ZETA日本支部の取調室のような部屋、そこに、アヤが取り締まりを受けていた。
机を向かい合った反対側にはミハルとキョウスケが立っている。
「ランブだとかランブルなんて人は私は知りません」
アヤはそう言う。
「本当か?」
キョウスケはさらに問いつめた。
「何度言えばわかるんですか?何度も知らないって…」
「確かにツバサの報告には奴は催眠術を使えるとあったわ…。思ったより多くの人がかけられてたみたいね…」
ミハルは言った。
「なるほど…、つまりこいつも白ってことか…」
キョウスケはそう呟いた。
「あのぉ、そろそろ帰してもらえますか?」
アヤが言った。
一方、ツバサはルーバーを運転して行方を晦ましたランブルの捜索を行っていた。
助手席にはショウも乗っている。
「やっぱりこんなに探しても見つからないって…、大方円盤とかどっかの基地とかに隠れてるんじゃあないの?」
ショウはそうボヤいた。
「あんま言うなって…、関係者がみんな知らない以上探しようがないじゃあないか」
だがその時、ルーバーの前に現れたのだ。ザラブ星人ランブルが…。
「あっ!お前は!」
2人はルーバーを止めてそこから降りるとレーザーガンを構えた。
「おやおや、いきなり抜くとは、感心できませんねぇ」
ランブルはそう言った。
「お前、今度の目的はなんだ」
ツバサがきいた。
「目的?まぁ見ていなさい。これを…」
ランブルは、そう言うと巨大化をした。
するとそこに立っていたのは、フレイスによく似た巨人であった。
しかしよく見ると、目や口元が尖っており、体には黒いラインが入っている。
「ウルトラマン!?」
ショウが驚いた。
にせウルトラマンフレイスは市街地のビルを破壊し始めた。
「ちくしょう…、やりたい放題やりやがって…」
ツバサとショウは次々とにせウルトラマンフレイスにレーザーガンを打ち込む。
しかしにせウルトラマンフレイスはビクともしない。
「フハハハハ!私が望むのは本物を超えること!」
ランブルはそう叫んだ。
「逃げたくせになにを…」
ツバサが言い返す。
「ん?何を言ってるんだ?」
ランブルの声が聞こえないショウはききかえす。
にせウルトラマンフレイスは次々と建物を破壊していった。
「あいつ…、いい気になりやがって…」
ツバサはそう言って、にせウルトラマンフレイスの方へと駆け出していった。
「ん?おい!待て!どこに行く!」
ショウが呼び止めたが聞いていない。
ツバサはある程度まで来るとフレイスフラッシャーを掲げてフレイスに変身した。
「デュア!」
フレイスのキックがにせウルトラマンフレイスに命中した。
にせウルトラマンフレイスはバランスを崩して、そのままビルの上に倒れ込んだ。
しかしすぐに体制を立て直すと今度はにせウルトラマンフレイスがキックを放った。
フレイスはそれをジャンプして避ける。
だが着地したところをにせウルトラマンフレイスのパンチが襲った。
さらにフレイスはもう1発くらう。
にせウルトラマンフレイスはフレイスに連続パンチを打ち込んできた。
フレイスは後方にフラフラとよろめいた。
にせウルトラマンフレイスはフレイシウム光線のポーズをとった。しかし光線は発射されなかった。
にせウルトラマンフレイスはおかしいなという風に自分の両腕をキョロキョロと眺める。
そんなにせウルトラマンフレイスにフレイスが本物のフレイシウム光線を浴びせた。
にせウルトラマンフレイスは後方に吹き飛ばされ、ランブルの姿に戻ってしまう。
「貴様!よくもぉぉぉ!!!」
ランブルは立ち上がるとフレイス目掛けて突進してきた。
しかしそんなランブルにフレイスはキックを浴びせる。
ランブルは後方によろめいた。
そしてビルの上に倒れ込む。
「待ってくれ!倒さないでくれ!許してくれ!」
ランブルはフレイスに向かって命乞いをした。
「ならば地球から早急に立ち去れ!」
ツバサはそう叫ぶ。
「わ、わかった!立ち去るから殺さないで!」
ランブルはそう言うと立ち上がった。
そして、両腕を上げて飛び上がる。…と思わせておいてフレイスに襲いかかった。
だがフレイスはそんなランブルにすれ違いざまに手刀を打ち込んだ。
ランブルはゆっくりと地面に倒れ込む。
そして、大爆発をした。
フレイスは光に包まれてツバサの姿に戻った。
「やったぜ!」
それを見て1人ガッツポーズをするショウ、するとそこに、
「おーい!」
向こうからツバサが走ってきた。
「あの野郎どこに!」
「すまんすまん、勝手に居なくなったりして…」
ツバサはそう謝る。
「まぁいい!こうやって任務も終わったんだし帰るか!」
ショウは、そう言った。
「あの…、先生…?」
19歳くらいのメイド服のような服装の少女が専門書の山のようになった部屋の中で問いかけた。
「あ…あぁ…、悪い…、俺はここだ…」
その専門書の山をかき分けて黒っぽいコートを着た男が起き上がる。
年齢は28くらい、サングラスを掛けていた。
「先生!そろそろ部屋を掃除しますよ!」
少女はそう声をかける。
「えぇ…掃除…、すんの?」
男はそう言ってさも残念そうに言った。
「当たり前です!整理しないと捨てますよ!」
「わかったわかった。許してくれよ…」
男はそう言いながら立ち上がるとサングラスを外してポケットに入れた。
そして、指をパチンと鳴らす。
次の瞬間だった。
専門書の山がガタガタ鳴り始めたかと思うと一瞬にして部屋の隅にまとめられたのだった。
「あ…、え…」
少女はただ唖然としている。
「これで少しは綺麗になったろう?」
男は得意げに言った。
「そ…、そうですけど…」
「何か問題でもあるのか?」
「い、いえ、大丈夫です!」
少女はそう言うと部屋の掃除に取り掛かった。
男は部屋を出ようとするが何かを思い立ったかのように入口の前で立ち止まる。
そして口を開いた。
「なぁアスハ…、お前ならどう使う…」
「どういうことですか?」
アスハと呼ばれた少女は少し手を止めてききかえした。
「もしお前が何か特別な力を突然授かったとする。そしたらそれをどう使う?」
アスハは少し考え込むがやがて答えた。
「私は…、先生のために使います!私にとって先生は生活の全てですから…!」
「そうか…、俺のためか…、ありがとうな…。俺ならばその力…、こうやって使わせてもらうよ…」
そう言うと彼の両目は怪しく赤く光り輝いた。
はい、ついにラスボスの登場です。ラスボスは作者としてはあれ、なかなかキャラとしては気に入ってます。