東郷海斗は勇者である   作:しぃ君

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 お待たせ、今回は色々詰め込んだのでお楽しみに‼‼

 


最終話「世界を救うは勇者(ヒーロー)の役目」

 樹海の中を走る、前方には倒してきたはずのバーテックスたちが居た。

 

 

「流石に復活してるか……」

 

 

「相棒、どうする?あいつらを倒してから東郷美森の所に行くか?」

 

 

「……いや、それだと間に合わない。他のみんなにやってもらうしかない」

 今ここで美森を止められなければ、きっと決定的なまでの崩壊が起こる。

 そうならない為にも、今の状況ではあちらの救援に向かうことは出来ない。

 

 

 海斗は信長と会話をしながらも、美森の居場所を目指す。

 その途中で、夏凜に会った。

 

 

「海斗!満開の後遺症のこと……何で黙ってたの?」

 これは確認である。

 友奈は言った、「きっと私たちは満開の後遺症のことを知らされていても使ってた筈です!世界を……友達を守るために」と。

 

 

 だから、これは確認。

 海斗が何を言うかで、今後彼に対する彼女の対応は変わってくるだろう。

 

 

「……言わなかった理由は簡単だよ。だって俺が何か言ってもお前らはきっと満開を使っていただろう?それが、世界や友達を守ることに繋がるんだったら」

 夏凜が望んでいた言葉、少し涙目になるのを我慢して海斗に向き合う。

 

 

「そう、ならいい。……東郷をお願い、私や友奈じゃ説得出来なかった」

 刀を持つ手が震えている、それほどに衝撃的なものだったのだろう。

 

 

「美森ちゃんのことは任せてくれ。お前はバーテックスの足止めを頼む」

 

 

「任せときなさい!完成型勇者の意地を見せてやる!……それと――」

 一拍開けて、彼女は言葉を呟いた。

 

 

「私、大赦の勇者辞めて勇者部の勇者になったから。そこんとこよろしくね」

 彼女はそう言葉を残して、バーテックスに向かって行った。

 

 

 夏凜の満開ゲージは溜まっていた、恐らく使うのだろう。

 出来る事なら、使わせたくない。

 でも、そんな理想論を語っていられるほど状況は甘くない。

 少年は少しの後悔を胸に、また動き出した。

 大切なあの子を、苦しみから救うために。

 

  -----------

 

 美森も満開したのだろう、大きな戦艦が目に入った。

 相変わらずの迫力に気後れしそうになるが、それでも足を止めずに進み続ける。

 邪魔になる星屑を斬り伏せて、三次元的移動を繰り返す。

 少しでも足を止めた瞬間に、周りに居る星屑に囲まれてしまうため少し辛いが、海斗は疲れたような素振りを見せない。

 信長を降ろした状態の戦いに慣れ過ぎていた為、こんな戦法でも疲れが来ないらしい。

 

 

 そして、ようやく――

 

 

「来たのね、海斗」

 

 

「久しぶり?って言った方がいいかな美森ちゃん」

 

 

「あなたがその名前で私を呼ばないで!」

 銃弾が頬を掠る、今のは牽制に過ぎないが少し殺気が混じっていた。

 

 

「何で?今の俺は東郷海斗じゃない、日守陽向としてここに来たんだよ。昔の俺で、本当の俺で君を助けに来た」

 

 

「助ける?何を言っているの?……この世界は間違ってる、子供の犠牲を承知で存在し続けるこの世界は歪んでいると思わない?」

 美森の考えを海斗は否定が出来ない、子供の犠牲の上に成り立つ世界なんて歪んでいる。

 

 

「犠牲になるのが私だけだったら許せた、でも海斗や友奈ちゃん。他のみんなを犠牲にすることは許せないの!」

 これが、彼女の本音だろう。

 

 

「ねぇ、海斗。教えてよ、私はなにを忘れてしまったの?私は自分の涙の意味が分からない、このリボンをじっと見てるとどうしても胸が苦しくて泣きたい気分になる」

 散華によって捧げられて失くなってしまった、大切な記憶。

 

 

「もう、こんな気持ち味わいたくない。きっとこの後もみんなは満開を使ってなにか大切なものを失い続けながら、生きてかなければいけない。そんなのは嫌!」

 大粒の涙と共に吐き出されていく本当の想い。

 

 

「俺は忘れないよ、絶対に」

 

 

「嘘よ!私たちだって、きっとそう強く思ってた!でも今は、何も思い出せない。楽しかった記憶も辛かった記憶も何も残ってない。嫌だよ、みんなとの思い出を失いたくない、みんなに忘れらたくない!」

 

 

「それでも、俺は絶対に忘れないよ」

 魂が籠っていない、薄っぺらな言葉に聞こえるかもしれない。

 でも、この想いだけは本物だ。

 

 

「どうして、そう言えるの?あなたは自分の記憶を失くしてしまったのに」

 

 

 少年は記憶を失くしている。

 一部とはいえ、散華で失ったのは言うまでもない。

 しかし、少年は訴え続ける。

 彼女の心に、彼女の魂に。

 

 

「確かに俺は記憶を失った、けど魂に刻み込まれた絆までは失ってない。美森ちゃんだってそのリボンを見て涙を流したんでしょ?胸が苦しくて泣きたい気持ちになったんでしょう?それは、魂が絆を失くしてないからさ」

 

 

「そんなの、希望論よ!」

 

 

「そう聞こえても可笑しくない、だけど俺の想いは失くなってなかった!」

 

 

「止めて!海斗の声で、海斗の身体で、それ以上言わないで!」

 美森は耳を塞いで、戦艦の砲塔を海斗に合わせる。

 次の瞬間には砲撃が開始されるが、いつものような冷静な撃ち方ではない為に彼が当たることはない。

 

 

 避けて、避けて、避けて。

 少しづつ、距離を縮めていく。

(後少し、もうちょっと!)

 既に戦艦に乗った海斗、美森は砲撃することが出来ず。

 海斗が手を伸ばす、その手が彼女に……

 

 

 届いた。

 そっと、耳を覆っていた手を退かす。

 目から止めどなく涙を流す美森をしっかりと見つめて、海斗は想いを伝えた。

 

 

「美森ちゃん、君のことが好きだ。記憶を失くしても、この想いを忘れた日は無い。この想いは偽物なんかじゃない、そう断言できる」

 

 

「……本当に?本当にそうなの?……私も本当の想いを言っていいの?」

 

 

「うん、美森ちゃんの返事が聞きたい。鷲尾須美じゃない、東郷美森の想いを」

 美森は深く深呼吸をして、海斗を見据える。

 

 

「私も、あなたのことが好き。姉弟になってからずっと隠して偽り続けてきたけど、あなたのことを嫌いになった日なんかない」

 想いを聞いた海斗は、ゆっくりと美森を自分の方に引き寄せ優しくキスをする。

 

 

「……接吻なんて、まだ早いわ」

 

 

「ごめん。……美森ちゃんはこれからどうする?世界を壊して友達を殺すか、世界を救って友達を守るか」

 

 

「決まってるじゃない、世界を救うは……みんなは許してくれるかしら?」

 自分がした罪の重さを今実感したのだろう。

 

 

「大丈夫、みんなは優しいからきっと許してくれるよ。ありきたりな言葉だけど、もし誰も許してくれなくても、俺だけは美森ちゃんの事を許すよ。世界を敵に回したって君の味方であり続ける」

 

 

 東郷海斗……日守陽向は、東郷美森の味方だ。

 世界を敵に回したとしても、彼女の事を守り続ける。

 それに意味なんてない、守りたいから守る。

 彼が勇者になった理由は、美森を守るためだ。

 友達を守るのは当たり前、仲間を守るのは当たり前、世界を守るのは当たり前。

 

 

 東郷美森を守ることは……

 

 

「だって、俺は東郷海斗で日守陽向だから」

 その言葉を聞いたら、もう戻れない。

 

 

「図々しいことを言ってるのは分かってる、お願い一緒に世界を救って!」

 

 

「了解」

 戦艦が動き出す、夏凜も風も樹もレオと戦っている。

 

 

 だが、レオの姿は少し違う。

 レオ・スタークラスタ―とも似ているが違う。

 

 

「あのレオ、前に友奈ちゃんが倒した奴に似てるけど……」

 美森も気付いたのだろう、向かう先にいるレオが自分の知る形とは違うことに。

 

 

「だね、多分強さはレオ・スタークラスター以上だよ」

 二人の会話に突如、聞きなれた声が響く。

 

 

「察しが良いな、流石俺のオリジナル。まあ、それぐらい出来なきゃ俺が作られた意味がねぇけどな」

 

 

「う…そ……、海斗とそっくり」

 

 

「お前が資料の中にあった天使か。初代勇者・柊景夜が戦ったと言われている」

 天使、その容姿は美森の言った通り海斗に瓜二つだ。

 

 

 身体的特徴や声色、似ていない所を探すのが難しいほどに。

 言動が少し違う程度、それ以外は()()()()()()()

 そして、その強さは……

 

 

「あそこに居るレオと変わらない位……いやそれ以上にヤバイな」

 

 

「理解が速くて助かるよ、俺の名前はアベル。人間の原罪を象徴する名だ」

 

 

 アベルは、旧約聖書『創世記』第四章に登場する兄弟のこと。

 アダムとイヴの息子たちで兄がカイン、弟がアベルである。

 人類最初の殺人の加害者・被害者とされている。

 

 

「アベル、お前の名前は旧約聖書に出てくるアベルから取った考えていいんだよな?」

 

 

「当たりだ。さぁて、早速お前ら全員を殺して世界を終わらせるか」

 殺気が漏れ始める、明らかに格が違う。

 後ずさりしそうな足を奮い立たせ、美森の一歩前に出る。

 

 

「美森ちゃん、先にみんなの方に行って。あっちも結構キツイと思うから」

 海斗の言葉を聞いた美森は、静かに頷く。

 自分が敵う相手ではないと察したのだろう。

 

 

 海斗は壁の端に立つアベルの下へ跳ぶ。

 アベルは、何をするでもなく美森が立ち去るのを待った。

 

 

「なんで見逃したんだ?全員殺すんだろ?」

 素直に疑問を投げかけると、アベルは顎に手を当てて少し考える素振りを見せながら答えた。

 

 

「オリジナルと、本気の勝負をしたかった。そんなところだ」

 

 

「分かったよ!だったら本気で戦ってやる!」

 精霊降ろしで信長を纏い、正面に居るアベルに向かって火縄銃を向ける。

 

 

 ここから、地の神代表対天の神代表の世界の行く先を左右する戦いが始まった。

 

  -----------

 

 刀と刀が舞い、銃弾が飛ぶ。

 どちらの武器も同じで、総合力で見れば海斗が上だ。

 だが、アベルも負けていない。

 剣技は海斗の数段上を行く技術力で、力の差をその技術でカバーしている。

 戦い始めて五分、最初に攻撃を喰らったのは海斗だった。

 

 

「ぐっ‼……クソっ!剣術の上手さだけで見ればあっちが上か」

 

 

「当たり前だ、俺はお前や他の勇者を殺す為にこの剣術を磨いてきた。剣術でお前に負けることは……ない‼‼」

 突進による重さを載せた一撃を何とか刀の腹で受け流し、反対の手に持った火縄銃で近距離で撃ち込む。

 

 

 アベルはそれをなに事もないかのようにヒラリと跳んで躱す。

 跳んだことで上を取ったアベルは上空から銃弾の雨を降らす。

 精霊バリアがないので、海斗は先程の一撃を喰らったことであの銃弾を喰らうのはマズイと判断し即座に横に飛び回避する。

 

 

「おいおい!逃げてたら勝てないぞ!」

 

 

「避けなかったら気絶するだろ!」

 

 

 このように軽口を叩きながらも、お互いの行動から目を離さない。

 一進一退の攻防が続く。

 刀を交える内に、言葉を重ねる内に、アベルと言う少年の心が見えてくる。

 勇者を殺す使命の為だけに生み出された兵器。

 悲しい生命であること、そのことが刀を交えた僅かな時間で分かった。

 

 

 誰にも愛されず、ただ使命の為に己を鍛え続けた少年。

(もしかしたら、アイツが俺になっていた可能性もあったのか?) 

 そんなことは有り得ない筈なのに考えてしまう。

 彼の心が勇者だからこそ、そういう方向に思考が動く。

 

 

「戦いの最中に考え事とは余裕そうだな‼‼」

 

 

「っ!?」

 先程受け流した時よりも重い攻撃が海斗を襲う、受け止めたはいいが……

(馬鹿力が過ぎるぞ!ヤバイ、腕の骨にひび入ったかも……)

 

 

 考えるのは、こいつを倒した後にしようと決めて。

 また、覚悟して刀を振るう。

 時が過ぎる程に、段々と海斗が不利になっていく。

 信長の身体への負担は限界に達しつつあった。

 

 

 十分は続いた戦いの中で、海斗がアベルに与えた攻撃の数は零。

 逆に、アベルが海斗に与えた攻撃は十を超えている。

 海斗が肩で息をし始めた頃、アベルがある提案を持ちかける。

 

 

「このままやっても埒があかない、どうだお互いに今出せる最高の一撃で白黒つけるってのは?」

 アベルの提案に、海斗は乗る以外の選択肢はない。

 

 

「いいぞ、それで。お前こそそれでいいのか?」

 

 

「ああ、構わない。剣術の腕で行けば、お前より上だしな」

 余裕そうな笑みを浮かべるアベルに対して、海斗の顔色はあまりいい物ではない。

 

 

(どうする?今の俺にアイツに勝てる技は……)

 

 

(あるぜ、一個だけな。賭けになるけどどうする?)

 心の中で思ったことに返事が聞こえた。

 海斗は少し驚きながらも会話を続ける。

 

 

(やる、やり方を教えてくれ!)

 

 

(よしきた!)

 

 

 数秒の時が過ぎ、お互いが構に入る。

 アベルは八相の構と言う、上段の構にも似た振りかぶるような姿勢を取る。

 海斗はと言うと……腰を落として、鞘がない代わりを手で代用し刀を納刀したかのような構だ。

(居合、抜刀術か……面白いな)

 

 

「行くぞ‼‼」

 

 

「来い‼‼」

 

 

 そして、

「抜刀緋那汰!」

 

 

 海斗が技名のように言葉を叫んだ瞬間、勝敗は決した。

 

 

「グハァァ!」

 アベルの横っ腹から血が噴き出す、海斗も信長を纏ったことでバリアが無い為か満身創痍に見える。

 

 

 だが、アベルの方が重傷なことは確かだろう。

 

 

「お前の負けだ、アベル」

 海斗がアベルに向ける目は、同情の目ではあるが見下してる訳ではない。

 

 

「……みたいだな、痛ぇ。お前浅く切り過ぎだボケ、もっと深く斬んなきゃ早く死ねねぇだろうが」

 恨みがましい視線を向けるアベルに対し、海斗が放った言葉はこうだった。

 

 

「お疲れさま、お前はよく頑張ったなアベル」

 相手を称えるかのような言葉、相手によっては煽っているようなものだアベルも同じ。

 

 

「俺が……頑張った?何言ってんだ、お前?俺はお前たちを殺す為に鍛えたんだぞ!何故情けを掛ける」

 

 

「お前、誰にも褒められたことなかっただろ?愛されたこともなかっただろ?だから……最後位はいいんじゃないかと思ってな」

 アベルからしたら訳が分からない、先程まで殺し合いをしていた相手にこんなこと言う奴は頭が可笑しいとしか想えなかった。

 

 

「なぁ、アベル。最後位は自分に素直になっていいんじゃないか?」

 海斗の言葉に観念したのか、アベルが閉じていた口を開く。

 

 

「本当は、お前のような生活が送りたかった……。お前と戦うまでの間、鍛錬の時間の合間を見つけてはお前がどうやって過ごすかを見ていた」

 これは兵器として生まれた少年が持った一つの夢に似た願望。

 叶わない幻想。

 

 

「お前が仲間と居る日常を見るのが、生きていて唯一の楽しみだった。……俺はお前に生りたかった」

 海斗は何も言わず、静かにアベルの話を聞いた。

 

 

「俺はそろそろ死ぬ、だからその前に一言」

 

 

「……言えよ」

 

 

「絶対に負けるな、天の神に。世界を本当の意味で救ってみせろ」

 

 

「言われなくてもそうするよ、もう寝ろ。……疲れただろ?」

 瞼が閉じ掛けているアベルに、優しく語り掛ける。

 

 

「ああ、誰かに優しくされるって……誰かに愛されるって……本当にいいもんだな……」

 そして、アベルは悠久の眠りについた。

 

 

 良い顔をしている、さぞかしいい夢を見ているのだろう。

「……その夢が覚めた時、また会えたら良いなアベル」

 海斗は徐々に消えていくアベルの身体に別れを告げて、その場を去った。

 

  -----------

 

「信長、精霊の二重降ろしは出来るか?」

 

 

「可能だ……だが、命の保証は出来んぞ。それでもやるか相棒?」

 信長の問いに海斗は呆気からんと言い放つ。

 

 

「やるに決まってるだろ!みんなが折角御霊を引きずり出してくれたんだ。行くぞ鳳凰!」

 

 

「共に行こう、海斗。世界を救うのは何時だって人なのだから!」

 「天下統一」と書かれた羽織の上に、炎で形成された翼が付く。

 それ以外にも、体中に炎が巻きつき鎧のような形になる。

 

 

「言っておくぞ海斗、この炎はいつもの癒しの炎ではない。戦う為の炎で体の傷は治せない、それを重々承知の上に戦ってくれ」

 

 

「了解!」

 炎で形成された翼を使い飛び立つ。

 

 

 向かっている途中、倒れている友奈を見つける。

 足が動かないのを見ると、散華で両足の機能を持っていかれたのだろう。

 海斗は友奈の居る場所に着地して、友奈に手を伸ばす。

 

 

「友奈、悪いけどさもう少しだけ力を貸してくれないか?俺だけが行っても勝てない、でも俺とお前なら勝てる。そんな気がするんだ」

 友奈は海斗の手を取る。

 

 

「うん!海斗君とだったらどこまでもいけそう!行こう、私たちは勇者なんだから‼‼」

 その瞬間、友奈の周りに神樹の根が集まった。

 

 

「満開……か、やっぱ凄いな友奈」

 先程確認したが、友奈の満開ゲージは空だった。

 なのに、彼女は満開した。

 

 

 これが何を指しているか分からない海斗ではないが、今はただ単純にこの奇跡が最高に嬉しい。

 『偶然』や『奇跡』と言った言葉が嫌いな海斗からしたら、こう思わせてくれる友奈はやはり特別なのだろう。

 

 

「友奈、お前のお陰で俺は『奇跡』って言葉が好きになれそうだよ」

 

 

「そっか、だったら起こしに行こう!『奇跡』を!」

 二人は飛び立った、段々と御霊に近づいていく。

 

 

 まるで太陽のような姿をした御霊だが、中にきっと本当の御霊があるのだろう。

 外から見える太陽のような姿は言わば皮みたいなものだ。

 他の勇者たちが海斗と友奈の姿を捉える。

 

 

「友奈、海斗!」

 

 

「友奈先輩に海斗先輩!」

 

 

「行けー友奈!海斗ーー!」

 

 

「友奈ちゃん!海斗!」

 みんなの声が聞こえた。 

 ここまで来たら、負けて終わりのバットエンド何て有り得ないだろう。

 

 

「二人で行くぞ友奈!」

 

 

「うん」

 そのまま二人で御霊に突っ込んだ。

 

 

「「ダブル勇者パァァーーンチ‼‼」」

 

 

 二人の声が響くと同時に、辺りを眩し過ぎる程の閃光が包み込んだ。

 そして、海斗と友奈の意識はここで途切れた。

 

  -----------

 

 目が覚めると海斗は、見知らぬ空間に居た。

 何故かその場所は、親の温もりのような温かさに満ちていて、とても居心地がいい空間だと海斗は思った。

 他に人が居ないのか見渡すと、自分とあまり歳の変わらなそうな少年を見つけた。

 綺麗な銀髪が目立つ美少年、自分とは居る次元が違うんじゃないかと感じながらも声を掛けた。

 

 

「あの~、少し聞いてもいい?ここって何処なのかな?目が覚めたらここに居て、何処か分かんなくてさ」

 海斗は言葉を発しながらも、僅かに銀髪の少年の容姿と雰囲気に妙な違和感を覚えた。

 

 

(何処かで見たことがあるような容姿に……慣れ親しんだ雰囲気。この人……)

「おお、目が覚めたか。この姿で会うのは初めましてだな。柊景夜、一応お前の精霊の織田信長でもある」

 景夜と名乗った少年の言葉に海斗の脳がフリーズする。

 

 

「はぁぁぁーーー!?」

 海斗の叫びが、その神秘的な空間に響き渡っていた。

 

 

 

 

 




 章的にはあと一話、頑張ります。
 てか、これはこれで「ひかゆ」のネタバレになってる気もしますが……まあ気にしないで行きましょう!

 そう言えば、この作品も三十話を超えました!

 これからも応援よろしくお願いします! 

 次回もお楽しみに!

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