東郷海斗は勇者である   作:しぃ君

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 銀の誕生日会です!


銀色に輝いて

 神樹の中に来てから、一年以上が経った。仲間も増えに増えて、今では相当な数だ。

 最近では、亜耶の防人仲間である。芽吹、雀、しずく、シズク、夕海子の五人が加わり部室も賑やかだ。

 今日は十一月一〇日、銀の誕生日である。

 海斗は一人、イネスに来てブラブラとプレゼントの品を探していた。

 

 

 みんなでは十一月二〇日の亜耶の誕生日も兼ねて、遊園地に行く予定になっていた。

 だが、彼がそんなことで満足するはずもなく、こうして買い物に来ている。

 

 

「これか?いや~、こっちも捨てがたい」

 

 

 雑貨屋に入った海斗が、可愛いコップやら髪留めなどを吟味する。

 雑貨屋に入ってから一時間が経っただろうか、ようやく買う物が決まったのか綺麗に包装された二つのプレゼント箱持ちながら店を出る。

 その時の海斗の顔は、とても柔らかい笑顔だった。

 

  -----------

 

 時刻は夕方、頃合いを見計らって寄宿舎に向かう。

 できるだけ他の人にばれないように銀の部屋の前に着く。

 ノックをして銀を呼ぶ。

 

 

「俺だ海斗だよ、中に入れてくれ」

 

 

「はぁ~い!今行きます」

 銀に部屋の中に入れて貰う、そこには須美と園子(小)がすでにいた。

 

 

「何だ、園子と須美ちゃんもいたのか。お邪魔してごめんな、渡す物渡したら直ぐに出てくから」

 

 

「別にいいのy……いいんですよ、海t…海斗先輩」

 

 

「わっしーはおもしろいね~」

 園子の茶化すような言葉に、須美が頬を赤くしていく。

 

 

「そのっち!」

 その後は、須美の気が済むまで園子は玩具にされ続けていた。

 

 

 園子と須美のやり取りのさなか、海斗は手短に銀にプレゼントを渡す。

 

 

「はい、ハッピーバースディ銀!あんまり物は送んない方が良いんだけどな……」

 

 

「それでも嬉しいっす!ありがとうございます、海斗さん!」

 銀はウキウキしながら、箱の中身を開けると。

 そこには、サンチョの仲間アモーレがプリントされたマグカップが出できた。

 

 

「カワイイ、カワイイですよ!海斗さん、大切にしますね!」

 

 

「銀が喜んでくれたならそれでいいや、じゃあ俺はこれで」

 銀が何か言いたそうな顔をしたが、海斗は見なかった振りをして外に出る。

 銀のことだから、何かお礼がしたいとか言い始めるかもしれないので見なかった振りをした。

 

 

 ちなみに、あのマグカップは自作である。

 唐突にアイデアが思いつき、急遽園子(中)に連絡を取りアモーレの画像を送ってもらった。

 アモーレとは遊園地に行った時に、園子(小)や須美から渡されるサンチョの仲間の名前だ。

 園子(小&中)以外からしたら、サンチョの違いを見分けるなど至難の業だ。

 海斗ですら、覚えるのに一ヶ月は掛かっている。

 いつも、園子と一緒にいる銀でもそこまでは気付くまいと、海斗なりのサプライズであった。

 

  -----------

 

 歩く、歩く、歩く、時刻は六時を回る。

 空は既に真っ暗で、道路は街頭に照らされている。一番星が見えた頃には、既に目的の場所に着いていた。

 「三ノ輪」と書かれた表札の家だ、インターホンを鳴らして少し待つ。

 中から、エプロンを身に着けた銀が出てくる、だが右腕の部分はやや歪だ。

 なぜなら、その右腕は義手なのだから……

 どういう意図なのか知らないが、中学生になった銀もこの神樹の中の世界に来ている。

 

 

 戦う力は既に無い、夏凛に端末を継承してしまっているためだ。

 

 

「よう!海斗、待ってたぞ!須美も園子ももう来てるから早く中に入れよ」

 

 

「そうだな、上がらせてもらうわ」

 玄関で靴を脱ぐ、靴置きには美森や園子の物と思われる靴が並んでいた。

 銀に案内されて辿りついたのは、リビングだった和風で整った部屋であまりゴチャゴチャしていない。

 

 

 リビングの奥にはキッチンがあり、そこから美森と園子の声が聞こえてくる。

 

 

「あら、海斗。遅いわよ、時間厳守と言ったのは誰かしら?」

 

 

「そうだよ~、かーくん。おそいんよ~」

 美森と園子の言葉に、苦笑しつつ答える。

 

 

「ゴメンゴメン!遅れて申し訳ない、ちょっとプレゼント用意するのに手間取っちゃって」

 海斗が銀に向かって、プレゼントを渡す。

 

 

 中からは、サンチョが刺繍されたハンカチが出てくる。

 こちらは、銀(小)に渡したアモーレではなく普通にサンチョだ。

 銀は喜んでくれたのか、嬉しそうにそのハンカチを手に取った。

 

 

「ありがとな!海斗!一生大切にするよ!」

 この言葉を言われるだけで、こちらも嬉しくなる。そんなこを思っていた。

 海斗の顔は雑貨屋を出た時と同じ、柔らかい笑顔になった。

 

 

 その後は、みんなで誕生日会をして楽しく過ごした。

 美森と海斗が手品ショーしたり、園子の小説朗読会が始まったりと、盛り上がる誕生日になった。

 楽しい時間は、幕を閉じる。誕生日会はお開きとなり、みんなが帰っていった。

 

  -----------

 

 家に帰り、いつも通り日記を書く。

 こんなことに意味はないのは分かっているが、染みついた習慣はあまり抜けず海斗は毎日書いている。

 部屋の襖が開く音がした。

 

 

「遅くにごめんなさいね、海斗」

 

 

「別にいいよ、それで?何か用?」

 

 

「あら、用が無いと義弟()の部屋に入っちゃいけないの?」

 

 

「……それもそっか」

 

 

 そこからは、ただ意味もなく駄弁った。

 この時間が、何よりも心地いいと二人は感じていた。

 

 

「今日はとても良い、誕生日会になったわね」

 

 

「まぁ、この世界においての誕生日なんてたいして意味ないんだけどね」

 この世界は、神樹の中なので基本的に歳は取らない。

 と言うか、こんな世界で歳を取りながら戦っていくとかはあまり考えたくない二人だった。

 

 

 でも……

 誕生日に意味がない訳じゃない。

 

 

「海斗でも…」

 

 

「分かってるよ。誕生日は祝うことこそに意味がある、誰に祝って貰えるかってのも関係があるけど」

 

 

「でも、みんなから祝われるのはとても嬉しいわ」

 誕生日とは、その人が生まれて来たことを祝福するための、行事だ。

 嫌いな人に祝って貰っても嬉しくない、大切な人、友人、仲間に祝って貰うからこそ意味がある。

 

 

「今度は、亜弥ちゃんの誕生日会か~」

 

 

「亜弥ちゃんにも何かあげるの?」

 

 

「うん、いつも心配掛けちゃうからね。その詫びってことで無理矢理押し付ける」

 純粋な亜耶に対しては、グイグイ行った方が押し切れる時がある。

 その方法を生かしていく、念のために防人組のメンバーにも事前に連絡している。

 それのお陰で何を渡すのかも、もう決めてある。

 

 

「亜耶ちゃん、喜んでくれるかな?」

 

 

「海斗が心を込めて選んだものだったり、心を込めて作ったものだったらきっと喜んでもらえるわ!」

 

 

「そうかな~」

 

 

「きっと大丈夫よ」

 美森の言葉で安心した海斗を眠気が襲う。

 

 

「眠い~、美森ちゃん。そろそろ寝るから電気消すよ」

 

 

「分かったわ」

 二人で同じ布団の中に入る。

 この行為に慣れつつある自分に呆れながらも……

 

 

 この温もりを離したくないと思う海斗であった。

 




 なんか少し違いますが、基本こんな感じで行きます!
 銀ちゃん好きの方はスイマセン!
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