東郷海斗は勇者である   作:しぃ君

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二作品目だぜ。同時投稿になって週一とかになりますがよろしくお願いします。


東郷海斗の章 〜エガオノキミへ〜
prologue「昔と今」


 幼き日の夢、大切な人とのかけがえのないオモイデ、もう叶わないやくそく。

 

 

「海斗君!大きくなったら私を娶ってね!」

 

 

「うん、わかったよ!美森ちゃん!」

 

 

 昔はこの言葉の意味が良く分からなかった。でも、美森ちゃんが俺と一緒に居たいと言う事は何となく分かっていた。

 

 

「やくそくだよ!」

 

 

「やくそく!」

 

 

 そのまま笑顔で指切りをしたのを覚えている。忘れられないやくそく。

 

 

 これは、少年の過去の夢であり思い出であり、そしてやくそくだ。

 

 

 

 

 

 美森の朝は早い、家の誰よりも早く起き調理の支度をすませる。

 少女は中学二年生、この歳から朝早く家事をするのは将来有望だ。

 周りの子に比べれば少し変わっているが、それでも居たって普通の少女。

 ある一点を除けば、そう少女が足が動かず車いすに乗っていること。

 だが、少女はそんなことも気にせず黙々と調理を進める。

 

 

「そろそろ、かしら」

 料理を完成させて、数分待つと縁側を歩く音が聞こえる。

 

 

「おはよう、美森。今日も美味しそうだな」

 

 

「おはよう、美森ちゃん。朝ごはん任せてごめんね」

 

 

「ううん、大丈夫。私が好きでやってるんだから。…海斗は?」

 寝坊しがちな、海斗(義弟)のことを聞く。

 

 

「まだ、起きてないみたい。起こしに行ってあげてくれる?」

 

 

「分かったわ。先にご飯を」

 

 

「ああ、先に頂いてる」

 両親にそう伝え縁側に出る。奥にある私の部屋の隣、そこが海斗の部屋だ。

 

 

「海斗!そろそろ起きなさい。もう朝食出来てるわよ」

 

 

「もう起きてるよ、うるさいなぁ」

 私が襖を開けて中に入ると、海斗が制服姿で机に向かい勉強しているのが分かった。

 

 

「起きてるなら、早く来なさい。父さんと母さんはもう来てるわよ」

 

 

「分かってるよ、姉貴は一々うるさいなぁ」

 見て分かる通り、私の弟は反抗期なのか少し態度が悪い。昔は違ったのに如何してこうなってしまったのか、理由は分からない。

 

 

 こんなになったのは、約1年前からだ。

 私は交通事故に遭い、足が不自由になった。

 足が今後動かないかも知れない、ということを知って私は少し弱気になっていた。

 そんな時、友奈ちゃんに支えられて何とか今の状態まで戻すことが出来た。

 

 

 海斗は病院に見舞い来た時や家に帰って来た最初の方は、もう少し柔らかい感じだった。

 それから少し経った頃から、海斗が私に対してあんな態度を取り始めた。

 最初は直ぐ終わって、昔の様に笑って喋る事が出来ると、信じていた。

 

 

 約1年の時が経っても、海斗の態度は直らず。

 私も姉として接しようとするせいで、私たちの溝は深まった。

 戻れるなら幼馴染だったあの頃に戻りたい。

 

 

 幼馴染であり、姉弟でもある。これは、姉弟の物語。恋と勇気の冒険譚。

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