前回の襲撃から一週間、今日も今日とて勇者部は活動中。
海斗は一人、生徒会室に呼ばれていた。
「で!今回の依頼なんだが」
「おお」
生徒会室の奥に座るのは、海斗の親友でもある陸斗だ。
彼は、生徒会長である。去年の生徒会選挙に、ノリで参加し見事に生徒会長に選ばれた。
ここだけ聞くと、ちゃらぽらんにしか見えない。
だが、本人の成績は非常に高く海斗や美森とそう大差ない点数をいつも叩き出している。
「神樹館の中等部の生徒会との、対談に付き合って欲しいんだ」
「神樹館?……まぁ、良いけど。それで、こっちに呼んだのか?」
「バッカ言え!あの学校はお嬢様やお坊ちゃまが行ってるんだぞ、気軽に呼べる訳ないだろ」
神樹館は海斗も行っていたことがある、確かにあそこはお嬢様やお坊ちゃまのような子たちが行く学校だ。
「俺たちがあっちにも行けないから、中間地点にあるファミレスでやるんだよ」
「はっ?!そっちの方が大丈夫なのか?」
「お相手さんが、それでいいって言ってくれたんだ。大丈夫だろう……多分」
海斗は諦め交じりのため息を吐き出し、この親友の頼み事を聞いたのは間違いかもしれないと思い始めていた。
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「そう言えば、海斗はどこ行ったのヨ?」
「ああ!海斗君ならさっき、個人依頼が来たから今日はそっちに行くって言ってまし
た」
「個人依頼ですか…。誰からなんですか?」
「私と友奈ちゃんのクラスの柳橋君ね」
美森から陸斗の名前を聞き、風が思い出したように声を出す。
「あ~、確か生徒会長もやってる子だったわよネ」
「あ!私も聞いたことあります。何でも、一年生から生徒会長をやってて色々改革をしてるとか」
「そうね、彼は凄いわ。去年は、体育祭でやる組体操の危険な項目を全部取っ払ったとか」
「何か、教室にいる時とは違ってピシっ!としてるよね」
こんなことを言われてる彼だが、今の現状はというと。
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結構堅かった。
「よろしくお願いします、讃州中学生徒会の会長。柳橋陸斗と言います」
「ご丁寧にどうも、同学年だからもっと砕けた感じでいいよ。神樹館中学二年、生徒会長の
あちらの生徒会は全員女の子だ。
だが、それよりも海斗には耳を疑う言葉が聞こえた。
「えっと、今日は補佐として来ました。讃州中学勇者部二年、東郷海斗です」
「ご丁寧にどうも、じゃあ座って話しましょうか」
優希がそう言って、座るのを促す。
海斗と陸斗はおずおずと座る。座った後に、他の役員も紹介された。
副会長の
戦慄した、四人とも初代勇者の七家の一つだ。
身震いがする。一歩言葉を間違えれば死ぬ、そんな予感がした。
だが、そんなことは起こらない。着々と時は進み、五時半頃には会議は終わっていた。
海斗も補佐はしていたのだが、正直陸斗一人でも十分な気がして少し不機嫌になってしまう。
(この会議、絶対俺要らなかっただろ。……今度、何か奢らせてやる。)
そんなことを考えている間に、陸斗が帰る準備を済ませていく。
海斗もそれに合わせて、帰る準備をし始めるが……
「ごめん!海斗君!もうちょっとお話ししたいんだけどいいかな?」
「え!?わ、分かった。スマン柳橋、先帰っててくれ」
「お、おう、じゃあまた明日」
陸斗は足早に外に出る、この一時間程で分かったことがある。
多分、陸斗は梓のことが好きかもしれないということだ。
まぁ、海斗にとってそれはどうでも良いので考えを捨てて話に入る。
「話って何なんだ?」
「それはね……、あなたのお役目のこと」
背筋に嫌な汗が流れる、取りあえず長くなりそうなので美森にNARUKOで一報を入れておく。
そこからは、長い長い話し合いが始まった。
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分かったのは、優希も球音も梓も千夏もお役目を担う勇者候補だったということ。
「タマたちが知ってんのは、こんなとこだ」
「何か、不備がありましたか?東郷さん」
「いや、俺が大赦で調べやお役目の内容や、実際に見たこととも一致してる」
「……そう、東郷君も…その…気を付けなさい」
「そうだねぐんちゃんの言う通り」
四人とも、格式の高い家の生まれの為か所作が一々綺麗だ。球音は除くが。
四人には事前に、神樹様の状態や勇者のことを伝えていたらしい。
全くもって、理不尽だと思った。
友奈たち視点から見れば、今回のお役目はいきなり巻き込まれたもので事前の情報など一切なかった。
それでも、この四人を嫌えないのはこの子たちがイイ人だからだろう。
優希は社交性に溢れているし、球音は女子と男子の壁を感じさせず楽しく会話ができる。梓も大人しいが、海斗の話を聞くときは真摯に受け止めてくれていた。千夏はあまり会話に参加しなかったが、それでも言う言葉の節々から優しさが感じ取れる。
この人たちを海斗は嫌うことなど出来ず、最終的に連絡先まで交換して何かあったら相談して欲しいと言われてしまった。
勇者に選ばれる人には、それなりに理由がある。
海斗はそれを今日知ることが出来た。
それは心であり、勇者になる者はその心が勇者だということが分かった。
海斗が少しウキウキ気分で家に帰ると、玄関に前には美森がいた。
「姉貴?なにやってんの?」
「なんやってんの?じゃないわよ!ちゃんと電話に出なさい、今日は父さんも母さんも
出かけてて家に居ないからご飯を私が作ると言ったじゃない。…もう」
「ご、ごめん!会議中から通知切っててそのままで、まさか電話くれてたなんて」
海斗の謝罪に美森は笑顔で、こう返した。
「じゃあ、いっしょにご飯作りましょうか」
「りょーかい!じゃあ、中入ろうか」
恐らく、先程までは演技だったのだろう。美森が大好きな人との二人きりの時間を嫌うなんて、ありえないのだから
その後は、姉弟水入らずで健やかな時間を過ごした。
「こんな日が、毎日続けばいいのに」、と二人とも思ったが言葉にはしない。
この時間がとても大切だと、分かっていたから。
多分、あと一回程度一ヶ月間の話があります。
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