今日はひとりで前書き担当いたします。
更識さんにおこされてしましました。
そうなんです。
起こされたのではなく、オコされたのです。
お昼休みになりました。
身柄が自由ならお弁当を作るんですが、諸事情により食堂を利用しないといけません。
織斑さんが篠ノ之さん、オルコットさんを連れて前を歩いています。
女子ふたりの手が何かを求めて宙をつかもうとしているのが見てとれます。
(織斑さん、どっちを選ぶのでしょうね)
「雅弓ちゃ~ん、お姉さんとご飯食べよっか」
振り向くと更識さんです。
もう慣れましたが私は登校から下校以外の時間には、更識さんやその関係者の皆さんが同行します。
寮も監視されていますので、あられもない姿は絶対にできません。
「ここの食堂はメニューも豊富で飽きませんね」
差しさわりのない言葉で凌ぎます。
「そうだねー、好きなものが選べるっていいよね。
ところでぇ、簪ちゃんのことどうして本音に聞いたの?」
更識さんの話の語尾に凄みを感じました。
「盗聴されているのでしょ。
正直にそのままです」
「信じていいのかな、嘘をついていないと証明できる?」
更識さんは私の言葉を全く信用していません。
「さすがに証明はできませんね。
ただ私が言えることは【状況を変えようがない】それだけです」
「・・・・言いたいのはそれだけ?」
更識さんから殺気が滲みだしてきているかもしれません。
ただ表情は知らない人からは微笑んでいるように見えるでしょう。
「言葉が足りませんでした。
【私の置かれた状況では変えようがない】ということです。
更識さんたちは何かがズレてしまっているだけだと思います」
「雅弓ちゃんに何が判るのかなぁ?」
更識さんの表情は内面が変わりません。
「すべてが判っているとは思っていませんよ。
でも更識さんが必死に耐えてきていることは理解しているつもりです。
その努力が妹さんに伝わらないわけがないと思えるだけです」
まぶしいといってもいいくらいの微笑みに目を見つめて答えました。
「もしかして
「さあ、どうでしょうね?
盗聴されているんですよ」
「・・・・・」
「更識さんは自分で思っているほど【強いと信じられている】のではないのかも知れませんね」
私は更識さんを従えて食堂に入ります。
= = = = =
「待っていたわよ一夏。さっきの話の続きをするわよ」
「んー・・・・。分かったから退いてくれ。食券出せないだろ」
「わ、わかってるわよ。席を取って置くから早く来なさいよ」
= = = = =
食券売り場の前で織斑さんとちっちゃい子さんが会話しています。
「更識さん、あのちっちゃい子は誰ですか?」
「
更識さんの機嫌は戻ったみたいです。
普通に説明してくれて助かりました。
「彼女も凄い方なんですね」
織斑さんたちを横目に私と更識さんは一緒に料理の受け取りカウンターに向かいます。
「雅弓ちゃんあっちで食べようか」
更識さんはビュッヘ形式で料理を選んで献立を揃えて誘っています。
「あ、ちょっと待ってください」
「早くしないといい場所なくなっちゃうよ」
珍しく更識さんが急かします。
「飲み物とってきてあげる」
そう言い残して更識さんがドリンクバーに向かいました。
なぜかわざわざ織斑さんが背にしている
「お待たせね。
じゃあ、いただきます」
「・・いただきます」
更識さんは何事もなかったかのように飲み物をテーブルに置くとそそくさと食事を始めました。
「・・・・織斑君の状況確認よ」
私の視線に気づいた更識さんはしれっと答えました。
「それって盗聴ですよね」
「情報収集よ」
「犯罪じゃないですか?」
「生徒会長の責務よ」
「どうして私から視線を逸らすんですか」
私の追及は無視して織斑さんたちの動向を観察する更識さんです。
よくよく見たら周りの席にいる皆さんは織斑さんたちに注目していました。
そしてそれに気づかない【織斑さん大好きさんたち】。
猫の集中力というものでしょうか?
職員席で織斑先生が頭痛を我慢している様子が窺えましたが、山田先生は苦笑いしていました。
織斑さんいつか刺されてくださいね。
雅弓ちゃ~んって、猫なで声でなんですか?
更識さん、今日は私ひとりのはずでしたが。
ごめんね~って、何のことですか?
もしかして私が妹さんを巻き込んで更識さんに反抗でもすると思ったんですか!
だってって、自分で悪いことをしている自覚があったんですね。
じゃあ、これからは止めてくださいよ。
えっ!大丈夫だったからこれからも続けるって?
なんですかそれ!許していませんよ。
また逃げる!
おほほじゃないですよ、捕まえませんからね。
・・・・わかりました、わかりましたってば。
そこから動かないでくださいよ。
あ、また!
おほほ捕まらないわよじゃないですよ。