――人間とは、常に自分の居場所を求め続ける生き物である。
スポーツのチームであったり家族であったり、それこそ人それぞれだが、少し具体的に言うと……家とか、自分の部屋やベッドといったところだろうか。
そこはやはり自分にとって一番くつろげる場所でないといけないし、そこに他人が入ると少なからず不快感を抱いてしまう。
……こんな話を長々として、結局俺が何を言いたいのかというと、だ。
……なぜ隣の部屋の妹が自分のベッドにねっころがっているのか? と、俺こと
「……おい、そろそろ眠たいんだか」
「んー? もうちょっとー」
妹は俺の目を見ずにケータイとにらめっこしながらそっけなくそう返してきた。
コイツ……全く詫びれる様子がないな。
「というか自分のとこのベッドでごろごろしろよ! 何で俺!?」
「だって兄貴のベッドのほうが気持ちいいんだもん」
「大差ないだろそんなの」
「わかってないなー兄貴は」
そう言うと妹は猫のような仕草でベッドに匂いをつけにかかる。
「おい匂いをつけるな馬鹿!」
「いいじゃーん少しくらい! こんなにかわいい妹の匂いを寝ながら楽しめるんだよ?
むしろお得じゃん! お金とりたいぐらいだよ」
「あいにくと、俺は自分のベッドに残った妹の匂いを嗅いでしまうほど変態でも欲求不満でもねーよ。お前には興味無いってーの」
「ふーん? ……じゃあ……」
なっ! 何を!?
急に俺との距離をつめてきやがった。ってか近いってマジで!
「お兄ちゃんは私のどんなところに……興味があるの?」
妹が俺を見上げる姿勢になっている。背伸びをしているからか肌着がちょっとはだけていけない所が見えてしまいそうになる。息遣いが伝わってくる。
「………………」
それくらいの距離になって初めて気がついた……心なしか妹の頬が少しだけ紅いんだ。
「いや! そのお前のどこに興味があるとかそんな意味ではなくてだなっ!」
まぁ俺は今、その十倍は赤くなってるだろうが。へたれはなかなか治らねぇな……
「――ぷっ……あっはははははは!! 兄貴おっかしー!!」
……アレ?
気のせいだろうか。妹が俺のベッドで腹を抱えて転がりながら大爆笑しているように見える……
「お前……まさか俺をからかいやがったのか!?」
「ヒー……ヒー……、あー笑った。そんな怒んないでよー兄貴。あ、お兄ちゃんのがよかった?」
「黙れ。出てけ今すぐ」
「あはは、いじりすぎちゃった」
そういって妹は部屋を出て行った。
ふう、やっと静かに……ん? これは……
……妹のくし、だな。なんでこんなもんまで持ち込んでるんだ。
「面倒くせぇ……けど、今返さないと明日うるさいだろうな……」
隣の部屋のドアの前に立ち、扉を開ける。
「おーっす、お前くし忘れて――」
「――っ!??」
……するとそこには頬を赤く染め、驚きに満ちた表情でこちらを見ている妹の姿があった。バストアップ体操でもしていたのだろうか、手を胸に持っていっている動作で止まっている。
「ぁ、ぅえ? 兄貴? 何で……」
うむ……さて、どうしたものか……視線を逸らしてるものの一応妹の裸を見てしまったのだ。正直もう『ごめん!』と謝ってさっさと帰りたい。
……だけどそれだとまた妹にバカにされる……仮にもコイツの兄として、いやその前に男として! それだけはイヤだ!!
ここは一つ強気に……
「あぁ、確かにさっきあんま胸な」
俺がそこまで言った瞬間、俺は何者かに殴られた。
意識が途絶える瞬間、「まだこれからだもん!」とか「胸は小さくても!」とかなんとか言いながら俺を殴りつけている妹の姿をはっきりと見た。
これからは胸のことは禁句だな……
そう思いながら俺は妹――
続く――
第一話を読んでくれてありがとうございます。
書きだめているものを少しずつ乗っけていくつもりなので不定期更新になると思います。
感想や意見、批評などお待ちしております。