ナザリックと同格のギルド放り込んでみた   作:ダイアジン粒剤5

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放り込んだギルド 3

 ナザリック内部へと繋がる地下通路の周辺に築かれた要塞。

 素の内部にてTEN☁KAIは、先行させたモンスター達からの報告を受けていた。

 

 「三層で大攻勢をかけてきた? そうか、気付かれたか。 それで百段さんと絶命ちゃんは大丈夫か? 敵の勢いが強いが数で押しているので現状問題ない? ならいい。 こっちも後詰めを送る。 そこが天王山だ。 そこで勝てば、ほぼ勝利が決まる。 陣地を構築している一層には決して近づけるな。 以上だ」

 

 そこまで告げるとTEN☁KAIは背後に立つフナザカと隊長、そしてワールドアイテムで支配したエルフ王に声を掛けた。

 

 「では全体の指揮は本船にいる女神様に任せて、私達も行きましょうか」

 

 「……あのさ、俺ら行く必要ある? 俺ら四人程度行っても、戦況は大差ないんじゃ」

 

 TEN☁KAIは本気の戦いが怖くて消極的なフナザカに、物も言わず精神安定化の支援魔法を数十重にかけた。

 

 「これで大丈夫でしょ。 ――フナザカさんが前線に出るのは女神様の指示です。 アインズ・ウール・ゴウンと女神様、どっちが怖いです?」

 

 「…………女神様」

 

 「じゃあ行きましょ。 それに私らは全員、全身を神器級装備で固めてるんです。 そんな私たちが前線に出れば十分戦況に影響があることは、フナザカさんなら分かるでしょ?」

 

 漆黒聖典隊長とエルフ王には、引退したギルドメンバーが女神への捧げものとして残していった神器級装備が与えられていた。

 高位モンスターとの模擬戦も随分こなしてきたため、今の彼らの戦闘能力はユグドラシルのプレイヤーに換算して中の上にも匹敵するだろう。

 

 「……分かってる、行く」

 

 「ええ、行きましょう。 ……言っときますが、この戦争に乗り気じゃないのは私も同じですよ。 正直ここまででもえらい被害が出てます。 完全敵対しちゃったせいで敵対してる亜人国家に武器やら技術やら人員やらが派遣されて前線が混乱してますし、支配地の各地でテロまで起こされました。 いま下でバンバン殺されてる高レベルモンスターの損害も考えたくありません。 ――でも女神様がやるって言っちゃたら、私らは従うしかないんですよ。 あの人はまさしく、単騎で世界全てを相手に戦って勝ちうる世界の敵(ワールドエネミー)なんです。 あの人の庇護下にいることが、私達の生命線なんです」

 

 覚悟を決めたのかTEN☁KAIの支援魔法が効いたのか、フナザカは意を決した頷いた。

 隊長もまた、それに続く。 

 隊長はとっくの昔に決意を固めていた。

 人類の未来を守るため、あの女神に人類が役に立つ存在だと認識させ続けるよう命を賭けると。

 

 「話は終わったな。 ならとっとと行くぞ」

 

 エルフ王が傲慢に言う。

 ワールドアイテムによって魅了されている彼に恐怖心はない。

 事前に与えられた命令通りに命を捨てて戦うだろう。

 

 「では、行きますよ」

 

 アンデットの種族特性、そして高僧の職業を修めていることによる精神ボーナスを得ているTEN☁KAIに動揺はもとよりない。

 豪奢な法衣を纏ったTEN☁KAIを先頭に、四人組のパーティはナザリックに向けて歩き出したのだった。

 

 

 

 そして女神アイラムは、そんな愛し子たちの奮戦を旗艦フリングホルニの奥の院に鎮座している自らの玉座で、笑みを浮かべながら眺めていた。

 その瞳は慈愛に満ちた優し気なものであり、彼らに無理をさせているなどとはこれっぽちも思っていなかった。

 

 「うむうむ。 皆、真剣な顔で戦に取り組んでおるな。 良い、実に良い。 やはり戦というものは、ある程度戦力が拮抗していなければ面白くない。 ――ヌルゲエ、と言ったかな? 亜人共相手ではそれが続いて退屈になる。 退屈は良くない、実に良くない。 退屈が続けば皆が飽きて、かつての様に我が元から離れて行ってしまう。 それは、もういやだ」

 

 目に涙を溜めて、アイラムはかつてのユグソラシルでのことを想起する。

 

 かつて千を超えた愛し子たちだったが、やがて様々な理由でその数を減らしていった。

 

 やりたい事をやり切ってしまったから。

 新しいイベントが無くなって退屈だから。

 現状に飽きたから。 

 他の知らない世界の方が楽しくて綺麗だから。

 

 人間関係や戦力バランスなどから去っていった者もいたが、多くは退屈だから飽きたからと去っていった。 

 そして最後には誰もいないときの方が多くなり、アイラムはこの巨大な船で独りでいる時の方が長くなった。

 そうして独り鬱々としていた時、ユグドラシルという世界そのものが消えるという話を愛し子たちがしているのを聞いた。 

 いつかは皆帰って来てくれるに違いないと、それだけを希望にしてきたアイラムにとってそれは絶望だった。

 ユグドラシルが無くなれば愛し子たちは永遠に自分のもとには戻ってこず、自分もまたこの孤独のなか死ぬ。

 なんとかしてその運命を変えたかったが、ワールドエネミーたるアイラムにも出来ることは何もなかった。

 ユグドラシル最期の時、最期を共に過ごしてくれる愛し子が3人もいたことだけを慰めに、アイラムは消滅を覚悟していた。

 

 

 ――――だが、奇跡が起きた。

 

 

 「……今この時は、奇跡だ。 この奇跡を、予は手放さぬ」

 

 ユグドラシルの時は子等の自主性に任せていたが、ここからは自分が全ての指揮を執る。 

 なにがなんでも、愛し子たちを再びこの手に取り戻す。

 

 「……アインズ・ウール・ゴウン。 最も多くの子等があった時ですら、落とせぬと言っていた強大なる者ども。 良いぞ、全力で足掻け。 そうすれば、子等も退屈せぬ。 予の真の目的が達成されるまでは、気の遠くなるほどの時間が必要であろう。 其之方たちは、その間に子等が退屈せぬための敵だ」

 

 目的を果たすための準備は、既にそれなりに進んでいる。 

 後は単調な作業をいくつかこなし、時間をかけるだけ。

 それでは刺激に欠けて退屈になってしまう。刺激的な敵対者が必要なのだ。

 

 「この戦争は始まりに過ぎぬ。 アインズ・ウール・ゴウン。 其之方等は、これより我らが過ごす長き時を彩る敵となってもらうぞ」

 




年内完結のため、投稿スピードを上げます。
残り2話です。
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