スーパーマリオ イフストーリー (完結)   作:竜音(ドラオン)

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クッパとピーチ姫の修羅場が始まります。


モノを書くときはね
誰にも邪魔されずに自由で
なんというか、救われてなきゃダメなんだ
独りで静かで豊かで・・・・・・


・久住昌之(孤独のグルメ)

寝る前に布団で書いてると特に筆が進みます。


第28話

 

 

 ジッと、光のない瞳が自身を射抜く。

 どうやら、クッパが自身を見つけたことに気づいたのだろう。

 ベランダに立つピーチ姫はゆっくりと笑みを浮かべ、口を動かした。

 

 

『あ な た が ど ろ ぼ う ね こ さ ん ?』

 

 

 ゾクリとクッパの背筋を冷たいものが過ぎる。

 溶岩に落ちる寸前だとか、爆発に巻き込まれる寸前だとかそんなものとは比べ物にならないほどに体の熱が冷えていく。

 

 ピーチ姫は笑みを浮かべている。

 何度も見たことがある、マリオへと向けるピーチ姫の表情。

 しかし今の笑顔に見惚れることはできず、なにか恐ろしいものに睨み付けられたような感覚を受けた。

 

 クッパが固まり、青い顔で何かをジッと見ていることに気がついたマリオは、クッパの視線を追いベランダへと目を向ける。

 

 マリオがピーチ姫の姿に気づく直前、ピーチ姫の発していた圧迫感は消え、ピーチ姫はいつものように笑みを浮かべていた。

 

 

「いらっしゃい。マリオ」

「ああ、ピーチ姫。良かった、無事だったんだ──ね?」

「待つのだ、マリオ!」

 

 

 笑みを浮かべていつものように話しかけてきたピーチ姫にマリオは安堵し、息を吐いて近くへ行こうとした。

 しかし、クッパが素早く手を掴み、マリオを制止する。

 

 

「どうしたんだよ?ピーチ姫はちゃんと喋れているんだから“悪意”を受けていないだろう?」

「だから待て!よく考えろ。ワガハイたちが部屋に入ったときにベランダを含めてちゃんと見ただろう!そのときは誰も居なかった!忘れたのか!」

 

 

 先ほどのピーチ姫の姿を見ていないマリオは、心底不思議そうにクッパに尋ねた。

 

 クッパは先ほどのピーチ姫の光のない瞳を見てしまっている。

 ピーチ姫の書いた狂気染みた日記の内容を見てしまっている。

 

 その2点によってクッパはピーチ姫が限りなく黒だと認識していた。

 

 

「それは・・・・・・もしかしたら見えない位置にい──」

「あり得ないことを言うな。あのベランダは窓枠までしか広がっていない。どこにも隠れることなど出来ぬのだ」

 

 

 否定しようとするマリオの言葉をクッパは切り捨てる。

 

 ピーチ姫の部屋のベランダはそこまで広くなく。

 クッパの言うように窓枠までの幅しかない。

 仮に隠れるとすればベランダのふちにぶら下がるくらいしかないのではないだろうか。

 

 と、ここでクッパは気づく。

 ピーチ姫が再び光のない瞳でこちらを見てきており、何かを呟くように口を小さく動かし続けていることに。

 

 ピーチ姫のそんな姿を見て、クッパは思わず後ずさった。

 

 

「マリオ・・・・・・、アレは・・・アレは本当にピーチ姫なのか・・・・・・?」

「本当にどうしたんだ?」

 

 

 すぐにでも逃げてピーチ姫から離れたい。

 そんな思いを(こら)えながらクッパはマリオに尋ねる。

 

 ピーチ姫の異常に気づかないマリオはクッパの言葉に首を傾げる。

 

 

「さあ、お茶にしましょう?こんなに天気が良いんですもの。それともケーキを焼きましょうか?新しいケーキを作ってみようかとも思っていたのよ」

「え・・・・・・?」

 

 

 黙って待つことに限界がきたのか、ピーチ姫がマリオへ向けて話しかける。

 話しかけてきたピーチ姫の言葉に、マリオは違和感を感じた。

 

 自分は何に違和感を感じた?

 

 お茶を飲むお誘い?・・・・・・違う。

 ケーキを焼くということ?・・・・・・違う。

 新しいケーキ?・・・・・・違う。

 

 そして、マリオは気づく。

 

 ピーチ姫が『今日は天気が良い』と言っていたことに。

 ピーチ城の周囲は“悪意”の膜に包まれていて薄暗く、どう考えても『今日は天気が良い』なんて言える天気ではないのだ

 

 違和感に気づいたマリオは思わず身構えた。

 

 身構え【てしまっ】た。

 

 

「どうしたの?どうして私を見て構えているの?どうしてあなたは私の側に来てくれないの?どうしてそんな目で私を見るの?どうして、どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして────」

「ピ、ピーチ姫?!」

「距離を取れ、マリオ!」

 

 

 身構えたマリオの姿を見て、ピーチ姫は頭を抱えて俯いていく。

 そして次の瞬間、ピーチ姫の服から黒い触手が生え、マリオへと向かっていった。

 突然のピーチ姫の変わりようにマリオは驚き、反応が遅れてしまう。

 

 クッパの言葉に反応する前にマリオの足が黒い触手によって絡め取られ吊り上げられてしまった。

 触手は赤く明滅しており、マリオが体を揺すってもびくともしない。

 

 

「くっ!」

「私の、私だけのマリオ・・・・・・。あなたにはワタサナイ・・・・・・」

 

 

 吊るされたマリオの頬を撫で、ピーチ姫はクッパへと向き直る。

 その瞳には明確な敵意の色があった。

 

 

 

 

 

 

 




読了ありがとうございます。

修羅場はあまり書くのが得意ではないですが、頑張っていきます。


・ルイージ邸観察日誌

 もうすぐハロウィンだからレサレサちゃんがとてもはりきってる。
 でも、まぁテレサの本能みたいなものだから仕方がないよね?

 私も少しウズウズしてるし。



 ・・・・・・あ、ルイージにトリックオアトリートって言ってお菓子がなかったらイタズラできる?

 ちょっとだけ考えてみようかな。

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