東郷海斗は勇者である   作:しぃ君

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待たせてスイマセン


第三話「勝利の喜び」

 友奈が攻撃をして無くなった部分は、たった数分足らずで治りかけていた。

 これには、友奈も驚きを隠し切れない。

 

 

「そんな、治ってる…?どうやってこの怪物をやつければいいんですか?風先輩、海斗君」

 友奈の質問に対して風が素早く返す。

 

 

「バーテックスはダメージを受けても回復するの、封印の儀式って言う特別な儀式を手順を踏まないと絶対に倒せない」

 

 

「て、手順って何お姉ちゃん?」

 

 

 海斗はバーテックスが動き出したのを確認する。

 風がすぐさま全員に指示を出す。

 

 

「樹ちゃん!今は無理だ」

 

 

「攻撃を避けながら説明するから、攻撃を避けながら聞いて!」

 次の瞬間には、ヴァルゴ・バーテックスが爆弾をこちらに向かって発射してきた。

 

 

「何それ!ハードだよ!」

 

 

 樹はこんなことを言いながらも、風に着いて行きながら何とか避けている。

 友奈と海斗も、爆弾を避けたり時には撃ち落としたりしながら風の説明を聞く。

 

 

  -----------

 

 美森は恐怖に震えながらも、みんなの無事を祈っていた。

 

 

「みんな……友奈ちゃん……海斗。ハッ!?」

 

 

 離れている、美森の位置からでも見える、そのオゾマシイ巨体。

 見ているだけで、動悸が激しくなる。

 体に寒気が走り、先程の様に体を腕で抱きしめていた。

 

 

「ダメ……。私、戦うなんて出来ない。」

 怯え続けるだけでは駄目なのに、美森の心はあの怪物(バーテックス)のせいで恐怖に染まっていた。

 

  -----------

 

 風の説明を聞き終わった友奈たちは、封印の儀の準備に取り掛かっていた。

(封印をするために手順1、まず敵を囲む!)

 友奈はヴァルゴの帯で叩くような攻撃を間一髪で躱した。

 

 

「位置に着きました!」

 

 

「お姉ちゃん、私も位置に着いたよ!」

 

 

 全員が位置に着いたのを見計らい、風が合図を出す。

 

 

「よし!封印の儀いくわよ、教えた通りに」

 

 

 風と海斗が二人でヴァルゴの気を引く。

 

 

「「了解!」」

 

 

 先程、友奈にもやっていた帯で叩くような攻撃を繰り返しているが、風も上手く大剣でいなしている。

 

 

「ホラっ!今の内」

 

 

 友奈や樹は携帯を見ながら、海斗は覚えているため携帯は見ずに行う

「えっと……手順2は……」

 

 

「敵を抑える為の祝詞を唱えるんだ」

 

 

「えっ!これ全部唱えるんですか!」

 友奈と樹は動揺しながらも唱え始める。

 

 

「えっ、えっと、幽世大神(かくりよのおおかみ)憐給(あわれみたまい)

 樹が祝詞を唱え始めると、隣に木霊が現れる。

 

 

恵給(めぐみたまい)幸魂(さきみたま)奇魂(くしみたま)……「大人しくしろぉ!」」

 友奈が祝詞を唱えてる途中で風が割って入った。

 友奈にも風にも隣に牛鬼と犬神が現れていた。

 

 

「「ええ!それでいいのぉ!?」」

 友奈たちが叫ぶ中、海斗が解説を挟む。

 

 

「要は魂が籠ってりゃあ、言葉は問わないんだよ」

 

 

「早く言って、下さいよ~!」

 樹がまたもや叫んでるが、海斗は苦笑をしながら上を向く。

 ヴァルゴの周りで花の様なものが舞う。

 ヴァルゴの中からナニカが出で来る。

 

 

「何か、ベロンと出てきた!」

 

 

「封印すれば、御霊が剥き出しになる。あれは云わば心臓、壊せばこっちの勝ち」

 

 

「ねぇ、お姉ちゃん。何か数字減ってるんだけど。これなに?」

 樹の言う通り、下に魔法陣のようなものがあり、そこには数字が書かれていた。

 

 

「ああ、それ私たちのパワー残量。0になるとこいつ押さえつけることが出来なくなって、こいつを倒す事が出来なくなるの」

 

 

「ええ!って言うこと。」

 

 

「こいつが神樹様にたどり着き、世界が終わる!」

 風の話を聞き終わった友奈が跳ぶ準備に入る。

 

 

「それなら、私が。「いや、俺が行く!」」

 友奈が跳躍をして、ヴァルゴに近付く前に海斗が先に跳んだ。

 

 

「信長、行くぞ!」

 

 

「おう、任せとけ小僧!」

 海斗の短い問いに、信長も二つ返事で返す。

 海斗の周りに白い光が集まり、発光するような錯覚が見える中、信長の恩恵で強化された力で思いっきり御霊を刀で切り裂く。

 だが御霊も固く一撃では壊れてくれない、すこし切れ目が入った程度だ。

 

 

「だったら、もう一発!」

 

 

 ヴァルゴの頭部らしき場所に跳び、そこを踏み台にしてもう一度御霊に切りかかる。

 上段から振り下ろすような攻撃をもろに喰らった御霊は、切れ目が広がっていく。

 それを海斗は見逃さず、止めを刺す。

 

 

「これで!詰みだ!」

 

 

 甲高い銃声が響き渡り、御霊が壊れる。

 その瞬間ヴァルゴ・バーテックスも砂になって消えていく。

 

 

「枯れてる!」

 友奈の声で風や海斗が気付く。

 

 

「少し遅かったか」

 

 

「長い時間封印していると、神樹様が枯れて現実世界に悪い影響が出るの。今回は説明に時間を掛け過ぎちゃったから、次回からは気を付けましょう」

 風がそんな話をする間に、樹海化が解け現実世界に戻る。

 

 

「あれ?ここ学校の屋上?」

 

 

 気が付くと、何故か学校の屋上に居た。

 

 

「神樹様が戻してくださったのよ」

 友奈と海斗は辺りを少し見渡す。

 美森を見つけた二人は、駆け出して彼女の下に行く。

 

 

「あ、東郷さーん!」

 

 

「姉貴!」

 

 

「友奈ちゃん、海斗」

 

 

「大丈夫?怪我はない?」

 

 

「大丈夫よ、それより二人は大丈夫なの」

 美森はあまり大丈夫とは言えない、だが親友と義弟を心配させまいと少し強がっていた。

 

 

「うん!もう安全なんだよね、海斗君」

 

 

「ああ、そうだな。1日2度は攻めてこないはずだ」

 友奈と海斗がもう安全だということを伝えると、美森は見ても分かるくらいにホッとしていた。

 そんな中風と樹が集まってくる。

 

 

「ほら見て!」

 屋上から見渡す街の景色は日常そのものだ、まるでさっきの戦いが何でもないかのように。

 

 

「みんな、今回の出来事気付いてないんだね?」

 

 

「そっ!他の人からすれば今日は普通の木曜日。アタシたちで守ったんだよみんなの日

常を」

 少し誇らしそうに、風が話し出す。

 

 

「よかった」

 

 

「ちなみに世界の時間は止まったままだったから、今はもろ授業中だと思う」

 友奈が安堵の声を漏らしたと思ったら次の瞬間、風の口からヤバイ言葉が聞こえていた。

 

 

「「ええ!」」

 

 

 友奈と樹は驚くが、海斗と美森は驚かない。

 海斗は事前に知ってるからだし、美森も持ち前の回転の速い頭で薄々分かっていたの

だろう。

 

 

「まっ!後で大赦の方からフォロー入れてもらいましょう。」

 フォローの声が聞こえて驚いていた二人も、少し顔色が柔らかくなる。

 

 

「怪我は無いわね、樹」

 

 

「うん、お姉ちゃんは何ともない?」

 

 

「平気平気!」

 樹の質問に笑いながら何でもないように返す。事実なんともないのだろう。

 

 

「ふぇぇぇ!怖かったよ~お姉ちゃん。もう訳分かんないよ~」

 泣きながら抱き着いてくる、妹を撫でながら優しく包み込んでいく。

 理想の姉妹像と言うのは、こういうものなんだろう。

 

 

「よしよし、よくやったわネ。冷蔵庫のプリン半分食べていいから」

 

 

「あれ元々、私のだよ~」

 泣きながらもツッコム姿は案外シュールだった。

 

 

 姉妹が抱きしめ合う中、美森はどこか、浮かない顔をしていた。

 

 

 

  -----------

 

  その日は部活がお開きとなり、家に帰っていた。海斗は自室である人に電話を掛けている。

 

 

『春信さん、今回の戦闘データどうでした?参考になりましたか?」

 

 

『ああ!大分参考になったよ。夏凛もあと1ヶ月もあれば戦線入りすると思うから、それまでは頑張ってほしい』

 

 

『あの、春信さんはいいんですか!夏凜を勇者にするなんて!』

(春信さんは最高にシスコンだ、妹が世界で一番大切だと言っていた……なのに…)

 

 

『嫌だよ、でもね。僕は夏凜にも死んで欲しくないように、君たちにも死んで欲しくないんだ。だから、夏凛を万全の状態にしてそちらに送りたい。みんなが生きてお役目を終えられるように』

 

 

『そうですか、分かりました。これからもよろしくお願いします!』

 

 

『ああ、それじゃあ切るね』

 電話が切れたのを確認すると、海斗は春信さんに尊敬の念を送りながらも園子にメールを送った。

 

 

――――――――――――

 

差出人:東郷海斗

 

――――――――――――

 

宛先:乃木さん家の園子

 

――――――――――――

 

件名:ありがとう

 

――――――――――――

 今回の件は事前に教えてくれてありがとう。お陰で、上手く対処することが出来た。

 

 

 

 メールを送って3分程しか経っていないのに、返信が来た。

「早すぎだろ、園子の奴。」

 

 

――――――――――――

 

差出人:乃木さん家の園子

 

――――――――――――

 

宛先:東郷海斗

 

――――――――――――

 

件名:どうもなんだぜ~

 

――――――――――――

 別にお礼はいいのに~。メールするなら直接会って話したいぞ!

p.s.今度来るときは焼き鶏か唐揚げ持ってきて~!

 

 

(相変わらずだな、まぁ良いか。)

 海斗は今日、1日を振り返って。

 色々な反省点を見つけ出し、パソコンのWo❍dで纏める。

 それが彼の日課だ、日記と言っても良い。

 そんなことをしている内に夜の11時を回っていた。

 

 

「今日は、疲れたしもう寝るかな」

 誰に言ったでもない独り言を呟くきながら、海斗は布団に入ろうとした。

 その時、突然襖が開いた。そこに居たのは美森だった。

 

 

「あの、海斗」

 

 

「こんな遅くにどうしたんだよ、姉貴は」

 美森は遅い時もあるが、この時間には何時も寝ているのだ。

 

 

「少し眠れなくて、一緒に寝てもいいかしら?」

 

 

「べ、別にいいけど」

 

 

「ありがとう」

 美森はベットの近くに車いすを寄せて、腕の力を使って体をベットに移していた。

 海斗は見ているだけで、助けはしない。

 これは美森が今後生きていく為に必要な技術だと知っているからだ。

 

 

「海斗も早くきて、寝ないと明日起きれないわよ」

 姉に言われた弟は従うしかなく、渋々ベットに入った。

 

 

「少し狭かったかしら?」

 

 

「そりゃまぁ、シングルベッドだからね」

 ベッドに入って数分話をしたら海斗は電気を消した。

 

 

「じゃあ、おやすみ」

 

 

「おやすみなさい」

 

 

 そう言い終わると、美森が海斗に抱き着いて来た。

 海斗は反応はしない、表向きにはだが。

(当たってる、当たってるから。美森ちゃんの大きすぎるお胸が、これ大丈夫、絶対心音聞こえてるよ。)

(凄い心音、バクバク言ってる。ちゃんと女の子として意識してくれてるんだ。はっ!私はなんてことを、でも…暖かいな海斗の背中。)

 こうして美森は深い眠りに落ちた。

 

 海斗が悶々として眠れなかったのは言うまでもない。




次回、美森ちゃん変身なるか。
今回も、花言葉を弄ったものがサブタイです!分かったなら感想でお答えを!

 後、誤字脱字などがありましたらご報告お願いします!
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