと言わんばかりに牙を剥く。見た目は桃っぽい可愛い色しているくせに、性格はとんだお転婆ちゃんなのだ。

 

「沼の方かな、それとも荒地の方かなぁ。砂漠だったら勘弁してほしいなぁ」

 

 何故なら砂漠には、この荒地の主(ディアブロス)が生息しているのだから。出来ることなら、会いたくない。

 アンジャナフは確かに強いモンスターだけど、ここの主(やつ)古代樹の主(リオレウス)に比べれば多少見劣りしてしまう。時には縄張りを奪われ、森の外に追いやられてしまうことだって珍しくない。森と荒地は隣接しているから、こういう事例は日常茶飯事なのだ。

 もちろん、追い出された訳でもなく、新天地を求めて荒地に来る奴もいる。そういうのは大概強いから、今回現れた奴はそうじゃないと願いたいけれど──

 

「……とりあえず森の方へ行こうっと」

 

 とにもかくにも、痕跡を見つけなければ。痕跡を見つけて、獲物を居場所を察知する。いやぁ、導蟲様様だなぁ!

 

 

 

 ◆  ◆  ◆

 

 

 

「あっれ……森、いないなぁ。外出ちゃったんだろうか」

 

 痕跡を辿って、荒地西にある森に辿り着く。

 しかしそこには戦闘の痕こそあれど、肝心なアンジャナフは、そして救難信号を送ったハンターの姿はなかった。

 信号を送るくらいなんだから、苦戦してるんだと思うけれど。もっと視界が良好な、荒地の方に向かったんだろうか。

 

「……あのヘビィ使いさん、元気かな」

 

 そう、今回の救難信号の送り主は、あのプケプケ討伐の時に来てくれたヘビィボウガン使いのハンターさんだ。

 先日の恩返しその他もろもろのために、俺は今日彼女のために駆け付けたのである。あの時はあんまりお話出来なかったし、今日は出来ることならいろいろお話がしたいなぁ、なんて。そんな淡い期待をしながら、東に向けて歩き出して。

 ──もしかしたら、マイの時みたいに俺の黒歴史に触れられるかもしれないけど。あれは唐突に背後からぶつかってきたバルノスが悪いんだ。あいつらが全部悪い。はいこの話終わり!

 

「────あ、いた」

 

 下らない自己嫌悪に浸りながら森を抜けた、その先に。

 起伏の激しい岩山の上で、鼻息を荒立てる竜の姿が目に入る。

 如何にも竜らしい頭部と、そこから飛び出た突起のような鼻。

 濃い紫色の体毛と、桃色の鱗を並べたごつい体。

 その体から伸びた、一対の薄い小さな翼。

 あれだ、間違いない。アンジャナフだ。

 

「すーっ……あの時のお姉さぁーん!! 助けに来ましたよーーっ!!」

 

 とにかく大声を出して、蛮顎竜に向けて駆け出した。当然その声に、奴は何ごとかと振り向いてくるけど。

 奴が吠える前に、俺は跳ぶ。跳んで、その遠心力に身を任せた。大剣を添えたその縦回転は、勢いよく奴の鼻先を砕く。さながら満月のような軌跡が、アンジャナフを大きく怯ませた。

 

「しゃあ! 俺が来たからにはもう安心ですよ! 俺が貴女の盾となります!」

 

 荒地をさらに荒らしたこの光景は、確かにここが戦場となっていたことを物語っている。

 あのお姉さんの姿は見えないけれど、きっとどこかに隠れているんだろう。一人で探索していたみたいだったから、急に襲われてとてもきつかったに違いない。今は隠れて回復しているか、それとも狙撃の準備をしているか。

 なんにせよ、俺が来たからにはもう安心だ。

 おら蛮顎竜、こっち向け。

 

「ガアァッ!」

 

 唐突に鼻先を抉られて、奴の堪忍袋の緒は一瞬で切れたみたいだ。

 鼻から炎を噴かせながら、そのどでかい顎を俺に向けて振り下ろしてくる。そのまま、大量の砂ごと地面を穿った。

 

「おぉ……お前それ不味くないんか……凄いなぁ」

 

 ステップで躱した俺を、彼は即座に察知して。今度はその喉を光らせて──

 橙色の光が、砂にまみれた口の奥からこんにちは。

 

「ちょっ……ブレス!?」

 

 慌てて納刀。即座にダイブ。

 一拍置いて、背後が一瞬で焼却された。砂をも燃やす高熱が、砂漠の熱射にも負けまいと唸り始める。

 危なっ──こいつちょっと、頭おかしいな。

 

「物には順序ってもんがあるでしょうが……お前はいきなり女の子にキスするんか!? しないだろ!? もっと段階踏んでからだろ!?」

「ガアアアアァァッ!!」

「なん……だと……お前まさか、そういうのすぐ出来ちゃうタイプ……?」

 

 続けざまに炎を灯し、今度は辺り一面を薙ぎ払うように奴は首を振った。なんだかクーラードリンクが欲しくなってくるくらい、一気に温度が上昇する。

 なんだこいつ、相当のやり手じゃないか!

 

「あっ……導蟲青くなってる……こいつ、猛者だ……! 経験豊富な猛者だ……っ!」

 

 様様、なんて褒め称えていた導蟲が、無慈悲な青色をその身に灯した。こんな色、ゾラ・マグダラオスの時にしか見たことがないぞ!

 とにかく回避。あのブレスを回避しつつ、振り回される尻尾をいなすことでなんとか難を逃れる。

 

「俺より圧倒的に経験豊富……強い、強すぎるっ! けど、ここで逃げたら男が廃る……!」

 

 歴戦の猛者だろうがなんだろうが関係ない。今は、あのヘビィ使いのお姉さんのために俺は剣を振る。それだけだ。

 

「っしゃあっ!」

 

 跳びかかりを繰り出して、大きく隙を晒すアンジャナフ。その厳つい頭部に向けて、強溜め斬りを叩き込む。

 それでも奴は怯まないで、その身をバネのように屈ませた。獣竜種による見られる行動──側面を利用したタックルだ。

 

「なんの!」

 

 刃の裏を右肩に乗せてステップ。そうして脚の間をすり抜けて、砂を鳴らしながら踵を返す。もう一度、強溜め斬りだ。

 

「倒れろ!」

 

 その太い脚に向けて、振り下ろし。渾身の力を込めたそれは、確かに脚の皮膚を打ち砕いた。角質のように固い皮膚が弾け飛んで、アンジャナフは横転する。甲高い悲鳴を上げて、あの巨体が転がった。

 強溜め斬りでは、終わらない。大地を抉るそれをもう一度、大きく薙ぎ払いながら背後に構える。

 

「ひっひっふー……」

 

 瞑目。

 体中の筋肉のリズムを、乱れた呼吸の流れを確かめるように、精神を研ぎ澄ませる。

 ────今だ。

 

「……そぉらあっ!」

 

 解き放った大剣は、奴の牙を折り砕く。

 けれどそれは、ただの振り。いわば助走だ。これから繰り出す本命の、ただの予備動作。

 本命は、その振り下ろしを利用した縦回転。柄を、まるで棒を跳ぶように全身で越えて、その勢いで再び大剣を振り上げる。これが正真正銘の奥義、真溜め斬りだ。

 

「ガアァァッ!?」

 

 見事頭部へと着撃し、アンジャナフは悲鳴を上げる。なんとも野太い、おっそろしい声だ。

 ────そんな声と一緒に、大気に飛び出る橙色の粉。

 

「……火花?」

 

 直後、それが弾け飛んだ。まるで釜戸の熱のような光が、そのどでかい口から解き放たれる。

 あっ、嘘──溜め斬りの反動で避けれない。

 

「──あっちいいぃ!?」

 

 じゅっ。なんて音が響いたと思ったら、俺は炎で吹き飛ばされていた。

 あぁ、肉焼き器で焼かれる肉って、こんな気分なのかなーなんて。吹っ飛びながら、ちょっと親近感を抱いちゃった。なんかちょっといい匂い──は、流石にしないけど。

 

「あっちゃちゃちゃ……た、退散……っ!」

 

 とりあえず転がって、全身の火をとにかく砂に擦り付けて。

 そのまま岩陰へと身を寄せ、回復薬で一服。あぁ、この一杯のために苦労しているような気がする。薬草の苦味が凄くて、この一杯もかなり苦労するけど。

 

「まっず! ぺっぺっ!」

 

 舌が不味さで死んだ。苦虫かっての。

 それにしても、やっぱりあのアンジャナフ強い。あいつ、相当の猛者だなぁ。俺じゃちょっと、勝てないかも。

 

「……待てよ……あのヘビィお姉さん、いくらなんでも音沙汰なさすぎないか……?」

 

 気付けば、ずっとソロで戦ってるじゃん。狙撃を狙っているのかなとも思ったけど、どうにも撃たれる気配はない。回復に撤退しているとしても、戦線復帰が遅すぎる。

 あっ、これ、もしかして────

 

「──ニャア」

「うわっ、アイルー!?」

 

 突然、地面が盛り上がって。かと思いきや、そこから白いふわふわが飛び出して。

 アステラで、ハンターの支援に奮闘しているアイルー。主にネコタクの運用などを行なっている彼らが、ぴょこんと飛び出してきた。

 

「ハンターさん、有り難うニャ。無事、信号弾の主は撤退できたニャ」

「えっ……ここから離脱しちゃったの……?」

「ニャ。だからハンターさんも、無理はしないでニャ。ボクら、なるべくネコタク使いたくないのニャー」

 

 そう言って、彼は再び地面の中に潜っていく。ふりふりと、その尻尾が少しずつ見えなくなっていく。

 ──うそん、途中離脱って。ヘビィのお姉さん、帰っちゃったの?

 

「……あー、すっげぇやる気なくなってきた」

 

 なんかもう、動く気もあんまり起きないや。大剣、なんかめちゃくちゃ重いんだけど。

 あっ、アンジャナフ来る。気付かれた。やっべ、回避、回避しなきゃ────

 

 

 

 

 

「──ってな訳で久々にネコタク乗ったけど、あれ案外乗り心地いいもんだよね」

「撤退の理由がしょうもなさすぎる……!!」

 

 帰還先のアステラ。その流通エリアに転がされる俺と、それを見下ろすフレイ。ニャーニャーと、どこかへ走っていくネコタクさん。

 半ば憐みを込めた視線で彼女に呆れられてしまったのが、とても心に刺さります。

 やっぱり俺ね、途中離脱ってよくないと思うの。

 






 通信エラーならしょうがない(大事なことなので二回言いました)。


 クエストなんてクリアしてなんぼ、乙ったって気にせずクリアすればええんです。なんていうメッセージ性を込めました(大嘘)
 それはそうと、以前逃げようとするナナを閃光で引き留めた挙げ句その後のヘルフレアで三乙目を飾るなんてクソ地雷をかましたんですが、あれは流石に禿げそうになりました。その時の野良のハンターさん、本当にごめんなさい。
 閲覧有り難うございました……。
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