仮面ライダーディケイド vs フレッシュプリキュア! 作:新生ブラックジョン
Bパート
タンッ!・・・・タン・タン・タタタ・・・・
それはまさに完璧の一言に尽きる。いつの間にか振り付けの全てを記憶し、一ヵ所のミスもなく躍り続ける。加えて単調さは無く、要所要所に感情の籠められた素晴らしいものだった。
「・・・・凄い」
思わず声に出してしまう程の感動。せつなが目指していたレベルを遥かに越えたダンスだった。
「せつな、お前にも出来る様になる。努力を積み重ね様とする気持ちと、仲間への思いがあればな」
「・・・はい!」
パチパチパチパチパチッ!
「熱いね。そのままダンスコーチでも目指せばいいよ、ドーナツ屋と兼業でさっ」
「海東!何しに来た?」
「・・・・っ!」
拍手を送る彼はニヤニヤ笑みを浮かべ石段に座っていた。音も無く忍び寄ること等彼には朝飯前、そうやって他人から物を奪い取ったことも数多い。大樹の態度に拳を握るせつな。
「折角良い情報を教えに来たってのにそりゃないだろ?なぁ、キュアパッション」
「私のリンクルンを返して!」
「悪いがお断りだ。そう簡単にお宝を手放す訳にいかないんでね」
「大人げない・・・ま、今に始まったことでも無いな」
「士、君は何時だって人を不愉快にさせるな」
「お互い様だろ。さっさと返してやれ、それで消えろ」
冷たい態度だ、大樹は鼻を鳴らし立ち上がる。
「一つ教えてやる。・・ラビリンスが近々、大ショッカーと手を組み一発始める気だ」
「何ですって!?」
「こんな所で踊ってる場合じゃ無いんじゃないかな。・・・それじゃっ」
「待って!」
駆け寄るせつな、振り向き様素早くディエンドライバーが向けられる。
「その力は貴方だけの為や私だけの為にある訳じゃ無い。プリキュアの力は、大切な人達を守る為にあるのよ!」
「・・そんなの、僕には関係無いね」
「あるわ!・・・貴方だって自分の世界を守ろうとした時があったでしょう!?」
「っ何を言って・・!」
「私はこれまで、沢山の人達から幸せを奪ってきた。皆の素敵な笑顔を・・・・でも今は違う。私は生まれ変わったの。その切っ掛けをくれたラブや美希や祈里達を守りたい!私を温かく迎え入れてくれたこの町皆の笑顔を守りたい!!」
彼女の叫びが響く。それは同時に、見守る士にも確と届いている。
「誰にも壊させはしない・・・・私にとって、皆の幸せが何物にも代え難い宝物よ!!」
「っ・・・・・・ふん、そうか」
静寂、一陣の風が吹く。大樹はフッと笑った。
「海東」
「・・・確かに、お宝が失われてしまうのは何よりも耐え難い苦痛だ」
その手をポケットへ伸ばしそっと取り出して、少女の白くか細い手に渡す。
「・・・その代わり、ちゃんと君自身のお宝を守れよ」
「・・・えぇ。精一杯、頑張るわ」
赤いリンクルンを胸に抱き、少女は“必ず”とその言葉で誓った。
「士君」
「ああ、彼女の思い。確かに見させて貰ったぜ」
闇雲にあちこちを回ったところで意味を成さないこと等とうに解っている。けれどこのまま何もしないでいることが彼女達には出来ない。ラブ、美希、祈里達は各々手分けしリンクルンの行方を追った。だがそもそも自分達が海東大樹という人物に接触したことさえ無いと気付き始め、結果手詰まり状態となって沈黙が続く。
「キルンの力で動物さん達にも色々尋ねてみたんだけど。駄目だった・・・」
「あたしも色々思い付く限り探してはみたんだけどね。・・駄目、全然見付からないのよ」
「うーん・・・やっぱりせつなにも協力して貰わないと駄目かなぁ・・・」
途方に暮れる、これも薄々は勘づいたことだ。
「あれ、ラブちゃん達何してるの?」
「「「ユウスケさん!」」」
思っても無かった遭遇に声をあげる3人。又ユウスケも彼女達から話を聞き手伝えるかも知れないと考える。
「俺も一緒に探してみるよ!あの人の考える事とかよく解らないけど、もしかしたら行きそうな場所とか検討がつくかも知れないしさ」
「ありがとうございます!」
サムズアップし笑顔の青年、彼の申し出にもう一頑張りの気力が得られたラブ達。ユウスケは自身のバイクであるトライチェイサー2000に跨がりメットを被る。エンジンをスタートさせて、見つけ次第報せると言い発進した。まだ諦める訳にはいかない、せつなの為に絶対取り戻すのだと決意を改める。
「取り合えず、海東って人の容姿的特徴は教えて貰ったし」
「後はユウスケさんに協力して貰いながら私達も頑張って」
「絶対に見付けてリンクルンを取り返そう!」
ブォォォォォォ・・・!!
トライチェイサー2000のスピードを一定に保ち、人々の中から大樹を探すユウスケ。すると信号待ちの中通行人の1人が頭上を指差す姿が目に留まり、彼はバイザーを上げ同じ方向に見上げる。
「ラブちゃん美希ちゃん!あれ見て!」
「どうしたのブッキー?見付かったの?」
「ううん、ほら・・・!」
美希も続いてそちらを見る。青空から不気味なカーテンが下ろされている様な、そこには灰色のオーロラが出現していた。町の人々は徐徐に足を止めて会話し出し、一体何が起きているのか不安そうに眺めている。
「・・・行ってみよう!」
予感が頭を過る、これは又もやラビリンスの仕業に違いない。胸騒ぎを覚える3人はオーロラの発生したその場所を目指し駆け出す。一方ユウスケも同じくマシンを走らせた。
「凄い・・・繁盛ね」
同じ時の四つ葉町公園、呼び込みが功を奏し大行列が外にまで続くツカサ・ズ・ドーナツカフェ。幅広い年齢層が押し寄せ大忙しの屋台は、夏海までが接客に追われる大繁盛だった。次から次へドーナツの注文が入り、又、士店主の懐も厚みを増すのは言うまでも無い。金勘定をする間も与えられず、ただひたすらドーナツを作り続ける。
「あれ何だ?」
そうしてお客を捌き抜いて一段落した頃だ。1人が上空より現れた謎のオーロラに注目し、ドーナツを買い終えた他の客達も気になり出しざわつき始める。これにせつなと夏海も加わって、士はある程度の小銭を数えた所でオーロラに気付いた。
ズズーーーーン!!
震動はここまで伝わってきた、震源は恐らく町の方だ。怪訝そうにしていた人達は次第に帰ろうかと言い出し移動を始める。
「士君!まさかこれはっ」
「奴等だな。とうとう手を組んで動き出した、海東が言ってたことは本当らしい」
「士さん!行きましょう!」
「ああ!」
マシンディケイダーへ跳び乗る2人。その頃到着したユウスケとラブ達3人は、その光景を目の当たりにして息を呑んだ。先ず仮面ライダーの世界に居た複数の怪人が暴れまわっており、人通りの多い都市部で猛威を振るい住人達を襲っていた。叫び声と悲鳴が飛び交う最悪の状況。加えてRXの世界に居たという組織、クライシス帝国の戦闘員であったチャップ兵が後に続いて破壊活動を行っているではないか。町は大混乱、ただ逃げることしか出来ず抵抗も無いまま人々は傷付けられていく。
「酷いっ!」
「町の人達に何てことをっ!」
「大ショッカーめ!ラブちゃん達のこの世界も支配しようとしているんだ!」
「・・・・美希たん、ブッキー。・・・変身だよ!!」
「「うん!!」」
リンクルンを取り出し鍵を挿す。開いた手帳のローラーを回し、3人は声高らか変身する。その胸に四つ葉のシンボルを輝かせ、順に降り立ち名乗り上げた。
「ピンクのハートは愛あるしるし!・・もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!」
「ブルーのハートは希望のしるし!・・つみたてフレッシュ、キュアベリー!」
「イエローハートは祈りのしるし!・・取れたてフレッシュ、キュアパイン!」
拳を掲げ声を揃え、その様を目の前の敵達へ見せつける。
「レッツ!」
「「「プリキュア!!」」」
又、ユウスケは両腕を構えると一定の動作を取り静かに息を吐く。突き出した右腕をゆっくり左から動かしていき、彼は所定の位置へ達した時叫ぶ。
「変身!!」
そこから素早く左腰にあるアークルのスイッチを押し込む。赤い装甲に身を包み、バックルに内包された霊石アマダムの力により変身する。小野寺ユウスケ、仮面ライダークウガはプリキュアと共に戦闘員へ立ち向かった。
「ヤァァァァァッ!!」
ピーチの放つ剛拳がチャップ兵の1人を吹き飛ばし、加えそれに巻き込まれて更に複数が倒れ伏す。それに続きクウガが飛び込み、共に格闘し戦闘員の集団を蹴散らしていく。
「ハァァァッ!」
「ヤッ!タッ!ハッ!」
ベリーの回し蹴りに軽々倒されるチャップ兵、駆け抜け次々に攻撃を打ち込むパインにも抵抗虚しくやられていく兵士達。その数は減らされ漸く怪人達が動き出した。
「プリキュア、精々抗うがいいさ」
「フフフ、仮面ライダークウガ・・・ディケイドも纏めて叩き潰してやるのだ」
高見の見物としてそれを遠目に見据える幹部達。エンジン音と共に士達がやって来る。既に戦いは始まっている、ディケイドライバーを装着して左腰に出現するカードホルダー・・・ライドブッカーからカードを取り出し装填した。
「変身!」
〈―KAMEN RIDE・・・DECADE―〉
「チェインジ・プリキュア!ビィィートアーーップ!」
リンクルンを手に姿を変えるせつな、コスチュームを纏い伝説の戦士となる。
「真っ赤なハートは幸せの証し!・・熟れたてフレッシュ、キュアパッション!」
加勢し戦いの場へ。――――ヤギの祖たる不死生物、ブレイドが戦った怪人カプリコーンアンデッド。ベリーとの戦闘を始め連続的に拳を打ち、プリキュアはこれを受けて防御する。2人も同じくアンデッドを相手とし、蘭の祖たる不死生物、オーキッドアンデッドをピーチが。又パインは、ウミヘビのサーペントアンデッドへ蹴りを叩き込む。
「ハァァーーッ!」
駆けるパッション、彼女の一発に救われるピーチ。
「パッション!!」
「リンクルンを取り戻したからもう大丈夫よ!」
“ダブルプリキュアパンチ!!”
追撃を受け怯むオーキッドアンデッド、そこへ電王の世界より現れたモールイマジン3体が襲う。切り離されるパッション、アックス、クロー、ドリルの振りかぶった武器を次々かわす。
「「ハッ!!」」
ディケイドとクウガ、3対3の戦いを展開。皆が協力し合い怪人を追い込み、強力なパンチやキックを矢継ぎ早に喰らわせる。
〈―KAMEN RIDE・・・DEN-O―〉
カードを装填しディケイドが電王となり、赤い装甲を持つソードフォームはデンガッシャー・ソードでクローハンドを切り裂いた。それにより撃破されて、一方でクウガの上段蹴りによりドリルハンドが同じ末路を辿る。
ドゴォォォンッ!!
両腕に受け止めてアックスの腕を掴み上げ、これを力一杯捻り地面へモールイマジンを叩き付ける。
ブオンッ
起き上がる敵の最後の拳。前傾姿勢に身を屈め回転を加えての掌底、パッションが決めアックスハンドを倒す。
「ハッ!!」
勢いに乗せて放つ見事な爪先、カプリコーンアンデッドが後退しながらオーキッドアンデッドを巻き添えに。頷くピーチとベリー、息を合わせての跳躍は見上げる秤で目が眩む。降下し強烈な体当たりにダウンしたアンデッド達。迫るパインのアッパーカットはサーペントをも叩き上げ追い詰めていった。プリキュア3人による止め、ラブサンシャインとエスポワールシャワー、そしてヒーリングプレアーがキュアスティックによって放たれる。
「「「フレェーーーッシュ!!」」」
浄化の力が不死生物達に作用し消滅を引き起こす。怪人達が次々倒されていった。だがアポロガイスト達は未だ余裕の姿勢を崩さず様子を見続ける。ウエスターが笑い、サウラーが呼び掛けることで更なる怪人達がこの世界に押し寄せるのだ。
「大ショッカーの戦力を甘く見るな!行けーーー!!」
続く戦闘員、その数は増していく。一丸となり仮面ライダーとプリキュア達の応戦は続く。
「ひぃぃぃっ!?いやぁぁっ!!」
敵に背を向け走り出すベリーの悲鳴、そんな彼女をチャップ兵と共に追うオクトイマジン。よりによって最も苦手とするタコの怪人に当たってしまい、堪らず叫んで逃げ出す彼女だった。パインはそんなベリーを援護すべく動き、しかしそこへ3体の黒い影が迫る。素早く走り抜け武器を手に取り襲撃した。
「きゃああっ!」
「「パイン!!」」
ピーチとパッション、行く手を阻むマンティスファンガイア。死神の鎌を振り行かせまいとし、クウガがパンチで飛び込み戦いを挑む。パインを包囲したのはラットファンガイアであり、剣を手にし一気に振り下ろす。
ダダダダダダン!
共に足下へ火花が飛び散る、危うく阻止した者の手にはエネルギー弾を撃ち出す銃が。
「おっ!奴は!?」
「ディケイドの仲間か」
「ふん、ディエンドめ。たかがネズミ一匹どうということは無い!」
攻撃を繰り出す合成アンデッド、ティターンを避けトリガーを引く。カードを取り出し装填し、スライドを伸長させ高らか叫ぶ。
「変身!」
〈―KAMEN RIDE・・・DE・END―〉
大樹は変身、続けざまカメンライドを加えパインの方向に手下を解き放つ。
〈―KAMEN RIDE・・・RIO TROORPERS―〉
銅色の戦士3体、騎兵隊と呼ばれたライオトルーパー。その手にアクセレイガンを握り、ラットファンガイアに各々掛かる。
「楽しそうだから、僕も混ぜてくれよ!」
「大樹さん!」
「来たか、行くぜユウスケ!」
リザードアンデッド、マンティスファンガイアと連撃し拳や蹴りを打つ。ピーチは1人バッド、カメレオンイマジンと相手し苦戦を強いられる。そこにディケイドが現れ援護し共闘。
〈―KUUGA・AGITO・RYUKI・FAIZ・BLADE・HIBIKI・KABUTO・DEN-O・KIVA―〉
マゼンダカラーが施された端末。取り出した強化アイテム、ケータッチの画面上にある紋章に滑らかかつ正確に触れていく。ドライバーのレバーを操作し、最後に自身のマークをタッチしてディケイドはバックルを取り外した。
〈―FINAL KAMEN RIDE DECADE―〉
頭部に施される、並行世界を冠した王者の証ディケイドクラウン。そこにはパワーアップしたディケイド自身の写るカードが収まり、又胸部装甲が変化しヒストリーオーナメントに。歴代9人の平成ライダーのカードが揃う。マゼンダは黒や銀に変わり、ケータッチをバックルへ収めることで強化変身を遂げる。―――“歩く完全ライダー図鑑”、ディケイドコンプリートフォーム。マゼンダに染まった複眼で怪人を睨み、ライドブッカー・ソードで斬撃を与え切り付けた。
「ツカサちゃん・・・!」
「とっとと片付けるぜ」
〈―BLADE!・・・KAMEN RIDE KING―〉
装着した端末の画面内にあるブレイドの紋章に触れ“F”をタッチ。音声と共に胸部から肩へ掛けての、カードの全てがブレイド最強形態の物へ変化。するとディケイドの隣へ実体を持つ分身体が現れ、それは金色の装甲を持つブレイドキングフォームだ。・・・実体化したライダーはディケイドがケータッチを用いたことで、カードに秘められたその者の持つ“能力の塊”を分身体として具現化する。―――ピーチはカメレオンイマジンをキックし、その勢いから飛び出しバッドイマジンを攻撃。ディケイドの左へ降り立ち、仮面ライダー2人は動きを連動させカードが使用される。右腰に移動させたドライバーのバックルへ装填、叩くことで読み込まれた。
〈―FINAL ATTACK RIDE・・・B・B・B・BLADE!―〉
ヒストリーオーナメントのカードが全て変化することで、そこからそのライダーの能力がディケイドコンプリートフォームへと投影され、これによりライダー2人は動きを共にする。最強形態のブレイドと同時に彼の必殺技を発動する。・・・カード型エネルギーが目の前へ出現、ディケイドはライドブッカーを、ブレイドはキングラウザーなる大剣を振り下ろす!光のエネルギー刃が放たれ、キングフォーム必殺技のロイヤルストレートフラッシュ!カメレオンイマジンが撃破され、同時に放ったピーチの飛び蹴りにバッドイマジンまでもが敗れた。
〈―ATTACK RIDE・・・BLAST―〉
ティターンを狙い集中する銃撃、ライオトルーパー達はラットファンガイア等を倒すと共に消滅していった。怯んだ隙にパインが突撃、合流したベリーと2人強力なダブルパンチだ。ティターンはオクトイマジンと2体並び体勢を整えた。
「ん。どうかしたかい?キュアベリー」
「その~、美希ちゃんは・・・」
「・・・・やっぱり駄目ぇ!まんまタコじゃないーーっ!」
「・・っという訳でして・・・」
「・・・仕方無い、僕に任せたまえ」
〈―FINAL ATTACK RIDE・・・DE・DE・DE・DEEND!―〉
ドライバーを構え無数のカード型エネルギーによる照準が現れる。トリガーを引き、光の渦へ強力な大口径ビームを撃ち放ち怪人を呑む。イマジン、アンデッド纏めて、必殺技のディメンションシュートにやられる。
「タァッ!」
「トゥッ!」
マンティスファンガイアが追い込まれる、赤き戦士達クウガとパッション。プリキュアはリンクルンを取り出し、ピックルンが変化した鍵により武器を取り出す。手にした水晶をセットし、弦を奏でパッションの必殺技が炸裂する!
「吹き荒れよ!幸せの嵐!プリキュア・ハピネスハリケェェーーーン!!」
忽ち、赤いハートの光と羽毛の激しい旋風に包まれるファンガイア。向けたパッションハープ先端の水晶より、大きなハート型エネルギーが発射される!マンティスはそれに包まれ断末魔を上げ、
「ハァァァーーー・・・っ!」
ハープを回し怪人を浄化、見事撃破しパッションの一撃に敗れたマンティスファンガイア。―――リザードアンデッドがクウガにパンチを貰い、ディケイドコンプリートフォームはファイナルアタックライドを発動した。ダブルライダーキック、クウガマイティフォームの炎を纏わせた“マイティキック”。
「「ハァァァァァッ!!」」
ディケイドは十枚のカードを潜り抜けながらマゼンダのエネルギーを纏わせた。強化ディメンションキック!受けたリザードアンデッドの爆散。
「やったね!」
ハイタッチを決めていくプリキュア達、3人の仮面ライダー等も勝利を確信していた。――――しかし。
ババババババババン!!
アポロガイストの持つ銃、“アポロショット”が火花を吹く。
「馬鹿め!」
「俺達がこれで諦めると思うな、プリキュア!」
「僕らにはまだ手がある、見くびるなよ!」
各々現れる幹部達。又してもオーロラが発生し三度の怪人が雪崩れ込む。
「アポロガイスト!!」
「「「「ウエスター、サウラー!!」」」」
「くそっまだこんなに!?」
「諦めが悪いらしい、大ショッカーもラビリンスも・・・!」
構える一同、その時上空へやって来る巨大な怪物。
「ナケワメーケ!」
「フフフ・・・そうだ、これからな!!」
ピーチの言葉に笑うウエスター、サウラーが呼び掛け2人しダイヤ型カードを取り出す。
「「ナケワメーケ!我等に仕えよ!!」」
それを投げ付け巨大怪物に張り付ける。複数の触手を発生させエネルギー弾の雨を降らせる、アポロガイストの用意した“六柱のサバト”と呼ぶファンガイアのエネルギー集合体!それがラビリンス二代幹部の力を受け使役される!
「これぞ大ショッカーとラビリンスの力を合わせた大量破壊兵器!ディケイド共、この“ファングナケワメーケ”に葬られるがいいのだ!!」
ドカアァァァンッ!!
降り注ぐ炎に散々に吹き飛ぶ戦士達、一台のヘリに搭乗したリポーターを映すカメラが人々にその様を伝えた。
『ご覧下さい!突如現れた謎の怪物達を前に、我等がプリキュアとその仲間と思われる存在達が戦っています!』
茶を啜りテレビの電源を付けた栄次郎の目に飛び込む中継映像。孫を呼び画面を指差して“何か凄いことになっている”と注目する。
「っあれ・・・士君!!」
「えっどこどこ?映ってるの?」
バタン!タタタタタタ!
「夏海はん!ピーチはん達が!!」
「タルトさん!シフォンちゃん!」
ライブ映像を前に見守る妖精達、ただひたすら応援を送り続ける。
「「ヤァァァァ!!」」
ベリーとパッションがぶつかった相手は、その手に剣と盾を備えるコーカサスビートルアンデッド。攻撃をソリッドシールドに阻まれ、オールオーバーにより足下のアスファルトを扮粋され転倒してしまう。
「ディケイド、私のパーフェクターを返して貰うぞ!―――マグナムショットォ!!」
「グァァッ!」
付近ではアポロガイストとディケイドの一騎討ちが行われる。・・・自らの延命の為に人々から“命の炎”たる生命エネルギーをそのパーフェクターと呼ばれるアイテムで奪い、アポロガイストはこれを吸収して生き延びていた。Xライダーに敗れ、それにより受けた再生手術の代償であった。―――ライオンの様な姿に強固な甲冑、レオイマジンの鋭い鉤爪がビルの壁面を抉り取り宙を舞う。クウガは回避を試み成功するものの、その間に接近を受けタックルを喰らった。
「フッ、ハッ!タァァ!!」
ギラファアンデッドの持つ双剣ヘルター、スケルターをかわす。隙を窺い拳の攻撃に乗り出すもかわされるパイン。体当たりし彼女を押し倒した怪人。一方ライダーと共にヨロイトカゲの怪人、サンゲイザーファンガイアに挑むピーチ。キックから続けしゃがみ込み足払い、見逃さずディエンドが高速移動し肘を打ち付ける。
「やれっ!」
サウラーの指示が飛ぶ、影が広がり見上げたそこにはファングナケワメーケ。触手先端部には鋭い牙の並ぶ口がある、小型の光弾を連続射出しライダーとプリキュア、各々2人を追いやる。
「どうした貴様ら!」
「くっ、ハァァァッ!!」
ディケイドとパッションの猛攻にも平然と応ずるアポロガイスト。彼が距離を取った瞬間地を転がってベリーが横切り、コーカサスビートルアンデッドの雄叫びが木霊する。そうして徐徐に一ヵ所へ追い詰められる一同。互いに背を向け迫り来る敵に対し構えを崩さない。
「ここがお前達の墓場となるのだ!」
「プリキュア、我々ラビリンスは必ずインフィニティを手に入れる!」
「その時全ての世界はメビウス様の物となるんだ!」
高笑いを重ねながら差し向けた怪物に最後の止めを促す3人の幹部。敵が一斉に迫り来る中、ディケイドは鼻を鳴らすと顔を上げて立ち上がった。
「いいや、諦めない!」
「ああ、そう簡単に世界を渡しはしない。俺達だって力を合わせて何度でも立ち向かう!」
「―――っそうだよ!諦める訳にいかない。あたし達には皆の幸せがかかってるんだから!」
後に続いてクウガ、ピーチが言葉を繋ぐ。ベリーはパインの肩を借りて起き上がり、そんな仲間の言葉に共に頷く。
「“皆の幸せ”だと?・・フハハハッ、下らんな!そんなちっぽけな物は何の意味も無い!」
「意味はある!どんなに些細で小さなものにも、そこには沢山の笑顔が詰まってる!それは皆にとって掛け替えのないものなの!」
ウエスターに対し否定するパッションの声が木霊した。
「馬鹿な!笑顔?そんなもの不幸で染めてやろう!」
「言っただろ!決して挫けない!―――幸福のラッキークローバー、プリキュア。こいつらはこの世界の幸せを守る終わり無き伝説だ!!」
「「「「士さん・・・!!」」」」
「っ君は一体何者なんだい?」
サウラーのその問いに仮面の下、士は待ってましたと言わん秤に笑む。
「通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ!!」
左腰のライドブッカーが開け放たれ、飛び出した二枚のカードをキャッチするディケイド。ブランク状態だったカードに力が宿り、それはこの世界に生きる伝説の戦士を鮮やかに写し出す。
「行くぞ!!」
奮起し一斉に怪人達へ向かう。戦士達の勢いはより一層強まって、その想いを確かな力に変えていった。凶悪な敵達を前に臆すること無く突き進み、戦士達の凄まじい覇気と覚悟の前に大ショッカーの怪人達は圧される。そして、仮面ライダーとプリキュアは次々と打ち倒していくのだった。
「ファングナケワメーケ!!」
「「行け!プリキュアと仮面ライダーを倒せ!!」」
ラビリンス二大幹部の力が加わったサバト。触手を鞭の如くしならせプリキュアを狙う。しかしピーチ、ベリー、パイン、パッションは4人勢いよく駆け出して触手を伝って力強くジャンプする。
「「「「プリキュア・クアドラプルキィィィィック!!」」」」
ピタリと息の合う彼女達の飛び蹴りはファングナケワメーケの体から伸びた長い首に深々と突き刺さる。
〈〈―ATTACK RIDE・・・BLAST―〉〉
ライドブッカー・ガンとディエンドライバーの一斉射撃。放たれたエネルギー弾を撃ち落とし、更にペガサスフォームとなった緑のクウガによる一発が決まる。“ペガサスボウガン”がサバトの目玉を射る。
「グワァァァァーーーーオォォォ!!」
痛みと怒りの咆哮を轟かし、ビルを薙ぎ倒さん勢いで触手を放つ。鋭い牙を回避し、跳び、走り、またそれらを避けるピーチ達。
〈―KIVA!・・・KAMEN RIDE EMPEROR―〉
コンプリートフォームの力で仮面ライダーキバ最強形態、真紅のマントを翻すエンペラーフォームの力を発動。
〈―FINAL ATTACK RIDE・・・KI・KI・KI・KIVA!―〉
ライドブッカーを振り上げながら分身と化すザンバットソードを握ったキバを操る。ファイナルザンバット斬のエネルギー刃が暴れまわる触手を絶ち切っていく。
「ピーチ!力を合わせるぞ!」
「OK!」
先程手にしたカードを取り出しながら呼び掛けるディケイド。その手にした一枚の絵柄にはピーチが描かれていた。
〈―FINAL FORM RIDE・・・PE・PE・PE・PEACH!―〉
「「「ピーチ!?」」」
「え、何?」
「いいから向こう向け。ちょっとくすぐったいぞ」
そう言うと彼女の背中へ両手で触れ、ディケイドは大きく動作し変形を促した。そこから大きな四つ葉のシンボルが展開され、葉がハート型となったそれは四つ現れる。ピーチの体がその中へ取り込まれ、今ここにファイナルフォームライドを完了する。“キュアピーチリーフ”、それが飛行しナケワメーケの攻撃を弾き返す。エネルギー弾の類いを全て反射し、ディケイドが更なるカードをバックルに装填し跳躍した。
〈―FINAL ATTACK RIDE・・・PE・PE・PE・PEACH!―〉
「俺達も!」
姿勢を深くし構えるクウガ、マイティキックで敵の攻撃を打ち破る。
「ハァァァァァーーーっ!!」
炎の飛び蹴りに触手が爆発、ディエンドはディメンションシュートによりもう一方を破壊。加えベリー、パイン、パッションが畳み掛けた。
「吹き荒れよ!幸せの嵐!」
「「悪いの悪いの飛んでいけ!プリキュア!」」
“エスポワールシャワァァーーー・・・!”
“ヒーリングプレアァァーー・・・!”
「「フレェーーーッシュ!!」」
「プリキュア・ハピネスハリケェェーーーン!!」
パッションの攻撃は無数のエネルギー弾と化し、スペードとダイヤへ続いてナケワメーケの触手を遮る。
「行け士!」
クウガの叫びを耳にしてキュアピーチリーフに飛び乗り一直線に突っ込む。ディケイドはそこから又ジャンプし、右足を突き出しキックの体勢に。巨大なリーフを足に敷き、2人の必殺技が叩き込まれる。
「ハァァァァァァァッ!!」
一撃命中させ衝撃が走り、その瞬間眩い閃光が走った。ファングナケワメーケの巨体を包み込む真っ白な光。“ディケイドフィナーレ”が決まり浄化される怪物。ダイヤ型カードが消滅し、又、サバト本体は大爆発に呑まれ砕け散った。着地したディケイドの後、変形を解かれたピーチが落下し尻餅をつく。
「いっタタタタ・・・!!」
「「「ピーチ!!」」」
「おい、大丈夫か」
「タハハハハ・・・何とか」
頭を擦り苦笑い。ウエスターが思いきり地面へ拳を打ち付ける。
「馬鹿な、計算上十分に勝算があった筈なのにっ・・・!」
「己れぇ。だがしかし、我が大ショッカーの野望は決して潰えた訳では無いぞ。私は全人類にとって最も迷惑な存在として君臨するのだ」
「インフィニティはいつか必ず手に入れて見せる!」
そんな虚しい捨て台詞を残して悪党達は去っていった。漸く町に無事平穏が再び訪れようとしていた。
「ツカサちゃん、ユウスケさん。幸せゲットだよ!」
「あたし達完璧!」
「きっと勝てるって、私信じてた」
「精一杯、頑張ったわね」
プリキュアレジェンド、伝説の戦士プリキュアと仮面ライダーの活躍は人々を悪の脅威から守り抜いた。
エピローグ
ラブと美希、祈里とせつな達は、士による手作りドーナツを振る舞われる。相変わらずこれはこれでとても美味しく、ただ、それでも4人はカオルちゃんの味が恋しくもあった。特にタルトは店主との間に兄弟関係を築いている程であるから、余計カオル・ズ・ドーナツカフェの雰囲気が頭の中に蘇る。あの特徴的な笑い方、ラブ達を時たまポカンとさせる冗談。彼は何処へ消えたのか。
「凄いのよ士さん、私達の振り付け全部覚えてるの。それにノーミスで全パート踊りきっちゃうんだから」
「ホントに?」
「へぇーー!見たーーい!」
「・・そんなに見たいか?」
「私も、是非!」
「あたしも。そーんなに完璧なら、ね」
「「見たーい!!」」
カウンターを叩き屋台を飛び出す、すっかりその気のドーナツ屋さん。流れるリズムに的確なステップとターンを決め込み少女達を圧倒。それは又タルトやシフォンからも驚かれるものだった。
スタッ!
「・・まぁ、ざっとこんなもんだ」
「・・・・ツカサちゃん!」
「ほっホントね・・・!」
「士さん、もしかしてダンス経験がおありなんですか?」
「いや。ただ俺は何でもこなせてしまうんだよ」
・・・内心そっと付け加える。写真を撮ること以外は、と。士は最後の一枚をフィルムに収めた。こうして、この世界での成すべきことも全てが完了し別れの時。写真館の前に集まった一同は両者互いに笑顔で締め括る。ラブ達は又何時も通りの生活へ戻り、これから先もプリキュアとしてラビリンスとの戦いを続けていかねばならない。そして、士一行は新たな世界での出会いに期待しながらも大ショッカーの脅威に立ち向かうことを誓う。
「士はん、あんさんの作ったドーナツも中々やったわ。これはありがたく頂戴します」
「おう。お前の兄弟とやら、帰ってくるといいな」
「おおきに!」
「キュアー!バイ、バイ」
「シフォンちゃん!」
「可愛いなぁ~~!ねっ士!」
「・・・止めろユウスケ。気持ち悪い」
シフォンの愛らしさにとろけそうになるユウスケを追いやり、せつなと目を合わせ微笑みかける。
「ここから先もお前達の伝説が続く。頑張れよプリキュア」
「「「「はい!」」」」
手を振り合う。一方は新たな地への一歩を踏み出し、もう一方は己れの世界で笑顔を守り抜いていく。立ち止まったせつなは振り向き、もう一度光写真館を目に焼き付ける。
『士さん』
『ん?』
『士さんの世界、早く見付かるといいですね』
『・・・ああ。お前達もダンスとプリキュア、期待してるぜ』
『はい』
又、会うことが出来るだろうか。―――そんな風に思いながら小走りに、友人達へ追い付き肩を並べた。
「ほー!今度の写真も中々よく撮れてるじゃないか」
現像された写真の被写体は4人の戦士達。士の撮ったそれはピンボケして歪み、曰く、世界が自分に撮られたがっていないからだと述べてきた。けれど栄次郎はこれまでの物を高評価としてアルバムに残している。このラブ達が写された数枚も思い出の一つとして残るだろう。
「“笑う角には福来る”って言いますけど、ラブちゃん達は幸せを呼ぶクローバーなんですね。きっと」
「ああ。違いない」
「あー・・・しっかしシフォンちゃん可愛かったなぁ・・・」
クッションを抱き締め窓外を眺める彼を、士は目を細め引き気味に一瞥した。と、その時ボーッとしていた青年の後頭部目掛け、小さな何かが飛来しカツンと音をたててぶつかる。それは白い羽に紅く大きなパッチリとした瞳を持つキバーラという蝙蝠。因みにこれもタルトの様に人語を話すが妖精等では無い。
「何ボケーっとしてんのよユウスケ♪」
「・・何だ、キバーラか」
「・・・は。ちょっと何それ・・・・・!?“何だ”って何よ!なんか文句ある訳?えっ?!」
ビュンビュン飛び回りつつき回す彼女。これが元となり栄次郎がつっ転んで、寄り掛かられた背景ロールがチェンジされる。鎖の音が鳴って絵が切り替わり、士達は新たな世界に到着した。
「これは・・・」
そこがどの様な場所か、それは又別の物語である。―――世界の破壊者、ディケイド。彼が次に向かった世界とは・・・。
仮面ライダーディケイド vs フレッシュプリキュア! ――END――