スーパーマリオ イフストーリー (完結) 作:竜音(ドラオン)
まぁ、こっちは4時間クオリティなんであまり期待しないでいただけると助かります。
・
薄暗い森の中、1人の男が震えながら歩いていた。
男は緑の帽子をかぶり直し、ふぅと息を吐いた。
「ううぅ、やっぱり迷いの森は怖いなぁ・・・・・・」
手に持った袋を落とさないように気をつけながら男は歩みを進める。
進めている・・・・・・
進んでいるはずだ・・・・・・
「よう、ルイージ!」
「うわぁぁぁあああ?!」
とつぜん話しかけられ、男、ルイージは思わず跳び上がる。
話しかけただけでそこまで驚かれるとは思わなかったクリボーは目を白黒させた。
「こんなところで何やってるんだ?」
「く、クリボーか。驚かさないでよぉ・・・・・・。森の奥の屋敷でハロウィンパーティーをするんだよ」
クリボーの問いにルイージは胸を撫で下ろしながら答える。
ルイージは兄であるマリオと比べて臆病で、お化けが苦手なのだ。
だからこそクリボーにも驚いて跳び上がっていた。
「森の奥って・・・・・・。お前、まだここは入り口じゃないか」
「だって怖いんだよ?!」
ルイージの言葉にクリボーは呆れたように息を吐く。
そう、クリボーの言っている通りここはまだ迷いの森の入り口付近。
薄暗くはあるが、迷いの森に入っているとは到底言えない場所だ。
「はぁ・・・・・・。しゃーねぇ、ハロウィンパーティーってことはなんか持ってくんだろ?」
「え、う、うん。クッキーを作って持ってるよ」
やれやれ、といった様子でクリボーはルイージに尋ねる。
クリボーの言葉にルイージは頷き、手に持った袋を見せた。
袋の中からはいい匂いがただよってくる。
「俺がついていってやるから、屋敷まで着いたらクッキーをくれよ?」
「本当!ありがとう!」
クリボーの言葉にルイージは嬉しくなって抱きつく。
クリボーたちは普段はルイージをバカにはしているが、嫌いなわけではないので、時たまこんな風に手助けをするのだ。
そして、クリボーの後を追ってルイージは迷いの森へと入っていった。
「やっぱり怖い・・・・・・」
「怖いと思ってるから怖いんだよ」
歩みの遅いルイージにクリボーは急かすように背中へ体当たりをする。
それと同時に近くの茂みから鳥が飛んでいった。
「うひゃぁぁああ?!」
「ただの鳥だ!招待されてるってことは待ってる奴がいるんだろ?会えなくても良いのかよ」
「それは・・・・・・」
クリボーの言葉にルイージは貰った招待状を思い出す。
恥ずかしがり屋な彼女が勇気を出して持ってきてくれた招待状。
その内容は来てほしいって言う気持ちがとても感じられた。
僕は、その思いに答えたい・・・・・・!
「会いたい!ちゃんと会いたいよ!」
「よっしゃ!それならさっさと奥まで行っちまうぞ!」
ルイージの言葉にクリボーは楽しそうにジャンプし走り出す。
その後をルイージも追って走り出した。
彼の体は、もう震えていなかった。
迷いの森の奥、切り開かれたその空間にその屋敷はあった。
壁にはヒビが入っており、3階部分からは何か不思議な光が見える気がした。
「ちゃんと着いたな。ここまでで大丈夫だろ?」
「うん、ありがとう。これ、お礼のクッキーだよ」
そう言ってルイージはハンカチにクッキーを何枚か包んでクリボーに渡した。
「おう!じゃーな!」
クッキーを受け取ると、クリボーは軽くジャンプをして森の中へと消えていった。
そしてルイージは改めて屋敷へと体を向ける。
「ふぅ・・・・・・。すいませーん!」
「あら、ようやく来ましたのね」
ルイージは正面の扉を開けて呼び掛ける。
するとルイージの目の前にリボンをつけたテレサ、レサレサが現れた。
とつぜん現れたレサレサにルイージは驚き、思わず後ずさる。
「まったく、マリオは早めに来ていたと言うのに。部屋まで案内しますわ。着いてらっしゃい」
「は、はい!」
クルリと向きを変えてレサレサは移動する。
レサレサの言葉にルイージは慌てて後を追った。
レサレサは階段を上がり、2階の一室の前で停止する。
「この部屋で待ちなさい。あたくしはあの子を呼んできます」
「わ、分かりました」
そう言ってレサレサはスゥッと消えていく。
レサレサが消えたことにビクビクとしながらルイージは部屋の中へと入った。
「わぁ!」
部屋の中へと入ったルイージは部屋の内装に目を輝かせる。
屋敷の外観からは想像できないほどにハロウィンの飾りつけがされており、とても同じ屋敷だとは思えないのだ。
「こんなに綺麗に飾り付けされてるなんてスゴいや!」
「へっへーん!俺たちにとっちゃ朝飯前だよ!」
ルイージの言葉に誰かが返事をした。
返ってくるとは思っていなかった言葉にルイージは思わず固まってしまう。
「おい、どうしたんだよ?」
「あ、て、テレサかぁ」
話しかけてきたのがテレサだと分かり、ルイージはホッと息を吐く。
そんなルイージの姿にテレサは不思議そうに体を傾けた。
「っと、そうだ。ルイージ、トリックオアトリート!」
「ああ、ハロウィンのやつだね。はい、僕が焼いたクッキーだよ」
テレサは思い出したようにルイージに言う。
テレサの言葉にルイージは手に持った袋からクッキーを数枚取り出して手渡した。
「ちぇー、お菓子を持ってたのか。それなら、はい。これを持ってたらもう言われないから」
「箱?まぁ、分かったよ」
テレサはルイージに小さな箱を手渡すと、クッキーを齧りながら部屋から出ていった。
そしてテレサと入れ替わりに段ボールでできた巨大な盾が部屋の中へと入ってきた。
「え、えっと・・・・・・。来てくれてありがとうございます!」
「ああ、君か!うん、こちらこそ招待してくれてありがとう」
盾の反対側にいるのが招待状をくれた彼女だと分かり、ルイージは微笑みながら答える。
そんなルイージの言葉に、盾は嬉しそうに上下に揺れた。
そして、ゆっくりと盾の反対側からその姿を現す。
盾の反対側から現れたのは真っ白な女性。
さらさらとしてきらめいて見える白い髪の毛。
ややたれ目がちながらも大きくパッチリとした目。
恥ずかしいのか朱に染まった白い肌。
その全てが組み合わさった、とても美しい女性だった。
「えっと、またクッキーを作ったので食べてくれますか?」
「あのクッキーだね。うん、いただくよ。僕もクッキーを作ってきたから食べてくれるかな?」
ルイージは手に持った袋からクッキーを数枚取り出して差し出した。
それと同時に女性の手からテレサの形をしたクッキーが飛び上がる。
飛び上がったクッキーの内の1枚をルイージは素早く掴み取り口に運ぶ。
「とても美味しいよ」
「る、ルイージのクッキーも美味しい、です」
お互いに相手のクッキーの感想を言う。
そんな2人の周りをテレサの形をしたクッキーが飛び回っている。
「私のクッキーは他の人が食べても味がしないって言われちゃって・・・・・・」
「そうなのかい?こんなに美味しいのに・・・・・・」
しょんぼり、といった声音で女性は肩を落とす。
そんな女性にルイージは不思議そうに首をかしげる。
「本当、ですか?」
「うん。食べる人のことを考えて作られている優しい味だよ。僕は好きだな」
「え、あ、あうう・・・・・・」
ルイージの言葉に女性は顔を赤くしてしゃがみこんでしまった。
女性は手で赤くなった顔を隠してしまっている。
女性はカリスマガードをした。
防御力が3アップした・・・・・・気がした。
さらには女性の周りでテレサの形をしたクッキーも顔を隠して赤くなっている。
「そういえば僕は君の名前を知らないんだけど・・・・・・」
「あ、そ、そうでしたね・・・・・・。えっと私は・・・・・・、き、キングテレサのマシロです・・・・・・」
ルイージの言葉に女性、マシロは自身の名前と正体を言う。
マシロはルイージがお化けを苦手としていることを知っている。
それでも自身の正体を隠したくないと思ったのだ。
「そっか、マシロさんって言うんだね。改めてよろしくね」
「え?あ、あの・・・・・・。私、キングテレサ・・・・・・なんですよ?」
自身の正体を知ってもルイージの態度が変わらないことに驚き、マシロは思わず尋ねる。
そんなマシロにルイージはキョトンと見つめ返す。
「その事がどうかしたの?」
「え、だって、ルイージのことたくさん驚かせたりしてきちゃったし・・・・・・」
なんてことないように聞いてくるルイージにマシロは困惑する。
自分がキングテレサだと知ったら驚いて逃げてしまうんじゃないか。
手紙のやり取りや話すことはできなくなってしまうんじゃないか。
そんな風に悩んでいたのがバカらしくなるほどにルイージの態度は変わらなかった。
「私のこと、怖く・・・・・・ないんですか?」
「ああ、そう言うことか。確かに君がキングテレサだって聞いて驚いたよ。でも、今までに僕たちは手紙やお話をしてきたでしょ?だから、僕にとって君は怖いキングテレサじゃなくて、恥ずかしがり屋のキングテレサの友達なんだよ」
マシロの言葉にルイージはようやく合点がいったと頷く。
ルイージは確かに臆病な男である。
だが、それでも友達になった相手に怯えるような男ではない。
引っ込み思案でビクビクとしているときもある、それでもしっかりとした思いを持っているのだ。
「あ、ありがとう・・・ございます・・・・・・」
「ううん。こちらこそ僕と友達になってくれてありがとう」
マシロは、再び顔を赤くして顔を隠してしまった。
そんなマシロの姿を、ルイージは微笑ましそうに見ていた。
不意に大きな揺れが屋敷を襲う。
「うわ?!」
「な、なに?!」
揺れは収まることはなく、何度も繰り返される。
あまりにも大きな揺れにルイージは思わず尻餅をつく。
「あいたぁ?!」
「だ、大丈夫ですか?」
ふよふよと宙に浮かんでマシロはルイージを起こす。
飛んでいるマシロは影響を受けないが、ルイージはもはや立つことが困難だった。
そして、限界を迎えたのか、部屋の天井にヒビが入っていき、崩落してきた。
「いけない!」
マシロは咄嗟にルイージを抱き寄せて“すきとおり”をおこなった。
“すきとおり”によって崩落してきた天井もぶつかることなくすり抜けていく。
そして2人は屋敷の崩落が終わるまでそのままの体勢でいた。
「終わっ・・・・・・た、かな?」
「たぶん、ね」
崩落が終わり、辺りを見回すと周囲は瓦礫の山になっていた。
ルイージが持ってきたクッキーも、マシロが焼いたクッキーも全て埋まってしまったことが分かった。
「そうだ。助けてくれたお礼になるかは分からないけど、これをあげるよ」
そう言ってルイージは小さな箱をポケットから取り出した。
この箱の中に何が入っているのかは分からない、だがお礼として渡せそうなものがこれしかないのだ。
ルイージから箱を受け取ったマシロは、そっと箱のふたを開けた。
「え、これは・・・・・・」
箱の中に入っていたのは、シルバーに輝く指輪だった。
指輪を手に取り、マシロは驚きながらルイージを見る。
「えっと、その・・・・・・。着けてくれませんか?」
「ぼ、僕が?」
ルイージに指輪を手渡し、マシロは左手を差し出す。
指輪を受け取ったルイージは緊張しながらマシロの手を取った。
どの指に着ければ良いのか・・・・・・
指輪を持ちながらルイージは悩む。
親指、指輪のサイズからして入らない。
人差し指、こちらもサイズからして入らない。
中指、こちらもサイズからして入らない。
薬指、ピッタリ入りそうな気がする。
小指、簡単に入るだろうけど緩い気がする。
選択肢は完全に薬指か小指の二択となっていた。
「えっと、薬指がピッタリみたいだから。薬指に入れるね?」
「は、はい!」
ルイージの言葉にマシロは嬉しそうに返事をした。
そして、マシロの左手薬指にシルバーに輝く指輪がつけられた。
つけられた指輪を眺めながら、マシロはくるくると回転する。
「大切にしますね!」
花が咲いたような可憐な笑顔でマシロは言った。
大好きなルイージから貰った指輪。
なくしたりしないように大切にしよう。
心にそう誓いながら。
というわけでキングテレサ姫の名前が初登場しました。
こちらの作品ではキングテレサ姫の名前はマシロです。
・ルイージ邸観察日誌
パーティーでルイージとちゃんと話すことができました!
それに指輪までもらっちゃった!
私のことをキングテレサだって知った後も友達だって言ってくれたし・・・・・・とっても嬉しい!
嬉しくて恥ずかしいのも忘れちゃってたけどちゃんと訓練の成果も出てるみたい。
もっと訓練すれば一緒に出掛けたりできるかも!