「あれ?ここにこんな建物あったっけ?」
ある公園に、親子連れが通りかかった。
するとそこに、とてもカラフルな家が建っていたのだ。
「さぁ、新しく出来たのかしらね…」
母親も怪訝そうに言った。
「行ってみようよ!」
子どもは親の手を引き、入っていこうとする。
「だめよ。人の家かもしれないんだから…」
だがその時だ。
「構いませんよ。ぜひ見ていってください」
背後から声をかけられた。
見ると、小太りの紳士風の男がそこに立っていた。
「あの…、あなたは…」
母親が訊くと男は答える。
「私の名はドゥルガ、この夢の館の主でございます」
だがその間に既に子どもは館の中に入っていっていた。
「見て!お母さん!中はすごいよ!」
「ささっ、あなたもどうぞ中へ」
ZETA日本支部、南部隊の部屋。
「あぁー!また負けたぁ!」
ツバサはトランプを片手にそう言った。
今、ツバサとショウ、それにミハルはババ抜きをしていたのだ。
「お前…、ほんっと、弱いな」
ショウは言う。
「う、うるせぇな!次こそ!」
ツバサはさっさと次のゲームの準備を開始していた。
「ほんっと、顔に出やすいんだから」
ミハルも言った。
「ちくしょう…、ミハルまで…」
だがそこで隊長が声をかける。
「おい、3人とも、そろそろ片付けとけよ」
「「「はぁーい」」」
一番負けが多かったツバサが半ば強制的に片付けをさせられると、相変わらずコンピュータに向き合っていたミカが呟いた。
「おかしい…」
たまたま一番近くにいたツバサがそれに気がついた。
「どうした?」
そして立ち止まる。
「いえ…、どうも都市伝説的で信用は出来ないんですが、ここ…、謎の館が建ってからというもの近辺で子供たちが行方不明になることが増えたらしいって書いてあるんです」
「へぇ…、都市伝説投稿サイト…、お前こんなの見るんだ」
ツバサはむしろそっちの方に感心した。
「いや…、その…、割とこういうの好きなもので…」
ミカは少し恥ずかしそうに答えた。
「いいと思うぞ。それより本当にこの場所で行方不明の子どもが増えているのか。調べられるか?」
「はい、やってみます」
しばらくすると、いくつかのデータが出てきた。
「本当…、みたいですね」
ミカはそれを見て呟いた。
「あぁ、そうだな。少し…、調査してみる必要があるな…」
例の公園に、ツバサとミカの2人は来ていた。
「ここか…」
そして2人はあのカラフルな館を見上げていた。
「はい…、早速…、入ってみますか?」
「そうだな。用心していくぞ…」
2人は館のドアノブに手をかける。
しかし、それは開かなかった。
「な…、開かないぞ…」
「すいませんねぇ、ここは大人だけのお客様はお断りしているんですよ…」
振り返ると、そこに小太りの紳士が立っていた。
「誰だ!お前は!」
ツバサは訊く。
「おやおや、随分と乱暴な口をきく。私はこの館の主、ドゥルガですよ」
「大人はお断りってことは…、お前やっぱり子供たちを…!」
ツバサはそう問いつめる。
「あなた達、どう足掻いてもダメですよ…。所詮大人は年老いた身、私の館には相応しくない」
「く…」
だがその時だった。ミカがいつもより1オクターブくらい高い声を出して言った。
「あのぉ〜、子どもってだいたい何歳くらいまでぇ〜?」
「そ、そうだな。17、18くらいまでが…、ラインかな…」
ドゥルガは考えながら答える。
「私17なのぉ〜」
「な、確かに…、よく見ればそう見えるかもな…、よし!そっちの男も保護者として入ることを許可する!」
館の扉が音もなく開いた。
「さぁ、行きますよ」
唖然としているツバサの手を引いて、ミカは言った。
2人は、館の中へと入っていった。
館の中はとてもカラフルに彩られた空間だった。
上の方にはたくさんの泡のようなものが浮かんでいる。
「あの…、さっきのは誰にも言わないでくださいね」
ミカは小声でツバサに言った。
「お、おう…」
「ようこそ!私の夢の館へ!」
ドゥルガはそう叫んだ。
その時、ミカが泡を指さして叫んだ。
「ツバサさん!あれを見てください!」
「あれは…!」
見ると上に浮かんでいる無数の泡の中には、子供たちとその親が入っていた。
「気づきましたねぇ。しかしもう遅い!あなたがたもああなるんだ!」
ドゥルガはそう言うと青とピンクのカラフルな怪人態に変身した。
「お前は!やっぱり!」
ツバサはレーザーガンを抜いた。
「はっはっは、私はねぇ、子供たちの若い命を少しばかりいただくことによって永遠の若さを手に入れるつもりなのだよ。誰にも邪魔はさせん!」
どこからともなく、誰も入っていない泡があらわれ、ツバサに突進してきた。
ツバサはそれにはね飛ばされる。
「ツバサさん!」
ミカはそっちに気を取られ、新たに迫ってくる泡に気づかなかった。
「きゃああああっ!」
あっという間に泡に包まれ、上に上がっていく。
「貴様…」
ツバサは立ち上がるとフレイスフラッシャーを取り出した。
「な、なんだそれは!」
ツバサはそれを天に掲げて展開し、フレイスに変身する。
「お前は!ウルトラマン!」
フレイスにあわせてドゥルガも巨大化した瞬間、あたりの風景は、カラフルな館内部から、夜の、死の森へと変貌した。
「これが私のバトルフィィィィルドッ!」
ドゥルガはそう言いながら構えをとる。
「デュア!」
フレイスも構えをとった。
そしてお互いに突進していく。
2人は同時に拳を突き出した。
拳と拳が空中でぶつかり合う。
力は、同じくらい、いや、少しフレイスの方が強かった。
ドゥルガの拳に少しづつ、ヒビが入り始めたのだ。
「なっ、馬鹿な!」
やがてそれは勢いがつき、全身にまで広がっていった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ドゥルガは爆発した。
ドゥルガが死ぬと、天頂から金色のとともに、元の世界の、公園の景色に戻っていった。
もちろん、夢の館もどこかへ消え去っていた。
かつて、舘があった場所には、捕えられていた子供たち、そしてその親達が倒れていた。
既に何人かは目を覚ましかけている。
ツバサはその中の1人、ミカに駆け寄った。
そして、抱き起こす。
「おい、おい、大丈夫か!」
ミカはゆっくりと目を開けはじめた。
「ツバサさん…、奴は…、倒したんですね…」
ミカはそう言うとツバサに抱きついた。
「お、おい、待て、人が、人が見てるって」
「構いません、しばらく…、このままでいさせてください」
ツバサは非常にまずいことになったなと思いながら、そっと、ミカを抱き返した。
次回は、マイナーで意外な宇宙人が登場します。(強敵として)なので、お楽しみに