東郷海斗は勇者である   作:しぃ君

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 遅れてすいません!


第十七話「思いと想い」

「バーテックスに生き残りがいて、戦いが延長戦に突入した。纏めるとそういうこと、だからみんなにそれが帰って来た」

 トランクケースに収められている勇者専用端末を、みんなに見せながら風が話を通す。

 

 

「ホント、何時もいきなりでゴメン……」

 

 

「先輩もさっき知ったことじゃないですか、仕方ないですよ」

 今はまだ夏休み、今日も勇者部に宛てられた依頼をこなす為に部室に訪れたのだ。

 

 

 海斗は苦虫を噛み潰したような顔でスマホを見つめる、「前回の件さえなければこうなることはなかった筈だ」と。

 どうしても、自分を責めてしまう。

 そんな海斗を尻目に、友奈も少し不安そうな顔でスマホを見つめていた。

 だが、そこは友奈だ。

 美森に続いて、風のフォローに回る。

 

 

「東郷さんの言う通りですよ、先輩」

 

 

「まっ、そいつを倒せば済む話でしょ。私たちは敵の一斉攻撃も殲滅したんだから、生き残りの一体や二体どんと来いよ!」

 夏凜もニボシを口に放りながら、余裕の表情で言う。

 

 

勇者部五箇条、なせば大抵何とかなる‼

 樹も真剣な表情で頷き、姉を励ます。

 

 

 全員が結束を固めるように励まし合う中、ただ一人。

 少年は自分の手を見つめていた。

 

  -----------

 

「バーテックス全然来ないね~、もう二学期始まっちゃったよ」

 

 

「敵を気にしないのもダメだけど、気にしすぎるのも良くないわ友奈ちゃん」

 

 

「…………」

 友奈が美森の車いすを押す、その最中海斗はまたしても上の空だった。

 

 

 その後も、部室に行くまで一悶着あったが海斗はそれすらも気付いていないように見えた。

 

 

「結城友奈入ります!」

 

 

「こんにちは!」

 

 

「ウィーッス!」

 何故か決めポーズを取りながら挨拶する風、それに乗ってか樹もスケッチブックに挨拶を書き始める。

 

 

「すっかりそのキャラ定着しましたね」

 

 

ウィーッス

 

 

 最近の海斗は、あからさまに可笑しい。

 今も、部室の中がプチ百鬼夜行のような状態になってるのにツッコミすらしない。

 疲れているのか、はたまた………

 

 

「ようやっと、端末に戻ったはね」

 十数分は掛かったが、あまり気にしない方向で会話を続ける。

 海斗とは違う意味で、夏凜は複雑な顔をしていた。

(それにしても私だけ新たな精霊なしとか、どういうことなのよ?)

 

 

敵……いつくるのかな?ドキドキ

 

 

「そうね!私の勘では来週辺りが危ないわね」

 

 

「実は敵の襲来は気のせい!だったらいいんだけどネェ~。あの諸葛孔明だって負け戦はあるのよ、弘法も筆の誤り。神樹様も予知のミスくらい――」

 風がそんなことを言った瞬間、ミスなんてしてないぞと言わんばかりに樹海化警報が鳴る。

 

 

「噂をすればってやつかな?」

 

 

「風が変なこと言うから、神樹様からの的確なツッコミね。これは」

 

 

 夏凜の言葉の次の瞬間には樹海化が始まり、世界が光に包まれる。

 海斗はすぐさま動き出し、友奈と夏凛のスマホを掏る。

 

 

「ちょっと海斗!アンタ何すんのよ!」

 

 

「いきなりどうしたの海斗君!?」

 二人とも海斗の行動に驚く、いつもの彼らしからぬ行為に美森や風に樹も目を見張っていた。

 

 

「悪いな、二人には変身させない。姉貴と樹ちゃんは援護を頼む、風先輩は二人の護衛を」

 何の説明もしないまま、海斗は少し命令口調になってるのを自覚しながら指示を出す。

 

 

「海斗いい加減にしなさい、全員で戦えばいいでしょ!」

 風の怒声が聞こえるが無視をする。

 

 

 敵の数は完成型のジェミニ・バーテックスが一体と星屑二百体。

 この量だったら捌き斬れると判断し、すぐに行動を開始する。

 変身をを終えて、美森と樹に目配せをしてジェミニの方に飛び出した。

 友奈と夏凜は海斗の行動を理解できないのか、そのまま立ち尽くしている。

 樹と美森に風は変身し、樹はワイヤーで美森ライフルで海斗の援護、風は夏凜と友奈を守るために大剣を構える。

 

 

「信長!」

 

 

「任せろ!行くぞ相棒!」

 二人が拳を合わせると信長はピンク色の粒子になって海斗の身体に入っていく。

 

 

 全てが入り終わった頃には、いつもの羽織を身に着けた海斗の姿が。

「あれが精霊降ろし、アイツ。あんなのどうやって」

 

 

 夏凜も大赦に所属してるだけあって精霊降ろしの話を聞いたことがあるが、随分前にそのシステムは凍結されたと聞いていた。

 だから、疑問に思う。

 海斗はどうやって精霊降ろしを行使出来るようにしたのか。

 だが、その疑問の答えは見つからず、ただただ海斗を眺めるしかなかった。

 

 

「まずは足!」

 信長によって底上げされた身体能力の全てを行使して、絶対に外さない偏差射撃をやってみせる。

 

 

 そしたら、足の止まったジェミニに向かって刀を振り下ろす。

 高所から飛び降りたので、膨大な位置エネルギーを全て運動エネルギーに変えて今までのどの攻撃よりも強く速い一撃を叩きこむ。

 すると、ジェミニは御霊ごと一刀両断されてしまい砂になって消えていく。

 

 

「嘘でしょ、封印の儀なしに御霊ごと破壊するなんて満開でもしないかぎり」

 風も先程より混乱してしまっている、頭を振って何とか元の状態に戻ったがそれでもまだ違和感が残る。

 

 

(なんなの、この違和感。あれって満開と同じで相当体に負担を掛けてるんじゃ……)

 そんな風の思考をよそに、美森と樹は星屑の数を減らしていく。

 残り百を切った辺りだろう。

 海斗も残党刈りに参加する。

 

 

 海斗の戦い方はデタラメもいいところだ。

 敵の巨体の上に乗って刀で斬るか銃で撃つかしてから、亡骸を踏み台にして他の星屑に飛び移る。

 これだったら、スピード型の夏凜だったらやれないことはない。

 しかし、デタラメなのはその速さだ。

 まるでスーパーボールのように飛び跳ねている、その三次元的動きは幾らスピード特化で修行を積んだ夏凜にも出来ない芸当だ。

 

 

 海斗が加わってから数分の内に、全ての敵が殲滅されて樹海化が終わる。

 だが、日常の崩壊はもう目の前に来ていた。

 

  -----------

 

 

「ここ、どこ。屋上じゃないし、みんなもいない」

 友奈に海斗に美森は、樹海化が解けた後に知らない場所に飛ばされていた。

 

 

「あっ、大橋」

 美森が大橋の存在に気付く。

 

 

「じゃあ、結構遠くまで飛ばされちゃったね。あっ!海斗君スマホ返してよ」

 

 

「ん、ほら。もう用はないしな」

 

 

 友奈は海斗からスマホを返してもらいスマホを開こうとする、だが……

「あれ、開かない?電波入ってない」

 

 

「私の改造版でもダメ」

 

 

「そりゃそうさ、一様ここは祀り処だからな。園子来たぞー」

 海斗が園子の名前を呼ぶ、するとそれに反応して甘く伸びきった声が聞こえてくる。

 

 

「はいは~い、わっしーにかーくん待ってたよ」

 

 

 三人は声の聞こえた祠の裏手に回っていく。

 そこには、何故か不自然にベットが置かれていた。

 そのベッドの上には体中に包帯を巻きつけられた少女が居る。

 多少、包帯が巻かれていない所があるがその部分は片手で数えられるほどだ。

 包帯の所為もあってか身体も不健康的に見えるくらい痩せている。

 

 

「あなたが戦ってるのを感じてず~っと呼んでたんだよ~」

 

 

「鷲?え~っと、東郷さんと海斗君の知り合い?」

 

 

「友達だよ、ちょっと個性的な」

 

 

「いいえ、初対面だわ」

 二人で意見が分かれる、園子は小さなため息を出して言葉を紡ぐ。

 

 

「わっしーって言うのはね、私の大切なお友達の名前なんだ。何時もその子のことを考えていてね、つい口に出ちゃうんだよ。ゴメンね」

 

 

「園子、まきで頼む。アイツらが来る前に答えを話さないと」

 海斗は焦っているのか、少し声が震えている。

 海斗は呼ばれた理由について何か知ってるらしい。

 

 

「はいはーい、私は乃木園子。美森ちゃんに友奈ちゃんで合ってる?」

 

 

「はい、讃州中学二年勇者部所属。結城友奈です」

 

 

「同じく、東郷美森です」

 二人とも、緊張の為か声が震えている。

 

 

「二人は満開したんだよね?わーって咲いてわーって強くなるやつ」

 園子の質問に少し違和感を覚えながらも、二人は答えた。

 

 

「はい、わーって強くなりました」

 

 

「私もしました」

 

 

 二人が静かに肯定する中、海斗は意識を辺りに向けて警戒していた。

 この会話を良く思わない連中は相当数存在する。

 彼らの行動が友奈たちに向くことがないよう、最大限に気を研ぎ澄ませる。

 

 

「そっか。咲き誇った花はその後どうなると思う?満開の後に散華と言う隠された機能があるんだよ」

 

 

「散華、花が散ることを意味する散華だ。二人も何となく想像つくだろう?」

 

 

「満開の後、体のどこかが不自由になったはずだよ?」

 美森が左耳に、友奈が口に手を当てる。

 

 

 どんなバカでも、ここまでくれば真実に辿り着く。

 特に美森のような、聡い少女は。

「力を振るった満開の代償。花一つ咲けば一つ散る、花二つ咲けば二つ散る。その代り、決して勇者が死ぬことはないんだよ」

 

 

「死ねない……」

 

 

「でも、死なないならいいことだよ……ね?」

 そんなことはない、不死それは呪いだ。

 死ねないことがどれほど苦しいか、彼女はまだ知らない。

 

 

「それで、戦い続けてこうなっちゃったんだ。元々ボーっとするのが得意でよかったよ、何もできないのは結構辛いからね」

 

 

「痛むんですか?」

 友奈の質問は意味をなしていない、散華の部位によっては痛みを感じることが出来なくなる可能性がある。

 

 

「ううん、敵にやられた訳じゃないからね。満開して戦い続けてこうなったの」

 

 

「じゃあ、その体は全部代償で……」

 

 

「うん」

 当たって欲しくなかった、もしかしたら治るんじゃないかと期待していた。

 けれど、その期待は虚しくも砕け散る。

 

 

 供物は戻ってこない、新しく作りでもしない限りは。

 神に見初められるのはいつも無垢な少女。

 穢れなき身だからこそ、大いなる力を宿すことが出来る。

 そして、力を振るった代償として体を供物にして捧げていく。

 

 

 

「園子、その辺で止めとけ。もう来た」

 

 

「そうだね~」

 神官に友奈と美森のことを任せる、任せた相手は春信の部下なので海斗も安心することが出来る。

 園子と海斗、その場に残ったのは二人だけだった。

 

 

「……お前に全部任せて悪い」

 

 

「大丈夫~」

 

 

「園子、今だけは何もかも吐き出していい。思ったこと全部を俺にぶつけていい」

 園子は静かに泣いた、すすり泣く声が海斗以外に届くことはなかった。

 

  -----------

 

 園子と会って風に真実を告げてから、早数日。

「姉貴何の用だ?」

 

 

「そうよ、東郷。家に呼ぶなんてなにかあったの?」

 今、美森の部屋に居るのは海斗と友奈と風の三人。

 

「三人に見て貰いたいものがあって」

 そう言うと美森は、机に向かう。

 

 

 その上にあったのは短刀、華美な装飾はなくシンプルなデザインだ。

 彼女はそれを取っ手海斗たちの方に向き直る。

 短刀を水平に持ちながら胸の高さにまで上げて、ゆっくりと鞘から短刀を抜く。

 そして、

 

 

「ふっ!」

 短刀で首を切ろうとした。

 後少しで当たるというところで青坊主が現れ、その動きを止める。

 

 

「何やってんのよ、アンタ!もし精霊が止めなかったら!」

 風の怒声が部屋に響く中、海斗は無言で美森を見つめていた。

 友奈も突然の美森の行動に驚いている。

 

 

「止めますよ、精霊は確実に。この数日で、私は十回以上自害を試みました。切腹、首つり、飛び降り、一酸化炭素中毒、服毒、焼身。全て精霊に止められました」

 ここもでする執念も、あまり普通とは言えない。

 誰もが追い詰められていた。

 

 

「何が言いたいの?」

 

 

「今私は、勇者システムを起動させていませんでしたよね?」

 

 

「そういえばそうだね」

 友奈が返事を返す、海斗は美森を見つめる。

 

 

「それにも関わらず、精霊は勝手に動き私を守った。精霊は勝手に」

 大事なことは繰り返す、そういうものだ。

 

 

「だから、何が言いたいのよ東郷!」

 

 

「精霊は私たちの意志とは関係なく動いている、ということです。私は今まで、精霊は勇者の戦うという意志に従ってるのだと思っていました。でも違う、精霊に勇者の意志は関係ない。それに気付いたら、精霊が違う意志を持っているように思えたのです。精霊は勇者のお役目を助けるものなんかじゃなく、勇者をお役目に縛り付けるものなんじゃないかって、死なせず戦はせ続ける装置なんじゃないかって」

 

 

 そして、ついに海斗がキレた。

 

 

「いい加減にしろよ!東郷美森!こいつがどんな気持ちでお前たちを守ってるかも知らないで、そんな危険な真似をして。挙句の果てに俺や鳳凰をバカにするとはどういう了見だ‼‼」

 海斗の髪の毛が銀色に染まった。

 その声も、いつもの海斗とは少し違うものになっている。

 

 

「あなたね、海斗の中にいるのは」

 

 

「っち‼勝手にしろ」

 

 

「ちょっと待って海斗!満開の後遺症は?治るの?!」

 

 

「……それは治りません、一生」

 一瞬の内に元に戻り、真実を伝える。

 

 

 終わった、海斗が必死にしがみ付いていた日常は終わりを告げた。

 

 

「悪い相棒、俺の所為だ」

 

 

「いいや、お前は悪くないよ」

 あの後、友奈と風は帰った。

 いつの間にか美森も出かけている。

 

 

 そして、園子からの電話が掛かって来た。

『もしもし』

 

 

『もっしもーし、かーくん?今いいかな?』

 

 

『大丈夫だ、何かあったか?』

 

 

 園子が少し間を作りゆっくりと伝える。

『……昨日ね、わっし―が来たよ~。それでね……全部教えちゃったんよ、世界の本当の姿(真実)も』

 

 

『そうか……頼みがある』

 海斗の言葉を聞くまでもなく、園子は頼みの内容を分かっていた。

 

 

『止めないで欲しい、でしょ。分かってるよ~、私もかーくんやわっしーとは戦いたくないしね』

 

 

『助かる。今のお前と俺じゃ、どっちが勝っても満身創痍になりそうだからな』

 

 

『だね~、要件はこれでおわりだよ、頑張ってね』

 

 

『了解、任せとけ』

 園子の頑張ってねにどれだけの想いがあるかは今の海斗でも分かる、だからこそ失敗は出来ない。

 

 

 海斗が玄関に行こうとしたら、廊下には美冬と父である森雄が居た。

「父さんに母さん、どうしたの?」

 

 

「いや、外に出るんだったら渡したいものがあってね」

 

 

「これを持って行きなさい、きっと役に立つわ」

 美冬が渡したのは、小さい箱と封筒だ。

 

 

「中に海斗の真名に関する手紙が入っている、今の君に最も必要な物だろう」

 

 

「あなたが辛いことも苦しいことも知っている、それがなんでなのかも。だけどあたしたちにはどうすることも出来ない」

 美冬の目に涙が見える。

 

 

 いつも、いつも美冬を強い人だと思っていた海斗だったが、その考えは砕けちった。

 今ここに居るのは、純粋に我が子を心配するただの母親だ。

 だったら、海斗がここでいう言葉は一つだけだ。

 

 

「必ず帰ってくる、美森ちゃんも連れて。……だから帰ってきたらパーッとなんか食べに行こうよ!偶には外食もしないと、それとカラオケなんかもいいかもね」

 やりたいことはまだ沢山ある、それを諦めるわけにはいかない。

 

 

「行ってきます!」

 

 

「「行ってらっしゃい」」

 二人の声が聞こえた瞬間、スマホから特別な警報が鳴る。

 特別警報発令、おそらく美森が壁を壊したのだろう。

 

 

 ここからが……

「本当の戦いだ」

 

  -----------

 

 海斗は一旦立ち止まり、丁寧に手紙を読む。

 本当なら、こんなことしてる時間などないが、今は緊急事態なので例外だろう。

 

 

「手紙の内容は……」

 

 

 拝啓  自慢の息子へ

 

 あなたがこれを読んでいるということは、きっと私たちは近くに居ないでしょう。

 本当なら、愛する息子が育っていく姿をずっとそばで見ていたかったけど仕方がありません。

 おっと、話が逸れちゃったわね。

 手短に、あなたの真名を教えます。

 私もあなたのお父さんもあまりお手紙上手じゃないから、許してね。

 

 

 あなたの真名は陽向(ひなた)、日守陽向。

 日守のお役目は、四国の日である勇者を守ること。

 知ってるかもしれないけど、日守のお役目は危険で神に嫌われる者も少なくはないです。

 一生を勇者の為に捧げ、日陰で生きてくことになります。

 

 

 でも、私たちはあなたに陽向で勇者の子たちを支えて欲しい。

 後ろから支えるでもなく、下に立って踏ん張るでもない。

 隣に立って、支え合って励まし合って生きていって欲しい。

 それが、私たち親があなたに願う。

 最初で最後の我が儘、聞いてくれると嬉しいです。

 

 

 それでは、最後に一言。

 私たちは息子であるあなたの事を世界一愛しています!

 

 

 p.s.

 箱の中をのぞいてごらん?

 

 

 手紙はこれで終わっていた、途中から涙で良く見えなかったがしっかりと最後まで読んだ。

「……これは」

 

 

 箱の中に入っていたのはロケット、中には写真が一枚。

 左側には、幼い美森と今の両親。

 右側には、幼い海斗と昔の両親。

 海斗と美森は内側の手を握り、外側の手で敬礼をしていた。

 その顔はとても良い笑顔で、祝福したくなる。

 

 

 手紙を見て、分かったこと。

 それは、愛されていたということ。

 今の両親はまだしも昔の両親に愛されていたかなど、記録を見ても分からない。

 怖かったのだ、本当は愛されてなどいなかったのではないかと。

 

 

 だが、答えは得た。

 両親の想いも伝わった。

 だったら、今度は自分が想いを伝える番なのだ。

 東郷海斗ではなく、日守陽向で。

 本当の自分で。

 

 

「救ってみせる、この想いで。魂に刻み込まれた絆で!」

 少年は走り出す、また新たな日常を作り直す為。




 次回もお楽しみに!

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