That object is the fleet living in abyssal ocean called "Codename.Syuseki".
(
突然の出来事に理解が全く追いつかない。白い体にどす黒い兵装。映像でしか見ることができなかった深海棲艦、それも"姫"級の生命体だ。
(とりあえず先生方に報告しなくては・・・)「チャネルを開いて。」オープンチャネルを開き、織斑先生達と通信を取る。
ピーッ、ピーッ、ピーガガガッ ノイズが発生し、表示されたスクリーンは依然砂嵐のまま。
「チャネルが開かない!どうして!」
「タスケヲヨボウトシタノカシラ?オアイニクサマ。スデニジャミングをサセテモラッタワ。ホカニジャマガハイルトコマルカラ。セイトモ、センセイモ、ダレモアナタヲタスケニコナイワ。」
深海棲艦らしき生物が私に話しかける。そのトーンは暗く、けれども獲物を仕留めるようにどこか高揚したものだった。
「貴方は一体誰なのですか。私は、イギリスの代表候補生、セシリア・オルコットですわ!さぁ、名乗りなさい!」
「ゴチャゴチャウルサイワネ。イマカラココデシズムノニ。マアイイワ。ワタシノコトハ、集積地棲姫トデモヨビナサイ。」
「行きます!」レーザーを放つ。幾ら装備が変わったからと言っても、耐久はもう残っていないはずだ。それに、これはあくまで次のミサイルの為のフェイント攻撃。かわした所を集中発射で仕留める。
「ズイブンハシタナイモノネ。イイデショウ。アナタノコウゲキミセテチョウダイ。」集積地はレーザーをかわしもしない。直後。
ドゴォン!!鈍い音が振動する。
(今の攻撃で倒れて下さると良いのですが・・・)淡い期待は、光が消えると同時に薄れていく。
「コレデオワリ?ツギハワタシノバンネ。サァ、イキナサイ!ワタシノカワイイコドモタチ。」無傷の集積地が持つ兵装から、丸い航空物体が放たれる。黄緑色で前面に単眼と口が付き、左右にプロペラのようなものが付いている。見た目はたこ焼きのようだが、とにかく気味が悪い。
「これでも食らいなさい!」飛行物体目掛けて発射する。だが、いかんせん物体の数が多すぎる。2発とも命中するも、残りの物体ー数にして30を超えるーが一斉に襲い掛かってくる。
「まずい!」すぐに飛翔し、物体を撒こうとするが、物体は私を追いかけてくる。まるで、物体自身が命中するまで逃がさないという意思を持っている。
「「「「キヒヒ、キヒヒ、フヒヒヒヒ」」」」物体が私に追いつき、そしてーーーー
スドォォォォン!!!!
ーーーー
「イマノデトベナクナッチャッタワネ。ザンネンデシタ。」衝撃で体を起こせない私の目の前に、集積地の声が降りかかる。今の攻撃でカスタムウィングが損傷してしまった。レーザーとミサイルも残っていない。先の模擬戦で大量に使ったことが仇となった。シールドエネルギーは残り13。次の攻撃でエネルギーは間違いなく0になる。否、次の攻撃で私は
「貴方、磯積ではありませんね?」
「
「ニーチャン、にーちゃん、に、、、似仁のことなのですか。」
「カルガルシクニーチャンのナヲヨブナ」直後、背後にいた砲台らしき生物が何物かを発射する。振り向くと、ブルーティアーズが黒焦げてしまっており、そのまま消滅した。これでもう、ISを起動することはできない。
「オマエハニーチャンノタカラモノヲブジョクシタ。ワタシガカンムス、イヤタッタヒトリノカゾクトシテノコシタアノメガネヲ。アノメガネハワタシトニーチャントノユイイツノツナガリダッタ。ソレヲオマエハ、、、、、ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイニクタラシイニクタラシイニクタラシイニクタラシイニクタラシイニクタラシイニクタラシイニクタラシイニクタラシイニクタラシイニクタラシイニクタラシイニクタラシイニクタラシイニクタラシイニクタラシイニクタラシイニクタラシイニクタラシイニクタラシイニクタラシイ!!!!!」
集積地の目が紅く染まり、溢れんばかりの憎悪を向けてくる。体が全く動かない。
「それについては謝ります!どうか許して頂けませんか!」
「オマエハゼッタイニユルサナイ!ココデシズメェ!!」
砲台が頭に標準を向け、死を覚悟した時------
「煩いぞ。深海の出来損ないが。」
織斑先生が刀の先を集積地の首元に当て、静かに言った。
ーーーー
「ナゼオマエガココニイル!」
「睡眠ガスを含んだ霧をアリーナに発生させ、邪魔が入らないようにする、か。だがそんなものは私には効かん。それより、今すぐ攻撃を止めろ。さもなくばその首を叩き斬るぞ。」
「ソンナモノデワタシヲトメラレルトデモ?」
「確かに、この刀では深海棲艦に傷一つ付けることはできないだろう。だが、今のお前は
「ここで大事な弟が死んでしまってもいいのか?」
「コシャクナ!!!」集積地は先生に対し殺意をむき出しにするも、動かない。否、動くことができない。
「さあ、どうする。生かすか、殺すか、選べ。」
「イワレナクテモワカッテイル!!!!」集積地は一切の兵器を倉庫とされる物体に仕舞い、私たちから距離を取る。これ以上攻撃を加えない意思だ。
「ニーチャンニテヲクワエタラユルサナイカラ。ツギハオマエラヲシトメテヤル。」そう言った瞬間、集積地の体は卵の殻の如くボロボロと剥がれていき、武器も溶解していく。
そして、一人の男が中から現れ、そのまま膝を着いて倒れた。
「全く、どうしようもないブラコンで困る。オルコット、動けるか?」先生が何か吐き捨てるように言ったが、よく聞こえなかった。
「はい。ですが、吐き気がします。あの化物が怖くて・・・」あの時、確実に自分が死ぬことを意識してしまった。寒気と震えが止まらない。
「無理をするな。保健室に連れて行ってやる。あいつは、・・・・まあ後ででいいだろう。行くぞ。」
私は先生に支えられ、アリーナを後にした。
ーーーー
暗く、深い海の底で僕は漂っている。何も見えない。何も聞こえない。何も感じない。
しかし、徐々に声が聞こえてくる。
【ヨケイナジャマガハイッテシマッタ。ユルセナイ。】
【アイツラハワタシノニーチャン二ガイヲナスモノダ。ニクラシイ。】
【ニーチャンヲマモルコトガデキルノハ、ワタシ。͡コノワタシダケ。】
【ダカラ、モットワタシヲモトメテ。モットワタシニミヲユダネテ。】
【ワタシハニーチャンガイナケレバイキテイケナイ。ニーチャンハワタシガイナケレバイキテイケナイ。】
【モット、モット・・・・・・】
何だろうか。一度も聞いたことがないはずなのに、どこか懐かしい声。その声の先に手を伸ばそうとしたところでーーーー目が覚めた。
「やっと起きたか。」病室のベットの横から声を掛けられた。声質から、今のは織斑先生だろう。
「えっ、あっ、お、おはようございます。」とりあえず朝の挨拶をする。「馬鹿者。もう昼の3時を回っている。」が即座に否定される。
「お前がオルコットと模擬戦を行ったのが昨日の午後二時ごろ。つまり丸一日寝ていたことになるな。模擬戦の時から何か覚えているか。」
「模擬戦ーー?」確かに、僕はセシリアとISを使ってアリーナで模擬戦を行っていた。そして、あと一撃でやられるところまでは覚えている。しかし、そのあとの記憶は全くない。
「ふむ。一時的な記憶、又は意識の喪失か。何か予兆なものはあったか?」
「予兆ですか。確か、頭の中から女の声が聞こえてきて、そのまま意識が飛んだと思います。先生、あの後何があったんですか。教えてください。」織斑先生に尋ねる。
「まあ、いいだろう。率直に言うと、お前はオルコットのISを消失させるところまで追いつめた。いや、今のは表現が不適切だな。
お前は、オルコットを殺しかけたんだ。」
織斑先生の言葉によって、一気に血の気が失せていく。
「嘘だ。僕がそんなこと、出来るわけないじゃないですか。全く覚えていません。」
「これを見ろ。」先生がスマートフォンの画面を差し出してくる。画面には試合とらしき動画が映されている。そこには、白い妖怪のようなものが笑いながら、セシリアに対して砲台のようなものを構えてい居た。
「何ですかこいつは。そんな白い奴と僕に何の関係があるんですか。。」声が上ずってしまう。
「これは
「反論も何も、僕はその時打鉄に乗っていました。あんな奴見たことありません。」自分であることを認めたくないからか、必死になる。
「
スマートフォンから聞こえてきた声に、戦慄する。声の抑揚や発音、声質。あれは、紛れもなく僕を遺して逝った、姉さんの声だ。
「何か知っているのか。」もう何もわかっているはずなのに、先生は僕を問いただす。
「あれは、いやあの深海棲艦は、紛れもなく僕です。先生、手鏡を貸して頂けませんか。」先生が丸い鏡を持ってきたので、顔を覗き込む。
そこには、白髪と白い肌、何よりも紅く濁った両目を持った、僕の顔があった。
「ははっ。あはは。あはははははははははハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!」
もう、笑うしかなかった。笑わずにはいられなかった。そうしないと、頭がおかしくなってしまいそうだった。
ーーーー
「お前が寝ている間に、これを調べさせてもらった。」そう言って、先生は黒ずんだ眼鏡を取り出す。あれは、普段僕が掛けているものだ。もう、取り返そうとする気力も無い。
「あの白い物体、いや、もう深海棲艦でいいだろう。あの深海棲艦が出現する前、お前の黒い眼鏡から黒い光が光るのが見えた。そして、深海棲艦が消失する時、再び黒い光が発生している。この黒い眼鏡がISの待機状態だと仮定して調査したところ、その通りだった。打鉄だったISが消滅し、代わりに別の兵装に成り代わっている。
最も、それぐらいしか分からなかった。この眼鏡には何か意思があるらしく、外部からの介入を拒んでいる。実際、調査員の半分が途中で意識を失っている。」先生が誰に話しかけるのでもないかのように、淡々と言う。要するに、あの深海棲艦はISと言いたいのだろう。
「この眼鏡は返す、とは言えないな。」
「どうしてですか。」
「この眼鏡、いやお前が深海棲艦だと知れたらどうなる。今この事実を知っているのはオルコットと私、山田先生と学園の上層部だけだが、いずれ学園全体、さらには世界中に知れ渡るだろう。深海棲艦は既に艦娘達によって殲滅されたと公に発表されている。深海棲艦は未だに生息しているとされ、全世界が混乱に陥るだろう。更に、今はISという兵器も開発されている。混乱に乗じて世界大戦の勃発、は決して大げさなものではない。」
「でも、これは姉さんの眼鏡で・・・・「遺品と世界の秩序、どちらが重要か考えれば分かるだろう。それとも、」先生は日本刀を僕の喉に付きつけ、
「お前がここで死ぬか?」殺意の籠った声で問う。
模擬戦の時に味わったこの感覚。いや、今度は違う。先生は僕を殺すつもりだ。確かに、此処で僕が死に模擬戦の出来事を全て無かったことにすればそれで済む話だ。
けれど、それでいいのか。
姉さんにずっと守られていた自分。強くて優しくて、頼りになる姉さんを見て僕も誰かを守れるような、強くて優しくて、頼りになる人になりたいと思った。それは今も変わらない。いや、変えてはいけない。
けれど、それが成し遂げられない内に終わってしまう。それは嫌だ。こんな所で終わりたくない。
だから生きたい。もう、覚悟は決まっている。
「僕は深海棲艦なんかじゃない。そのISを使いこなしてやる。」語気を強めて言う。
「よく言った。」先生は刀を下ろし、眼鏡を手渡す。
「私はその言葉が聞きたかった。手荒な真似をしたのは悪かった。まあ、私は教え子を殺すような真似はしない。それに、お前の姉さんがどうなるか分からないからな。」
「はぁ。」肩の力が抜ける。
「明日からIS制御訓練を行う。勿論放課後もだ。放課後については、私が手を離せないから篠ノ之にでも付き合ってもらえ。これで失礼する。」そう言って、先生は病室から出ていく。
「深海棲艦・・・・か。」先生に言った言葉を反芻する。もう後戻りはできない。白い手を握りしめ、未だ見ぬ明日へと思いを馳せた。
初の5000字オーバー。戦闘描写は苦手です。