仮面ライダーディケイド vs フレッシュプリキュア! 作:新生ブラックジョン
アバン
パラレルワールド。並行世界とも呼ばれ、合わせ鏡がその中へ無限に形作る様に、他次元には様々な異世界がある。―――この男、示されるが如く変えられる行き先に従い、彼は様々に異世界を渡り歩いてきた。そして今日も今日とて男が住まう写真館の店主は、図らずも撮影用背景ロールの鎖を引っ張り到着地点を設定してしまう。
「新しい世界か」
この建物自体が世界を越え男達と共に移動することに最早驚く者は居ない。
「うーーん・・・いいお天気ですねぇ」
窓を開け放ち心地よい風を取り入れる。見上げれば雲一つ無い澄みきった青空、彼女は大きく伸びをして一番にドアから表へ出ていく。光夏海は男と共に旅を続ける仲間であり、今日も新たな世界に踏み出した。
「今度の世界は一体どんな所なんでしょうか」
「取りあえず、平和って感じ」
「ですね」
隣にいた青年は街並みを眺めながらのんびりとした口調でそう答える。小野寺ユウスケは夏海に肩を並べて欠伸を交える。2人は大抵、先ず新たな世界へ到着した時その地を適当に歩き回り情報を得る。一体どの様な場所でどんなことが起こっているのか知る為である。
「ところで、士君は何処行っちゃったんでしょう」
「まぁ何時もの事だけどさ。全くしょうがない奴だなぁ」
ほぼ毎回、こんな時はそのもう1人も行動を共にすることが多いのだが。今日は既に、単身外出しており今朝から姿が見えない。
「こんちわ。見掛けない顔だけどここに来たのは初めてかい?」
「はい。私達別の・・・所から」
夏海達に声を掛けてきたのはねじり鉢巻の魚屋店主。夏海も挨拶し早速ここが何処なのか尋ねてみる。
「「四つ葉町?」」
更に現れたのは直ぐ向かいの駄菓子屋店主であるお婆さん、魚屋と軽く挨拶を交わす。ユウスケ達は商店街と思われるその道を進みゲートを見上げ、そこには確かに“四つ葉町商店街”と小さく書かれていた。だが店主達曰くそれは昔の呼び名であり、現在は“クローバータウンストリート”と変えているらしい。
「そう言えば、今朝もそんな事を聞いてきた兄ちゃんが居たな。背がこーんなに高くてよ、中々男前でな」
「それって・・・」
「多分士だな。あの、その人ってどっちに行きました?」
「あっちの方に歩いていったぜ」
「「ありがとうございます」」
「待ちな」
駄菓子屋のお祖母さんは呼び止め、自分の店から何かを手にして戻ってくるとそれを夏海とユウスケに手渡した。
「水飴?」
「懐かしい・・・!良いんですか?」
「あぁ、折角この町に来たんだ。歓迎するよ」
「へへっ婆さんも良いことするじゃねぇか」
魚屋の言葉に鼻を鳴らす。思わぬプレゼントに喜ぶ2人、礼を述べ仲間が向かったというその先へ歩んで行った。
軽快なリズムに乗りステップを決める4人の少女達は、もうかれこれ数十分程それを続けていた。息もピッタリにターンを決め、プレーヤーから鳴り響く曲が終了すると共にフィニッシュを決める。そうして完璧なまでのダンスを終えた彼女達は休憩を挟み、バッグから取り出したタオルで額や首筋の汗を丁寧に拭う。
「だは~~、疲れたぁ」
ピンク色のジャージ姿の少女、桃園ラブは公園中央の石段へ深々腰を下ろす。
「ふぅ・・今日のあたしも完璧」
その隣ではミネラルウォーターを喉奥に流し込む、青いジャージ姿の蒼乃美希。
「私達いい感じね。この後はどのパートを練習しようか」
「私、まだ中盤のステップが上手く出来ないの。そこを集中的にやりたいわ」
「そっか」
黄色いジャージ、山吹祈里のそれに対し、赤いジャージを着込む東せつなが述べた。
「・・・にしても。ここは退屈だな」
もうかれこれ、少女達がこの場へ現れ踊り始めた時から様子を眺めていた彼は、店のカウンターへ頬杖をつきその手にした二枚のカードを空に翳す。今朝からこうして屋台を開き待っているのだが、どうにも客足が無く暇をもて余してしまう。青年は今一度自身の格好を見て溜め息を吐く。袖捲りしたマゼンダ色の派手なシャツ、上にこの店自慢ドーナツの柄が施されたエプロン。そして燦々と輝く太陽からの紫外線をサングラスで遮り、男、門矢士は欠伸を一つ飛ばした。
「カオルはーん!兄弟!ドーナツ食べさせてーな。わい、もうペコペコですねん」
何処からともなく流暢な関西弁が聞こえ、士は待ってましたと秤に背筋を伸ばしドーナツ生地を取り出した。
「客か。この“ツカサ・ズ・ドーナツカフェ”にやっと」
いらっしゃいと一声、丸めた生地を放り投げ専用の機械の中へ。真ん丸生地は内部をコロコロ転がりドーナツの形状となって取り出される。
「今作ってや―――」
「カオルはんっ・・・あれ」
お互い目線を交わした時そこだけ時間の流れが、他とは切り取られたかの如く静止した。両者共に言葉が詰まる、そして先に動いたのは士だった。
「それじゃあさっきのとこだけど一度休憩してから又自主練再開ね」
「「「えぇ」」」
ラブの提案に残り3人が賛成した、少女らは派手な色彩の車両を見据えて歩み寄る。それが彼女達行きつけの、町一番のドーナツが食べられる移動販売車だ。
「カオルちゃーん!ドーナツドーナツ!4人分頂戴っ」
「悪いがそんな名前のドーナツこの店のメニューには載ってないぜ」
「ハハハっもうカオルちゃんたら何言って・・」
「ぐわあぁぁぁピーチはん!たっ助けてーーー!!」
「・・・たっタルト!?」
カウンター上に現れる人語を介す謎の“フェレットっぽい”生き物。それはトングに摘ままれ逆さ釣りの状態で現れた。
「ったく、やっと客が来たかと思えば。何なんだこの鼬は。気持ち悪いっ」
「なっなんやてぇ?!鼬とちゃうっ気持ち悪いなんて失礼なっ!わいは可愛い可愛い妖精さ・・」
「うちの店を彷徨くんじゃない、衛生面に悪影響だろうが。保健所に突き出してやる」
「「「「わぁぁぁぁ駄目ぇぇーーーー!!」」」」
―――世界の破壊者、ディケイド。幾つもの世界を巡り、その瞳は何を見る・・・・!?
“レジェンド、プリキュアの世界”
Aパート
「何、これはお前達のペットなのか?」
「まぁそのー・・ペットと言いますか、何と言いますか・・・」
これ秤は流石に誤魔化しきれないと焦るラブ達。何とかそのタルトを取り返したはいいが、人間の言葉を喋る等とはどの様に説明すれば良いのかまるで思い付かない。青年が怪しんでいるのは確かだと密談する美希と祈里、せつなは何か思い付くまでの間ラブに時間稼ぎを任せた。
「あーー、えっとー・・・あれぇっ!カオルちゃんがいなーい!どーしたんだろーなぁーっ」
「・・・さっきからそのカオルちゃんってのは誰なんだ、俺がここへ来た時は誰も見掛けなかったぜ」
「そっそうなんですかぁ・・・」
「カオルはん何処行ってしもうたんや、店ほっぽり出して消える様なお人ちゃうのに・・・」
「タルトぉっ!!」
「はっ!しもたっモガガッ!?」
慌てて口を塞いでももう遅い。というか大分前に終わっている気も・・・・・4人がチラリと見ると、士もこちらをじっと見詰めていた。
「・・・で、ご注文は?」
「・・え」
「注文だ、決まったら教えろ」
何とも呆気ないリアクションにただただ呆然となるラブ達。再び密談を行いこの後をどう切り抜けるか話し合う。
「思いっきり、バレちゃったよね?」
「えぇ、思いっきり、ね」
「どうしよう、又この間みたいな騒ぎにでもなったら・・・」
「不味いわね、ここは何とかして切り抜けないと」
「なっ何とかってどないすんのパッションはん」
せつなにそう尋ねるタルト、顎に指を添え思考する美希と頭を捻る祈里。そして、ウンウン唸った末にラブが思い付いたそれは・・・。
「ジャジャアァーーン!見て見て皆!あたしマジック出来ちゃうんだあっ」
「すっすごーい・・・」
「本当、なの?ラブちゃん・・・」
「へっへぇ、私見てみたいわぁ・・」
「よっよーし・・ではではぁ!ゴホンッ・・・キュアキュアー・・・」
「プリプーー!」
その時、又してもドーナツ屋の屋台から何かが飛び出し宙をフワフワ漂いタルトにダイブする。それは何とも愛らしい小熊のぬいぐるみの様で、だが確かにこちらも生きているらしく自由に身動きしているのだ。
「きゃああシフォンちゃんっ!?」
「あっアカンすっかり忘れとったぁ!」
必死になりそのシフォンとやらを捕まえようと身を乗り出す祈里。
「やっやだあーホントにイリュージョンねぇラブー!?」
「まっまるで“ぬいぐるみ”が生きているかの様だわぁ!」
「そっそうなんだよぉ、美希たん、せつなぁ!“ぬいぐるみ”に命を宿すというー・・・」
苦しい誤魔化し方だった。しかしこれが通じなければ彼女達にはもうどうしようもないのだ、ラブの思い付きに残り3人は必死で合わせ演技を続けた。ただまぁ、何とも棒読みで大根な役者達となってしまっているのだが。“ぬいぐるみ”を特に強調して、屋台の士に聞こえる様声を張った。
「・・・・で、早く注文しないなら他所へ行ってくれ。それからその気持ち悪い生き物をどかせ、ビビって客が寄り付かなくなる。・・ただでさえドーナツが売れなくて困ってるのに・・・」
「「「「えー・・・・・・・・」」」」
開いた口が塞がらぬとは正にこれだ。こちらが必死で煙に巻こうとしていたのに、向こうはタルトとシフォンを見ても何一つ驚かない。まるでさも“それがどうした”と言わん秤の態度である。士は素っ気ない態度で、首からひもでぶら下げた二眼レフのマゼンダ色のカメラを弄っていた。
「ちょっとどーゆーこと!?全然驚いて無いじゃないっ」
「それどころか平然としてるわよあの人」
声を潜めチラチラ士を見る美希と祈里。
「むむぅ、まるであの時のカオルちゃん・・・・そー言えばカオルちゃん何処行っちゃったんだろ・・・」
「てゆうか、あの人一体誰なの?カオルちゃんのお店にずっと居たらしいけど。この辺りでは見掛けない人よ」
ラブの言葉にせつなも又謎の青年を一瞥し首を傾げる。
「せやなぁ、しかもカオルはんみたいな格好して」
「プゥーリー・・・」
何だかシフォンまで怪しげに士へ視線を送っている。そこで、屋台の側に一台の二輪車が停車しているのをラブは発見した。排気量680ccのバイク、車体は主にマゼンダと白、黒から成る特徴的装飾が施された物。それは普段士が跨がる愛車なのだが、カウル部分の溝に段ボールの切れ端が挟んである。
“ツカサ・ズ・ドーナツカフェ”
マジックペンの太字で書かれており、カタカナ表記の上部には一度アルファベットで失敗したのか大きく“×”がしてある。
「貴方は、“ツカサ”さん・・・?」
「そうだ」
「ここのお店は、元々カオルちゃんって人が店長さんをしていたお店なんですけど・・・」
「そうか、だが俺は知らん。この店は最初から無人だったし、それに」
「それに?」
「・・・どうやらこの世界で俺が果たすべき役割は、ここの屋台の店主ってことらしい」
そう言うと尻のポケットから二枚のカードを取り出し1人それを頭上に翳した。バーコードらしき縁取りで、中央には何かの絵柄が描かれているらしいがぼやけていてよく解らない。士はそれを又しまい、慣れた手付きで生地をこね出し機械の中へ投げ入れる。
「このドーナツカフェ新店主のオリジナルドーナツを今から振る舞ってやる」
「オリジナルドーナツ?」
「・・って、あの人さっきっからなーんか上からな物言いじゃない?」
「たっ確かに・・・ね」
「・・・・・・」
せつなは何を思うのか、ただ黙ってじっと士を見据えた。4人は一先ず並べられた席につき、ラブは少し楽しみにしながらドーナツが運ばれてくるのを待つ。しかし何故だろう、この感じは一体何なのか。青年から放たれる雰囲気は妙にミステリアスでもあり、そして何故カオルちゃんは姿を消したのか疑問が残る。
「士くーーん!」
「夏みかん」
「「「「“夏みかん”?」」」」
「ほうほう成る程、“夏蜜柑”のドーナツかい。・・で、どれや?」
そこへやって来た2人の男女、士の旅仲間である夏海・・・通称夏みかんとユウスケであった。
「探したぞ士」
「今度は何ですか、その格好。何だか胡散臭い感じがしますけど・・・」
士の格好を見て怪訝な面持ちを浮かべる。当の本人は意に介する様子はなく、ただ無愛想に両手にトレイを抱えながら顎で側のテーブルを示す。
「今接客中だ。ドーナツ欲しけりゃそこら辺に座って待ってろ」
「「ドーナツ?」」
揚げたてドーナツが入った籠を囲む一同。士の手作りのそれを一口かじるや思わず―――
『美味しい!』
と全員とも唸った。得意気にニヤリと笑う士、当然と秤にふんぞり返るのは何時ものこと。
「これいけるぞ士!」
「まぁな」
「ほんと美味しいですね!この抹茶味好きです」
「確かに、何時も食べてるカオルちゃんのドーナツも美味しいけど。“ツカサちゃん”のも最高っ!」
山盛りのドーナツはあっという間に無くなっていった。余りの美味しさ故に皆は直ぐに平らげてしまった。
「っ成る程。兄弟の味には負けるかもしれへんけど、これはこれで中々いけるな」
「へぇーっ!?」
「いっ鼬がしゃべっ・・!」
何かの見間違いか、そのフェレットも上手に前足を用いてドーナツを頬張っている・・・。
「これはぁってっ手品でしてぇっ」
「そうそう!上手いラブちゃん!」
「そうよね、これが本来の正しい反応なのよ」
「何納得してるのせつな!誤魔化すの手伝ってよ!」
士は思う、何とも騒がしく楽しそうな奴らだと。仲良く4人楽しそうに、ドーナツ一つで途端笑顔になって。―――ラブ達は必死に夏海とユウスケに対し手品であると説明、その勢いに負けた2人は納得いかない仕草を取るも何かの勘違いだろうと思うことにした。休憩を終える4人、余り休めなかった気もするがそのままダンス練習に入る。音楽を鳴らし、皆一つとなって息を合わせていた。
「あの子達本当に息ピッタリです。ねぇ、士君」
「ふん。ま、そこそこな」
「そこそこって。相変わらず偉そうだよな」
「正直な感想を述べただけさ」
これこそ彼の誤解を招く点だ。誰に対しても、美希の言う通り上からの物言いなのである。本人は直そうとしないし、その為行く先々でフォローを入れるのが夏海達の一つの役割となってしまった。
ズズーーーンッ!!
その時、何か遠くから聞こえた爆発音に一同はハッとして辺りを見回した。ラブ達は町の方に吹き上がる黒煙を発見して表情を曇らせる。
「なっ何だ今のはっ」
「地震?」
「さぁな」
そう言いながら士はエプロンを外し屋台を飛び出した。そんな彼に2人も後に続き、一方少女らも険しい顔付きでお互いに頷くと同じ方法に向かって走った。
住人達の喧騒は瞬く間に悲鳴へ塗り替えられていった。“それ”に気づき逃げる者から始まり、通行人の流れは叫びながら騒ぎの根源より遠ざかっていく。やがて大きなうねりとなってただ安全な場所を求め逃げ惑う人々。だが、その流れに逆行する形で根源の下に急ぐ者達が居た。人混みを掻き分け士達が走る、その先に待つものが何なのか確かめるべく。そして“それ”が良くない存在であろうと薄々気付きながらも。
「フハハハハハ!それで良い、恐れおののけ!人間共よ、我等の前にひれ伏すのだ!」
先ず1人、後ろ手を組み上下純白のスーツへ身を包む男。その周囲にはこの世のものとは思えない程恐ろしい姿をした謎の怪物達。それは行進し住人達を恐怖させ、手にした武器を振り上げ笑顔を奪い去る。駆け付けた士達は怪物達を知っており、睨み付けスーツ男達の前に立ち塞がった。
「アポロガイスト!」
「ん!・・・現れたな“ディケイド”」
「大ショッカー!又お前達か!」
「ふん。我々偉大なる悪の大組織、その目的を阻む愚か者共め。やれいっ!!」
アポロガイスト、そう呼ばれた彼の指示を受ける“怪人”。人々から士達に注意を向け、2人を取り囲む様にし並び立った。夏海は建物の陰に身を潜める、これから始まるだろう仲間達の戦いを見守ろうと距離を取る。
「ラブ!見て!」
角を曲がりきったせつなが一番に発見した。
「っ何あいつら!」
「ラビリンス、かしら」
「違うっ、きっと何か別の・・・!」
「えぇ、私も見たことが無いわ」
初めて目撃する得たいの知れない存在、自身達のよく知る者達とは違うだろうと感じ取る。片や、怪人達と対峙した士とユウスケは、予感が当たったと舌打ちし構えた。先ず士は何か四角い形状の物を取り出すと、それを腰へ当てそうすることで巻き付けてベルトとする。ユウスケは腹部に両手を翳し、彼に応えた秘められし力は“アークル”なる同じくベルトを具現化した。
「士さん達何をしているのかしら」
「危ないよ、兎に角助けなきゃ!」
「待って」
「せつな?」
せつなは何かを思って士達の様子を窺う。ラブは自らを制止した彼女に首を傾げた。
〈―KAMEN RIDE―〉
音声が鳴る、“ディケイドライバー”のバックルが開かれスロットを展開。士はそこへ取り出したカードを入れ―――
「「変身!!」」
ユウスケはゆっくりとした動作で両腕を構え声を揃えた。
〈―DECADE―〉
カードを落としバックルを再び回転させる。士の体に9人の人影が重なり、出現した数枚のプレートが目の前まで上昇して顔面に突き刺さり仮面を形成する。又、ユウスケは下半身から段々と強固な装甲に身を包まれていく。2人は戦士の姿へ変身を遂げ、門矢士はディケイド。小野寺ユウスケはクウガへ各々なる。
「ツカサちゃん!?」
「“ディケイド”って」
「「ユウスケさんまで・・・!」」
胸に十字を刻むマゼンダの装甲。緑の複眼を持ったバーコードの様な仮面に素顔を隠し、士ことディケイドはアンデッドなる怪人を相手取る。そこにイマジンが加わり、肉弾戦が展開され拳を打ち合う。
「ハァっ!」
ユウスケことクウガ。炎の様に真っ赤な装甲と複眼、金色の立派な角を備える古代の超戦士。彼はグロンギと呼ばれた敵と戦いを交え、加えファンガイアなる存在へも応戦し立ち向かった。―――グロンギ、メ・ガリマ・バの降り下ろす鎌を回避したクウガは透かさずパンチを打ち、続きグリズリーファンガイアの剣を受け止め蹴りを放つ。
「超変身!」
同時に武器を奪い姿を変える。装甲の形状と色、複眼の色は紫へ。通常形態のマイティフォームからタイタンフォームにチェンジ。グリズリーファンガイアの剣はクウガの力でこちらも変化を受け、専用武器であるタイタンソードとなった。大剣を振るい怪人達を切り裂き、下方から上方への袈裟懸けはガリマを倒す。
「ハァァッ!!」
突き刺しの一撃がグリズリーファンガイアにヒットし、タイタンフォーム必殺技“カラミティタイタン”が炸裂。爆発し葬られた。
〈―ATTAC RIDE・・・SLASH―〉
左腰のカードホルダー、ライドブッカーより取り出したカードを装填。続けてブッカーを手動変形させソードモードとするディケイド。切れ味を強化するその効果で攻撃力の増す斬撃、ディアーアンデッドからスパイダーイマジンへと立て続けに切りつけた。振り向き様そっと刃先を指で撫で付ける。
〈―ATTAC RIDE・・・BLAST―〉
再びカードを入れた。ライドブッカーはガンモードへと切り換え、ソードの刃と同じくブッカー本体が強化されて分身を生成しエネルギー弾を高速連射。スパイダーイマジンがこれを受け撃破され、ディケイドは止めとするべく最後のカードを用いた。
〈―FINAL ATTAC RIDE・・・DE・DE・DE・ DECADE!―〉
目の前に現れるカード型エネルギー、その中へ一撃撃ち込み光弾を強化。ディアーアンデッドは必殺技“ディメンションブラスト”で倒される。
「ふっ・・・ディケイド!私は諦めぬぞ、さらば・・・」
アポロガイストことガイ。彼の背に灰色のオーロラが浮かび、彼はその中へと消えていった。危機が去り、変身を解くユウスケ。ディケイドもドライバーのバックルへと手を掛ける。
「ディケイド!」
その時だった。彼のその名を呼ぶ声がし、方向を辿り見付けた先には四つの人影がある。
「貴方ね、“世界を破壊する悪魔”は・・・!」
「何」
それを口にし叫ぶせつな。
「せつな?今なんて・・・」
「ラブ。見たでしょ、あの人は“世界の破壊者ディケイド”なのよ」
「・・・確かに。ディケイドってそう聞こえたよね」
「ブッキーまで・・・。そんな、あたしっ」
ラブを除く3人は自ら携帯状のアイテムを一斉に取り出す。
「ユウスケ、これって」
「何でラブちゃん達がディケイドを知ってるんだ・・・!?」
ディケイドは無言のままその場から4人を見据え、次の瞬間少女達はその叫びと共に眩い秤の光に包まれた。
「「「チェインジ・プリキュア!ビィィートアーーップ!!」」」
空間の中を滑り、飛び、落下し。崩された髪型は再び別の形に形成されていき、せつなと美希、祈里は服装をも変化させ順に降り立った。
「ブルーのハートは希望のしるし!」
パン!
胸の前で手を打ち鳴らし、ポーズを決め名乗り上げる。
「つみたてフレッシュ、キュアベリー!」
青紫のロングヘアーは同色のサイドテールへ。青いコスチュームに身を包み、蒼乃美希はキュアベリーに変身。
「イエローハートは祈りのしるし!・・取れたてフレッシュ、キュアパイン!」
セミショートの茶髪は山吹色の同型へ。黄色いコスチューム、山吹祈里はキュアパインに変身。
「真っ赤なハートは幸せの証し!・・熟れたてフレッシュ、キュアパッション!」
そして東せつなの暗い青紫色のセミロングは、見違える様な淡いピンク色のロングヘアーとなった。赤いコスチューム、キュアパッション。それはこの世界を守るという戦士であり、その者達は町の人々にも広く知れ渡った存在だ。夏海とユウスケは愕然となりパッション達を見詰め、一方ディケイドはその仮面の下で一瞬僅かに目を見開き呟いた。
「変身だと!?」
「あの子達は一体」
「ひょっとして、ここもライダーの居ない世界」
夏海は胸騒ぎの様なものを感じて緊張を高めた。少女達の変身を前にしてディケイドは静かに息を吐き出す。張り詰めた空気の中で両者は物言わずににらみ合いを続けた。
NEXT....B-PART