ガビシェールを倒したゼータウイングの上を何者かがかすめていった。
「うわぁぁぁぁ!!」
ゼータウイングはその衝撃波で操縦不能になる。
「まずい!脱出するぞ!」
ショウとミハルはパラシュートを展開すると、外に飛び出した。
ゼータウイングはそのまま石油タンクに衝突し、大爆発をした。
今の飛行怪獣は既に遠くに飛び去ってしまっていた。
その頃、大日新聞社に務める、相馬ミナは奥多摩の工事現場にて、取材を行なっていた。
彼女はかつて、ZETAの一部隊の隊長として、ウルトラマンジークとして戦っていたこともあるが、今は、ヤプール戦においてその力を使い果たし、新聞社の記者をやっているのだ。
「ここに出現した怪獣はどんな姿でした?」
ミナは作業員にそう質問した。
「なぁんか、鳥みたいなトカゲみたいな感じでしたねぇ、そいでもってバアって感じで飛び去っていった…」
「分かりました。では、ここに絵をどうぞ」
ミナは作業員にノートと鉛筆を渡した。
作業員はそれを見ると、目撃画を描き始めた。
「そういや、相馬さん?」
助手の滝川ゲンが声をかけた。
「相馬さんってこういうの得意っすよね確か、ZETAの隊長をやってたとか」
「えぇ、まぁそうね」
「なんで、やめちゃったんですか?」
「いやまぁ色々とあるのよそれが」
そうこうしている間に目撃画は描き上がったらしく、作業員はそれをミナに渡した。
そこには、巨大な翼竜のように見える怪獣が描かれていた。
その時、工事現場にルーバーが入ってきた。
「あっ、ZETAの車っすよ!」
ゲンがそれを見て言う。
ルーバーから降りてきたのはツバサだった。
ミナ達を関係者と勘違いしたのかこっちに向かってきた。
「あのぉ、二、三聞きたいことが…って…、あっ!」
ツバサは驚いて、手に持っていた録音機とメモと筆記用具を全部落としてしまった。
「久しぶり!ツバサくん」
ミナは額に手を当てて敬礼のようなポーズを取った。
「相馬さん!?なんでこんな所に?」
「今は、大日新聞の記者をやっててねぇ」
ミナはそう言いながらツバサが荷物を拾うのを手伝う。
「ありがとうございます」
「あ、あとそれと、これが怪獣の資料ね!調べてたんでしょ?」
ミナはそう言いながら、自分のメモと目撃画をツバサに渡す。
「あ、いいんですか?」
「もちろん、今はあなたがプロだから」
「ありがとうございます!」
ツバサはミナから貰った資料をもとに、怪獣の捜索を続けたが、依然、その行方を掴むことは出来なかった。
そして、一週間が過ぎる。
ツバサが今日もルーバーに乗って怪獣の捜索を森の中で行なっていた時だった。
道端にミナが立っていた。
ツバサはそれを見て車を停める。
「相馬さん、どうしたんですか?」
ツバサはルーバーから降りながら声をかけた。
「新しい資料を持ってきたわ。はい」
ミナはそう言って、紙の束をツバサに渡す。
「えぇ、いいんですか?こんなに…」
ツバサはそれを受け取ると言った。
「もちろん!私はZETAを辞めちゃったけど、協力できることはなんでもする!それに…、今は民間人だから、そんなかたっ苦しく接しなくて大丈夫よ」
「りょ、了解…、では遠慮なく…」
「それと、私も手伝ってもいい?」
ミナはそう言ってルーバーの方を指さした。
「もちろん!」
ミナを助手席に乗せたルーバーは発進する。
「怪獣の名前は便宜上ランフォス、推測されるに古代の翼竜が怪獣化したもの、そして、これまでの行動パターンからある法則が読み取れるわ。あの怪獣、どういう訳かは知らないけど、東京から名古屋のあいだの直線上の都市をだんだんと両側から狭めていってるように感じる。だとすれば…、次に出現するのは岡崎周辺ってことになるわ!」
ミナはそう説明した。
「流石、腕は衰えてないみたいですね」
「当然よ」
しばらくして、ランフォスは本当に岡崎市に出現した。
そして、その翼状になった両腕を羽ばたかせて強風を起こす。
逃げ惑う人々の中、現れたルーバーは停車し、そこからツバサとミナが出てきた。
そして、怪獣に向かっていった。
「ものすごい風ね…」
「はい」
ツバサはレーザーガンを抜くと、怪獣に向かって発射する。
しかし、風は、そのレーザーさえも進路を変え、吹き飛んでいったのだ。
「なっ…」
そして、ツバサはフレイスフラッシャーを取り出すとそれを展開してフレイスに変身した。
「デュアッ!!」
フレイスは構えをとるが、その強風のために、進むことが出来ない。
そんなフレイスを見たランフォスは飛び上がると、フレイスめがけて突撃をした。
フレイスは後方にはね飛ばされ、ビルに倒れ込む。
ランフォスがその上に着地をした。
そして、再び羽ばたき始める。
フレイスはバーニングモードにタイプチェンジをするとランフォスを投げ飛ばした。
そして、バーニングスラッシュを発射すると、その翼を切断する。ランフォスはそのまま地上に落下をした。
そして、フレイスはその腕をL字に組むと、バーニングショットを発射した。
ランフォスはそれを喰らって爆散する。
フレイスはそれを見届けると光に包まれてツバサの姿に戻った。
「ツバサくん!」
人間の姿に戻ったツバサにミナが駆け寄る。
「相馬さん、聞いてください」
「なぁに?」
「相馬さんはウルトラマンデストネスというのを知っていますか?フレイスやジークの故郷を滅ぼした裏切り者のウルトラマンを…」
ミナは首を横に振った。
「やつは全ての生命を抹殺することを目的に、この地球に来ています。我々はやつを倒さなければならない…。なので…再びウルトラマンとして戦ってください!お願いします!」
ツバサはそう言って頭を下げる。
しかしミナは首を横に振った。
「分かった、分かったけど私にはもう無理。だってジークは…」
「そんなことは無いです!ジークの光は…、あなたの心にしっかりと…、残っているはずです!確かにジークはもう居ない。けれど次は、あなた自身の力でジークに変身するのです!」
「私…、自身の…力…」
ツバサはゆっくりと頷いた。
「成長したわね、ツバサくん」
ミナはそう言うと、立ち去っていった。
「お願いします…。相馬さん…」
ツバサはその後ろ姿を眺めながら呟いた。
いつの間にか、空は夕焼けに赤く染まっていた。