世界は愛で満ちている   作:杜甫kuresu

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あ、規約違反のラインを見誤ったので一話は修正した、親切な人ありがとね。
忠告有り難いけどどうせだし文句言って良かったのよ?
苦情を入れる方もスッキリ、俺は避けるべき層が把握できて大勝利だからな。

今回はAR15編。日付を照らし合わせるのが面倒な人は雰囲気でも読める。


無自覚暴走列車

E月F日 作戦開始から■■日 快晴 平均気温6℃

 

あの男から突然日記帳を貰ったので、何となく書いてみることにする。

とはいえ書いたことが無いから、まずはホットな話題と言えるあの男について整理してみよう。確か日記はそういう用途だ。

 

簡潔に言って、あいつは謎が多い。経歴不詳なのはあんな所を彷徨いていた時点で予想がつくが、妙に身体能力が高い。

一般的に鉄血人形の能力は人間よりは遥かに高い。五感も、身体能力も、知能もだ。感情ばかりは高いかは分からないが大体の能力は人間の上だろう。

私を抱いたまま鉄血人形から逃げ切った時は正直驚いた。いや、お姫様抱っこだったからじゃない。違う、うん。

 

言動は何となく掴めない。多分善人ではないけど、その不明瞭な雰囲気は追いかけたくなるものが有る。

質問してみたり、何気なく会話してみたり、色々してみてるけど正体不明。

消耗品は戦場跡地で漁って集めているみたいだ。金がないのかと聞いてみたら「俺はありきたりと束縛が嫌いなんだ」と返された、ちょっと意味が分からない。

 

そう言えばあいつの中では「イイ女」とやらの条件があるらしく――――――

 

 

 

G月H日 作戦開始から■■日 晴れ 平均気温5℃

 

踏み込みすぎた。あんまり質問攻めにするから警戒されてしまったらしい、何であんなにしつこく迫ってしまったのか自分でもよく分からない。興味で済ませるには強引になっている気がするが、AIに異常でも出ているのだろうか。

まあ夜番を引き受けるようにしているから、あいつの動向は何時でも確認できる。昼間にも書いていた日記、これについてもちょっと内容を確認できれば良いと思っている。

 

というかSOP Ⅱは何考えてるのかしら。いつ何をするのかもわからない男の寝袋に入り込むだなんて、ちょっと信じられない。注意したら「もしかして嫉妬してる?」とか間抜けな答えを返すし。何で焦ったのかな、あの時。やっぱりあいつと会ってから私はちょっと変だ、帰ったらペルシカに相談してみよう。

M16があいつの愛銃を直して返していた。物に執着しないタイプと見ていたが、お気に入りの物ぐらいは有るみたい。どうやらKar98kのようだが、トリガーガードに指を引っ掛けてクルクルと回す姿からは相当な上機嫌が伺える。器用なものだ、やってみたけど私は無理。

その時にM16が耳打ちしてきたのだが「銃の知識がない割に、それなりの代替パーツに組み替えられていた」ようだ。益々謎が深まる、一体何者なのだろう。

 

驚くべきことに、適当に構え出したと思ったらあいつは一発で野鳥を落とした。見つけてから構えて撃つまでの動作が僅か数秒足らず。凄まじいと言う他ない。

偶々かと思っていたが、あいつは何度も何度もその並外れた射撃を見せつけてきた。ボルトアクションもお守り程度に扱っているにしては手捌きが速い、これはいよいよどんな訓練をしてきたのか聞くしか無い――――――が、返答は「ゴミ漁り」。どうせ嘘だ、何かしているとしか思えない。ちなみに食べれる野鳥だったらしく、焼いて無理矢理に食べさせてきた。まああの配給よりはよっぽどマシだろう――――――其処を突かれてしまうと私達も何も言えない。

 

取り敢えず、変わり者なだけで度の越した悪人ではないような気がする。本人は何回も「俺を信用しすぎるな」とは言っているが、利己的なのと悪人なのは別物だ。大なり小なり人間は利己的であるべきなのだから、彼は自分に関して少し過小評価をしている傾向を感じる。

日記で書いてあることは中々酷いが(口も悪いし発想も酷いし確かに擁護が出来なかった)、非人道的でもないし。読まれるのを恥ずかしがる辺り、愛嬌もなくはない。

そう言えば夜に急に外に出るものだからちょっと後をつけたけど、M4と何か話していたみたい。何を話していたのだろう、凄く気になる。あいつは、何となく気になる。楽しそうだったなあ。

 

 

 

I月J日 作戦開始から■■日 曇り 平均気温5℃

 

今日は何もないかと思っていたがM16が面白い提案をした。何でも「うちの小隊に入れる」というものだ。

他意はないが、真面目に考慮しても意外と不要と断じれない所がある。あいつの射撃技術は間違いなく私達よりも上な訳だし、あの時のことを考えると身体能力も足を引っ張る――――とまではならない。

生活様式の問題でいざという時のサバイバル能力に問題がないし、この小隊にというよりは「兵士」に向いている成長をしていると思う。

コミュニケーションも問題は無さそうだし。

M16に「色気を出すのは良いが、仕事を忘れるなよ」と釘を差された。一体何の話か分からなかったが、何となく過剰反応してしまった気がする。

 

…………本音を言うと、私はあいつを知りたい。

理由と言われると、それは偶々身近に居た強者だからだと思う。周りがそうだと宣うのでもなく、本人がその力を示したわけでもなく、行動に実力が垣間見えるような人間は見たことがない。

そういう人間は元々高い地位についていたり、そういう人間と判断するに足る外面が出来上がっているからだ。

それでは眼が濁る。私達の眼で見た、私達だけの知る強者。そういうものからこそ、本物の実力を盗み取れる筈なのだ。

まあ今は冗談程度にしかならないだろうと笑っておいたが、あいつの目線が妙に此方に向いていたのが気になる。

 

さて、SOP Ⅱとあいつは仲が良いらしい。と言ってもペットと飼い主、従兄弟といった空気だけど。

野鳥を落としてはひたすらに食べていた。別に個人的な行動に水を刺そうというつもりはないが、よくアレ程食べるものだ。あいつもアレで抑えてるだけで中々の健啖家だったようで、ニコニコと喋りながら食事を摂っている様子は楽しそうだった。私が参加してもああいう笑い方はあまりしないだろう。

他意はない。悲しくもない。本当だ。

 

今夜もフラフラと外に出ていく。せっかく夜番を買って出ているのに、あいつは意外と節操が無い。急に逃げられたり怪我をされても困るので後をつける。

誰かと迎合して喋りだしたと思ったが、どうやらM16のようだ。

M16とあいつは、何というか波長が合う――――――というより同年代のような空気が有る。あいつは見た所私達の誰の設計年齢ともそれ程離れてない――――――そう、20近くあたりに見えるのだが、何か理由があるのだろうか。

 

任務中だと言うのに酒を取り出すM16に思わず注意をしようかと思ったけど、彼女が以前言っていた「相手を知るなら酒を飲め」という言葉を思い出して踏みとどまる。私はさっぱり理解できなかったが、ああした方がM16としては相手を理解しやすいのだろう。

実際かなり煩くなった、酔いが回ったのだろう。恐らく覚えていない程度には酔っていたはずだが、少しだけ昔話もしていた。

あいつの家族というのは軒並み酷い人種だったらしい。聞いているだけで気分が悪くなったので途中で聞くのをやめたが、いつもマントを着ているのはその時の傷が本人的に「見られたらダサいから」という所もあるのだとか。

別に気にしていないとあいつが言うからには本当に気にしていないのだろうが、それはそれで無感動過ぎると思わなくもない。M16もその話ばかりは神妙な面持ちで聞いていたぐらいなのだ、実際。

 

途中で「仕事が終わったらアンタの所にAR15でも貸し付けてみるかな! 懐いてるみたいだし!」とM16が言い出したから思わず木から滑り落ちた。冗談でもそういう事は言わないで欲しい、あいつと同じ屋根の下は流石に無理だ。どう無理かと言うと、まあ色々と。

 

 

 

K月L日 作戦開始から■■日 晴れ 平均気温7℃

 

昨日滑り落ちた時の傷をしつこくあいつが追求してきた。大丈夫だって言ってるのに、「俺が気分悪い」とか言って絆創膏まで貼られてしまった。別に効果はないんだけど。まあ、気持ちを無碍にするのはどうかと思うからあんまりしつこくは言わなかった。あんまりこういう扱いをされたことがないから返しに困ってしまう。

私があいつの銃の名前を呟いたら、ちょっと変な顔で私を見ていた。知らないのかもしれない、本当に素人なのだろうか。代替パーツを作ったとは思えない。

 

今日はあいつの実力を図るために、30分ほど私達から逃げ回ってもらった――――――のだが、予想以上だった。

足取りがまるで掴めなくて苛々としたものだ。布切れは大量に引っ掛かってるし、足跡は四方向に伸びてたりするし。発想はありきたりというかセオリー通りだが、4人がかりの捜索中の何処でそんな細工をする時間を見つけたのかが分からない。

日記を読むにはアレで手加減しているようだ――――――まあ、別に手の内が明かせないことは責めない。私も同じ判断をするだろうから。

終わった後、ひょんな事からAR小隊がスペアのない存在だと言ってしまったが、「え、それ戦いたくなくね?」と妙な苦言を呈するだけで反応はなかった。同情、とかは無いらしい。別に気にはしないが。

――――それが戦術人形。戦いたくないとかそんな意思は関係ないことが、自由に生きてきたあいつには分からないのだろう。

 

今日は何となしに日記に書き足そうとしてみた。勿論怒られたが、意外と本気で怒っていない。何だかんだ、今まで一人で生きてきた分人恋しいところもあるように見える。

読まれるための日記、なんて妙なものを書くぐらいだ。意外とメンタル面は頑丈な人種ではないのだろう。

ちょっと意地悪をして音読をしたらさっさと切り上げて不貞寝してしまった。まあ明日には機嫌も治っているはず。

 

そう言えばあいつは転生者だ、なんて日記に書き込んでいた。日記についでに返答を書き込んでおくように書いてあったが、私には大した意見はないので何も書いていない。

あいつが転生者、とかいうものなのだろうがそうでなかろうが特に関係ない。私が見ている男は、過去がどうあれ何も変化しないのだから。




多分五話ぐらいで俺の本垢バレるよね、どうやら相当癖があるらしい。この前試したら三話ぐらいで看破されて焦った。

AR15の推察はおおよそが正しいですが「コイツに集団行動は無理」という一点だけ見誤ってます。恋は盲目というやつですな、というか日記というか観察日記だなコレは。
404小隊の方が馴染みやすい性格だけど――――――分かるだろ? ああ、それは相手が強すぎるんだ。

あんまり日記じゃないけど理由はある。いや、こじつけた(正直)。
以下日記主よりコメント。
「自分の日記が高評価ってさ、文字面見れば分かるけどかなりこう――――――クルぞ?」
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