読取新聞朝刊
『高校生銃撃に巻き込まれ死亡-暴力団抗争激化-
昨夜未明、愛知県名古屋市中区で網岡市在住の男子高校生が銃弾計10発を受け死亡しているのが発見された。中区の繁華街大須では広域暴力団・東城会と名古屋を中心に勢力を広げる式部組との縄張り争いが激化しており、これまでにも東城会幹部が死亡するなど愛知県警は男子高校生が暴力団の銃撃戦に巻き込まれたと見て捜査を続けている。』
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濁流高校体育館-
高校では緊急集会が行われていた。昨日の夜に起きた銃撃事件の男子高校生というのは僕を虐めていた金髪の男・福本くんだった。彼には入学してから散々暴力を振るわれてきた。僕みたいなタイプが気に食わないのか特に僕を痛めつけていた気がする。そして僕が高木さんと付き合うようになってからは余計酷くなった。毎日放課後に呼び出されては僕に高木さんと別れろと脅迫をしてきた。僕は高木さんにそんなことを言える勇気もなく昨日もまた体育館裏に呼び出されていたけどもうその呪縛から解き放たれると思うと福本君には悪いけど何だか心が晴れた気がする。
放課後は1年ぶりくらいにまっすぐ高木さんの元に向えた。
「リュウくん、今日は早いね」
「え、はい。用事が早く済んだので」
「……大丈夫だよリュウくん❤️私分かってるから。あいつが死んでくれたから私たちの大事な時間も伸びたね❤️
当然の報いだよね。天罰だよね、だって私とリュウくんの大事な時間を無駄にするだけじゃなくて、仲を引き裂こうなんて撃ち殺されるだけじゃ罪滅ぼしにもならないよ……ね?リュウくん?」
「いつから知ってたんですか…」
「リュウくんがやけに『わ』から始まる質問をするからー?あと友達のモデルが体育館裏でリュウくんが金髪の男にボコボコにされてるって。それ聞いて本当にあのゴミクズ○そうと思った…だって私のリュウくんにゴミクズの分際で触れるなんて許せないし、許されないんだから。リュウくんごめんね?痛かったよね?怖かったよね?でもいつかあのゴミクズ私の手で○ろうと思ってたから、断腸の思いでリュウくんが痛めつけられるのを放って置いたの。でももう大丈夫だよ。私とリュウくんの邪魔をする奴はもう居ないから。また現れても今度は私が守ってあげるからね?」
「……怖い…」
虚ろな目でまくしたてるように話す彼女につい出てしまった言葉。それが出てしまった時にはもう手遅れだった。高木さんは豹変する。
「コ……ワイ?リュウくん、誰が怖いって?」
高木さんは僕の首を手で絞める「苦しい」と声を出すが彼女には聞こえていない。
「リュウくん、誰が怖いって?私は弱くて何もできないリュウくんを守ってあげるって言ってるのに怖い?冗談だよね?」
「う……ぐ…高木さん…ぐるしい…」
「リュウくん?怖くないよね?こんなに優しくしてるんだから怖い訳ないよね?答えてリュウくん。ほら…」
「…ぐるじい……」
絞める手の力は一層強くなる。否定をしたくても声が出てこない。それは呼吸ができないのと恐怖心からだと自分でも分かった。
「リュウくんも他の奴らと同じなんだ…私が……だから……リュウくんだけは違うと思ってたのに」
「た、高木さん……それは違う……高木さんは高木さんだから…」
声を振り絞り反論をすると手が緩んだ。
「本当?リュウは絶対に離れない?私が……でも」
「怖いなんて言ってごめんなさい…けど、高木さんにはそんなこと言わせたくなくて…」
涙を流す高木さんを抱きしめる。
「リュウくんは優しいね…………独り占めしたくなっちゃう(ボソッ」
「落ち着きましたか…?」
「うんっ♪ごめんねリュウくん、お詫びに何かご馳走するよ〜」
「えっとじゃあ昨日僕、コーヒー屋さんを見つけたんですけど一緒に行ってみませんか?」
「リュウくんから誘ってくれるなんて珍しい!うん行こ〜」
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網岡駅南口商店街-
「南口に来たの初めて〜」
「高木さんの家は北側ですもんね」
南側は市外から来る生徒はもちろん、市内から通学する生徒でも行くことはほとんどない。僕も昨日たまたま見かけただけで商店街に行くことなどないのだけど。
「ここです」
「へぇこじんまりしててリュウくんが好きそうなお店だね」
中に入るとアイミお姉さんは暇そうにしていた。こちらに気がつくと「いらっしゃい」と声をかけ水を出してくれた。昨日とは違い、トンと静かに置いていた。
「ブレンド2つで」
「はいよー」
アイミお姉さんは豆をミルにかける。高木さんは物珍しいものを見るように目をキラキラさせながらその姿を見ていた。
「なんかジロジロ見られてコーヒー淹れるのは緊張するな」
「ごめんなさい。こういうところ来るの初めてで〜つい見ちゃって」
「隆之の彼女か?」
「..はい!リュウくんの彼女で〜す」
高木さんは僕の腕にしがみつき自己紹介をする。アイミお姉さんは「可愛い彼女じゃねえか」と高木さんを褒める。高木さんはあまり嬉しそうではなかった。同性に言われてるのはそんなものなのだろうか..
「お待ち」
アイミお姉さんはコーヒーを出すとカウンターにあるパイプ椅子に座り休憩していた。僕たちの邪魔をしないように気を配ってくれたのだろう。
「なんか飲むのがもったいないね」
「うん..そうですけど、熱いうちに飲んでもらえることがバリスタとして嬉しいことですから」
「じゃあいただきます...うん。なんか美味しい気がする」
傍からすればとても失礼な感想だけど彼女からすれば褒めているつもりだ。それからいつもフードコートでしているような他愛もない話をする。長居をして申し訳ないと思っていたが、僕ら以外に客はなくアイミお姉さんも寝ていたので1時間ほど居続けた。
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「リュウくん、ちょっとマスターさんと二人でお話したいから先に帰って貰っていいかな?」
「?いいですけど...」
僕は店を出て家に帰る。コーヒーを淹れるのを見て感動してたもんな。なにか聞きたいことがあるのかな...
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コーヒーショップ-
「毎度」
藍魅がお代を貰うと、涼佳は話を始めた。
「昨日リュウくんに聞いたと思うんですけど、リュウくんを虐めてた男死んだんですよね。ニュースになってる男子高校生の銃撃事件」
「それでリュウくんを虐める奴は消えたし、私もリュウくんのことが好きだし..」
「あのさ」
藍魅は言葉を遮る
「私だって暇じゃねえんだ。本題に入ってくれよ」
「......はっ、じゃあ言いますね。リュウくんに入れ知恵を仕込むのはやめてくれませんか?
私はリュウくんの今のままが好き...リュウくんだけは私を受け入れてくれるから他の女に取られるようなことはしないでくれますか?そもそもはリュウくんに自信をつけさせるための事ですよね?いいんです、リュウくんに自信なんて無くても私が付いてるから...ですからもう..」
「断る」
「え?」
「私は隆之に頼まれたんだ。隆之から断られるならともかく彼女のあんたから断られて、はい、そうですか。なんて答えられねえよ。隆之との約束を破ることになるからな」
「.....そうですか。じゃあまた来ますね。タダで済むと思わないで下さいね..ふふっ」
閲覧ありがとうございました。