現代魔界。
理由は知らないがモン娘の皆がそう呼ぶので現代魔界だ。
ほとんどのモン娘にとってなぜ"現代"なのかよりも
現代魔界には飲食店が多いことの方が重要だったりする。
夕方を過ぎ、暗くなりつつある時間でも
通りの雑踏を魔法によらない火が照らしている。
そんな中を3つの小さな影が走り回っていた。
「ここにもいないみぃ」
「あの角のケーキ屋さんも見てみようよ」
「もう夜になりそうなのに」
誰かを探している様子の3人は
口々に言いながら往来の店を次々と覗いている。
「タマちゃんどこにいったみぃ」
「次の通りには絶対、絶対いるよ」
「そうですよね、大丈夫ですよ」
泣きそうな青い髪のモン娘を、緑髪と茶色い髪のモン娘が
元気付けながらまた次の通りに歩いていく。
「ちょっとまった~、君たち!」
重い足取りの3人に突然誰かが声をかける。
「みぃ?」「ん?」「はい?」
「君たち、今なにか困ってるんじゃないかな?
いや困ってるよねぇ。困ってるハズだよ!
さあさあこの私に話したまえ。ズバッと解決!
どんな事件でも名誉探偵みゅうにおまかせなのだ!」
品のいい服装に鹿撃ち帽をかぶったモン娘が畳みかけるように話す。
「くんくん…むむ、これは相当な難事件とみた!
詳しい話を聞かせて…近くに行きつけの喫茶店があるから
そこで聞かせてくれるかい。ホットミルクぐらいなら出してあげよう!」
3人は勢いやら雰囲気やらで名誉探偵に引きずられていった。
「かくかくしかじかみぃみぃりんりん、というわけですみぃ」
「まるまるうまうまみゅうみゅうめいよ、というわけだね!」
ゴブリンのリン、ミミ、ココはホットミルクを
ちびちび飲みながら、タマがいなくなった経緯を話した。たぶん。
「どこにいるかわからなくて心配なんですみぃ…」
「今日はみんなでおでかけする約束だったんです」
「失踪か誘拐かどちらにしろ大事件だね…
ああ、ごめんごめんそんな顔しないで。
明日には帰ってくるはずだよ。この名誉探偵が引き受けたからね!」
名誉探偵はミルクのはいったカップを持ち上げてポーズを決めた。
「おねがいですみぃ」
「おねがいします」
「うんうん、君たちの心配や不安は私が全部任された!
じゃあもう帰って休むんだよ。今日一日走り回ったんだよね。
ミミくんなんかもう半分寝てるじゃないか。」
この店で一息ついてからミミの頭はずっと上下に揺れていた。
名誉探偵は残りのミルクを一気に流し込んだ。
「さあ、私は早速聞き込みに行ってくるよ!
君たちはミルクを飲み終わったら帰ってゆっくり休むんだよ。
そして明日の夕方またここに来てもらえるかな。
それまでにタマくんを無事につれてくるからね」
店を出ていった名誉探偵の表情に不安はなく、瞳はどの火より明るく見えた。
「すごい勢いだったみぃ」
「でも…なんだかほっとしちゃった」
「うん」
名誉探偵が出て行ったドアを2人は心ともなく見ていた。
ココはテーブルに突っ伏して本格的に寝つつあった。
「ごめん、タマくんの匂いがついているもの何かないかな?」
名誉探偵がおずおずと戻ってきた。
聞き込みは誰に聞くかが重要だと名誉探偵は思っている。
今回聞くべきは誰だろうか。
探偵9億4800万道具から選んだのは『鋭角で作られた無限角形』
床に設置してしばらく待つと、にゅっと黒っぽい尻尾が出てきた。
「おっ!きたきた」
尻尾を掴んで思いっきり引き抜く。
「ぴぇぇっ!?な、なに?なに?どこここっ?現代魔界!?」
「上手くいった!こんばんわ、キトリーくん!お願いがあるんだ」
「みゅみゅみゅみゅうさん!?困ったときだけ
呼び出すのやめてって…あ、あれほど私言ったのに…」
「私とキトリーくんは魔王くんを影から支えようって誓った仲じゃないか!水臭いねぇ」
「うぇ、それに前回のお礼…魔王様の使ったカップもまだ貰ってない…」
「まあまあ世のためモン娘のため、ひいては魔王くんのためになってる大切なことだよ!
お礼の品が遅れていることに対しては大変申し訳なく可能な限り早急に善処する方向であります」
「まるで反省してない…はぁ…もう…今日は何すればいいの…?」
「うんうんさすがキトリーくんは頼りになるねぇ。助手見習いの称号をあげたいくらいだよ」
「はやく終わらせて、魔王様をじーっと見ないと…今頃はたぶん…ふへへ…」
「私は明日、魔王くんとデートだけどね!
今日はこのハンカチについてる匂いのモン娘を探してほしいんだ」
かっこよく出た喫茶店に、恥ずかしい感じで戻って受け取った一品である。
名誉探偵の渡す手に力が入ったが、キトリーの受け取る手はふにゃふにゃだった。
「今やる気なくなったー…」
「デートの時に魔王くんにキトリーくんへのおみやげ買ってもらうから」
「そ、それなら買わなくていい…魔王様のハンカチ欲しい…ふひ、ふふふ…」
キトリーは渡したハンカチをくんくんと匂う。
「現代魔界でいいよね…」
言いながら、姿を消すキトリー。
「探偵には時として待つことも必要っと。まあ早いと嬉しいけどね」
幸い2分程でキトリーは姿を現した。
「はい住所これだよ。もう呼び出さないで…あ、お礼は早くお願い…はぁ、はぁ…ふへへ」
ぞんざいに手を振ってキトリーは消えていった。
捕まえられない犯罪者はうまく使えばいいと名誉探偵は思っている。
キトリーから聞き込みをした住所は建物の並ぶ街の一角にあった。
確かにタマの匂い、それに他にもたくさんのモン娘の匂いがしている。
「あまりにも普通過ぎて逆に大事件が進行中の予感…
看板には、なになに、モン娘生活支援センター?
んー?まあ入ってみよう…たのも~!」
意気揚々と自動ドアを通り呼びかけた。
「施設内では静かにしてくれっピィ」
案内係のはちまきを巻いたこぶんに怒られた。
建物中は広々としていて3つの窓口があり
内側でこぶんがちょこまか動いている。
日が暮れてしばらく経ったというのに
窓口には10人ほどのモン娘が列を作っていた。
「ここは初めてだっピィ?なら窓口に並ぶっピィ」
「あー私は違うよ。ここにモン娘を探しにきたんだ。
いなくなって心配してる友達がいるんだよ。
ゴブリンのタマくんって分かるかい?」
「ちょっと待ってっピィ…」
ス魔ホを少しいじってからこちらを向く。
「タマちゃんは明日の昼まで仕事っピィ」
「ここにいるんだね!ならすぐに呼んできてよ」
「仕事中だからすぐには無理っピィ」
このあと「呼んで」「無理」の応酬が続く。
「はぁ、じゃあ仕事するっピィ。中に入ればすぐに話せるっピィ」
「しょうがないねぇ…あそこに並べばいいのかい?」
「そうっピィ。頼むから静かに並ぶっピィ」
並んだモン娘は窓口横の扉から奥に行っているようだ。
好奇心もありおとなしく並ぶ名誉探偵。すぐに順番が回ってきた。
「初めて?」
「そうだよ!」
「説明。横の扉の奥に行くと1人1つの部屋。使用中以外に入る。
端末にス魔ホの要領で名前等必要事項入力。以上」
やたら端的なこぶんのおかげですぐに終わった。
さて言われた通りに窓口横から抜けると
両側に扉が並んだ廊下があった。
扉には画面がついていて、それぞれにモン娘の名前と使用中の表示がされている。
「すごい犯罪臭だ!何をやっているのかないったい…
っと、その前にタマくんを探すことにしようか」
しばらく歩くと「タマ/使用中」の表示を見つけることができた。
ノックしてその部屋に入る。入ってすぐにトイレとシャワーの扉。
そしてベッドに机、その上に端末が置いてあるだけの小ぢんまりした空間。
「あれ、こぶんちゃんじゃない?だれにゃぁ?」
「かくかくしかじかみゅうみゅうめいよ、ということなんだ!」
「ごめんなさいにゃ…」
まるまるうまうま構文で返してくれないので名誉探偵はやや不満だった。
「お小遣いくれるっていうからここにきたにゃぁ…
でも決まってる時間まではぜったい出ちゃいけないっていわれたんだにゃ」
「3人がとても心配していてねぇ。私からも言ってあげるからとりあえず帰ろう。
いやあ今回も我ながらあざやかな解決だったね!」
「そうするにゃぁ。探偵さんにもご迷惑おかけしましたにゃ…」
「無事ならいいのさ!さあ早く帰って安心させてあげよう」
タマと連れ立って廊下から出ると案内係こぶんが寄ってきた。
「ちょっとちょっと困るっピィ…時間までちゃんと居てくれないと」
「大丈夫!私がすぐに戻ってタマくんの代わりになるよ!
タマくんを心配してる友達がいるんだ。急いでいるからどいてくれないかい」
「そういうことじゃないっピィ。とにかく時間まではいないとダメだっピよ」
案内係こぶんが笛を吹くととぞろぞろとこぶんの団体が。
「おや、実力行使というわけだね!
タマくん、君は私の後ろにいてくれたまえ。さあこ~い!」
名誉探偵はこてんぱんにされた。
お情けでヒールしてもらった名誉探偵は
タマとは別の部屋に連れてこられた。
タマもさっきの部屋に連れ戻されたようだ。
行きつけの喫茶店の場所は別れる前に伝えてある。
こぶんの言うことを信じるなら
ゴブリンたちとタマは無事に明日合流できるだろう。
「ずいぶんと暴力的なこぶんたちだった…
しかし犯人の内側に入り込む作戦だとは気づかなかったようだね、ふっふっふっ」
部屋の様子はさきほどタマがいた部屋と同じようだ。
「窓口のこぶんが言ってた端末がどうのこうのって、これかな?」
端末の画面には
"初めての方は名前を入力してください
2回目以降の方はカードを挿入してください"
と表示されている。
「操作はス魔ホと同じでいいみたいだね。みゅう、と…」
やや間があって
"登録されました。ようこそ、みゅうさん"
"ここモン娘生活支援センターはモン娘の生活向上のため
寄付によって運営されている非営利団体です"
"登録した初回は48時間の拘束で2万ゴールド
2回目からは6時間の拘束で7000ゴールドをお渡しします"
"お金はカードでお渡しをします。
このカードは現代魔界のほぼ全ての店で使用できます"
"仕事中の飲み物食べ物は無料です。
この画面の右上を触って注文してください"
入力すると順に表示が切り替わった。
「随分といたれりつくせりだねぇ…
いったいどんな恐ろしい犯罪をさせているんだ!」
と言いながらわくわくして飲み物と食べ物のリストをみる。
「こっ、これ!幻と言われた麺屋かとれあのラーメン!
こんなものが用意できるなんて犯罪だね!早速取り調べしないと!
いやはや他にもいろいろと調査が必要なメニューがありますなあ!」
注文したメニューは次々にこぶんが運んできた。
食べている最中も表示が切り替わっていく。
"疲れたらベッドでしっかりと休息をとってください。
食事中、休息中も時間の計測に入っています
"準備ができたら画面を触って
作業開始してください"
「2万ゴールドの作業とは…どれどれ~
おっ画面が変わった。え~っと…
この写真の手書き文字を入力してください?い、ま、わ、っと…
次の写真だね…ち、さ、き…う、また次の写真…る、ら、し…
またつぎ~…!?これをずっとだってぇ!?みゅうはもう飽きたのであります…」
しばらくは続けたものの、一切変化はない。
「帰ろう…明日は魔王くんとデートだし」
扉を開けると廊下をこぶんが見張っていた。
「えーと、みゅう?さん?仕事が終わるまでは外出禁止だっぴ。
必要なものは持ってくるから部屋に戻るっぴ」
どうも要注意モン娘としてマークされたらしい。
「うんうん。いつの世も犯罪者ほど勤勉なものだよね。
とはいえこの名誉探偵を閉じ込めておけると思ったら
大間違いだよ。犯罪者くん」
トイレの上にある換気口は今、廊下以上に快適そうだ。
探偵9億4800万道具の『探偵7つ道具』から
脚立と懐中電灯を取り出し換気口の中を覗く。
「これくらいの広さなら大丈夫そうだね。
ふっふっふっ誰もこの名誉探偵の捜査を妨害はできないよ!」
よいしょと体を入れて換気口内を這って進む。
外の匂いを頼りにするも、入り組んでいて思う方向に行くことができない。
そのうちに小さな明かりが見えた。
懐中電灯をしまって明かりに向かう。
作業部屋とは違う内装の小さな部屋だ。
「ここは…!?もしかして~、犯人の潜伏場所!」
勢い勇んでその部屋に下りる。
その瞬間、換気口に蓋が閉まって何か白いガスが出てきた。
「あっ!これは、罠ってやつだねぇ…」
この部屋には中央に透明な壁があるようだ。
そこを境に向こうにはガスが出ていない。
誰かが、座っている?これは催、眠ガスか、な…
「おやすみ。名誉探偵くん」
向こうにいる誰かがそう言ったのを名誉探偵は確かに聴いた。
気付くとベッドに寝かされていた。
何か嫌な夢を見た気がするが思い出せない。
かなり寝てしまったみたいだ、時間はもう夕方を過ぎている。
魔王とのデートをすっぽかしてしまった。きっと探している。
タマは3人と会えただろうか。楽観視していい状況だろうか。
ぼんやりした思考を少しずつ覚醒させる。
ふと、ナイトテーブルに温かい紅茶が用意してあるのに気付く。
「美味しい…」
「やあ、おはよう、名誉探偵くん!」
誰かがいる匂いは無かったはずだ。
驚いて声の方を見ると、自分がいた。
「驚くことはないじゃないか!
ご存知の通り、私は名誉探偵のみゅう!」
「変身できるモン娘でも匂いは必ず残るもの…
推理!あんたは私の影だっ~!」
「ふふ、ご名答だよ。名誉探偵くん。といっても満点ではないかも、だけどね」
「私の姿で何を企んでいるんだ!まさか誘拐?もしかして暗殺、とか…?」
普段の雰囲気をかき消す声色で名誉探偵は問う。
「ああ、誤解はしないで欲しいね!
私も魔界全体と魔王くんを愛するという部分は君と同意見なんだよ。
だから魔王くんやその周囲を直接どうこうって気はないね。」
「ふうん…じゃあここで何をしているんだ?」
「まあまあ、全部答えてあげたら君もつまらないだろう?
少しは名誉探偵が推理する余地もないとね!
まあヒント、あるいは私の考えを少し話すなら…
私は確かに影かもしれない、けれども誰の、
あるいは何の影なんだろう?ってことだねぇ」
話しながら名誉探偵の影は着替えをしている。
鹿撃ち帽をとり髪をとかした、かと思えば髪はウイッグだったようで
外すともっと黒に近い紺の髪だった。くるっと夜会巻きにする。
服は一人で器用に脱ぐと、これも紺を基調にしたアンサンブルスーツを身につけた。
いつのまにか左目に片眼鏡をかけている。
「ふう、これが私の普段の格好さ。
ぜひとも名誉教授のみゅうと呼んでくれたまえ」
特筆すべきは存在感の薄さ、だろうか。
正面に今いる匂いが全く同じ存在、
名誉教授をたとえば道ですれ違った時に気づけるか、
名誉探偵は自信がない。
「おっと、そうそう大事なことを伝えるのを忘れていたよ。
今日の魔王くんとのデートで何をしたか言っておかないと
君のデートの時に話が合わないかもしれないからね」
「あんた!まさかっ!」
「今日はね、遺跡魔界に行ったんだ。
そこで未発見遺跡の盗掘騒ぎに巻き込まれちゃってね。
調査済みの遺跡にさらに奥があったのはいいんだけど
見つけたモン娘が自分のだって言い張ったり
調査済み遺跡の管理モン娘がそれに反論して
メッセンジャー役をつとめたモン娘が誘拐されたりと大騒ぎだったよ。
まあ魔王くんと私のコンビでズバッと解決してきたけどね!
犯人が遺跡を作ったモン娘の12代目の子孫だったとはなぁ…
ああ、お昼は魔王くんお手製の自家製パストラミたっぷりサンドだったねぇ。
魔王くんのほうに口を開けてたら最後まで食べさせてくれたよ~。
デートの終わりは体全体を優しくなでてくれてね、みゅうはとっても幸せなのであります」
「あんたッ!あんたッ!」
部屋の真ん中の透明な壁を
全力で殴り、引っかき、切り裂こうとするもキズすらつかない。
「これ、うちのドクターが作った強化クリスタル次元防壁だったかな?
とにかく、強い壁なんだ。私がこの部屋から出てしばらく経てば収納されるよ。
私が何のために何をしていたのか、知らないままに
この場で捕まるのも興ざめだからね」
「絶対に捕まえてみせるよ!ばっちゃんの名にかけて…
いや、名誉探偵みゅうの名にかけて!」
「ふふ。いいね。まあ今回はただの挨拶だよ。
さあ名誉探偵くん、この名誉教授みゅうを止めてみたまえ」
そう言って名誉教授は部屋を出て行った。
飲み残しの紅茶を手に、ベッドに座り気持ちを落ち着ける。
冷静になるとかすかな匂いに気付いた。
多分ここは名誉教授の部屋だったのだろう。
ほとんど名誉探偵と同じ匂いしかしないが、
ほんのひとすじ、ベッドから、ベッドの隙間から、ベッドの中から匂う。
隙間に爪を立て表材を剥がす。
一面に配置された何かの装置が動いている。
そういえばベッドはここにあるものも
タマの作業部屋、名誉探偵が連れていかれた作業部屋全て同じものだった。
「これだ!」
何かは分からない。
それらしいものを見つけたら「これだ」と言うのが名誉探偵のポリシーである。
名誉探偵は今日も行きつけの喫茶店にいる。
ゴブリン4人は無事再開できてこの店の常連になっていた。
いつもホットミルクしか頼んでいないようだが。
「みゅうちゃんは今日も探偵のお仕事にゃあ?」
「まあ、そんなところだねぇ」
あの後、名誉教授の言ったように壁は下に収納されて出られるようになった。
ベッド下の装置は探偵9億4800万道具の
『見た目以上に入るカバン』で持ち帰っている。
あの施設はあの装置の上にモン娘を眠らせるための場所だったのだろう。
しかし名誉教授もあの装置の上で寝ていた。
「私もあのベッドで寝ちゃたんだよねぇ…」
特に異常は感じない。強いていうならあの悪夢だけ。
そして名誉教授が言っていたこと。
「誰のではなく、何の影か…」
推理するにはまだ材料が足りない。
ぼーっと考えているとゴブリン4人の楽しそうな声が聞こえてくる。
「とりあえず、タマくん失踪事件は無事解決ってことだね!
名誉教授が何をしてきても私はズバッと謎を解いてみせるとしよ~!」
あのもうひとりの自分は何をしてくるのか。
何を考えているのか。
それは暗い思いではなく
自分の中の燃える好奇心と尽きない探求心のほうが強い。
それはそれとして魔王くんのことは別だし
次に会ったら教授のやつを一発殴ると名誉探偵は誓った。