スーパーマリオ イフストーリー (完結) 作:竜音(ドラオン)
ちなみにルイージは近くの別の家に住んでいます
第1話
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夜も更け、誰もが眠っているであろう時間。
月には雲が掛かり、目を凝らさなければ周囲の様子を伺うのにも少し苦労するだろう。
虫の鳴き声の聞こえる森の中、少し開けた場所にその家はあった。
赤い屋根のシンプルな家。
そして家の近くには緑色の大きな土管が地面から突き出している。
この赤い屋根の家がマリオの住んでいる家だった。
そのマリオの家の扉を開け、1人の人影が中へと入っていった。
「・・・・・・きろ。・・・・・・オ」
「起き・・・・・・。マリ・・・・・」
ユサユサと身体を揺らす衝撃と、誰かの呼び声にマリオはふと目を覚ます。
時間も遅く、薄暗い部屋の中に誰かの人影が見えた。
その姿は細く、おそらくは女性であると、ボンヤリした頭でも理解できる。
「ううん・・・・・・。こんな夜中に誰だい・・・・・・?」
「ようやく起きたか。まったく、ワガハイが呼んだのだからさっさと起きぬか」
人影へと向けて話しかけると、人影は自分の腰に手を当ててやれやれといった風に答えた。
人影が発した声から女性であると確信はしたが、こんなしゃべり方をする女性の知り合いはいないなぁ、と考えながらマリオは目を凝らす。
薄暗い闇の中で見えたのは、頭上に乗っかっている冠となにやら特徴的な髪型、そして何かトゲトゲとした物を背負っていることだけだった。
「君はいったい・・・・・・」
「なんだ、貴様でもワガハイのことが分からぬのか・・・・・・。ここに来るまでの部下たちも分からなかったからな・・・・・・」
マリオの言葉に人影は寂しそうに答える。
不意に、月にかかっていた雲が消え、部屋の中へ月明かりが射し込む。
差し込んだ月明かりの中、人影の姿がはっきりと浮かび上がってきた。
「貴様のライバルであるこのワガハイが分からぬとはな・・・・・・。ま、この姿では仕方がない、か」
「まさか・・・・・・。クッパなのか・・・・・・?!」
特徴的な髪型だと思っていた美しい金色の髪の毛の中に存在する2対の角。
首や腕に着いたトゲ付きの黒いリング。
そして、今までに何度も見てきた忘れようにも忘れられないそのトゲ甲羅。
見間違えるはずのない自身のライバルの特徴がそこにはあった。
しかし、それでもマリオは驚きを隠せない。
なぜならば・・・・・・
「なんで・・・・・・」
「うん?」
「なんで、女性になっているんだ?!?!」
目の前で腰に手を当てながら自身の姿を見つめるその姿はどう見ても女性のすがただったのだから・・・・・・
第1話はここまでです。
楽しんでいただけたでしょうか?