ここは、ある駅のホームの喫煙所。ガラス張りになっており、外がよく見えるが、周りの環境からは完全に隔離された。一種の異世界である。
不意に、そこでタバコを吸っていたふたりが取っ組み合いの喧嘩を始める。
2人はしばらく争っていたが、やがて、もう2人ほどがそれに参加し大乱闘が始まった。
「お、おいなんだあれは…」
たまたまその駅に居合わせたツバサとショウがそれを見つける。
「おい!そこ!何をやっているんだ!」
駅の警備員が駆けつけ、喫煙所に突入する。
その瞬間だった。取っ組みあっていた4人が気絶したかのように倒れたのだ。
「なんかやばそうだな…、行ってみるか」
ツバサとショウもその場に向かった。
「おい!大丈夫か?」
警備員は男を1人揺り起こす。
「う…うぅ…」
男はゆっくりと目を覚ました。
「一体何があったというんだ?」
「何がって…?分からない…。気がついたらここにこう倒れていたんだ…」
ツバサとショウは顔を見合わせた。
「似たような事件は北川町だけでここ数日たて続けに起きています」
ZETA南部隊の部屋でミカがデータを調べながら言った。
「たて続け…、まさか何者かの仕業では…」
「なお被害者にはタバコを吸っていた以外の共通点はなく、年齢や性別などはバラバラです」
「なるほど…、では北川町で売られているタバコを調べれば何かわかるかもしれないな…」
ツバサは再び北川町へと行くと駅前に手近にあったタバコ屋でタバコを買った。
「あんたみたいな若いのが吸うなんて珍しいねぇ」
店主は言う。
「いや…、これは吸うんじゃあなくて調査用なんです」
「そうかいそうかい、お勤めご苦労なこと」
店主はなかなかいい人で何故かオマケに飴をつけてくれた。
「驚きました…、このタバコには人間の脳を刺激して一時的に暴走させる赤い結晶体が含まれています」
ツバサとショウはミカが解析しているコンピュータをのぞき込んでいる。
「しかしどこでそんなものを仕込んだんだ?」
ショウが次なる疑問を口にした。
「そこです。そこまでタバコにちかづける人間は数が限られてきます。だんだん犯人が絞れてきました」
ツバサ、ショウ、そして何故かミカの3人はルーバーに乗って例のタバコ屋の張り込みをしていた。
「北川町のタバコを店に出荷する業者を調べたところ、1ヶ月ほど前に新しい人に変わったようです」
ミカは説明した。
「だがしかし何故そんな出荷業者が犯人だと?」
「もし、工場や、生産会社が犯人ならば被害は全国に広がっているはずです。そして逆にあの店の主人ならばもう少し被害は少なかったはずだと思いました」
ミカは解説する。
「流石だなぁ」
ツバサとショウはただただ感心するばかりであった。
するとその時だった。
タバコ屋の前に1台のトラックが止まりタバコを主人に渡して走り去っていったのだ。
「おい!アイツだ!」
ルーバーはトラックを追って発車する。
しばらく行ってトラックは古ぼけたアパートへと入っていった。
3人もルーバーを道端に停めて車から降りた。
しかしその瞬間、トラックから人が降りてくると思いきや、トラックは急発進、全速力で走り去っていったのだ。
「あっ、ちくしょう!巻かれた!」
ショウが言った頃にはもう遅かった。
「気づかれていたってことか…」
だがその時、ツバサがルーバーのボンネットの上に手紙のようなものが置かれているのに気が付き、それを手に取って広げた。
「それはなんです?」
ミカとショウもその手紙をのぞき込んだ。
「ZETA隊員の諸君、私の企みに気がつくとは大したものだ。だが私は一度に3人を相手にできるほど強くはない。そこでだ。君たちのうち誰か一人、私の元へ会いに来てくれないか?いいか?1人だけだぞ。安心してくれ、別に罠なんかじゃあない。ただ話がしたいだけなんだ。それじゃあ、君たちの賢明なる判断を待っているよ。メトロン星人より」
そして、その下には住所が書いてあった。
「これは…、罠だ!」
読み終わるなりショウが言った。
「待て、よく考えるんだ。もし罠だった場合こんなにあからさまに書くか?」
ツバサは言う。しかしショウは信じない。
「そう思わせようとしてるってこともあるだろう?」
すると、ミカが口を開いた。
「分かりました。じゃあ私が行きます」
「えっ」
「大丈夫です!何かあったら直ぐに連絡しますので!」
「おいおい…、本当に大丈夫なのか?」
ミカが行ってしまうと、ショウが呟いた。
「もちろん、俺達もあいつを1人で行かせたりはしないさ。あいつにも内緒でこっそり見守る。行くぜ」
ミカは指定された住所のアパートに着くとその部屋の扉をノックした。
やがて扉が開き、老人が姿を現す。
「やぁ、よく来たね。まぁ中に入りたまえ」
中にはちゃぶ台があるだけの簡素な畳の部屋だった。
「さぁさぁ、ここに座りたまえ」
老人はちゃぶ台に着くと、言った。
ミカは言われた通りにする。
「それで?私は何から話せばいいのかな?」
老人は言った。
「あなたは…、あなたの目的はなんですか?」
ミカがきく。
「そんなもの私にはないよ。ただの悪戯のようなものさ」
老人は答える。
「えっ…、侵略とかではないのですか?」
ミカはさらに問い詰めた。
「もちろんだとも。私はねぇ、自分にそんな力がないことくらいとうの昔に分かってるんだ。だから侵略なんてしないしない」
「えと…じゃあ…、もうやめてもらえませんか?私たちはあれでも困っている人がたくさんいるんです」
「言わずとももう私は星に帰りますよ。もとより私はねぇ、この星には観光で来たんだ。地球の夕焼けは美しい…。それを見ておきたくてね」
「では…、帰るんですね」
「当たり前だとも、そんなせかせかしなさんなってお嬢さん、そいじゃ、これ、私からのお土産」
老人はそう言って、お茶の缶のようなものを取り出した。
「毒なんて入っておらんよ。これは私の星の名物、メトロン茶ってものだからな」
老人はそう言うと、立ち上がった。
その一瞬で彼は、カラフルな本来のメトロン星人の姿に戻る。
「それと、最後に会いたい人がいたんだった…。来てくれるかな」
メトロン星人はそう言うと、一瞬にして巨大化し、屋外へと姿を現す。外は既に夕方になっていた。
「ウルトラマ〜ン、出ておいで〜」
アパートの外で張り込みをしていたツバサはそれに反応して、フレイスフラッシャーを展開して、変身した。
「おぉ、来たきた」
メトロン星人は片腕を伸ばすとフレイスと握手した。
「ウルトラマンさん、地球は任せましたよ。この地球を、この美しい夕焼けをいつまでも守ってくださいな」
「デュア」
フレイスは頷く。
「それじゃあの。あばよっ」
メトロン星人は夕日に向かって走り始めた。
そしていつの間にか、夕日に飲み込まれるかのように消えていた。
なんかちょっといつもより長い気がするけど、マイペースなメトロンさんだからしょうがないよねっ()