その日も、いつもと同じように、アスハは自身の通う高校からカズトの家に帰ってきたところだった。
すぐに私服に着替えるとカズトの部屋に向かった。
「先生〜、今帰りました〜…って、あれ?」
その部屋にはカズトはいなかったのだ。
「お出かけ…かな?」
だが引き返そうと振り返った瞬間、そこにはカズトが立っていた。
「お、驚かさないでくださいよ!先生!」
だがそこでアスハはカズトの様子がいつもと違うことに気がつく。
その額には黒い紋章のようなものが浮かび上がっていたのだ。
「せ…先生?」
すると次の瞬間、カズトはアスハの胸ぐらを掴んで、その体を持ち上げたのだ。
「な…、何をするんですか…いき…なり…」
すると、カズトが口を開いた。
「そうか…、そこまでこの男のことが好きか…。ならばどうだ?その好いた男と同じ姿をしたものに殺される気分は…」
「あ…なた…は…先生…じゃない…あなたは…デス…トネス…」
アスハは自分の首が絞まっていくのを感じながら精一杯声を出した。
「そう、ご名答だ…。だが愚かな男だ。自分が好きな怪獣を救うために、私の力を手に入れようとするとはなぁ!」
だがここで、アスハは全力をふりしぼって、カズトに蹴りを入れたのだ。
「ぐっ…」
カズトは思わず、アスハの胸ぐらを掴んでいた手を離す。
アスハは床に勢いよく叩きつけられたが迷わず逃げ出した。
そして、窓を割って外に出ると、駐輪場のトタン屋根の上に着地する。
全身が痛いがそんなことに構っている余裕はなかった。
すぐに逃げ出すと、以前聞いていたメトロン星人の住所まで助けを求めたのだった。
メトロン星人人間態は今までの一部始終をツバサに説明し終わった。
「なるほど、だいたいの事の顛末は分かった…。今からその…奴の家に向かう」
ツバサは立ち上がる。
するとアスハはその腕にすがって言った。
「先生を…どうか殺さないでください…!元の優しかった先生を取り戻してください…、お願いします…!」
「分かった。約束する」
ツバサはそう言うと、歩き始めた。
メトロン星人とアスハの案内で、ツバサはカズトの家へとたどり着いた。
「ここか…」
そして、その家の中にゆっくりと入っていく。
3人は家の中の捜索を開始するが。
カズトの姿はどこにもなかった。
「逃げたか…、もしくは何かの罠か…」
メトロン星人はそう呟いた。
茶の間と思わしき部屋に入ると、アスハはちゃぶ台の上に紙切れが置かれているのを見つけた。
「ツバサさん…、これを…」
アスハがそれを拾ってツバサに渡す。
そこにはこう書かれていた。
「俺は失敗した。済まないアスハ」
「どうやらやつは、最後まで抵抗してこれを書いたようだな…」
ツバサはそれを見て言った。
「そして、恐らくもうここにはいない…」
メトロン星人がそう言った時だった。
廊下から、ゾンビのような見た目の宇宙人が現れたのだ。
その手からは長い爪が伸びている。
「なっ、宇宙人!」
ツバサはレーザーガンを抜いた。
「メトロンさん!その子を頼む!」
メトロン星人はアスハを庇うように立つ。
ツバサは宇宙人に向かってレーザーを撃った。
しかし宇宙人はビクともせず、こっちに向かって歩いてきた。
「まずい!」
ツバサは宇宙人に蹴りを入れる。
しかし宇宙人はその足を受け止めると、痛めつけた。
「ぐあぁぁぁぁ!!!」
だがその時だ。アスハがメトロン星人の腕を振りほどき、宇宙人に向かって突進した。
そして、顔面を3回ほど殴ると、宇宙人は気絶して倒れる。
「先生にあんなことをした罰よ」
アスハはファイティングポーズを取ると言った。
「ありがとう、それと…。こいつはなんだ?なんでこんな所に宇宙人が?」
ツバサは言う。
するとメトロン星人は答えた。
「こいつは宇宙人では無い。奴が…、デストネスが生み出した尖兵のようなもの…」
「なるほど…、つまり奴が直接始末しに来ないってことは、もう遠くに行っちまったっていうことだろうな」
だがここでアスハが口を開く。
「あの…、それだったら私…、分かります」
「「なんだって!?」」
ツバサとメトロン星人が同時に声を上げる。
アスハはさっきの紙切れを出して言う。
「実は私…、手書きの文字を見ると、その文字を書いている時の人の心の中を覗ける…そんな能力を持ってるんです。そして、分かりました。デストネスは…ZETA基地を破壊するため、ZETA基地に向かうつもりだって…」
「分かった。しかし君は一体何者なんだ?前から思っていたが両親もいないし、それに…、この能力は…」
ツバサは訊く。
するとアスハは笑顔になって答えた。
「薄々気づいてるかも知れませんが、私は宇宙人です。故郷は、戦争により、滅びました。そして、私の家族は私を逃がすと、死亡し、残された私は地球にたどり着いたのです。そして、そこで私を見つけて、保護し、高校にまで行かせてくれたのは、先生でした…。だから…助けてあげてください!お願いします!」
「そうか…、ならば行こう!ZETA基地に!」
助手席にメトロン星人人間態、後部座席に、アスハを乗せたルーバーはZETA基地に向かう山道を走っていた。
アスハは後部座席で眠ってしまっている。
やがて、メトロン星人が口を開いた。
「ウルトラマン、お前はよくあんな咄嗟に人を信じることが出来る。私は羨ましいよ」
「そうか?」
ツバサは言う。
「そうだとも、普通は少しくらいは疑う」
するとツバサは答えた。
「そうだなぁ、でも、騙されることを恐れて何もしないのはもったいないと思うんだ。人は…、信じることによって行動できる。何百回騙されたって、何千回裏切られたっていい。それでも信じることができるなら、それが強さだと思うなぁ…」
「そうか…、お前は…強いな…」
だがその時、道の前方のど真ん中に、カズトの姿が現れた。
「まずいっ、ぶつかる!」
ツバサは急ブレーキをかける。
アスハが目を覚ました。
3人は、ルーバーから降りると、カズトと向かい合った。
「これはこれは、わざわざお出ましになるとはなぁ」
カズトは言った。
「当然だ。お前を止める!!」
ツバサはそう言うとフレイスフラッシャーを取り出した。
「そうかそうか…、ならばやってみるといい…」
カズトはそう言うと金色のブレスレットを天にかざし、デストネスに変身した。
それを見たツバサもフレイスに変身する。
次回から最終章三部作!お楽しみにぃ