スーパーマリオ イフストーリー (完結) 作:竜音(ドラオン)
あっぶない・・・・・・
時間ギリギリ・・・・・・
萌えはいらないとか抜かす奴がこの世じゃ最も潤いがないの
・チルチャック(ダンジョン飯)
・
観覧車に向かっていくマリオとナハトを見送り、クッパは改めてピーチ姫を見る。
ピーチ姫は先ほどと変わらずにうつむいたままだ。
「はぁ・・・・・・。いい加減に何があったのかを教えてはくれぬか?」
「・・・・・・ええ」
クッパの言葉にピーチ姫はゆっくりと口を開く。
本音を言ってしまえば何があったのかを言いたくはない。
特にクッパにはなにも教えたくなかった。
でも、それと同じくらいに自分の中に悲しさがあって、誰かに対して思い切り吐き出したかった。
ピーチ姫は自分の中でぐるぐると渦巻く心に短く息を吐く。
「クッパ、私ね・・・・・・。マリオにフラれちゃった・・・・・・」
「な・・・に・・・・・・?!」
ピーチ姫の言葉にクッパは驚き、ピーチ姫の顔を見る。
言葉にしたことによってフラれたことを改めて理解してしまったのだろう。
ピーチ姫の瞳からは大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちていた。
「・・・・・・観覧車で2人きりになったのはそういうことであったか」
「ごめんなさい・・・・・・」
なぜピーチ姫が観覧車でマリオと2人きりになったのか。
ピーチ姫の言葉にクッパは合点がいく。
なぜ急に告白をしたのかは分からないが、そのために2人きりになったのだろう。
「ふふ・・・・・・情けないわよね。あなたとナハトを裏切って2人きりになって告白して、結局フラれちゃうんですもの・・・・・・」
自身を嘲笑うようにピーチ姫は言い捨てる。
告白をするためにライバルであり、友達でもある2人を裏切り。
その結果として思い人にフラれる。
なんて滑稽。
友達を裏切った女には相応しい仕打ちだろう。
うつむいたピーチ姫の顔から涙が落ち、地面を濡らす。
「・・・・・・言いたいことはそれだけか?」
「・・・・・・え?」
罵られるだろう。
怒られるだろう。
蔑まされるだろう。
そう思っていたピーチ姫は予想外の言葉に顔をあげる。
「確かに、ピーチ姫はワガハイたちを出し抜いただろう」
「・・・・・・ええ」
「だがな、そもそもとしてワガハイたちがここに来たのはピーチ姫が誘ってくれたからであろう」
そう。
キノコランドに来ることになったのはピーチ姫が3人を誘ったから。
もしもピーチ姫が誘わなければ────まぁ、いつかは来ていたかもしれないが・・・・・・今日、ここまで楽しむこともできなかっただろう。
「でも・・・・・・」
「それと、だ。ピーチ姫、きさまは一度フラれただけで諦めるのか?」
困惑するピーチ姫に、クッパはさらに尋ねる。
たった一度フラれただけで諦められるのか。
ピーチ姫の思いはその程度のものだったのか。
ワガハイが好きであったピーチ姫はそんなにも弱かったのか。
「ワガハイは何度負けてもピーチ姫を拐っていただろう。ならば、今回はピーチ姫も諦めずに立ち上がらぬか!」
「クッパ・・・・・・」
ピーチ姫の脳裏によみがえるのはもとの姿の時のクッパ。
彼は何度も自身を拐い。
何度倒されても諦めることはなかった。
今はライバルであるはずの自分に・・・・・・
「どうして・・・・・・。私を元気づけようとしてくれるの?私が諦めればあなたが結ばれやすくなるじゃない・・・・・・」
「ふん、ワガハイは強欲でな。全員が幸せになれる未来を一番欲しているのだ」
ピーチ姫の問いにクッパは顔を逸らしながら答える。
ピーチ姫の位置からは見えなかったが、クッパの顔はやや赤く染まっていた。
「それに、さっきみたいに出し抜かれはしたが。ワガハイはピーチ姫のことは嫌いになれないのだ」
自身がマリオに言われた言葉を思い出しながらクッパは鼻を掻く。
一瞬、ほんの一瞬だけ。
クッパの姿にもとの姿のクッパが重なって見えた。
読了ありがとうございます。
・ルイージ邸観察日誌
ピーチ城に到着ー!
っと、高く飛んじゃダメなんだった。
えっと、デイジーのところはあっちだったかなー。
・・・・・・兵士さんたち、露骨に残念そうにされるとイヤなんだけど。
あとでキノじいさんに報告しておこう。