仮面ライダーディケイド vs フレッシュプリキュア! 作:新生ブラックジョン
Bパート
か細い手足から繰り出される一発一発の重みは、ディケイドが怪人へ打ち込んできたそれと大差無い程の威力であった。弾丸かと思われるスピードで飛び出した3人の、放たれたパンチを腕を交差させ防御したディケイドは、そのまま距離を取り再び次に備えた。
「「ダブル・プリキュアキィィィック!!」」
ベリーとパインの飛び蹴り、
バシィィィッ!!
回避し迫り来るパッションの拳を受け止めた。
(こいつらっ、なんて馬鹿力だ・・・!)
その右手は途端に痛みを覚え、ディケイドは“仕方無い”と息を吐き地を蹴った。大人げないとは解っていてもプリキュア達は本気で掛かってくる、ならばこちらもそれに応えねばなるまい。認めたくは無かったのだが、プリキュアは確かに強い。ディケイドは自身の様な者にも匹敵するのでは無いかと考えた。
バシィィィッ・・ドゴォォォンッ!
「きゃあぁぁっ!!」
「パイン!」
パッションの真横を黄色い戦士が掠めていく、ディケイドは突撃してきた所へ肘を放ち吹き飛ばした。続きマゼンダの戦士を睨み付けたベリーが連続のパンチを与え、これを避け、又は防御し最後の上段蹴りをも防ぎきるディケイド。戦士の健脚を掴み隙を突いてキックを喰らわせた。
「・・皆っ、止めてよ!どうしてこんなっ」
「っラブ!何してるの?!」
「早く変身してよラブ!」
「ラブちゃんっ・・・」
しかしその手に変身アイテムである携帯を握り締めたまま、彼女はただ立ち尽くし戦いを止める様呼び掛けるだけだった。
「どうした!お前達の力はそんなもんか」
「「っ何ですって!?」」
「ベリーっ、パッション!!」
最も戦意を露にする2人が一気に向かう、が、彼女達の視界へ飛び込んだ存在にブレーキを掛けざるを得なかった。叫んだラブが駆け出し、あろうことかこちらの目の前に立ち塞がったのである。僅かな距離、ベリーとパッションの固く握られた剛拳が少女の顔面スレスレに静止した。
「ラブっ?!」
「どいてラブ!そいつは私達の世界を破壊しに現れた悪魔なのよ!?」
「っち、違う・・・違うよ!ツカサちゃんは悪魔じゃない!!」
「ラブちゃん・・・!」
パインもただ、その様子を見守ることで彼女の身を案ずる。
「どうしてっ・・!」
「・・ツカサちゃんのドーナツ。皆も食べたでしょ?スッゴく美味しかった・・・!あんなに美味しい物を作れる人が、どうして私達の世界を壊すの!?どうして悪魔なの!?」
「ラブちゃん、士をあんな風に思って・・・」
「はい」
かつて旅をしてきた世界で、あの少女の様に最初から士を庇った者は何れだけ居たのだろう。ラブの眼差しは何処までも純粋で、本気で士を守ろうと彼女は仲間を止めた。
「だけどラブ・・・!」
「せつな、美希たん。・・・止めて」
「・・・・どうだかな」
沈黙が流れ、その中声を発したのはディケイドである。
「お前がさっき言ったこと、そんなの何の根拠にもならないだろ。・・実際俺は“悪魔”―――そう呼ばれてる。何処へ行ったってな」
「ツカサちゃん・・・?」
中央に赤い秘石が埋め込まれたディケイドライバー。ハンドルを引きバックルを回し、カードをキャッチして変身を解いた。
「成る程な。・・ここもライダーが居ない世界って訳だ」
「“ライダー”・・・?」
士の言葉に疑問符を浮かべるプリキュア達、青年はカメラを手に取るとレンズ部分の蓋を外す。ファインダー越しに、彼を怪訝そうに見るベリーやパイン、パッション達に対しシャッターを切っていく。
「・・さて、この世界のことも少しは理解出来たしな。悪いが俺は店に戻るぜ」
「士君!?」
「おっおい!士!」
これには流石の夏海とユウスケも呼び止めずにはいられない。何処までも自由な奴だとぼやく仲間達はその背中を見送るしか無く、パッションは声をあげ士を呼ぶ。
「待ちなさいディケイド!」
「・・何だ、まだやる気か?生身の人間相手にそりゃないだろ」
そうである、幾ら向かった所で今の士は変身解除している。即ち世界の破壊者と言えど、人間相手にプリキュアの力を使う訳にはいかないのである。
「じゃあな」
その場に取り残される者達を尻目に、士は又しても何事も無かったかの様に振る舞い戻っていった。この、プリキュアの世界で与えられた役割をこなす為に。
「ここって・・・」
夏海とユウスケの案内を受け、タルトとシフォンを抱いたラブ達4人が足を運んだのは一軒の写真館。・・・・・・・古びた外環はレトロな雰囲気を漂わせ、外には“光写真館”と看板が立てられている。一つ不思議なのは、確かにここは元々写真館だったのだが、その時は“四つ葉写真館”と表記されてた筈なのだ。それこそ今とは建物自体の見た目も異なっていたし、ラブ達は現に最近ここへ立ち寄ったこともある。詰まりはこの光写真館そのものが、元々そこに存在していなかった筈だということだ。
「こちらです、皆さんどうぞ」
扉を開けその中へ。通された室内で、先ずラブが目に留めたのは写真館内の背景ロール。
「これ」
「・・四つ葉のクローバー?」
美希も加わり近くで眺める。中央に一枚一枚の葉がハート型となった、桃、青、黄、赤色のクローバーが。
「もしかして、これ私達?」
「ピーチ・・ベリー・・パイン・・パッション・・・ほんと、私達ね」
四つ葉の四方に各々瑞々しい果物が見られる、それが自身達を示していると思う祈里とせつな。
「お帰り夏海、ユウスケ君」
「お祖父ちゃんただいま」
と、キッチンから顔を覗かせる1人の老人。彼は4人の客を見て笑顔のまま会釈し、ラブ達も又それへ返し。老人は光栄次郎、この写真館の経営者であり夏海の祖父だ。
「それで、色々聞きたいことがあるよね。お互い・・・」
「・・・先ずは、私達の話から聞いて頂けますか?」
士やユウスケが変身した姿を、人は仮面ライダーと呼ぶ。パラレルワールド、異世界にはそういった戦士達がおり各々の悪と戦っていた。しかしある時、九つのライダー世界が融合を始め滅びの危機を迎える。夏海が住んでいたという世界も怪人や怪物に襲われ、その時ディケイドの力を手にした士に助けられて彼等の旅が始まった。士は九つの世界を滅びから救うべく出発し、夏海も又同行してそこにユウスケが加わった。そして現在は、九つのライダーの世界だけでない新たな世界を旅している、と2人は語る。
「パラレルワールド・・・それじゃあ夏海さん達は別の世界から?」
「はい。私達はまだ旅を続けているんです」
美希の問いに頷き答えた。と、ユウスケが話し始めたのは先程自身達が戦った敵に関することだ。
「「「「大ショッカー?」」」」
「何やねんそれは」
声を発するタルトに対し、“やはり鼬が喋った”とここでも驚きながら話し続ける。大ショッカー・・・それは様々なライダーの世界で悪事を働いてきた組織が結託し生まれた大組織。その目的は、全世界の征服。クローバータウンストリートに現れた男、アポロガイストとは大ショッカー・大幹部。連中は“次元の架け橋”と呼ばれる手段で自由に異世界を行き来し、その地を全て支配しようと企んでいた。それを聞かされたラブ達はただ驚き黙るしか無い。口を閉ざし、夏海とユウスケの話を耳に入れる。
「なんやてぇ!っラビリンスの他にも全パラレルワールドを狙う連中がおったとはなぁ・・・!」
「「ラビリンス?」」
「あ、今度は私達がお話します」
祈里の一言から、次は彼女達プリキュアやこの世界に関することが語られた。―――管理国家ラビリンス。それは総統メビウス率いる、なんとこちらもパラレルワールドからやって来たという悪の組織だと言う。その目的とは大ショッカーと殆ど同じと言ってよいだろう、全世界を総統管理下に完全統治・・・即ち支配することであり、先ず“インフィニティ”なる無限メモリーを手に入れなければならないらしい。
「へぇ、伝説の戦士プリキュアかぁ・・・」
「そのラビリンスは、インフィニティを探しにラブちゃん達のこの世界へ?」
「そや。ほんでわいはスイーツ王国っちゅう所から、このシフォンと一緒に伝説の戦士プリキュアを探しに来たんや」
「っでー・・・君、タルトが見付けたそのプリキュアが」
「「「「私達です」」」」
「成る程・・・それでインフィニティというのはどちらに?」
これにも答えたのはタルトだ。それはまだ誰にも解らない、ラビリンス側も躍起になり探しているという。又、一方で人々を不幸にするべくナケワメーケなる怪物を使役し町の人々を襲わせるという。
「管理国家ラビリンス・・・なんて奴等だっ」
「・・そう言えば、私達が旅した世界の一つにも、ラビリンスと似た様な世界がありましたね・・・」
そこに住まう住人達は絶対的な恐怖に支配され、誰もが偽りの優しさを強いられる世界だった。
「夏海さん、士さんは世界の破壊者じゃ無いんですね」
「ラブ・・・」
「だってそうでしょ?世界を救う為に旅をして戦っているんなら破壊者なんかじゃないですよね」
「・・私達はそう思ってます。これまで色んな世界に辿り着く度に、皆さんそんな風に仰ってましたけど。私達は士君を信じてますから」
「ああ、俺だって士に助けられてここに居るんだ。だから士は世界を破壊する様なことは・・」
「でも、だとしたらあの人の言ったことって」
「せつな?」
「そうよね、あれって所謂警告って奴でしょ」
「“警告”?」
美希の言葉に反応する夏海。
「つい最近です。私達の前に突然男の人が現れて・・・」
「“男の人”」
曰く本当に突如として、何の前触れも無くその者は現れたらしい。ラビリンスとの戦いを終えた4人の前に、真夏日にも関わらずコートを羽織ったフェルト帽姿の男だったと言う。
「伝説の戦士、プリキュア」
「貴方は誰?」
「・・どうか警戒しないで欲しい。私は君達へ伝えにやって来たのだ。・・もう直ぐ、君達のこの世界を破壊しようとする者が現れる」
「世界を破壊する・・・?」
「どういうことなの?!」
「・・・そいつの名はディケイド・・・!世界の破壊者、悪魔だ。・・キュアピーチ、ベリー、パイン、そしてパッション。気を付けるんだ、奴によって全て壊されてしまう・・・なにもかも」
まるで蜃気楼の様に、彼はその警告を伝えて消えた。聞き、夏海とユウスケは同時に男の名を口にする。
「「鳴滝さん」」
ことあるごとに行く先々に現れては、例の士に関する噂を流しては排除しようとする謎の存在。何故そこまでしてディケイドを憎むのか、今だ真相は定かではない。
「さぁさぁ、皆。果物のゼリーを冷やしといたからね、ささ、遠慮しないで」
そこで栄次郎が再び登場し、盆の上へ缶詰から開けたフルーツゼリーを持ってきた。全員分が用意され、少女達は礼をしてご馳走になることとした。
「今日は、色々とお話をありがとうございました」
気付けば夕暮れ時で、別れを告げたラブ達は光写真館を後にした。世界の破壊者ディケイド、それは果たして本当に誤解なのか。それともあの門矢士は、本性を隠し何かを企んでいるとでも言うのだろうか。道中ラブは、“ツカサちゃん”が悪人等では無いと信じたかった。一方、美希と祈里は誤解だったとすれば申し訳無いことをしてしまったと肩を落とす。確かにディケイドの力は並みでは無く危険な物にも成りうるだろう。だが士自身がそれを、これまで世界を守る為に使ってきたのだとしたら。夏海達の言葉に嘘は無かった筈だ。そして、せつなも1人ユウスケ達の表情を思い返す。心から士を仲間として心配していた様に窺えた。・・・でも、と、やはり鳴滝の言葉も脳裏を掠める。彼の警告からはディケイドが如何に危険な存在かと伝わってくる気もしていた。
(ラブ・・・)
その彼女は信じているだろう。何処までも純粋な気持ちで、あの士が破壊者等では、悪魔では無いと思っているに違いない。
「きっと大丈夫。皆、ツカサちゃんを信じよ」
そうだ、ラブはこうやってあの時も庇ってくれたことがあった。―――東せつな、彼女がラビリンス総統メビウスが僕である、イースとして彼女に近付いた時も。せつなを友達と言ってくれていたのだ。
「美希たん?」
「・・何でもないわ、じゃあね」
「さようなら、美希ちゃん」
(何だろ、美希タン。何か変だよ、どうして・・目を逸らしたの?)
「・・ラブ!」
「・・・あっ、えっと何」
「そろそろ私達も帰らないと」
「そうだね・・・、じゃあねブッキー」
「うん、2人共さようなら」
各々が各々の帰るべき場所へ歩む、明日はコーチ付きのダンスレッスンがある。
「ラブ、あのね、私・・」
「・・・・・・」
聞こえてない、今の彼女にはせつなの声は届いていない。何だろう、この感じは。
「士君!聞いてますか?」
「あーあー、大体解った。ラビリンスが全パラレルワールドの征服を企んでるって訳だろ、プリキュアって伝説の戦士がそれと戦ってこの世界を守ってる」
翌日。彼は今日も客足が少ないと愚痴を溢し、ドーナツを売ってる場合では無いと夏海は言う。士は退屈気に彼女の話へ相槌を打った。
「夏みかん・・何妙に張り切ってんだ?」
「良いですか?全パラレルワールドですよ!詰まり私達がこれまで旅してきた世界だって危ういんです。この上大ショッカーまで相手にするなんて・・・幾ら士君とユウスケでも苦しいですよ!」
「はぁ・・・だからこの世界にはプリ・・何とかってのが居るだろ。ラビリンスはそっちに任せときゃいいさ」
「プリキュアですっ。・・そうです、だから士君もラブちゃんと直接お話して誤解を解いてもらわないと」
「やれやれ・・・まともな客は一切来ないで、よりにもよって夏みかんかよ」
「・・・士君!!」
「・・おい。噂をすれば何とやらだ」
彼が指差した方を見る、上下赤いジャージ姿の少女が現れた。
「・・夏海さん、こんにちは」
「せつなちゃん。こんにちは」
「・・・又ダンス練習、か。こんだけ暑いのによくやるな」
「皆で精一杯頑張るって決めたので。・・・士さん、昨日は・・すみませんでした」
丁寧に頭を下げる少女に青年は黙ったまま、並べられた椅子へ深々腰掛けふんぞり返る。そんな態度に親指を突き立て“光家秘伝・笑いのツボ”を押したくなった女性はグッと堪えて我慢した。せつなが又口を開いたからだ。
「私はただ、皆を・・この町を守りたかったんです。誰にも壊させたくない、大切な人達が居る素敵な世界だから」
「せつなちゃん・・・」
「・・お前、元々はラビリンスの手先だったらしいな。この夏みかんから大体の話は聞いた。どうしてプリキュアに?」
「ラブ達に出会ったから。彼女達から大切なことを沢山教えて貰いました。私の正体を知っても尚、彼女は・・・ラブは私を助けようとしてくれたんです」
「素敵なお友達ですね」
せつなはプリキュアとなり、この町の住人と触れ合う中で様々な経験をした。1人よりも笑い合いながら皆で食事をすることの楽しさ。ラブと彼女の家族から教わったことだ。総統メビウスの下に居た頃には感じることの無かった温かさ。ほんの些細なことかも知れない、けれどとても大切なもの。せつなは自らにそれを気付かせてくれた、そして自分を暖かく迎え入れてくれたラブ達や四つ葉町の皆の笑顔・・・人々の幸せをこれからは守りたいと思う。だから彼女は4人目、キュアパッションとしてラビリンスと戦っていた。
「ラビリンス・・・住人の、国の全てを徹底管理しています。それこそ寿命まで・・・」
「人の寿命を!?・・何だか怖い話ですね」
「そうか。・・・それで、その友達はどうしたんだ?何時も4人一緒じゃないのか?」
「・・・っ後で来ますよ、今日もダンスレッスンあるから。何時もこの公園で集まってやってるんです」
「ふぅん。上手くなるといいな」
「え」
「・・中盤のステップ。悪いがあれじゃあとても人に見せられるもんじゃない。足下を気にし過ぎだ、もっと胸を貼って大きく動いて良いと思うぜ」
と、穴の形状がハート型のドーナツを紙へ包み手渡す。
「なーんか偉そうですね。ダンスのこと解るんですか?」
「・・俺を誰だと思ってる。大体のことならそつ無くこなせてしまうんだ、ドーナツ作りもな。ほら」
「ありがとう、ございます」
「ツケにしてやる・・・・いや。やはり夏みかん、お前の奢りな」
「ちょっ勝手に!それにツケと言えばっ、カメラの修理代とフィルム代現像代払って下さい!」
「何時か払ったろ纏めて!」
「・・くっ加えて利子がついてますからっ」
「夏みかん・・・てめぇな」
そんな2人の様子にドーナツを持ったまま圧倒されるせつな。その時何者が現れこちらに向かい歩んでくる。
「楽しそうじゃないか士!・・今度はドーナツ屋さんかい?」
「っお前」
「大樹さん」
「そうだな・・・メロン味なんてあるかな」
「っ今私見て言いました?私夏メロンじゃありません!」
悠々とした態度で現れた青年はせつなと目を合わせる。目深に被ったキャップを脱ぎ、すると何処からともなくあるアイテムを取り出す。
「海東、今度は何企んでる。お前のことだから又お宝云々だろうがな」
「学習してるね士。そうさ、そちらのお嬢さんに用があってね」
「私?」
「そう。・・東せつな、元ラビリンス総統メビウス様が僕・・そして現在は伝説の戦士プリキュアの1人。・・キュアパッション、君の持つその力に興味があってね」
「貴方何者」
「通りすがりの・・」
「こそ泥、だろ」
台詞を遮られムッとした表情を向ける海東大樹。咳払いをし改めてその手の拳銃を取り回す。
「まぁ正確に言えば“君の力”だから興味があるのさ。ラビリンスに管理されていた中、その寿命が尽きたにも関わらずプリキュアとして蘇った」
「それがどうした」
「聞けよ士。・・プリキュアとして蘇った、これは凄いレアケースだと思わないか?」
「・・要するに何が言いたいの?」
話の先を急かすせつなに対し、彼は不適な笑みを浮かべて一枚のカードを取り出す。それは士の持つディケイドの物と酷似している。
「詰まり他のプリキュアとは違う。その上、彼女の力とは瞬間移動という中々珍しい物だ。・・・特別だからこそ、この僕に相応しいお宝だよ」
「ったく、勿体振って結局はそれか」
〈―KAMEN RIDE―〉
大樹はその大型拳銃、ディエンドライバーへカードをセット。スライドを押しやりポンプアクションする。
「変身したまえキュアパッション、先ずはその力を見せてくれ!・・・・変身!」
〈―DE・END―〉
頭上に掲げトリガーを引く、銃口より発射された紋章はそのライダーを表す。続けざま赤、青、緑の人影が現れると同時に頭上にあるエネルギー状の紋章・・・ライダーズクレストは変化して数枚の“ライドプレート”となり頭上で滞空。そして人影が大樹の体に全て重なることで装甲に包み、最後にプレート達が回転しながら落下して顔面へ突き刺さり仮面を形成する。―――目の前に立つシアンボディの次元戦士。海東大樹は仮面ライダーディエンドへと変身した。
(美希たん・・・)
1人その友人を追いかけて行ったラブは、せつなを先に帰らせ自分だけ駆け寄っていった。昨日のことも謝りたい、彼女達はただ町を守ろうとしただけなのに。それなのに自分は士を庇い邪魔をしてしまった。ラブはあの時、美希の視線が自身から逸れるのを見逃さなかった。・・・きっと怒ってる、勝手なことをしたから呆れてしまったんだとラブは思う。だから、ちゃんと謝りたかったのだが。相手は、“又後で”と一言残し走り去ってしまった。今日は朝から美希のことしか考えていない、自分は嫌われてしまったのかと。
「はぁ・・・今日のあたし最低」
「美希ちゃん」
「ブッキー、あたしラブに謝らなきゃいけないのに・・・それなのに逃げちゃったの」
彼女の気持ちも解らないで・・・今の美希はラブに対し申し訳無いことをしてしまったと後悔している。彼女の士を信じる心を半ば無視し、自分はあの青年に攻撃してしまったのだ。だから、顔を合わせることさえも耐えられなくなって・・・。
「私も・・・。ラブちゃんになんて謝ったらいいか・・・・でもきっと大丈夫、私信じてる」
「ブッキー」
「公園に着いたら、次は2人で謝ろ?」
「・・うん」
「大変やぁーーー!」
その背にシフォンを乗せ四つ足に駆けて来るタルト。血相を変えラビリンス出現を報せた。
「ミユキはんにはわいから連絡しといたさかい!」
「解ったわ!ブッキー、ラブとせつなに連絡を!」
リンクルン、これはラブ達が持つ各々の携帯電話に妖精ピックルンの力が宿ったことで生まれた、プリキュア達共通の変身アイテムである。祈里は自身のを取り出し、先ずラブの方へ連絡を取る。
『解った!直ぐ行く!』
電話口にそう聞こえ、次にせつなへ掛ける。
「どうしたの?」
「駄目、繋がらないみたい」
「ヨッシャ、わいが伝えてくるわ!先に3人向かっててや!」
目的地へ向け走り出す者達、一方せつなはディエンドとの戦いに突入していた。変身を終えた両者は互いに拳を交え、時に相手の攻撃を回避し次を放つ。ディエンドはドライバーによる銃撃を放ち、パッションの足下から煙を発生させることで目眩ましを目論む。加えエネルギー弾を連射し、が、素早く移動した彼女は彼の背後に回り込んだ。
「ふん、流石だ」
〈―ATTAC RIDE・・・BLAST―〉
全ては想定内、予めカードを装填し発砲。強化・分身した銃身から追尾性能が加わった多数の光弾がパッションを襲い着弾してしまう。上下左右から繰り出されるそれから逃れるのは難しい。予測出来なかったプリキュアは吹き飛ばされる。
「ここからは本気だよ。力の源、パッションのリンクルンを頂く!」
追加されるカード、立ち上がったパッションが接近し矢継ぎ早に連続パンチを与える。又、ディエンド自身も高速移動の能力を用いて避けきり、ディエンドライバーのスライドを動かし力を発動した。
〈―KAMEN RIDE・・・FEMME―〉
出現するそれは、ディエンド特有のカメンライドである。他のライダー世界に存在する者、これを忠実な実体ある幻として召喚し使役出来るのだ。―――仮面ライダーファム。鏡の中の世界ミラーワールドで戦う、純白の装甲を持つ女ライダー。彼女はディエンドに従い、左腰のホルスターから羽召剣ブランバイザーなるレイピアを握る。
「女性同士仲良くね。よろしく」
襲い掛かるファム、剣先をかわし跳躍するパッション。飛び蹴りを加え着地、回転を加え更なるパンチ。が両腕により防御するライダー。
「だけど僕のことも忘れないでくれ!」
「きゃああっ!!」
ディエンドの掌底が入った。命中し大きく後退する。
「大樹さん何てことを!」
「助けが必要だな」
〈―KAMEN RIDE・・・DECADE―〉
バックルを装着、ディケイドとなり加勢に向かう。ジャンピングパンチしファムを妨害、ライドブッカー・ソードで切り結ぶ。
「邪魔するな士!」
「嫌だね」
〈―KAMEN RIDE・・・RYUKI―〉
間髪入れず回し蹴り、ディエンドを遠ざけカードを入れる。ディケイドのカメンライド、それは他のライダーへの変身能力。バーコード状の顔面が鉄仮面に変化、マゼンダの装甲は銀色となりボディは真っ赤に染まる。ディケイドライバーを残し全てが変わった。ファムと同じ世界に存在する仮面ライダー龍騎、その力を使う今は“ディケイド龍騎”だ。
「士さん、その姿・・・!」
「行くぜパッションっ」
龍騎の専用武器、ドラグセイバーを構えた。プリキュアと共にファムを攻撃、パッションのストレートパンチからディケイド龍騎の剣撃。ディエンドの銃撃が放たれるもそれは外れ、ディケイド龍騎が再びカードを用いる。
〈―ATTAC RIDE・・・STRIKE VENT―〉
その手に龍の頭部を模す籠手、ドラグクローが装備されパンチモーションのライダー。同時に火炎球が発射され、ドラグクローファイヤーが炸裂!受けたファムは爆発に呑まれ消失した。
「士・・・!・・まぁ良いさ、必ずリンクルンを手に入れて見せるっ」
〈―ATTAC RIDE・・・INVISIBLE―〉
逃走を選んだディエンドの姿が消える、自身を透明化し去っていった。
「士さん、あの人は・・・」
「気にするな、お宝マニアの泥棒ってだけさ」
「海東大樹さん。士君と同じ仮面ライダーで、私達みたいに世界中を旅してるんです」
「あんなのと一緒にするな、ったく。うちの店にまともな客は来ないのかね」
変身を解き戦闘体勢を終える士達。そこで現れたタルトが叫びながらせつなを呼んだ。
「パッションはん!ラビリンスでっせ!」
「解ったわ!」
既にラブ達が向かったことを知り急ぎ走り出す少女。
「士君!」
「次から次に忙しいぜ」
すると背後からエンジン音と共に現れるマシンディケイダー、せつなにヘルメットを渡す。
「急ぐだろ、乗れ」
「ありがとう!」
「夏みかん!そこの鼬と一緒に店番頼むぜ」
「ちょっえっ?!」
「わいは鼬ちゃう!可愛い可愛い・・」
ブオォォォォォォ・・・!!
「って聞きぃやぁーーー!!」
せつなを乗せ四つ葉町を疾走する士。バイクはナケワメーケが暴れる地点へ急ぐ。
「あれか!」
巨体を誇る怪物が町中に居る。それこそ人間の身の丈をゆうに越え、車一台等軽々吹き飛ばしてしまう程。ナケワメーケとはラビリンスの幹部が生み出し使役する存在であり、人間世界の様々な物体や動物を利用し誕生する。今回現れたそいつも、人々を不幸としゲージを溜めようと猛威を振るう。
「チェインジ・プリキュアっ」
ザンッ!
目の前を横切った影が何かを掴み、変身しようと構えたせつなは何かを手放す。彼女の赤いリンクルンが消えた。
「海東!」
「貴方っ。リンクルンを返して!!」
「確かに頂いた、バイバイ♪」
リンクルンを手に物陰へ飛び込む、追い掛けたが既に姿が無い。何と逃げ足の早いことか、消えたと思わせ機会を窺っていたに違いない。彼の狙いは、せつなへプリキュアの力を与える存在となる妖精・ピックルン・・・アカルンが宿った変身アイテムのリンクルンだった。大樹はまんまとせつなからそれを奪い去ってしまった。
「そんな・・・・・・!」
「ちっ、彼奴!―――ここは俺が行く。変身!」
〈―KAMEN RIDE・・・DECADE―〉
橋の上からダイブし降下、飛び蹴り姿勢でナケワメーケを狙う。
To be continued...