仮面ライダーディケイド vs フレッシュプリキュア!   作:新生ブラックジョン

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ディケイド&プリキュア!この世界を守れ!! Aパート

アバン

 

忙しない、男は地上を見下ろしながらドーナツを一口かじった。ビルの屋上に立ち都心の風を受けながら、“ラビリンス総統・メビウス様が僕”の彼はスーツ姿の行き交う人々を観察した。こうして外へ出向きこの世界の人間達の行動を観察することで、不幸のゲージを溜める手だてを思い付く限り挙げていく。例えばあれ・・・はこの前プリキュアに阻止されてしまったし、ならばこれだ!・・・もやはりプリキュアに邪魔された。胡座をかき筋肉質な腕を組む。・・・しかしこれだけ頭を使うと糖分が欲しくなる物だ。

「あれ・・・ドーナツが無い!」

しまった、考えながら食している内食い尽くしてしまった。―――この世界へ溶け込む為の仮の姿、“イケメンマッチョマン”である西隼人は地上に降り立つ。又何時ものあの店でドーナツを買い足すか・・・そーいや俺は何をしにここへ来たんだったか。隼人の思考を鈍らせる照り付ける太陽光、これではよい作戦が一つも思い付かない。

「暑いな・・・世間じゃとっくに夏休みは終わったっつうのに・・・」

屋台のある公園までの足取りも重たい、こう暑いと何もやる気がしない。

「エーーーッ!最悪だぁ・・・」

「ん」

“最悪”、それは詰まる所不幸な目に遇った時人間が発する言葉の一つだ。一体何が最悪なのか。

「何だよー急いでるのに~・・・通れないじゃないかっ」

通行止めの看板だ。工事現場等によく立てられている、作業員が頭を下げているあの看板。この暑い中スーツを着込む、恐らくは会社員だ。朝から晩まで忙しなく動き回り働く、男は余程急いでいた様だ。舌打ちし苛ただし気に迂回していく、隼人は看板に近寄った。

「・・・あれだけ忙しなくする人間だ。もし急いでる時行く手を阻まれたら・・・フフフっ」

両手を合わせ、捻り、それを掛け声と共に一気に広げる。

「スイッチ・オーバー!・・・行く手を阻まれ大遅刻、目的地にも辿り着けずに大混乱!・・・我ながらよく思い付いたぞ」

ドーナツの糖分が効いた様だ。仲間の幹部が何時か言っていた、糖分は疲れた頭の働きを活性化すると。西隼人、改めウエスターは知識をくれたもう1人の幹部に感謝した。

「フフフ・・・ナケワメーケ、我に仕えよ!」

両手間に出現させたダイヤ型カード、これを看板へ張り付けることで使役怪物を生み出す。

「トオセーーーン・ボ!!」

描かれていた作業員風の容姿を持つナケワメーケ、大通りへ飛び出し片っ端から通行人の行く手を阻み出した。目の前に現れ人々を逃げ出させ、尚も進もうとする者にはその手の指示棒を振り上げ追いかけ回す。又車両が通ろうものなら道路を叩き割り迂回させた。町中にウエスターの笑いが響き渡る、更なる不幸を求めナケワメーケが突き進む。

「いいぞ!不幸のばら蒔きだ、もっともっとやれーーーい!!」

行動はエスカレートしていった、タクシーやバス等時間にうるさい車両を集中して狙い。そして目指すは町の駅方面、電車がストップすればダイヤが乱れる。最も遅刻したくない人間が集まるであろうその場所で暴れれば沢山の不幸が・・・。この時ウエスターの笑いは止まることが無かった。・・そこへプリキュア達が駆け付けるまでは。

「ラビリンス!!」

「ちぃっ現れたなプリキュア!」

「皆、行くよ!」

「「えぇ!」」

途中合流したラブを加え、3人は四つ葉型の鍵を用いて手帳を開く。リンクルン内部にあるローラー、これを指先で回転させ声を揃える。

「「「チェインジ・プリキュア!ビィィートアーーップ!!」」」

光に包まれコスチュームを纏う、その胸には四つ葉を表すシンボルが輝く。

「ピンクのハートは愛あるしるし!」

 

 

パン!

 

 

「もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!」

ウェーブした茶色のツインテールはレモン色の長いものとなる、ピンク色のコスチュームとなった桃園ラブはキュアピーチへ変身した。

「ブルーのハートは希望のしるし!・・つみたてフレッシュ、キュアベリー!」

「イエローハートは祈りのしるし!・・取れたてフレッシュ、キュアパイン!」

 

 

“レッツ・プリキュア!!”

 

 

 

ディケイド&プリキュア!この世界を守れ!!

 

 

Aパート

 

「タチイリキンシデーース!」

指示棒が降り下ろされる、跳躍により回避した3人は着地と同時に駆け出した。

「「「トリプルプリキュアパァァァンチ!!」」」

ピーチ、ベリー、パインによる拳の一撃。見舞われたナケワメーケが体勢を崩し転倒、透かさず内1人が追撃を試み向かっていく。

 

 

ビカァァァァ・・・!!

 

 

しかし突如眩い閃光が発せられ、それによって視界を塞がれてしまうベリー。指示棒からの真っ赤な光に目が眩む。

「「ベリー!!」」

「あああぁーーー!!」

隙を突かれ拳を受ける、彼女を受け止めピーチまでも後退させられた。

「ベリー、だいじょ・・」

「っパイン危ない!」

迫るナケワメーケから視線を外していた、又も攻撃され吹き飛ばされてしまったプリキュア。

「次はあたしがっ」

「待ってピーチ!・・ここはあたしが行く!」

「ベリー待って!」

「きゃああああっ!!」

「「ベリー!!」」

―――又、ラブが止めるのも聞かずにあたしは・・・。ごめんなさい、ほんとあたしって最低。何してるんだろ。

「ピーチごめん!あたしっ・・・貴女が止めるのも聞かないで。昨日だって士さんにあんな―――。こんな自分、ラブに合わせる顔も無いわ・・・」

「ベリー!?」

「ピーチごめんなさい!・・・私も、ディケイドが破壊者だと思って・・・。ラブちゃんは士さんのことを信じてたのに・・・」

「パイン・・・。あのね美希たん、ブッキー。・・あたしもごめん!」

「「えっ?」」

「せつなも皆、この町を、世界を守ろうとしたのに。あたしは勝手なことして皆に迷惑かけて・・・」

「そんな!迷惑なんかじゃないわ」

「そうよ、あたし達の方こそラブの言うことを信じてあげなくて・・ごめんね」

「ううん、気にしてない。・・でも良かった、美希タン昨日は目合わせてくれなかったし、今日だって直ぐ帰っちゃうし・・・でもほんとに良かったよ、あたし嫌われたかと思っちゃった」

「何言ってんの、あたし達友達じゃない」

互いの気持ちを伝え合った3人は笑顔を輝かせた、そして彼女達はより一層信頼を強める。―――痺れを切らしたウエスターがナケワメーケを操り襲う、場所を移したプリキュア達は付近の橋の下で戦いを再開した。

〈―KAMEN RIDE・・・DECADE―〉

「ハァァァッ!!」

勢いつけたディケイドの飛び蹴りが命中、次の手を妨害しピーチ達の前に降り立った。

「「士さん!」」

「ディケイド!どうして?」

「あの鼬が報せに来た。・・仲間のせつな、連れてきたんだが訳あって変身出来なくなっちまった。詳しい話は後だ、手伝ってやるぜ」

「せつなが!?」

「どうしたのかな」

「兎に角、今はナケワメーケを倒さないと!」

「・・・っ何だ貴様!何者だ!?」

謎の乱入者に驚きを隠せないウエスター、そのマゼンダ戦士に名を尋ねる。

「通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ」

「“仮面ライダー”っだと?!」

〈―FINAL ATTACK RIDE・・・DE・DE・DE・DECADE!―〉

装填、十枚のホログラム状であるカード型エネルギーが出現する。それは照準の役割を果たし、ディケイドの跳躍に合わせ階段状に下っていく。その先には標的となるナケワメーケ、ディケイドは右足を掲げキックの体勢となりカードの中を潜り抜けた。

「タァァァァァッ!!」

必殺の飛び蹴り、ディメンションキック!金色のエネルギーを纏わせ一撃命中させ、爆発と共に宙返りし着地した。僅か秤に敵の急所から逸れていたらしく、決定的な止めには至らなかったがディケイドは即座にピーチ達に呼び掛ける。ナケワメーケは命拾いした、しかし満身創痍だ。チャンスである。

「今だ!」

合図を受け頷く3人。各々の下にリンクルンへ宿りし妖精・ピックルンが現れ、それが鍵へ変化し手帳を開く。ローラーを勢いよく回転させ、画面内から溢れた光より彼女達の武器が次々に取り出される。・・・ピックルンであるピルン、ブルン、キルンが各々パートナーとなるプリキュア達へ自らの力により、リンクルンから武器をもたらす。

「届け、愛のメロディ!キュアスティック・ピーチロッド!」

「響け、希望のリズム!キュアスティック・ベリーソード!」

「癒せ、祈りのハーモニー!キュアスティック・パインフルート!」

それらにある鍵盤へ指を滑らせ、滑らかな音階を奏でて掛け声を揃える。

「「「悪いの悪いの飛んでいけ!プリキュア!」」」

 

 

“ラブサンシャイン”

 

 

“エスポワールシャワー”

 

 

“ヒーリングプレアー”

 

 

「「「フレェーーーッシュ!!」」」

ハート、スペード、ダイヤ。先端部でこれらを描き、敵目掛け突き出すことで光弾となり発射された!真っ直ぐにナケワメーケへと向かい、着弾と同時にその中に包む。

「「「ハァァァーーー・・・!!」」」

3人の必殺技が全て命中。浄化へ掛かり、

「シュワシュワアァァ・・・!」

ナケワメーケは倒される。ウエスターのダイヤ型カードが剥がれて消滅し、素材とされた元の看板に戻る。

「っくそーーー!!何なんだよっ!?」

想定外の事態に混乱を覚えつつ撤退。危機は去り一同はその場を後にする。

 

「ほぅ、ディケイドを追ってこの世界へ来たが・・・。ここは仮面ライダーの居る世界では無いらしい。・・・・・・だが、それはそれだ」

 

――――誰1人、何時からか戦いを見物していた彼の存在には気付かなかった。・・・彼は純白のスーツの胸ポケットに射した、その萎れた一輪の薔薇を残して消えた。

 

 

 

何時もの四つ葉町公園に来たラブ達は少しして、ラビリンス出現の報告をタルトから受けやって来たミユキなる人物と会う。彼女は有名なダンスチーム、トリニティのリーダーである。ラビリンスに襲われた際、プリキュアに覚醒したラブが助けたことが切っ掛けとなりダンスレッスンを直々に受けることとなった。今となっては大会優勝を目指し特訓の日々だ。因みに、ミユキは唯一ラブ達がプリキュアであることを知る理解者でもあり、ラビリンスとの戦いも考えスケジュール管理を徹底していた。

「そっか、ラビリンスと戦った後なのにこれからダンス練習か」

屋台に戻ってから、暫しミユキの到着を待つラブ達と共にドーナツを作ってやった士。いつの間にかユウスケまで現れ、彼は夏海と同じ席でレッスン風景を眺めている。

「なっなんやて!?士はん、そりゃどういうこっちゃ?!」

「どうもこうも、そーゆーことだ」

せつなのリンクルンに関する話を聞き慌てるタルト。このまま取り戻すことが出来なければ、彼女は今後変身し戦うことが出来なくなってしまう。いてもたっても居られなくなり探しに行こうとする。しかし士はそれを止めた。

「何するんや士はん!」

「何処を探す気だ。居所だって解らない癖に、それに海東は神出鬼没だ。・・もしかしたら、今頃はもう他の世界に・・・」

「そんなんあかん!何が何でも探し出して・・・・・!」

「仮に見付けたとしてお前に何が出来る。たかが妖精一匹が敵う相手じゃない、それくらい解るだろ。・・・・・ま、お前の気持ちは解らんでも無いが」

「・・プリーっ」

「おい、赤ん坊がお目覚めだ」

「シフォン。すまんな、起こしてしもたなぁ」

士の手を離れ側に行く、あやして再び昼寝につかせる。ラブ達が手を離せない時等、当然タルトが世話役だ。

「なぁ、その海東言うんはどないな人なん?」

「・・世界を又にかけ、その先々でお宝を探しては手に入れようとしている。手に入れる為なら他人から無理矢理奪うことも辞さない」

「なんやそれ。トレジャハンター言うんか、ただの盗人やがな」

「ただ・・・奴がそうなっちまったのにも理由らしいもんがある」

これは、先程もせつな達へ話したことである。

 

 

 

海東大樹、彼にもかつて信じるものがあった。自身が考案した教育プログラムが14・“フォーティーン”と呼ばれる存在の手で、自分の住む世界へ絶対的秩序と平和をもたらしていると信じて疑わなかった。大樹にとっての信じるに値する正義。しかし・・・、それは全て嘘で塗り固められた偽りであると解る。結果大樹の中で全てが崩れ去り、彼は自分自身をも信じることが出来なくなった。そしてそんな自分を誤魔化す為、大樹がのめり込んだ物・・・。それを追い求め、手に入れる為なら手段を問わない。喩え自身の命が危険に晒されようとも、青年はそれを諦めないだろう。

「・・・でも、それでもせつなにした事は悪いことだよ」

ラブの言うことは最もだ。人から物を盗むことへの正当な理由にはならないだろう。だが彼女達は同時に、大樹の過去を知り同情的感情も抱く。彼が居た世界も又、ラビリンスの様に管理される自由の無い世界だったのだ。

「夏海さんが言ったラビリンスの様な世界・・・」

「その、海東大樹って言う人が住んでいた所だったのね」

美希、祈里も又その時の会話を思い起こす。

「ラブ」

せつなが頭を下げた、貴女の言葉を一瞬でも疑ったことに対しすまなかったと謝る。

「いいよ。せつなだって皆を守ろうとしただけなんだから。・・・ツカサちゃん、ごめんなさい」

「・・・・謝らなくていい。事実、世界の破壊者かどうか自分でもハッキリと否定しきれないのがムカつく」

「士君」

カメラを手に取り、こちらを見るラブとせつなのツーショットを収めた。

「昔のことは何にも覚えてない。過去の記憶一切が無い、俺には」

記憶喪失であった彼は自分が何処で何をしていたかも思い出せないままである。本人曰く、破壊者と呼ばれても正直な所絶対違うとも言えないらしい。それこそ始めは有らぬ噂だと怒りを露に否定したこともあったが、正直なところ今は自信がない。

「だから旅をして撮り続けてる、何時かは俺の世界が見付かるかも知れないしな。世界の全てをこいつに収める」

又、彼はシャッターを切りファインダーを覗く。

「皆、今日はどうしたの?この前まで出来てたところもミス秤じゃない」

「「「「すみません」」」」

心ここに有らずと言われてしまった4人、その後もミユキ指導の下続けられたがイマイチ決まらず動きも揃わなかった。ラブ、美希、祈里はリンクルンを奪われたせつなを心配している。そしてその少女自身は、何処か自分と大樹とを重ね合わせるかの様に考えていた。

 

 

 

パラレルワールドの壁を越えラビリンスは、この人間世界へ幹部達を送り込み計画遂行を目指す。―――濃霧が包む、足を踏み入れた者の方向感覚を鈍らせるその森は町外れにある。更に奥へ進むことで怪しげな館がその構えを見せ、そここそがウエスター達幹部の活動拠点であるアジトだった。帰還した彼に対し“お疲れ”と労いの言葉を掛ける長髪の男、彼がサウラーというもう1人のラビリンス幹部だ。余り表には出ず、本を読み耽り外の事に関する知識を得ている。彼はティーカップに口を付け一口啜り、読み終えた分厚い一冊を畳む。

「その様子じゃあ今度も駄目だったらしいね。まぁ、こういう失敗は君にとっちゃ何時ものこと・・」

 

 

ダンッ!!

 

 

「・・・違うんだサウラー!」

拳を広間のテーブルへと叩き付ける、サッと飲み掛けの紅茶を持ち上げ溢さぬ様防いだ。

「確かにあのままでも失敗していたかも知れない、しかしなっ!全く予想外の事態が起きたんだよっ・・・くぅっ」

怒り出したと思えば涙を浮かべながら地団駄を踏むウエスター、その様子に若干身を引きつつも何があったか尋ねてみる。もし余程下らないことなら無視して聞き流せばいいだけである。

「“ディケイド”?」

「あぁっ!」

「何者なんだ?」

「知らんっ!“通りすがりの・・仮面、ライダー・・・”とか名乗って邪魔してきたんだっ。きっとイースに続いてプリキュア側に新たな仲間が出来たに違いない」

「ふむ・・・それは興味深い。ディケイド、か。仮面ライダー等とは聞いたことも無いね」

「どうするサウラー?一応はメビウス様に報告した方が良いだろ」

 

「ディケイド。それについて、この私がお教えしようか?」

 

そんな声が聞こえ警戒する2人、まさかこの館に侵入者かと慌てるウエスター。サウラーは姿を現せと声を張る。

「失礼した、今の話全て聞かせて頂いた。私ならばディケイドについてお答え出来るのだが?」

「何だお前は!?」

両手を黒のグローブに包み、上下真っ白なスーツを着たその男。ガイだった。

「・・・ここが君達幹部のアジトかね。中々いい趣味だな」

「質問に答えてもらって無いんだけどな・・・お前は誰だ」

返答次第では当然ただでは済まされない、2人は固く拳を握り締め戦闘体勢を取る。

「待て待て―――アポロ・チェンジ!!」

発声と共に全身から禍々しいオーラが沸き起こる。彼の腹部へ太陽が浮かび、それは鋭い切れ味と確かな防御力を誇る盾となった。もう一方の手には強火力の銃を構え、ガイは真の姿を現した。

「何!」

「お前!」

「・・我名はアポロガイスト。偉大なる大組織、大ショッカー・大幹部!」

赤い兜に白いマントを羽織る。“太陽神アポロン”の名を持つ、Xライダー宿敵の悪党。

「アポロガイスト・・・」

「大ショッカー・・・?」

「我々は、ディケイドを含めた宿敵である仮面ライダーと戦ってきた組織が結集し生まれた。そして大ショッカーの最終目標、それは全世界の征服なのだ」

「何っそれは奇遇だな!我々ラビリンスも又、総統・メビウス様のご意志により全パラレルワールドを・・・」

「待て。詰まりそれはメビウス様による全世界統治を諦めろということかな?僕達ラビリンスに手を引けと?」

「何ぃっそうなのか?!己れ大ショッカー!」

途端腕を振り上げ臨戦態勢のウエスター、が、アポロガイストはこちらに背を向けサウラーの言葉に対し否定する。そうでは無い、私についてこいとまで言う。

「全世界の征服、即ち我々の世界へも侵攻してくると解釈していいんだね」

「宣戦布告かアポロガイストとやら!」

「聞け、ウエスターとサウラーよ。・・・大ショッカーと同盟を結ばぬかと提案しにやって来たのだ」

「「同盟?」」

彼等は屋敷の外へと移動し、2人は警戒を解かぬまま距離を保ちながらアポロガイストに連れられる。そこで3人はアジトを隠していた異空間より出て立ち止まった。

「我々の目的は同じだ。約束しよう。大ショッカーと手を組めば、我々と共に全世界を手中へ収めることが出来よう。邪魔な存在であるディケイドも君達の障害である伝説の戦士とやらも、手を組んだ我々の敵ではないのだ」

「―――しかし、俺達の一存では・・・」

「・・そうか、だがそちらの協力は必要無い。兎に角、この世界からお引き取り願おう。ディケイドはそちらがどうしようと知ったことでは無いし、我々の妨害をするなら容赦はしない。それにプリキュアは我々ラビリンスだけで十分敵う相手だ。見くびって貰っては困るな」

「―――ふぅむ。信用出来ないのだな、まぁ無理もない。・・・よかろう、ならば大ショッカー、その力の一端をお見せしよう」

頭上高々腕を掲げ、彼のその叫びが森中に木霊しある存在達を呼び寄せる。ウエスター、サウラーの目の前に次元の架け橋に通ずる壁が出現して、そのオーロラの向こうには恐ろしい姿の兵隊達が居る。

「大ショッカー精鋭怪人部隊!我々偉大なる大組織の優秀なる闘士達!」

「なっなんと・・・!!」

「これが、大ショッカーの誇る戦力・・・!」

目の当たりにし流石のサウラー達も驚きを隠せない。大ショッカーに所属する怪人達は、全てライダー世界からやって来た恐ろしい怪物である。

「そちらの指揮官であるラビリンス総統・メビウス殿とやらに伝えるがいい。我が大ショッカー傘下となった暁には全世界の完全征服を約束する、とな。・・・よい返事を期待している。では」

オーロラの中へ消えて行く大幹部、アポロガイスト。サウラーは暫しその場で思考を巡らし、ウエスターはどうするのかと意見を求めた。

「一先ずはメビウス様へご報告する。・・・あの連中の戦力は馬鹿にならない、十分な利用価値があるとね」

「サウラー?」

「・・この申し出、引き受けない手は無い。上手く利用出来ればそれだけ僕達が有利になる。プリキュアを速やかに片付け、そうしてゆっくりと不幸のゲージを溜めればいいさ。そうすればインフィニティを手に入れられる」

洋館へ戻る2人のラビリンス幹部、彼等はこの時気付きもしなかった。木々の陰に身を潜め、全てを盗み聞いていたこそ泥の存在に。

「成る程、こいつは面白いことになってきた。―――しかし素晴らしいな、これは」

パッションのリンクルンを手に、目を輝かせながら眺める。プリキュアの変身アイテム・・・・邪心を持つ者はそれに触れることさえ出来ない。ならば、せつなからリンクルンを盗んだこの男はどうなのか。そこのところ、大樹に言わせれば彼自身のお宝に対する気持ちは純粋そのものであり、決して悪用しよう等とは考えもしない。だからリンクルンもこちらを拒絶しないのだ、と。果たして本当か、それは定かではないが大樹はお目当ての物を手に出来た喜びで非常に満足気であった。

 

 

 

「百歩譲ってチラシ配りするのは構いませんけど・・・この格好は解せないです!」

ツカサ・ズ・ドーナツカフェの客足は、今だ遠くここ最近売上が悦ばしくない状況だ。翌日四つ葉町公園に呼び出された夏海とユウスケは、士が用意したチラシを渡され宣伝して来る様指示を受ける。ただ一つ、どうにも腑に落ちない点はその際の格好だった。2人は以前にもある時の世界で社員食堂の呼び込みをさせられたが、これは正しく例の“客寄せパンダ”だ。

「士、この時期にこの格好は暑いって・・・。俺今にもぶっ倒れそうなんだけど」

あの眠らない町に居そうなホスト風の衣装、まだとっといたのかと心中突っ込む。しかもスパンコールが新たにあしらわれたキンキラキンのスーツ、日陰から出て行くと太陽光を反射し眩しい。非常に迷惑だ。

「私も嫌ですっ、このまま町中を練り歩けって言うんですか!?だいたい士君がこの世界でやるべきことって・・」

「解ってるんならさっさと行ってこい。今は経営危機に瀕するこの店を建て直すことに集中しろ」

シッシッと手払いされカチンときたのか夏海。とうとう士の首筋目掛けツボ押しを放った。何とも久々な気がする、“光家秘伝・笑いのツボ”。

「アッハハハハハハハ?!ちっくしょっハハハハハハハハ!!」

「こうなったらやってやろうじゃない!稼ぎに稼いで写真館の損害を全て取り返します!!」

「あっ暑いよ夏海ちゃん・・・!あー・・・死ぬぅ・・・」

という訳でまさかの町中出陣。それはもう目立つ目立つ、道行く人はティッシュ配りのそれよりも高確率で受け取っていく。ユウスケは黄色い声で女性達に取り囲まれ、夏海の下には男子中学生からサラリーマンまで男性の足取りが絶えない。チラシの数はあっという間に無くなって、後はお客達が押し寄せるのを待つ秤となる。ユウスケは、着替えに戻った先の写真館で遂にぶっ倒れた。夏海も萌え萌えな“フリル付きメイド服”から着替え終え、士から貰ったオレンジジュースを一気に飲み干し大声を出したカラカラの喉を潤す。

「疲れました・・・これで士君のツケが返されれば良いんですが」

「大丈夫だ。あれだけ宣伝すれば・・・・・フフフフ」

自信満々な士、と、向こうから1人歩いて来るその者の姿が捉えられた。

「こんにちは」

「せつなか」

「その格好、今日もダンスレッスンですか?」

「いえ。休日だし、この前出来なかった所を自分で練習しようと思って」

「今日も1人か」

「・・ラブ達は、今朝早くから海東さんを探しに・・・」

「えっ大樹さんを?どうして・・・」

「この子が盗られた物を取り返しに行ったんだろ。・・だいいち居場所も知らない癖に無鉄砲だな」

「それがラブ達ですから。・・私の為に頑張ってくれてる。私も頑張らなきゃ!」

笑顔で中央ステージへ向かう。美希から借りた音楽プレーヤーから流れ出すメロディに合わせ、せつな1人のダンス練習が始まった。彼女は何処までも真面目で、昨日のミス連発が自身が原因であると捉える。リンクルンさえ奪われなければ―――。心配を掛けた秤に、3人の振り付けにまで影響させてしまった。ラブ達が大樹を探しに出掛けていったその間、自分のミスを少しでも少なくしよう・・・せつなはそう考え、真剣にこのステップへ集中する。自主練に行く時、ラブは“頑張って”と笑顔で送り出してくれた。“後はあたし達が何とかする”、“せつなちゃんには練習を頑張って欲しい”。美希や祈里もそう言葉を掛けてくれた。・・・・だから、それに精一杯応えなければ。

「せつなちゃんて何処までも真っ直ぐですね」

「・・いや、あいつだけじゃない。4人全員が仲間の為や誰かの為に直向きなんだ」

迸る情熱“パッション”―――それは正しく彼女に相応しい名かも知れない。

「士さんっ」

「そこはそんな早くなくていい。・・こうだ」

プレーヤーの曲を頭まで巻き戻す、エプロンを放り出しステージへ立つ士。息を弾ませ、せつなが石段に腰掛け彼を見上げる。

 

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