本編投稿が遅れてスイマセン!
それでは、どうぞ。
地獄、そう形容してもいいほどの景色が広がる。
壁の外の世界は炎に包まれており、あったもの全てを焼はらっていた。
概念の改変。
神にしかできないような芸当。
海斗はスマホの地図アプリで美森の位置を確認する。
「あそこに居るのが、美森ちゃんなのか……?」
「レーダーに反応あったよ!」
「あっ東郷さんだ、やっぱり東郷さん壁の外に居たんだ!」
「何とかなりそうね友奈」
「はい!」
三人は喜んでいるが、状況はそう甘くない。
何故なら、東郷が居る場所は、
「ブラックホールか?」
「東郷さんが、東郷さんがブラックホールになってる……!?」
「久しぶりに会ったらブラックホールになってたやつ初めてだわ……」
「お姉ちゃん……」
「周囲にバーテックスも居るじゃない」
無数の星屑が、こちらに向かってくる。
一々相手にしていらキリがないレベルの量だ。
みんなも善戦は出来るだろうが、いずれ誰かにガタが来る。
「どうする、このままじゃジリ貧よ」
「園子」
「うん、あそこまでなら船で行けそうだよ!」
「船って……?」
「満開!」
今代の勇者システムはまた改良されて、最初から満開ゲージが溜まっているのだ。
なので、最初から満開を行使ことも出来るには出来る。
だが、満開をした後は満開ゲージが溜まらない。
そして、アップデートされた精霊は満開ゲージを消費してバリアを張る。
それ故に、満開をすると言うことはバリアなしで命懸けの戦いをすると言うことだ。
因みに、園子の満開は美森と似て船型。
オールのようなものが付いていて、それが武器の代わりになりビームも打てたりする。
「あ、アンタ、いきなり満開しちゃって!精霊の加護が無くなっちゃうのよ!
「昔はバリアなかったし~、問題ないよ~」
「問題ないってー!?」
「さぁ、これがわっしー行きの船だよ。乗って乗って」
相変わらずと言うべきか、みんなはこんな状況でも園子の船を褒めていく。
これが、勇者部らしさと言うべきか、何と言うべきか。
海斗は苦笑した。
「まぁ、何にせよ。俺が守るから心配はしなくていい」
「おお~、かーくんかっこいいね~」
美森奪還作戦は始まったばかりである。
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園子は全力で飛ばしていた。
間に合わなくなったらいけないという思いが、思いっきり現れてる。
けれど、如何せん速度が速すぎるのだ。
海斗たちは、必死にしがみ付いて何とか耐えている。
「みんな~‼乗り物酔い大丈夫~?」
「酔いって言うか、普通にヤバいよこれ~~!」
「俺も同感だ!て言うか、もう少し何とかならないのか?!」
「中で何が起こってるんだろう」
「東郷さん」
「仕掛けてきたか」
「アイツらもしかして、ここ守ってるの?!」
現れたのはバーテックスの集団。
地図で確認できるだけでも、射手座・牡牛座二匹・乙女座・蠍座・魚座。
この中を突っ込んで行くのは、些か無謀が過ぎる。
「囲まれちゃってるね……」
「私が東郷さんの所に行くよ」
「友奈!」
「絶対一緒に戻ってくるから!」
「ゆーゆ」
「頼んだ友奈。俺も行きたい所だが、こっちを守らないとヤバそうだからな……美森ちゃんを頼んだ」
海斗の顔には、悲痛の色が見える。
自分が助けに行きたい、その思いが強いからだろう。
しかし、今ここでこの船から離れたら帰り際に危険が生じでしまう。
それだけは、何とかして守らなければならない。
「ちょっと大丈夫なの?」
「もう!ちゃんと帰って来なさいよ友奈。部長命令!」
「邪魔してくるのは私たちで叩いちゃいますから」
「あんなもんの中じゃ何が起きても不思議じゃないわ。気合よ!」
「うん」
「ゆーゆ、わっしーのことお願い」
「任せて園ちゃん!」
「よーし!それじゃあ一気に行くよーー!」
ブラックホールの真上で友奈が飛び降りる。
その瞬間、海斗も船の外へ飛び出そうとした。
「かーくん、私知ってるんだからね。精霊降ろしは満開ゲージを使わないようにして、身体や精神の負担に収めてるってこと」
「アンタ、また……」
「海斗、どうする気?」
「信長を使う……気にするな。今回の戦いは想定内のものだ。これ以上戦うことはないし、俺はそう簡単に死なない」
嘘だ。
無理矢理のアップデートだったせいで、前に使っていた時より負担が大きくなっている。
信長のような最強クラスの精霊を降ろせば、身体や精神が安全に保たれる保証はない。
……でも、海斗はそんなことで諦める訳にはいかない。
今の自分は日守陽向でもあるのだから。
「……悪いな、ここで負けるわけにはいかないんだ。来い『第六天魔王・織田信長』!」
「おうよ海斗!」
いつもの羽織を着こみ、周りを見渡す。
そこら中に居る敵を見て、不意に海斗が笑った。
「ハハ、こうなった以上お前らに勝ち目はねぇぞ。思う存分俺に……殺されてくれ‼‼」
少年の戦いが、幕を上げた。
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戦いが終わり数日、日も暮れて先程まで居た勇者部のメンツも帰り。
病室に残っているのは、海斗一人になった。
物静かな病室で、本を読みながら時間を潰す。
時折、美森の顔を見ては微笑んで、読書に戻る。
穏やかな時間が過ぎる中、美森がゆっくりと目を開けた。
「ここはどこ……?」
「病院だよ、美森ちゃん」
戸惑う美森に優しく声を掛ける。
いつもと変わらない海斗の優しさにうるっときた美森だったが、今が危険な状況だと思い出す。
「何で助けてくれたの?このままじゃ世界が火に……」
「火の勢いはもう安定したから、もう生贄は必要ないんだってさ」
「まさか、代わりの人が?」
「違うよ。美森ちゃん、普通なら死んでるレベルの生命力をこっそり奪われてたらしいんだ。それできっとお役目は果たしたんじゃない?でも、タフだから生きていて。俺たちが間に合った。そんな感じみたい」
「本当に……私助かったの?」
「うん、お役目ご苦労様。もうしばらくは病院生活だろうけどね」
「……みんなが助けてくれたのよね……」
「友奈が謝ってたよ。忘れちゃってごめんなさいって。……俺も、すぐに行けなくてごめんね」
「海斗……ありがとう」
海斗は久しぶりに見た美森の笑顔に、少し泣きそうになった。
堪えたけど、苦しくて。
思いっきり泣いた。
大好きだったから。
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友奈は、シャワールームで鏡に移る自分の姿を見た。
……左胸、心臓の辺りに出来た怪しい模様。
太陽にも似た、禍々しい刻印。
見る人が見れば驚くだろう。
それはまさしく祟りの刻印。
最悪の証拠なのだから。
次回もお楽しみに!
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