ある山道をトラックが走っていた。
その運転手は上機嫌に鼻歌まじりでトラックを運転している。
ところが、次の瞬間、トラックの中にいても分かるほどの地面の揺れがおきたのだ。
「んん?なんだ?地震か?」
だが次の瞬間、彼は驚くべきものを目撃したのだ。
前方の山の斜面が崩れ始め、そこから四足歩行の怪獣が現れた。
「かっ、怪獣だぁぁ!」
男はトラックを急いでUターンさせて逃げ出した。
一方、ZETA南部隊の部屋。
たった今、怪獣が出現したらしいとの情報が入ったのだ。
「富士山麓、十河研究所近くに怪獣が現れたようです」
ミカは通報の内容を報告した。
「十河研究所っていうとあの生物工学のか?」
シンペイが訊いた。
「はい…」
「知り合いなのか?」
隊長はシンペイに尋ねた。
「はい、そこの所長の十河カイ博士は大学での同期で…、友人です」
シンペイはそう答えた。
「そうか…、ならば都合がいいな。南条、ツバサ、すぐに現場に向かってくれ」
「了解!」
十河研究所の駐車場にZETAのルーバーが入っていった。
そして停車をすると、そこからツバサとシンペイが降りる。
「どうやら、この平和そうな様子…、まだここには怪獣の噂は広まってきていないみたいだな」
シンペイは言った。
そして、2人は所長室で話を聞くことにした。
十河カイはシンペイと同い年の若さでここの所長を務めている青年科学者であった。
「それで…、どうしたんだ?シンペイ」
カイはそう訊いた。
「いや、実はこの周辺で怪獣が目撃されてね、何か…、怪獣を見たとか、知ってることはないか?」
シンペイはそうきく。
「すまんな…、あいにく知っていることは何も無いよ。そんな怪獣…、見たことなんてない…」
カイはそう答えた。
「いや、どうやらほんと空振りだったみたいだな」
廊下に出るとツバサは言った。
「あぁ、そうだな」
だがシンペイはやはり何か変だと思っていた。
親友としての勘だがやはりカイは何か知っている。
そう考えたシンペイはもう一度部屋にこっそり侵入して調べることにした。
「あぁ、そうだツバサ、ちょっと先にルーバーに戻っててくれないか?俺は気になったことがある…」
「わかった」
シンペイはツバサと別れると誰もいないのを見はからってカイの部屋に侵入した。
そしてしばらく部屋の様子を観察すると机の棚を開けた。
するとその中には怪獣のイラスト、そしていくつかの研究資料が出てきた。
「やっぱり…、カイのやつ…、何か知ってやがった…」
だがその時だった。
「おい!何をしている!」
部屋の入口にカイが立っていた。
だがシンペイだと知ると安心して言った。
「なんだ…、お前か…。驚いたじゃあないか。まったく、こんなところで何を…」
するとシンペイは資料を見せつけて言う。
「カイ?これは…どういうことだ?」
「あぁ、それか…。俺が合成怪獣レオゴンを作った時の資料だよ」
カイはそう答えた。
「怪獣を…、作った?」
「そうだよ。シンペイ、親友の君にはあえて教えよう。俺は…、生態系の頂点を作り出したかった…。それは、科学者としての単純なる好奇心のためだった。生態系の頂点なる生物は一体どんなものなのか…、そしてそれを作り出すということはこの俺が生態系の頂点!つまり神になること!人は神になるとはどういうことなのだろうなぁ。
そして俺はこの数年を、合成怪獣レオゴンの生成に費やした。アルファレオン線を照射し、トカゲとウツボカズラを合成させて作り出した植物でも動物でもないまったく新しい生物、それがレオゴンだ。この研究により俺は神になるのだよ!」
カイはそう言うと高らかに笑い始めた。
「カイ…、お前は…、変わった…。かつて俺と親友だったお前はどこに行ったんだ?お前は…、お前は…、研究という悪魔に取り憑かれた1人の廃人に成り代わってしまった!」
その時、突如、地震か起きて2人は床に倒れ込む。
「来たぞ…、俺のレオゴンだ!」
研究所近くの地面を突き破り出現したレオゴンは研究所に突撃していく、そしてその建物をの壊し始めた。
「ちくしょう!あの建物の中には南条達が!」
それを見たツバサは逃げ出してくる人の流れに逆らって建物に突撃した。
シンペイはカイに向かってレーザーガンを構えていた。
だがその目は涙に濡れている。
「ダメだ…。俺には撃てない…」
シンペイはそう言って銃をおろした。
その瞬間、ツバサが部屋に突入した。
「南条!十河さん!逃げましょう!」
だがその時だった。
レオゴンが天井を破壊した。
ツバサは南条の手を引くが、カイはそれとは逆方向、レオゴンの方へ走っていったのだ。
「レオゴン…、お前だけだ…。親友にも見捨てられ…、1人研究の道に走った俺を分かってくれるのは…お前だけだったんだ!」
カイはそう言いながらレオゴンが背中のツボから伸ばした蔓に絡め取られ、そのまま捕食されていった。
シンペイがその場にがっくりと崩れ落ちる。
ツバサは思わず後ずさると我に返り、フレイスフラッシャーを展開した。
光とともにフレイスが現れ、レオゴンにキックを炸裂させる。
そして着地をすると構えをとった。
「デュア!」
だがレオゴンも負けてはいない。
背中のツボから蔦をのばすとフレイスの首に巻きつけて締め付けたのだ。
フレイスはそのまま地面に膝をついた。
さらにレオゴンは突進してフレイスをはねとばす。
そして地面に倒れ込んだフレイスを全身で押しつぶそうとした。
「デュア!」
そこでフレイスはバーニングモードにタイプチェンジをする。
それから蔦を引きちぎりレオゴンを蹴り飛ばした。
レオゴンは地面に落下すると体勢を立て直そうとするがバーニングショットを喰らって爆発した。
フレイスはそれを見届けると光に包まれてツバサの姿に戻った。
ツバサとシンペイは半壊した研究所の前に立っている。
「あいつがあんなになっちまったのも俺のせいなのかもなぁ…」
シンペイはそう呟いた。
「俺はあいつの親友を名乗っておきながら、何一つあいつのために出来なかった。あいつは1人で孤独を感じていたんだ…だから…、あんなことに…」
そこまで言い終わるとため息をついた。
ツバサはそれを見て何も言えなかった。やがて、ゆっくりと、そしてしんみりとして、ルーバーに乗り込んだ。
シンペイもそのあとに続いた。
夕日に包まれた山道を1台のルーバーが走っていく。
リクエスト第1弾消化できました!次回は…、たぶん第2弾のザンボラーを…。