1件の花屋があった。棚に並んでいるのはたくさんの観葉植物、そしてサボテンだった。
「いらっしゃいませ。なにかお探しですか」
その店の店主が入ってきた客に問いかける。
「はい、なにかおすすめの植物なんてありますか?」
客の女は訊いた。
「それでは…、こちらがおすすめですね…」
店主はそう言うと小さな赤い花を咲かせたサボテンを取り出した。
「可愛い!これにします!」
女はそれを選ぶと買っていった。
「ククク…、ごゆっくり、お楽しみください…。地獄めぐりをね…」
女がいなくなると店主が呟いた。
「ここ数日、調布市で行方不明者が続出しているらしいな…」
ZETA南部隊の部屋、南部トオル隊長が新聞を読みながら呟いた。
「隊長?これは…、ZETA案件でしょうか?」
黒田キョウスケ隊員が訊ねる。
「さぁな…、だが…、念の為に調査くらいはしといた方がいいだろう…」
それから隊長は、
「ツバサ!」
と呼びかけた。
「はい」
部屋の向こうで別の隊員と話していた若手隊員がこっちに来る。
「確か…、お前の知り合いが調布にはいたな…。ちょっと調査してくれないか?ここ最近の調布市の行方不明者について…」
隊長はそう言った。
調布市内をルーバーが走っていく。そしてやがてそのルーバーは1件のアパートの前で止まった。
ツバサはルーバーから降りると1階のある部屋のインターホンを押した。
「はい…?」
ドアから顔を覗かせた高校生くらいの女の子はツバサを見るとぱっと笑顔になった。
「ツバサさん!今日はどうしたんですか?」
「やぁ、マヤ、実は今日は仕事でね」
「さぁ、ここで話すのもアレだしあがっていってください!」
マヤはツバサを家の中へと通した。
リビングルームで紅茶を出されたツバサはそれを飲みながら今回の調査について説明した。
「なるほど…、つまりその行方不明者について何か知ってることはないかってことですか?」
話し終わるとマヤは訊いた。
「そういう事だな」
「うーん、この行方不明になった人達…、みんなこの近所じゃあないですか?」
言われてみるとそうだ。このあたりを徒歩で移動できる距離にみんな住んでいた。
さらに行方不明になったと推測される場所も全てこの近所であった。
「確かに…、そうだな…。じゃあこのあたりを少し調べてみるか…」
ツバサはそう呟いた。
そしてまた、あることをきいた。
「そういやぁ今日はケンタくんはどうしたんだ?」
「あぁ、私の誕生日だからって…、最近できた花屋に…」
「なるほどなぁ…」
そしてツバサはそこまで言うとちょっと考えてから言った。
「最近…、最近って…。ここ一週間以内ですか?」
「はい…、確かそうだった気がします…」
「他にそのくらいにできた店は?」
「ないと思います…」
それを聞くとツバサは、
「なるほど…、だが、まさかな…」
と呟いた。
花屋さぼてん、というのがその店の名前であった。
結城ケンタはその店に、姉への誕生日プレゼントを買いに来ている。
しばらく棚を眺めていたが、
「なにか…、お探しですか?」
いきなり現れた店主に声をかけられた。
「あっ、いや、お姉ちゃんの誕生日プレゼントを…」
「なるほど、誕生日プレゼントですか…。それなら…」
そうして店主はあの小さなサボテンを取り出した。
「それは…?」
「サボテンダーという珍しいサボテンです。誕生日プレゼントにはぴったりだと思いますが…」
「サボテンダー…、FFかなにかですか?」
「違います。というか何知ってるんですか…」
店主もちょっと呆れた感じだ。
ケンタはそれを買うことにした。
「ありがとうございましたー」
ケンタはサボテンを買って意気揚揚と帰り道につく。
だがその時だった。
サボテンの入っているビニール袋がさっきよりも少しづつ重くなっているように感じるのだ。
「あれっ、おかしいなぁ〜、なんか重くなってきているような…」
すると次の瞬間、ビニール袋を持っていた右手に激痛が走った。
「うわぁぁぁ!」
ケンタは思わず転んでしまった。
そして右手を見ると、なんとそれはさっきの10倍くらいの大きさになったサボテンに飲み込まれかけていたのだ。
「なっ、なんなんだぁぁぁ!」
その時だった。閃光が走り、巨大化したサボテンはケンタの腕を離れる。
「ケンタくん!大丈夫か!」
見るとツバサがレーザーガンを持って立っていた。
「ツバサお兄ちゃん!」
ケンタはツバサの方へ駆け寄った。
「なるほど…、やはりあれは…、人喰いサボテン!今までの行方不明者もきっとあいつに!」
その時、サボテンはどんどん巨大化していき…、やがてそれは一体の超獣の姿になった。
「怪獣…?」
「いや、あれは超獣だ!だとすると花屋はヤプール!」
ケンタが訊くとツバサは答えた。
「よし、ケンタくん、君は家まで逃げ帰るんだ」
「ツバサお兄ちゃんはどうするんですか?」
「俺はここであいつを食い止める!」
ツバサはそう言うとレーザーを発射した。
ケンタは頷くと家に向かって駆け出す。
やがて、その姿が見えなくなると…。
ツバサは、フレイスフラッシャーを点に掲げて展開し、フレイスに変身した。
「デュア!」
フレイスは構えをとる。
サボテンダーはフレイスのそんな姿を見るとこっちに向かって突進してきた。
だがフレイスはそれに素早く蹴りを入れて、押し戻す。
サボテンダーは後退した。
しかしそんなことで退くような超獣ではない。なんとサボテンダーは全身の棘をミサイルのように発射してきたのだ。
「デュアー!」
フレイスはそれをまともにくらい、後方に吹っ飛ばされた。
さらにそこにサボテンダーがのしかかってくる。
そこでフレイスはバーニングモードにタイプチェンジをした。
「デュアー!」
そしてサボテンダーを空中に蹴り飛ばす。
サボテンダーはそのまま地上に落下してくるが…。
フレイスは拳を炎に包んだバーニングクラッシャーパンチをサボテンダーめがけて放った。
こうしてサボテンダーは空中にて爆散した。
フレイスはしばらくして、光に包まれて消え去った。
「さて…、あとはヤプールだな…」
ツバサはレーザーガンを構えながら例の花屋に突入する。
だがそこにはもうあの店主の姿はなかった。
そして…。代わりに置き手紙が置いてあった。
「ウルトラマンフレイスよ、なるほど、ベロクロン、バキシムに続きサボテンダーも撃破するとはなかなかのものだな。だが今度はどうかな?今君の戦いを見させてもらったが…。なるほど、君はあの二人の姉弟を大切に思っているのか…。ククク…、ならば次なる超獣はその2人を取り込んだ超獣が相手だ。さぁ勝てるかな?ウルトラマンフレイス、いや、竜ヶ崎ツバサよ…」
その手紙を読み終わるとツバサは思いっきりそれを破り捨てた。
さぁてさて、ヤプール編ももうすぐクライマックスです。何気にサボテンダーって有名な割にはまだ復活してないんだよなぁ。