東郷海斗は勇者である   作:しぃ君

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 ゆゆゆいのネタバレがあるため閲覧注意!
 後、オリジナルの展開も多少あります。

 それでもいいよって方は、どうぞ見ていってください!


花を結った勇者たち

 河原にて、二人の少年が武器を構えて向かい合っていた。

 その周りには同じく武器を構えた少女たちが居る。

 

 

「……海斗、お前は何で帰ることを選択したんだ?俺はてっきり、お前がこっちに着くものだと思ってたんだが……」

 景夜が海斗に問いかける。

 景夜はこの世界に残ることを選択し、海斗は元の世界に戻ることを選択した。

 

 

 例えそれが、ここでの記憶を失ってしまうという代償があるものだとしても……

 海斗は帰ることを選んだ、その理由は、

 

 

「俺さ、弟が居たんだよ……。まぁ、話をしたのは三十分にも満たないんだけどさ。その話の中で約束したんだよ、本当の意味で世界を救ってみせるって」

 どこか懐かしむように、少し寂しげな表情で海斗は語る。

 

 

「弟なんて聞いた事なかったよ、海にゃん……」

 雪花や他のみんなも寂しげな視線を、海斗に向けていた。

 

 

「だって言わなかったしな……別に信用してなかった訳じゃないんだぞ?ただ、言う機会も言う理由もなかっただけだ。……話を戻すけど、俺たちは世界を取り戻した。でも、世界を本当の意味で救うってのは取り戻すだけじゃダメなんだ。少なくとも、日本位は昔のようにどこにでも人が不自由なく過ごせるくらいにしないと」

 

 

 海斗は夢を語る、実現できるかは分からない。

 だが、果たさなくてはならない夢。

 

 

「お前の仲間の殆どがこっち側に居てもか?」

 

 

「ああ、美森ちゃんや友奈たちと戦うのはあんま好きじゃないけど。でも、あっちに帰らないと永遠に美森ちゃんとの約束を叶えられないんだよね」

 笑顔で話す海斗に、美森は顔を赤くする。

 沸騰にも近い反応なのだろう、頭が茹っているようにしか見えない。

 

 

「そうか」

 短い言葉。

 しかし、海斗にも聞かなければいけないことがある。

 

 

「そういう景夜こそ、なんでそっちなんだ?」

 海斗は景夜がこっち側に着くものだと思っていたので、少しばかり驚いた。

 

 

「簡単だよ。(コイツ)が生死の境を彷徨うって言われたからには、こっち着くしかない。もっと分かり易く言うと、園子と須美(二人)が泣いてたから。」

 海斗は景夜らしい答えだと思った。

 誰よりも仲間のことを考えている、彼らしい考え。

 

 

「……平行線だな」

 

 

「ああ」

 これは試合、勝った方の意見を優先する。

 恨みっこなしの真剣勝負。

 

 

 景夜は何となく分かっている、自分が負けてしまうことが……

 けれど、諦める訳にはいかない。

 勇者としての誇りがそうさせるし、兄貴分としての想いが彼を突き動かす。

 

 試合が始まった。

 

  -----------

 

 神世紀三〇一年、三月も末。

 海斗は奇妙な体験をした。

 朝を起きたら、自分の机の上に花束が置かれていたのだ。

 一本一本が違う花でアンバランスにも見える色合いをしているが、何故か海斗にはそれが無性にしっくりきた。

 

 

「……イタズラ……なわけないか」

 そんな可能性も考えたが、自分の周りでこんなことをしてくる奴など居ないと思い出しすぐに考えを投げ捨てる。

 

 

 花束にあった花は、グラジオラス・桔梗・彼岸花・姫百合・紫羅欄花・アネモモ・金糸梅・ヒヤシンス・ペチュニア・銀梅花の約十本。

 

 グラジオラスの花言葉は『たゆまぬ努力』。

 桔梗の花言葉は『誠実』。

 彼岸花の花言葉は『思うあなたは一人』。

 姫百合の花言葉は『誇り』。

 紫羅欄花の花言葉は『思いやり』。

 

 アネモモの花言葉は『あなたを信じて待つ』。

 金糸梅の花言葉は『太陽の輝き』。

 ヒヤシンスの花言葉は『あなたとなら幸せ』。

 ペニチュアの花言葉は『ためらう気持ち』。

 銀梅花の花言葉は『楽しい追憶』。

 

 

 花束とは言えないが、海斗は少し物足りなさを感じた。

 そして、その時唐突に自室の襖が開けられた。

 

 

「かーくん!お花見に行こうぜ~!」

 

 

「うわっ!?いきなり入ってくんなよ園子」

 

 

「えへへ、ごめんね~」

 何とも反省していない色が丸見えだが、海斗は諦めたような顔でため息を吐く。

 ……だが何故だろう、海斗も桜を見たいと思っていたのだ。

 

 

 なにかが足りない気がして……。

 

 

「どうせだったら勇者部以外にも防人やクラスの奴も呼ぶか?」

 

 

「いいね~、面白そうだよ!じゃあ、夜に桜を見るってことで!場所は取っておくから~」

 軽くステップをしながらいなくなる園子に苦笑しつつも、海斗は自分の部屋を出た。

 

  -----------

 

 神世紀元年、四月九日。

 景夜は奇妙な体験をした。

 朝を起きたら、自分の机の上に花束が置かれていたのだ。

 一本一本が違う花でアンバランスにも見える色合いをしているが、何故か景夜にはそれが無性にしっくりきた。

 

 

「……センスが良いのか悪いのか……」

 イタズラの可能性も考えたが、自分の周りでこんなことをしてくる奴など居ないと思い出しすぐに考えを投げ捨てる。

 

 花束にあった花は、昼顔・夕顔・朝顔・菊・睡蓮・青薔薇・牡丹・オザギリス・鳴子百合・サツキ・クローバー・カーネーション・ヒトリシズカ・ポーチュラカ・スイートアリッサムの約十五本。

 

 昼顔の花言葉は『絆』。

 夕顔の花言葉は『逆境を克服する力』。

 朝顔の花言葉は『愛情の絆』。

 菊の花言葉は『ろうたける想い』。

 睡蓮の花言葉は『清純な心』。

 青薔薇の花言葉は『神の祝福』。

 

 牡丹の花言葉は『風格ある振る舞い』。

 オザギリスの花言葉は『輝く心』。

 鳴子百合の花言葉は『心の痛みを判る人』。

 サツキの花言葉は『情熱』。

 クローバーの花言葉は『約束』。

 カーネーションの花言葉は『無垢で深い愛』。

 

 ヒトリシズカの花言葉は『隠された美』。

 ポーチュラカの花言葉は『いつも元気』。 

 スイートアリッサムの花言葉は『優美』。

 

 

 

 花束とは言えないが、景夜は少し物足りなさを感じた。

 そして、その時唐突に自室のドアが開けられた。

 

 

「カゲヤ君!お花見いかない!」

 

 

「いきなりだな……善いぞ。準備があるから、夜から夜桜でもみるか。勇者の皆や師匠や母さんも誘って」

 

 

「うんうん、行こう行こう!」

 友奈は景夜の返事を聞いて、嬉しそうな足取りで部屋を出ていった。

 景夜もそれを追うように、自室を後にした。

 

  -----------

 

「美森ちゃん?花瓶ってあったっけ?」

 

 

「ええ、あるわよ」

 どんな時代でも……

 

 

「ひなた、花瓶あったか?」

 

 

「ええ、ありますよ」

 勇者たちは……

 

 

「花見の準備をするから、海斗も手伝って頂戴」

 

 

「りょーかい」

 日常を謳歌する……

 

 

「景夜君もお弁当の準備を手伝ってください、お花見するんでしょう?」

 

 

「伝達が速いな……あいよ、何から手伝えばいい?」

 辛いことも、苦しいこともあるけど……

 

 

「そう言えば海斗、あなた宛てに一通手紙が届いてたわよ」

 

 

「どれどれ?」

 楽しいことも、嬉しいこともきっとあるから……

 

 

「景夜君、手紙が来てましたよ。あなた宛てに」

 

 

「ふ~ん、見せてくれ」

 進んで行く、未来に。

 

 

 二人は中に入っていた一枚のメモ用紙と、一枚の写真を取り出す。

 メモ用紙には、『幸福祈願』と書かれていた。

 少し戸惑いつつも二人は写真に眼を向ける。

 そこには、

 

 

「……善い笑顔だ」

 

 

「……百点満点だな」

 

 満開の桜より綺麗な、笑顔な勇者たちが写っていた。

 世界に二つしかない、最高の写真。

 記憶はないけど、魂が覚えている。

 あの世界での思い出を。

 忘れる事なんてできない、だって一つ一つが最高の思い出だから。

 

 

「美森ちゃん、花瓶のついでに額縁ももらっていい?」

 

 

「悪いひなた、花瓶と一緒に額縁もくれ」

 

 

「別に良いわよ」

 

 

「構いませんよ」

 二人の少女は笑顔になる、なぜなら……自分の愛する人も笑顔だったから。

 

 

 世界に終わりはない、人の物語に終わりはない。

 何故なら、

 

 

「あれ?東郷さんも海斗君も何してるの?」

 

 

「景夜にひなた?何をしているんだ?」

 

 

『何でもないよ』

 

 どんな世界にも諦めない人間が居るのだから。

 




 少し変な感じはありますがご容赦下さい!
 因みに、このお話で「とかゆ」が終わるわけではありません。

 まだまだ続きますので、お楽しみに!
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