最近ある作品を読んでいたら、ある妄想が生まれて、これは来た!とすぐさま書き、この作品を作ろうと思いました。
既に他にも色々書いているので、優先度は低めです。気が向いたら書く程度なので、なにとぞよろしくお願いします。
他もって言ってますけど、四つぐらい一話だけ投稿してほぼ凍結状態なんですよね。
貴方は無縁人という種族をご存知だろうか。
幻想郷の外から色々な物が紛れ込む無縁塚ではない。無縁人だ。と言っても現代の人間に知る人はまずいない。理由はあるが、それは後々に。
種族と言ったが、それは人にとても近い。特別力があるわけでも、妖力や霊力の扱いが一際高いわけでもない。ただただ普通の人なのだ。
ある一点を除けば。
無縁人という名の通り、それの周りには近しい人間はいない。人だけではなく、妖怪や神なども例外ではない。つまり、誰であろうとも距離を縮めることはない。
これはあくまでも物理的な話ではなく、精神的な物だ。近づこうと思えば近づけるし、話すだけなら何の問題もない。関係性が深まらなければだが。
話は少し変わるが、無縁人を種族と言うのは違う気もする。何故なら彼、または彼女は一人しかいないからだ。どんな時代であろうとも、二人いるという状態は絶対に存在しない。
先に断っておくが、それは永遠の命も長寿も持っていない。本当に普通の人と変わらない。
けれども、それには親がいない。友もいない。愛する人もいない。誰かが以上のような関係になれば、瞬く間に消えてしまうだろう。
それが無縁人の最も大きな特徴だ。
だから、同時に二人はいない。また、繁殖という行動も一切行わない。親となることも、子供を作ることも許されない。それが、彼らの存在意義なのだから。
もう一度言っておこう。彼らは人だ。元は無縁という力以外は持たず、妖怪や化け物に取って食われ、猛威を振るう神に抵抗できない者だが、とてつもない天性と一生を懸けた努力をすれば、あるいは。
さて、そろそろ説明が十分になったかもしれない。ならば次は、物語を話していこう。足りないと思うならば、それは話の途中で。
ーーーーー
ここは幻想郷、忘れられた物達が……という話の切り口はよそう。何十も、何百も、数える事が面倒になるくらい使われている。
だから、今回は無しだ。
代わりに、そこで今異変が起きていることを語ろう。しかし、それはもう収束へと向かおうとしているのだが。
異変の内容としては、月がどこまでも黒く染まっているというものだ。しかも星の光さえも消え、たたでさえ暗い夜が、明かりを失った事でさらに暗くなってしまい、夜更けに出歩く事が難しくなる。
暗がりの中、普通の人が歩くのは恐怖でしかないが、まあ正直言って実害はほとんどない。
この異変は定期的に行われているからだ。それを人里の人間は全員分かっており、事前に対策もしてある。だから、異変によって死亡どころか、怪我もない。
しかし、異変は異変だ。一日程度であれば問題ないが、数日続くとなると、不安や恐怖が表立とうとしてくる。であれば、それを解決しようとする者が出てくる。それが、
「よくぞ来たわね、博麗の巫女。」
紅白の服を身に纏った幻想郷の守護者である。しかし、勘違いをしないで欲しい。彼女は博麗の性を持っているだけで、霊夢という名ではない。また別の世代である巫女なのだ。
紅く染まった紅魔館。その上空で二人が対峙する。一人は先も言った巫女。もう一人は吸血鬼だ。
「貴女の目的は既に存じ上げています。本来望むは戦いではないはず。どうか無益な戦闘はなさらずに、その異変を止めてはくれませんか。」
あくまでも敵意は見せず、上品に、礼儀正しく、そして相手の思考を理解したかのように、説得する。
「嫌よ。と言うより、貴女は何も分かってない。」
「え……?」
「私は誰でもない私のためにやっているの。去年も言ったでしょ?ここに住む人よりも、毎年あの日と同じ日にこの異変を起こす事が大事だって。
だから、貴女のその取り繕ったようなお願いを聞いてあげる気はない。
素の態度なら、少しは聞いてあげなくもないわ。それ、聞いてて壊したい衝動が抑えられないし、その方が貴方も楽で良いんじゃないの。」
それを聞いた巫女は溜息を一つ吐いた後、今まで綺麗に保っていた姿勢を崩し、先程まで纏わせていたいかにも上流の貴族のような雰囲気を、ガラの悪い不良のように変貌させる。
「ったく。毎年毎年テメェの勝手な都合で面倒事を起こしやがって。少しはこっちの迷惑を考えろ。……つっても、テメェには関係ねえか。」
「ええ。普段はこの幻想郷に貢献してあげているのだから、少しは我がまま言ったって良いでしょう?それに、そもそも異変っていうのは起きなきゃいけないものだし、貴女も暇するじゃない。」
「ま、確かに最近暇だったしよ。肩慣らしぐらいはしねえとな。」
「ふふっ、今まで肩慣らし程度だったのかしら。」
「今回はその程度になるんだよ。」
「そう。けど残念ね。私、今日はすごく気分が良いの。だから、その程度じゃおさまらないと思うわ。」
紅い瞳を光らせながら、彼女は羽を伸ばし、空を舞う。
月が黒く分かりづらいが、今宵は新月。吸血鬼の力が最も小さくなるタイミング。しかしながら彼女は、その衰えを全く見せないほどの威圧感を巫女に与えていた。
人外独自の畏れではない。どちらかと言えば、洗練された武人のような覇気だ。
「お喋りはここまで、これの決着をつけましょう。」
いつのまにか彼女の手には
「ああ、お前を対峙する!」
「敢えて名乗りましょう、博麗の巫女。
我が名はフランドール・スカーレット!紅魔館当主
さあ、宣言なさい!」
これは、無縁人の物語ではなく、一匹の吸血鬼がそれに感化される前と後の話である。