とある帰り道。僕と隊長は歩いていた。道には沢山の桜が咲いておりそれを見て「綺麗」だと声を漏らす。前を歩いていた隊長が振り向く。隊長はいつもと変わらぬ何を考えているのか読ませない笑みを張り付けながら言った。
「イズル、花は好きか?」
「え?」
「さっき綺麗、言うとったやろ?」
聞こえていたのか、驚く反面まさか隊長がそんなことを聞くなんて、なんて考えていた。花が好きか、と聞かれれば僕は普通だと答える。見れば綺麗だと思うがそれだけでそれ以上は何も思わない。僕はそれを正直に隊長に伝える。
「隊長は好きなんですか?花」
「ん?ボク?ボクは…好きやで、花。意外やろ?」
「はい、意外です」
「花っちゅうもんは相手を引き立てるんや。せやから好き」そう懐かしそうに言う隊長を見て僕は「じゃあ花見しますか?」と聞いた。隊長は考える素振りもせずに「いや、ええわ」と断った。
「…好きなんじゃないんですか?花」
「うん、好きやで」
「花見、しないんですか」
「うん、せんでええわ」
言っていることが矛盾しているような気がするがしなくてもいいと言うならやらなくていいのだろう。つい僕は苦笑いをしてしまう。
花びらが舞った。隊長が呟く。
「嗚呼、綺麗やわ」
数秒も経たないうちに「ほな、帰ろうか」と言って歩きだしてしまう。僕は隊長の後を追った。
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「もぅ!!歩くのが早いですよ、隊長~!!」
「てめえが遅いだけだろ松本」
十三番隊からの帰り道。あたしと隊長は歩いていた。道には沢山の桜が咲いていてとても綺麗だと思う。
「桜見ながらゆっくり歩きましょう」
「そんな暇はねぇ。帰ったらお前が溜め込んだ仕事をやらなくちゃならねぇからな」
「どれだけ仕事好きなんですか~」
「好きじゃねぇ」
早歩きをする隊長に走りながらついていく。すると視界にはある人物達が写った。
「…ギン?」
川を挟んでギンと吉良がいる。ギン達もどこからかの帰り道だろうか。手を振ろうかどうか悩んだけれど結局振らなかった。
一瞬ギンと目があったような気がする。それはとても早く感じてギンはなにか呟くと歩いて行ってしまう。一体、何を呟いたの?そう、聞きたかったけれど聞けなかった。
「珍しいな。てめえが手を振らないなんて」
気がつけば隊長は歩く足を止めてギン達を見ていた。ギンは気づいているだろうが多分吉良は気づいていない。
「なんとなく、そんな気分じゃなかったんで」
「俺はてめえの考えてることが分からねぇよ松本」
「…隊長、お子様ですもんね!!」
あたしはまた歩き出した隊長についていく。そんなあたしを見て一言。
「市丸は松本を見て“綺麗”だと呟いてたぞ」
たとえ隊長がいってることが嘘でも、あたしは嬉しかった。
――花は好きや
なんでか?
だって花は――
――――乱菊を引き立ててくれるやろ?