整備課2年生、黛薫子さんとは曾祖父が同じ人で親戚になるのですが、
面識はありませんでした。
というのも、黛姓が母方なので本名は・・・・
インフィニット・ストラトス、通称ISは極端な女尊男卑の世界を生み出した。
その世界に一石を投じた男性の名は、織斑一夏。
第一回モンド・グロッソの優勝者、織斑千冬の弟ということもあって世界中は注目した。
ISは女性しか適合しない。
その確定事項と思われたところを覆す。
世界各国は自国の男性から適合者を探す。
その目的は適合者を女性だけにするため。
男性適合者は厄介者と見做された。
女尊という蜜は、一部を除き味を知った者には麻薬のようなものだった。
幸い織斑一夏以外の適合者は見つからず、事態は収束していった。
ある一人を除いて。
= = = = =
「
私黛雅弓の朝はこの声で起こされることになっている。
面倒見がよいと表現しておきたい。
そう面倒・・見がよいのです。
ここIS学園特別隔離部屋に毎朝やってきては起こしてくださいます。
「ねえねえ、早く起きてよー」
扇子に【起立】の文字が表示されている。
「更識さん、布団からのいていただけませんか」
「どうして?」
生徒会長、更識楯無さんが私の顔を覗き込むように顔を近づけてきます。
「あ、あの、近いです」
(シャンプーかな?いい香りがします)
「雅弓ちゃん、顔赤いわよ。
熱でもあるのかな?」
更識さんが私の額に自分の額をくっつけました。
「ーーーーーーーーー!!」
下手に動くと唇が触れそうです。
女性とこれほど顔が近くなったのは、記憶にある中では幼稚園以来です。
「うーん、熱はないみたいね」
本当に心配してくれたのでしょうか?
「すみません、布団からのいてください」
「ひどいな~、まるで重いみたいな言い方をするー」
「いえ、馬乗りを止めていただきたいだけです」
そう、彼女は私に馬乗りになっているのです。
布団越しに彼女の柔らかさが伝わってきます。
実はこれからが非常に困るのです。
彼女は悪ふざけで下半身をグラインドします。
「アン、ダメダメ、逝っちゃうー、ばたり」
更識さんは痙攣したふりをしながら仰け反り、ご丁寧に効果音を言いながら私の上に倒れこんできました。
「気が済みましたら、のいてください」
「雅弓ちゃんたらクールなんだから」
更識さんのお芝居に合わせるつもりはありません。
彼女はほんの少し寂しそうです。
私が妹の簪さんと重なったのかもしれません。
「もう少しだけこのままでいいです」
私は布団から腕を抜き更識さんの頭を撫でます。
更識さんは黙って静かにしています。
「雅弓ちゃんのトクトクが聞こえる」
「生きていますから」
「やっぱりクール」
更識さんは身を起こすと優しく微笑んだ。
私はこのままファーストキスをされてもおかしくないような気がしました。
「じゃあ、お注射しましょーね♪」
「えー、今日もですか?」
「当たり前よ」
身を起こした更識さんの手にはいつの間にか注射器が。
扇子には【ちょっとチクッと】と書かれていました。
この注射で私は女性ホルモンを投与されています。
おかげで身体に丸みが出てきたように思います。
「はーい、チクッと」
「つっ」
相変わらず更識さんは注射が下手です。
「そんな顔しないの。
何なら何かご褒美をあげましょうか?」
「いりません」
「お姉さんを頼っていいのよ」
いたずらっぽく首をかしげて見下ろしています。
「じゃあ、のいてください。
あと私のほうが早く生まれていますし」
「却下、雅弓ちゃんの上って居心地がいいんだもん」
更識さんは年齢のことは聞こえなかったことにしましたね。
やれやれです。
「早くしないと遅刻してしまいます。
織斑先生は、怖いんですから」
「しょーがないなー。
着替え手伝おうか」
「はぁ、どこまでも弄ってきますね」
「だってー、お年頃なんだもん」
この後、着替えて食事を済ませて教室に入れたのは始業の3分前でした。
間に合って良かったです。
あれ?
本文、終わってる。
更識さん、私は気を失っていました?
もう、一番最初だったのに。
でも更識さん、あーっ、あなたですね。
嬉しそうにスキップして逃げないでください!
いーえ、捕まえません。
その手には乗りませんよ。
・・・・わかりました、わかりましたってば。
そこから動かないでくださいよ。
おほほ捕まらないわよじゃないですよ。
寂しそうにしたのは演技ですか!
では、次回は前書きからお楽しみください。