世界は愛で満ちている   作:杜甫kuresu

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最終回のタイトルではないですね。


三冊目【    】
燃え滓のリサイクル


 月 日 清々しい晴れ

 

さて。結果から言うと俺はグリフィンに捕まったと言うか、保護された。

懐かしのヘリアンが病室でアンニュイな表情を決め込んで「腹イテエ…………」とか情緒ゼロな事を考えてる最中にやってきたので飲んでいた水を噴き出しそうになった。何故此処で古い付き合いの知り合いが出てくるんだよ世界は狂ってやがる。

 

どうやら俺は何か思っているよりは長い期間寝込んでいたそうだ。起き抜けにずっと近くに居た銀髪の大層な服を来た人形に怒られた。かすかな記憶を頼るに多分Kar98kちゃん。

かなりお怒りだった。無計画だ、死んだらどうするわたくしが怒られる、普通に心配した、とにかく同じことを感情任せに暫く怒鳴られた。多分なんだけどだいぶ長い間怒られてたし、ヘリアンはほとぼりが冷めるまでドアの近くで唸って待ってたと思う。

 

困ったことが起きたようで、俺は今後グリフィンの庇護下に置かないと駄目らしい。そこそこ厳重に監視するから逃げれない、と断言されて夜になった今も絶望しっぱなしだ。

まあ左目の義眼の事だろうが、引っこ抜かれたら普通に俺も困るし、パスワードとか色々有るから実は開くの俺も無理だという事を暴露したら「なっ!? おま、真面目に言っているのか!? 全くお前のご両親は昔から阿呆だな!」と俺がなぜか怒られた。人の親に阿呆ってお前な、まあ俺もそう思うけど。

 

恐ろしいことに指揮官にされるらしい。グリフィン本部で厳重管理も有りでは有るが、鉄血に情報漏えいするポイントが特に無い以上は基地とかで油売ってる方が逆に見つからんだろうとのことだ。どうせ開けないならお前が死んでもどうでも良いと本部は考えてるかもしれない、みたいな事言われたが特にヘコまない。ふーんっていうか、まあそんなんだから嫌いなだけだしね俺。

偽名を作れと言われたので、昔どっかの二次創作で聞いた「小野也人」にしておく。今後はその名で生きていけとの事だ。まあリンドウでもヤヒトでも痛いし大丈夫でしょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く貴方は! 人間がハイエンドモデルの人形にあんな至近距離で! いつもヒヤヒヤさせられていましたが今回ばかりはわたくしに謝ってください!」

「知らねえよんなもん! ステルスおかん人形に俺は何を謝れってんだよ!?」

「お、おかん!? 違いますよ、つけあがって勘違いなさらないでくださりませんか!?」

「二人共静かにしろ! 外で数時間正座させられたいか!」

 

 俺達は二人揃ってお口にチャック。体中ボロボロなんで流石に勘弁してくださいとしか。

 

 いや本当に俺に分かる伏線が一個たりとも無かったステルスおかん人形に「心配したんだからねプンプン!」と言われてもそれは分かんないなとしかお答えできない。それはもう100人中98人そうだろう。残りの2人は此処で「もっと怒って!」って言い出すがまあそれは俺には関係ない。

 

 怒鳴られて素面に戻ったついでにふと思い出したことを尋ねる。

 

「代理人は取り敢えず倒せたのか? 後404小隊は」

「襲ってきたダミーは倒せたようだ、というよりお前が気を失いながら引き金を壊れるほど何度も何度も引いて体中を貫通して動けなくなったらしい。後は倒れた虫の息の代理人を射撃して終了、お前が起きている時以上の被害はない」

 

 待ってくれ、俺はそんな執念だけでトリガーを引くとんでもない男だった覚えはない。明らかに主人公補正か何かが入っている。何時だって無理なら素直に諦めて逃げるような恥の多い人生を送ってきた筈なのだが?

 

 Karが俺にドン引きしたような顔をするなり口元を隠す。

 

「遠目からなので見間違いかもしれませんが、何だか凄く鬼気迫る顔で叫びながら執拗なくらいトリガーを引いていましたよ………………弾切れしても」

「記憶が全く無いです。いや誤解だ俺は意志薄弱なニートだ勘違いするな俺から逃げるなお前ら!」

 

 二人して距離を置いて何か二人でブツブツと喋りやがる。アレだろ、何というかあのままだと俺の判断ミスで全員お陀仏だから珍しく真面目だったんだろ。正直俺もわからないが、そういうので無責任に逃げることはたしかに好きじゃねえ。

 

 流石にアレで駄目だったら可哀想だから転生者補正もらっただけだと切実に思う。そんなナチュラル狂人みたいなポジだった覚えはない。

 

 一頻り揉めたり喧嘩したり叱られたりしつつある程度俺の状況整理が済んだ辺り。ヘリアンが手を叩く。

 

「――――――ではKar98k、データを消すぞ」

「ああ。そうでしたね」

「待て待てどういう事だ」

 

 ヘリアンがそこからか、と言わんばかりに溜息をつく。

 

「404小隊は本来存在しない部隊だ。お前の記憶も消去したいところだが、生かせば有用なデータの物理保管所のお前に変なことは出来ん。特例で覚えているだけで、Kar98kは消す」

「はあ。なんで今まで俺と喋ったんだ?」

 

 何でって。と二人して俺の方を見る。

 

「「副官になるから」」

「え、コイツと?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嫌なんだけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

尚拒否権とかは特にないとのこと。

逃げなくて良くなくなった所で、俺というやつは一生面倒な女と付き合わされる運命らしい。

 

だれか助けてくれ。この日記を読んでいるなら早急に、俺を、攫って。お願い。




では続編、決定です。

上手い具合に出来てきたらご報告するので、良ければそちらでも宜しくおねがいします。

彼は今後平穏?

  • かもしれない
  • あり得ない
  • そうであって欲しい
  • それは許せない
  • どうでも良いけど僻みで苦労して欲しい

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