スーパーマリオ イフストーリー (完結)   作:竜音(ドラオン)

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早いですが筆が乗ったので第2話です。


第2話

 

 

 家の明かりをつけ、マリオは改めてクッパの姿に驚く。

 

 キラキラときらめく美しい金色の髪の毛。

 つり目がちながらも大きくパッチリとした目。

 やや太めな眉に、人よりは尖っている歯。

 その全てが組み合わさって、とても美しいのだ。

 

 あまりの衝撃に完全に目が覚めたマリオは、クッパを椅子に座るように促した。

 

 

「ま、まぁ、とりあえずそこの椅子にでも座ってくれ」

「うむ」

 

 

 クッパと向き合うようにテーブルの反対側へと座り、改めてマリオは考える。

 

 なぜ、クッパの姿が女性になっているのか。

 

 なぜ、城に帰らずに自分のところに来たのか。

 

 こちらをジッと見てくるクッパに、マリオは慣れない気恥ずかしさを感じていた。

 クッパが普段の姿であるのならばこんな思いは全くないだろう。

 

 

「それで、どうしてそんな姿になってしまったんだい?」

「・・・・・・そうだな。簡単に言ってしまえば、ピーチ姫を拐いにキノコ城に侵入して失敗をした。それだけのことよ」

 

 

 マリオの問いに、クッパは悪びれることなくピーチ姫を拐いに行ったことを話した。

 いつものことと言えばいつものことなのだが、どうにもクッパの様子に違和感を感じたマリオは話の続きを促す。

 

 

「失敗したって・・・・・・。それにしたって姿が変わってしまっているのは何故なんだい?」

「それについてはワガハイも分からぬのだが、1つ心当たりはある・・・・・・。壺だ」

「壺?」

 

 

 マリオの頭の中にカラカラ砂漠に置いてあった茶色の壺が思い浮かんだ。

 しかし、壺とクッパの姿にどんな関係があるのかはさっぱり分からない。

 

 

「今回、ワガハイは地中からキノコ城に侵入しようと地下を掘っていたのだ。すると途中で不思議な模様の蓋付きの壺が埋まっているのを見つけてな。一先ずはキノコ城に侵入してから中を見てみようと思って横に置いて掘り進めていったのだ」

「お前は毎回いろいろな手でピーチ姫を拐いに来るもんな」

「まぁな。それで、キノコ城の敷地内にまで穴が開通したから壺を開けようとしたのだが、蓋が固くて思わず割ってしまったのだ。すると中から煙が出てきて、気がついたらこの姿に、な」

 

 

 自身の手を見ながらクッパは寂しげに言う。

 よく見ればその手は軽く震えていることが分かった。

 

 

「だが、お前なら自力で戻れるんじゃないのか?それ以外にもカメックに頼むとか」

「戻ろうとは・・・・・・したさ。だがな、何度やっても戻らぬのだよ。それに、ワガハイのクラウンも元のワガハイの姿でなければ動かないようにセキュリティがあるからな」

 

 

 クッパの言うクラウンとは、ピエロの顔のような模様のついたプロペラで飛ぶ乗り物のことだ。

 いくつか量産はされているのだが、クッパ専用のクラウンにはクッパの姿を登録してあり、それ以外の者が乗っても起動しないのだ。

 

 

「それに、この姿では今までのように動くことすら出来ぬからな・・・・・・」

「クッパ・・・・・・」

 

 

 そこでマリオはようやく気づく。

 クッパの姿がどことなくボロボロであることに。

 一見すれば綺麗に見えるのだが、よく見れば乾いた土汚れ等が着いているのだ。

 さらに言えばクッパは靴も何も履いておらず、その足は痛ましさを感じるほどに傷が見えた。

 

 

「さて、夜遅くにすまなかったな。ワガハイはもう行く」

「は?行くってどこにさ?」

 

 

 マリオが傷を見つけたことに気づいたのか、クッパは足を隠すように立ち上がる。

 気を付けてクッパの様子を見れば、その体がフラフラと小さく揺れていることも分かった。

 

 

「もともと貴様とワガハイは敵同士だったのだ。気にすることはあるまいよ」

 

 

 そう言って、クッパは玄関の扉へと手を伸ばす。

 その背中はとても小さく見え、今まで戦ってきたライバルの姿とはとても思えなかった。

 

 気がつけば、マリオはクッパの手を掴み、強く握りしめていた。

 

 

「なんだ、まだ何かあったか。それともこの姿のワガハイと戦うか?それもまた良かろう。今のワガハイなら簡単に死ぬであろう。さぁ──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「家に住め」

 

 

「──戦お・・・・・・なに?」

 

 

「家に住め、と言った」

 

 

 マリオの言葉にクッパは呆けたように口を開ける。

 あまりにも突拍子のない言葉。

 しかし、マリオの瞳からは冗談を言っているような光は一切なく。

 ただただ真っ直ぐとクッパのことを見つめていた。

 

 

「は、ははは・・・・・・。なんだ、よもやワガハイの体が目的か?それならばハッキリと言ったら──」

「俺がそんな目的や、冗談で言ってると思うか?」

「ぐ・・・・・・」

 

 

 笑い飛ばそうとしたクッパの目を見つめ、マリオは強く言う。

 真剣なマリオの言葉にクッパは何も言えなくなってしまった。

 

 

「俺とお前はずいぶんと戦ったさ。だがな、だからこそお互いに相手のことが分かるだろう?お前は確かにピーチ姫を拐ったりした。だが、俺と一緒に戦ってくれたりもしたじゃないか」

「そ、それはお互いに利害が一致しただけに過ぎん・・・・・・」

 

 

 過去の戦いが2人の頭の中で思い出されていく。

 時にはピーチ姫を拐い、それを助け出しに戦い。

 時には2人で協力して強大な敵を倒し。

 

 

「それでもお前は俺を助けてくれたことが何回もあるだろ?だから、今度は俺がお前を助けるのさ」

「な・・・ぜ・・・。何故、そんなに優しくしてくれるのだ・・・・・・」

 

 

 気づけばクッパの瞳からは大きな涙がポロポロと零れ落ちていた。

 そんなクッパの問いに、マリオは笑いかけながら答える。

 

 

「何だかんだあっても、お前と戦うのは楽しいからさ。だからな、俺はお前のことは嫌いにはなれないんだよ」

 

 

 マリオの言葉にクッパの緊張の糸がほどけたのか、カクンとその体からは力が抜け、その意識を落としていった。

 クッパの体を咄嗟に抱き止め、マリオは自分のベッドへとクッパを寝かせる。

 

 そしてマリオはソファの上へ横になり寝息をたて始めた。

 

 

「ありが・・・とう・・・」

 

 

 強がりで寂しがり屋な、そんなライバルの言葉を微睡みの中に聞きながら。

 

 

 

 

 





読了ありがとうございました。




・ルイージ邸観察日誌 その1

 森の中の開けた場所に建つ緑の屋根のシンプルな家。
 家の作りとしてはマリオのものと違いは然程なく。
 兄弟らしいと言える。
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