リリカルなのは 戦女神奈の転生物語   作:モフモフ好き

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ガンダムの続きを書いていたはずが、気がつけば別の小説ができていた。
何を言っているかわからねえだろうが俺が一番わからねぇ。
催眠術とかトリックとかそんなちゃっちなもんじゃねえ。

そして一話書き終わった所で思った。
なのは要素が全くねぇ!
混ぜ過ぎ危険、チートも過ぎれば書きにくいと改めて考えさせられました。

そんな気まぐれ超不定期、勢いとノリと書き直しでできた小説で良ければどうぞ。

注意、プロローグはなのは要素がかなり薄いです。


プロローグ

 皆さん、事実は小説より奇なりと言いますが、本当にそういうことってあるんですね。

 なんで突然そんなこと言ったかって?

 そりゃきまってますよ、よく読んでた二次創作界隈のようなことが起きたからです。

 

「すまんな、お前さん死んでしまったんじゃ」

「死んだのに意識あるのは死んでると言うんでしょうか? 体のない人魂だから死んでるんでしょうけど」

 目の前(目がないけど)にはなにやら元始◯天尊様のような見た目の方が。

 

「それじゃ伏せ字になっておらんじゃろうに、この姿は単にお前さんのイメージからそれっぽいものが選ばれとるだけじゃ!」

「ああ! 死ぬ前、最後に読んでたのが藤崎版封神演義でしたね。

 伏羲の姿だと見た目の感じが足りませんでした?」

「イメージ的にちょっと貫禄がな~」

「つまり私のイメージ次第では変わると……」

 がんばって大神(モフモフ)の方をイメージしてみたけど。

「いやいや、そんな一生懸命イメージしてもダメじゃからな」

「無念……」

「死んだのに余裕があるのう」

「死んだからじゃないですか?」

 

 なんで死んだのかちゃんと覚えてますからね。

 いや~、前世病弱で、本の虫でしたから。

 ラノベや漫画を読むことが多い人生でした。

 ネットのお陰で二次創作作品にハマるぐらいには……。

 

「さて、お前さんが死んだのはじゃな」

「テンプレな書類ミスとかでしょうか?」

「いいや、ちゃんと世界の理通り死んだぞ」

「ならなんで私ここにいるんですか? 私死んだら多分輪廻転生か、全部真っ白どころか透明になるまで洗濯されて根源に落ちて消滅すると思ってたんですけど」

「そういう世界もあるな、じゃがお前さんのいた世界は概ね輪廻転生であっとるぞ」

「ならなんで私ここに? 神様の気まぐれでしょうか?」

 そう聞いたら神様は頷いてから

「そうじゃな、5割ぐらいは気まぐれじゃな」

「まさに神の気まぐれですか」

「じゃが残りはお前さんの死因に関わっとるの」

「それは心停止? それとも病弱?」

 

 私が思い当たるものを指摘すると

「どちらもじゃな、お前さんの知識だとわかりやすいのは天地◯無用の山田◯西南の事例が当てはまるな」

「伏せ字仕事してくださいって、え? それって世界の歪み、マイナスのパワースポットが個人に収束したっていうあれですか?」

「程度の違いはあれ、あれほど酷くはないが、お前さんの病弱はそれが起因しとる。

 全く歪みのない世界などそれこそ可能性のない世界じゃからな。

 お前さんのいた世界だと、誰かにプラスに働けば当然マイナスに働くこともあるじゃろう、生まれるものがおれば死ぬものもおる。

 自然の摂理じゃが、時たまそういった摂理の中で異常な値を示すものがおる、プラスにしろマイナスにしろな」

 

「つまり、超幸運な人と超不運な人が……幸運量保存の法則で女神は来なかったんですけど……」

「残念ながら女神お助け事務所は、お前さんの世界にはなかったのう」

「あったら来てました?」

「来ておったろうな……」

「神は死んだ!」

「なんでやねん! わしゃ生きとるぞ!」

「あなたが神か!」

「DEATH NOTEに名前書き込んだろうか?」

「もう死んでます!」

「ちょくちょくネタを挟んできおるなお主! 生前そんな性格ではなかったと思うが?」

「肉体がないから思いっきりはしゃげてるだけです! ちょっとこんなふうにはしゃぐのは憧れが有りましたから」

 そう言われると納得したのか、説明を続ける神様。

 

「ふむふむ、ではそんなお主には特典付き転生してもらおうかのう」

「神様転生、事実は小説より奇なり、人が空想できるすべての物事は起こりうる現実であるとはよく言ったものですね」

「まさしくのう、なおこれは儂の気まぐれ半分であるので当然拒否権はないやもよ?」

「曖昧ですね」

「断るのか?」

「未練たらたらではありますからね。普通に転生するなら当然記憶は抹消でしょうから未練も多分意味はないでしょうし、よっぽど未練のない、天珠全うした人じゃないと断る人少ないんじゃ?」

「まあ、断るものもおるのう、中には無理やり転生させて楽しむ神もおるな……後でバレて上の神に怒られる下級神が出とる」

「まさに神の悪戯ですか?」

「そう言われても仕方ないのお、儂はそこまで悪辣なのは好まんがな」

「ふむふむ、ちなみに特典はいくつで?」

「求めるもの次第じゃな、まあお前さんじゃと多分少なくとも片手で数えるぐらいじゃろう」

「じゃあよくあるやつから……」

「ああ、すまんが無限の剣製とかそこそこよくある定番のは却下な、特に王の財宝とかはヤバすぎる」

「あ、縛りあるんですね、王の財宝とか恐れ多いので選べませんけどなんかあったんです?」

 

 神様の顔見る限りなんかあったんでしょうね。

 

「別の神が作った世界じゃが、複数の転生者がギルガメッシュのクラスカードや王の財宝、能力なんかを選んでエヌマ・エリシュの打ち合いなんかをして世界を壊した事があっての……、他にも王の財宝を使って好き勝手してたらあの王様、無理やり単独顕現して……」

「ああ……、それは壊れますわ……」

 

 対界宝具で打ち合いはあかん!

 

「なので、なるべく定番からは外してほしいの」

「じゃあとりあえず、シュウ・シラカ「グランゾンもダメじゃぞ」ですよね~、そうなると裸エプロン先輩もとい球磨川みそ「もダメじゃ」と見せかけて安心院さ「もっとだめじゃい!」ツッコミが食い気味ですよ!」

 

 それから神様と雑談も交えながらあれこれと特典を考えている中、大事なことを聞き忘れてた。

 

「そういえばどんな世界に飛ばされるんです? 特典が役に立たない世界とかになると目も当てられないんですが」

「おお、そう言えば忘れとったな、行くのは【魔法少女リリカルなのは】をベースにした世界じゃな、概ねリリカルなのはの世界じゃよ、まあ特典によって交じる場合もあるが」

 

「魔王少女リリかるなのはですか」

「魔法少女な」

 

 魔砲少女「字が違うぞ!」リリかるなのは、アニメとかも見てたけど、ガチバトル系でしたね。

 魔法が存在する世界か……、よし!

 

「一つ聞きますが、スーパー宝貝の太極図、あれは魔力とか霊力などの力にも作用しますか?」

「特典として選ぶなら、当然作用するのう。

 本来であればアンチ宝貝や仙道の力を集め、収束し、力に変えるものじゃが、特典として選ぶなら改良は必要じゃろう、仙骨はどうするかの~」

「無いと宝貝持った瞬間干からびるんでしたよね」

「元となる世界だとそうじゃったな、流石に物騒じゃからのう。

 使えるのは基本、お前さんだけにしとかんと不味いじゃろうし、一応仙骨はつけといて……伏羲の能力も一部付けとくか」

 

「もりもり付けられてるけど、いいんですか?」

「まあ、太極図へのセットじゃからそこまでは、伏羲の能力全部つけておるわけじゃないからな。

 お主が知っておる能力などほんの一部じゃろうよ、どっちにしろ使いこなせるかはお前さん次第じゃな」

「使いこなせない力に意味は無いと」

「その通りじゃ。当然力を使いこなす修行もいるじゃろうが、あちらにはもう崑崙山もスペースシップ蓬莱もないからの~。それに生臭禁止じゃ一般生活に支障が出る、この辺もいじっておくか」

 

「ありがとうございます!」

「まあ世界に合わせておかんとな、変に縛りすぎると第二の人生楽しめんじゃろう……、一つ目はこれで良しと、まだ空きはあるが、何が良いかの?」

「では、2つめはネギまから……」

「ふむふむ、しかしそうなると……」

 

 

 それからしばらく特典について話し合い、条件を詰めていった。

 いや~、思ってたよりもいけました。

 とはいえ……。

 

 

「望んでおいて何ですけど、使いこなせるのか怪しくなってきました……」

「まあ、お前さんの肉体ならいつかは使いこなせるじゃろう、仙骨もついとることじゃし、それなりに時間はあると思うぞ(神目線)」

「努力しだいというやつですね」

「そうなるの、素質はあっても努力しなければ素質は素質でしか無いということじゃ」

「なんでしょうか、ものすごく不安になってきました……」

「まあ、こちらはお前さんの次の人生を見せさせてもらうとしよう」

 

 神様はそう言うと、そばに扉が現れた。

 

「行くがよい、行き先はフィクションではなく現実じゃ、儂もこの先どうなるかはしらんからな」

「……行ってきます」

 そしてゆっくり扉を開けて潜ろうとすると、突然足元に穴が空いた。

「えっ!?」

「行く前に最後の選別じゃ。最低限、太極図が使えるように修行してくるがよい。一応コーチはおるから最低限の事は習ってくるとよいぞ~」

「い、いきなりすぎませんか~!?」

 真っ暗な穴を落ちながら、そう叫ぶと最後に聞こえたのは。

「そうじゃった! 言い忘れておったが、お前さんがこれから生まれる今世じゃがのう、お前さんの前前世辺りに関係あるやもよ?」

「そこを曖昧ってどうなんですかねぇぇぇぇぇ……」

 

 

 

 

 

 

 そして、次に目が覚めたら山の中でした。

「……サバイバル? 山の中で修行は定番といえば定番だけど、人魂の状態って……」

 そんなことつぶやいたところで

「告、チュートリアルを開始します、疑似ボディを形成」

 そんな声が聞こえたところで人魂の姿から人の形に変わっていく……だけど

 

「鋼の錬金術師の真理さんですか?」

 

 透明な、口と鼻以外は輪郭オンリーという没個性の体だった。

 

「告、疑似ボディに個性を求めないでください、さっそくチュートリアル訓練を開始します」

 あたりを見渡すと、打神鞭らしきものが浮かんでいて、ひとりでに動きだした。

「打神鞭?……いた!」

 いや、よくよく見ると打神鞭をつかむ透明な存在の輪郭が見えた。

「訓練プログラムを開始します、無駄口たたかずに座禅を組むのです!」

 

 開幕そうそうたたかれ、座禅を組まされると私の最低限の修行は始まったのでした……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれから修行を開始して、一万年と二千年の月日が「非、流れておりません」痛いです……」

 打神鞭で叩かれて修行を初め、もうどれぐらいになるか、正確な時間はわかりません。

 なんせここ、昼も夜もないし、魂の状態であるのには変わらないので、体感時間が曖昧になっています。

 睡眠不要というのが一番時間間隔を狂わせてると思います。

「チュートリアルが長すぎる件について」

「告、大きな力を願ったからです、ですが最低限といえる程度には使えるようになったようですね」

 打神鞭先生から、ようやく最低限と言われました。

「告、チュートリアル終了に伴い疑似ボディを解除します」

 打神鞭先生からチュートリアル終了を告げられた。

「これにて訓練の全行程を終了します」

 

 そう告げられた後、私の意識は真っ暗な中に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に目を覚ました時、私はもうベッドの上でした。

 おぎゃーからじゃ無くて良かったのか悪かったのか……。

 私が私としての自我が目覚めたのは生後1年ちょっとした頃。

 やっぱり、こうなっているならおぎゃーからのほうが良かったのかもしれません……。

 

 母親はすでに他界、お父さん一人での育児、父子家庭というやつみたいです。

 遺影やのうて、生きてるお母さんに会いたかった……。

 

 とは言え、ごくごく稀にベビーシッターさんに任せてお仕事に行くのが我が家、戦女家の日常になります。

 

 父親に関してですが、第一印象マッチョでした。

 気分的にはあれですね、プロレスラーなのかと思うぐらいには筋肉がすごかったです。

 なのにその重い筋肉で俊敏な動きを見せることも有り、格闘家なのかとも想像しました。

 

 一体どんな仕事をしてるのか興味はつきません。

 

 

 

 

 ※しばしの間、日記風になります

 

 

 

 ○月☓日(曇り)

 

 目覚めてから数日、お父さんがどんな仕事をしているのか気になったため、伏羲の力……むしろ王天君の力の一つである空間使いの能力で職場見学をしてみた。

 具体的には、王天君がよく使っていた窓をつかって。

 他人に見せようと思わなければ見えないので、心配は殆ど無い。

 さて、お父さんはいったいどんな仕事をしているのか……。

 

 

 

 

 

 

 ○月△日(晴れ)

 

 今日は仕事から帰ってきたお父さんと一緒に過ごした。

 抱っこしたり、高い高いしてくれたりと家にいるときはしょっちゅうかまってくれるいいお父さんだ。

 子供の体だからすぐうとうとして眠ってしまうのが辛いところです。

 

 観察していた限りだと、どうやらお父さんのお仕事はボディーガードとかSPの様なお仕事のようだ。

 武器は刀とかではなく、基本的に拳で戦ってました。

 だけど、全く武器を使わないというわけでもなかったです。

 状況によってはトンファーなんかはもちろんの事、小刀、銃、鋼糸なんかもつかってました……。

 今世の我が家は戦闘民族高町家に近い存在なのかと想像しました。

 

 拳の一撃で人が空を飛ぶのを始めてみた……。

 

 

 

 

 ……それからしばらく、日常や雑記、特徴的な出来事などが書かれている……。

 

 

 

 

 

 伊達にあの世は月 見てねぇぜ日

 

 お父さんの仕事の都合であっちこちを転々と引っ越しながら過ごしたんやけど、どちらかと言えば関西の方が長かったからか、言葉がそっちよりになりつつある今日このごろや。

 それにしてもこの数年間で色々あったわ~……。

 

 光が丘に引っ越したら橋が壊れ、爆弾テロと朝刊にデカデカと載っていたりとか。

 おとんが体を治療しに行った先が霊光波動拳の幻海師範のところだったりとか。

 海外への長期出張で、幻海師範の所に預けられてガチの霊力の修行させられたりとか……。

 そして買い出しに出かけたらガチの鬼相手のリアル鬼ごっことかやってられへんかったわ。

 

 詳しく言うと明らかに長くなるから端折るけど、デジモンと幽遊白書の事件にちょこちょこ巻き込まれたんよ。

 幽遊白書なら、闇の三大秘法に選考会(アシスタント)、四聖獣事件や暗黒武術会とか、後は冥界死闘編なんかに仙水事件とかにも関わりました。

 原作と違って、この世界では暗黒武術会、戸愚呂さん回りが違いましたね。

 潰煉による虐殺事件が起こらなかったみたいです。

 その結果、戸愚呂兄の方は妖怪になったみたいですが、戸愚呂弟さんは人間のまま幻海師範と修行を続けた結果、人間の枠を超えてしまいました。

 具体的には仙人に近い形に限界突破、若々しい肉体を維持してます。

 幻海姉ちゃんが20代、戸愚呂さんが30代ぐらいの肉体を維持しています。

 一番驚いたのは……お二人がご結婚していたことですね。

 

 お二人の仲が進展していたようで何より……眼福もんでした!

(なお、一般人の前では術で年相応の姿に偽ってたりします)

 

 

 闇の三大秘法では、はじめてのおつかいを幻海師範に頼まれ、その途中で餓鬼玉に引き寄せられて上記のリアル鬼ごっこ、そこから暗黒鏡に降魔の剣と芋づる式関わった。

 餓鬼玉では、浦飯さんが戦っている所に、無意識ながら餓鬼玉に引き寄せられたせいで出会うことに。

 

 暗黒鏡では、自分が同じ立場ったら同じことすると思ったために、浦飯さんが暗黒鏡に命を分けた所で

「何を考えているんだ お前!?」

「おい鏡! 俺の命を分けてやる! そうすれば、こいつの命全部取らなくても願いは叶うだろう!」

 そして、一度死んで見たからこそ言える、自分が死んだ後の親の様子を伝える浦飯さん。

 

「ほな、これで三分の一やな、三人で分ければそれだけ負担も軽くなるはずやろ? それにうちかて、同じ状況やったらお父さんを助けるために同じようなことしたと思うで……」

 原作なんてもんがあっても、その通りになるわけやないんや!

 そう思ってうちも命を分けてました。

 

 結果、原作通り命無しで願いは叶えてくれたんやけど、暗黒鏡の気まぐれなのか、体力と霊力をそれなりに吸われました。

 

『全く無茶を考える人間も居れば、それに乗る人間もいるとはな……

 しかし、願いをとなえる者たちが全てこんな奴らばかりなら、ワシも暗黒鏡と呼ばれることもなかったろうに……お前たちの行為に免じて命無しで叶えることにした、少々力は吸わせてもらったがな』

「せやったら、うちらぐらいは暗黒鏡なんて呼ばずに、月光鏡とか、別の名で呼んだらなあかんな」

 

 

 寝れば回復するとは言え、結構辛いわ~。

 帰りはぼたんさんに送ってもらったんや……。

 なお、事の次第を告げたら幻海師範からげんこつ落とされ、戸愚呂さんからは説教を喰らいました。

 

 そして、闇の三大秘宝で残った降魔の剣では霊界への貸しを作っとけとばかりに送り出されました。

 

 結果、ぼたんさんと一緒に幸村さんの治癒役兼、防御役をすることに。

 

 後は最後に

 

(霊丸の射線上に……疾ッ)

 

 

 やったのは暗黒鏡改め、月光鏡の目の前で風の渦を起こし、飛んできたレイガンを飛影に向けて跳ね返したんや。

 封神演義で言えば、Bクイックっぽいものである。

 太極符印がないからぽいものなのです。

 

 命無しで願い叶えてもらった恩もあるわけやし、霊丸の反射で割れるのはちょっとな……。

 

 

 そして続く選考会では特にこれといったことはせずに、アシスタント&テスターとして参加していました。

 まあ、幻海師範が超強化されてるおかげなのか、くじに関してのいちゃもんも眼力だけで黙らせてましたね。

 

 そして、ギリギリでしたけど浦飯さんが優勝しました。

 うち? うちがやったのは第二選考会の霊能力、霊撃力、霊気量を量るゲームのチェックでした。

 後は、幻海師範に付いていって試合の見学です。

 おかげでいくつか術が見れたので、大収穫でした。

 

 そして修行期間中は、私も頻繁に顔合わせることになったり、その際に影分身に似たような術の開発に成功したりした。

 ぶっちゃけ、伏羲の魂魄を分ける能力と、陽神の術と影分身の術を参考にした術の開発に成功した。

 

 

 やってることは陽神の術とほぼ違いはないんやけど、違うのは、どちらも行動が可能ということだ。

 魂魄を分けて行動できるお陰で、本体と分身、どちらも別々に動けるのだ。

 ただし、影分身と同じで練り込んだ分の霊力や気力、魔力分しか使えへんから注意が必要やな。

 

 

 ついでに言うたらまだ分身は一人ぐらいにしか出せへんねん。

 霊力修行先にしてたせいか、まだ魔法とかチャクラみたいな生命力関連はあんまり手を出せてへんねん。

 

 もろうたチートのお陰で、知識なんかは手に入るんやけど、使いこなすまでどれだけかかるかわからへんわ。

 

 四聖獣事件では陽神の術を使うて、関わったりしたんやけど、戦うことはあんまりなかったんよね。

 やったのはほとんどサポート、妖魔街には分身の方でついていって治療役や。

 それにしても白虎の言動見てると、意外と人間好きなんちゃうかな?

 そんな印象が拭えへんかったわ、なんでカールルイスがでてくんねん!

 実はテレビ好きだったりしたんかな? あのもふもふ、ちょっとおしかったな。

 

 流石に垂金権造の屋敷、つまり雪菜さんのときには関われなかったんですよね。

 ぶっちゃけ気がつけば雪菜さん救出事件が終わっていた感じです。

 聞いた話やと、戸愚呂兄は別の妖怪とタッグと組んで戦ってたらしいで。

 

 

 そして暗黒武術会では、ゲストとして浦飯さんたちが呼ばれてたんやけど……、幻海夫妻がチーム入りしてました。

 ついでにいえばうちも補欠で参加することに、一人置いていく方が心配だったそうですよ。

 なお、偽名の上覆面をつけさせられました……、どうしてこうなった。

 まあ、試合後の治療役としてはそれなりに働きましたけど、試合に出ることはありませんでした。

 最大人数も増えとるし、もう原作なんてなかった……。

 

 あえて言うなら、浦飯さんたちの命がけの修行場とかした暗黒武術会、締めは戸愚呂弟さんがお兄さんをフルボッコにして終わるかと思っとったんやけど……。

 いやはや、まさかこうなるとは……。

 戸愚呂兄の相方さん、ずっと覆面つけとったけど、まさかああなるとは。

 その結果、浦飯さん大苦戦の原作をなぞる展開に終わりました。

 

 その後も、冥界死闘編や仙水事件などにも関わり……魔界にも行ってきました。

 なんや小学生になる直前と直後ににえらい濃すぎる人生経験を積んでもうたわ……。

 

 一年という時間にとんでもなく詰め込んだというか、煮込まれた気分です。

 得るものも多かったんやけど、魔法少女はどこへ行ってしもうたんや!

 

 あと、コエンマ様から微妙にありがたくない肩書もらいました。

 非常勤霊界探偵って……、まあいまコエンマ様は親子喧嘩中やもんね。

 

 

 

 

 電子の海で月 会いましょう日

 

 

 8歳になりました。

 仙水事件の後はお父さんも帰ってきて、ようやく穏やかな日々を過ごすことができました。

 お父さんは前のお仕事を引退して、ゆっくり過ごすことに決めたみたいです。

 お金はもう十分溜まったから後は悠々自適な生活を送るつもりだとか。

 

 そして、うちが入学した小学校が御台場小学校だった件について……。

 クラスメイトに八神ヒカリちゃんがいた事にびっくりやで。

 

 なんやろう、魔法少女成分が皆無なんやけど……。

 

 

 なんて思うとったら、お父さんの友人が大怪我をしたと知って見舞いに行くことに。

 行き先は……海鳴市!?

 

 訪ねた先は……はい、喫茶翠屋でした。

 そうだよね、SPのような仕事してたもんね、面識あっても不思議はないよね。

 

 心配したお父さんは暫く桃子さんとお話するようで

 その間私は辺りを散歩することにしました。

 

 その際になのはちゃんと出会って、ちょっと励ましたり背中押したりもしたんやけど、散歩の道中で八神はやてちゃんとも遭遇。

 街角でばったりあったけど……思わず目が点になってましたわ。

 

 

 見た目が似とったんよね……、ここまであんまり気にしてへんかったけど、あの神様、うちの体のモデルを多分、美坂栞をもとにしたんじゃないかと……。

 昔、お父さんにプレゼントされたのが、チェック柄のストールだったんよね。

 肩に羽織って鏡みたら、あっ、ってなったし。

 

 

 出会ってやったことはお互に鏡合わせのパントマイムのような事やった。

 

「「に、似とる」」

 

 小学生だからなのか、髪型と顔つきがよ~くにてるんよな~。

 パッと見なら、車椅子に乗ってるか乗ってないかぐらいしか違いがないぐらいよく似ていた。

 

「……驚いたわ、世の中同じ顔の人間が3人はおるってきいとったけど」

「ここまで似とるとわな~……」

 

「実は私の生き別れのお姉さん?」

「いやいや、可愛い妹かもしれへんで?」

「マジで!? 私6月やけど、そっちは?」

「じゃあうちは多分妹やな、多分同い年やと思うけど、うちは2月生まれや」

「何歳?」

「8歳や、そっちは?」

「年度考えたら同い年やな、もうすぐ9歳やけど今はまだピチピチの8歳やで」

「同年代でここまでおんなじ顔……生き別れのお姉さん説が否定できなくなってきたな……実は遠い親戚ワンちゃんある?」

「どうやろうな? 私の親戚って、今のところ聞いたことないし」

「実はうちも無いんよ、後でお父さんに聞いてみよ……というわけで一枚」

 

 お父さんからもらったカメラ付き携帯でパシャリと一枚……スマホの時代はまだ遠いな~。

 

 

 その後なんやかんやで意気投合して連絡先を交換しました。

 

 

 なお、その後お父さんからは生き別れのお姉さんは否定され、こっそり士郎さんの治療を頼まれたんよね。

 幻海師範から、治療の筋は良いって言われましたけどどうなるやら……。

 一応、この事実についてはお父さんに念押しでこの件について誰かに話さないこと、書き残さないことを念押ししといた。

 変なフラグがたたんようにせんとな。

 

 

 病院に忍び込んで治療してみたけど……、瀕死の重体というか、まさに生死の境を反復横跳びといえる状態やった。

 これ士郎さんが死んだらリリカルなマジカルからトライアングルなハートになってたんかな?

 

 

 二次創作やとよく見られる、治療したら目覚める士郎さんに目撃されることのないように、空間をずらして肉眼では捉えられないようにしたから、多分見られてないはずです。

 

 そんなエピソードをよそに、時間は流れて学校も夏休み目前。

 そんな時にお父さんからでた一言。

 

「なあ神奈、お前には友達はいるのか?」

 

 ……ん? お父さんは何を言うてるんやろうか?

 

「何を言うてるんお父さん、うちかて友達ぐらいおるよ」

 

「具体的には? 特に同学年の子、あるいは同じ小学校の子はいるのか……」

 

「え~っと……あれ? 浦飯さんに、桑原さん、蔵馬さんやろ、飛影さんも多分として、ケイコちゃんにぼたんさんと雪菜さん、ゲーセン仲間の天沼くんに、最後に長電話友達のはやてちゃん……あれ?」

 

 同学年、いや同年代とみたら……はやてちゃんしかおらんやん!?

 天沼くんも学校ちがうし……。

 

 いや、学校でぼっちってわけや無いんよ、普通に会話もするし休憩時間に遊ぶぐらいはするし付き合いがないってわけや無いんよ!?

 

「幻海師範に交友関係を聞いてみたんだが、どうみても一緒にいた人たちが年上の人達ばかりと聞いてな、少し心配になってな」

 

「……た、確かにほとんど中学生以上やったな」

 

 思わず目を泳がせてしまった。

 その行動に思わずため息を漏らすお父さん。

 

「はぁ、これは完全に私の不手際だな。東奔西走、色んな所を転々と引っ越しさせたせいなのだろうな、同年代の子とあまり深い付き合いができなかったせいなのだろう……」

 

 そして、お父さんが意を決したように呟いた。

 

「お父さん、家を買うことにしたんだ」

「お! ついに賃貸暮らしから一国一城の主になるときが! で、どこに建てるん?」

「海鳴市だ」

「あ~、あそこに建てるん? ということはまた引っ越しかいな!?」

「すまない、これが最後の引っ越しと転校になるはずだ」

 

 

 こうして、舞台はちゃくちゃくとうちを囲い込み始めていた。

 だがそんな考えは、お父さんの爆弾発言により吹っ飛んでしまった。

 

「それと神奈、サマーキャンプに申し込んでおいたから、こっちでの思い出作りしてきなさい」

 

「え?」

 

 まって! 今このタイミングのサマーキャンプって嫌な予感しかせぇへんのやけど!

 いやおちつけ、何も八神先輩達と一緒の班になると決まってるわけはないんやし、他の子供達もいっぱいいる。

 きっと大丈夫のはず!

 ……ちょっとキャンプ用具と食料買い込んどかなきゃ。

 前に作った霊具もあるから、念の為今から準備しとこう、巻き込まれたら長い旅になりかねん。

 

 大丈夫、杞憂で終わればそれはそれでよし!

 そうさ、きっと大丈夫さ! フラグなんて無いさ♪ フラグなんて嘘さ♪

 

 うちは、フラグになんか負けへん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フラグには勝てへんかったよ……。

 

 

 

 

 

 

 サマーキャンプの班分けは見事に八神先輩たちと一緒の班に。

 

 

 あの神様、うちをどうしたかったんやろうか?

 混ざるにしても混ぜすぎやで!? リリなのが完全に霞むぞこれ!

 そんな事を行きのバスでふと考えてしまっていた。

 

 

 

 

「雪!?」

 器用に木の枝の上で昼寝していた八神先輩が気づいた。

 

 それを契機にみんなも天候の以上に気づきはじめた。

 うん、ちょっとの間班行動からはずれればいいって思うやないかな?

 

「だんだん吹雪いてきたわ! 神奈ちゃん、こっちよ」

「た、武之内先輩、うちは平気やって~」

 

 武之内空先輩に世話焼かれて逃げれんかったわ。

 

 そしてそのまま、なし崩し的に近くにあった祠の中へと誘導されてしまった。

 

 

「外はもう完全に吹雪ね」

「夏の山で吹雪ってどないなってんやろうね?」

 

 私と武之内先輩が祠に入ったときには、他の人達全員が避難していた。

 

「よし、皆いるね? 吹雪が止むまでここで待機する」

 

 班のリーダーでもある城戸先輩が方針を伝えて、吹雪がやんだら大人のいるところへ行くという判断。

 携帯を持っていた泉先輩は、連絡を取ろうとするけど電波がこの吹雪のせいで届かず、連絡不能。

 うちも携帯は持っていたからかけてみたんやけどつながらへんかったわ。

 

「ほな、ただじっとしてるってのも暇やし、これでもやる?」

 取り出したのは、定番のUNO。

 

 

 

 そして、しばらくして吹雪が止んだところで外に出ることに。

 

「吹雪が止んだら、電波届くと思ったのにな」

「うちのもつながらへんな」

「光子郎! 神奈! はやくこいよ!」

 

 八神先輩に呼ばれ、外に出てみると、日本ではまずお目にかかれない光景が視界に写った。

 

「きれい、ロマンチック」

「あれは!?」

 皆が息を呑んだ光景、それは光のカーテン。

 

「オーロラよ」

「始めてみたぜ!」

「すっごいよね!!」

 

 タケルくんのはしゃぎっぷりもよく分かる。

 うちも思わずリュックからインスタントカメラとビデオカメラを取り出しんやから。

 

 せやけど、この後起こることを考えたら冷静になってしもうたんよね。

 

「早く、大人たちのいるキャンプ場の方へ戻らなきゃ」

「そうだな、風邪引いたらつまんないしな」

「せやね、もどらへんといかんな」

 

 そして、急いでキャンプ場の方へ向かおうとすると。

 

「おい、何だあれ!?」

 

 空間がゆらぎ、そこから何かが飛来してくる。

 構わず逃げ出そうとした所で八神先輩が

 

「あぶねぇ神奈!」

 

 腕を引かれて、守るように抱き込まれました。

 

 その直後、激しい爆音と共に飛来物が着弾する。

 

「みんな! 無事!?」

 

 武之内先輩が皆の無事を確認した直後、落下してきた物体が輝き出し、空中に浮かび上がる。

 みなさん、思わず手にとってますけど、条件反射なんですかね?

 

 とりあえず、急いでその場から離れようとしたんですけが……。

 

「なに? これ」

「ポケベルでも、携帯でもないし……」

 

 泉先輩達が飛来物、デジヴァイスに意識を向けてるうちに、階段のところまで避難できたんやけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 駄目でしたw。

 

 

 

 

 

 

 

 突然、近くの水源が盛り上がり、空間が裂け、そこに引き込まれていく。

 

 なんかとか逃げようとしたものの……。

 

「なんやこれ!? 見えない壁で通れへん!?」

 え? 空間ごと隔離された!? 八神先輩達が吸い込まれていく中、どうにか踏みとどまろうと空をとぼうとしてもドンドン吸い込まれていく。

 

「あかん! 引きずり込まれる!? 吸引力の変わらない掃除機はまだはやいんやで!?」

 

 打神鞭状態で出して地面に突き立てようとしたんやけど、下が雪で埋もれているせいで深く刺さらず、最後の抵抗虚しく引きずり込まれていったのやった。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、引きずり込まれた先に見えたのは……

 

 

 

 

 

 

 巨大化したデビモンでした。

 

 

 

 

 

「ほえええええええええええええ」

 

 

 島の上空に放り出されたうちはニュートンの法則に従って、落ちていく。

 デビモンの頭上めがけて。

 

 

 

「おい! 誰か落ちてくるぞ!」

「あれは……神奈ちゃん!?」

 

 

 

 下の方では八神先輩達がこっちに気がついたようで。

 それと同時にデビモンもこちらを補足、手を伸ばしてきた。

 

 どうやら場面はパタモンがエンジェモンに進化してオーガモンを吹っ飛ばし、すべての力を注ぎ込んで倒そうとしている所のようやった。

 まさか、あの数秒の抵抗でここまで時差がでるとは……。

 

 

 そして状況を把握したところでデビモンが私に手を伸ばしてきた……。

 

 え? これって、私を人質にしようとしてへん?

 

 

 

 

 気がつけば自然と人差し指に意識を集中して、霊力を込めていた。

 

「とりあえず喰らいや! 全力全壊! レェィ……ガァァァァァン!」

 

 今持てる全力を込めた霊丸は、デビモンの腕を貫き、胸のあたりで爆散した。

 

「ば、バカな……人間の子供ごときにこの私が……」

 

「これならば……ヘブンズ・ナックル!」

 

 エンジェモンの一撃でデータの粒子へと変えるデビモン、だが最後に放ったその一言が、新たな旅路へと子どもたちを導くのやった。

 

 

 ちなみに落下しとるうちをキャッチしたのは、レオモンさんやったわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 デビモン討伐直後、ゲンナイと名乗る老人から八神先輩たちのもとに通信が届きサーバー大陸や紋章、タグに関する情報をもらい、とりあえずどうするかは山を降りてから決めることになったんやけど……。

 

 はい、この後の事情説明が大変だったのは言うまでもない。

 八神先輩達は、浦飯さん達と違って霊力とか関わってない人達なんだから。

 

 とはいえ、説明しないわけにも行かず霊力に関することは説明することに……。

 

 その後に、八神先輩達からもここまでの経緯を山を降りながら教えてもらったんやけど、生で聞くとやっぱりアニメで見るよりも大変だったのが良くわかったわ。

 

 その後一晩休息してから話し合い、サーバー大陸へ旅立つ方向になったんやけど、正史ならここにいる子供は7人、でもこの世界ではうちがおる。

 そう、パートナーもデジヴァイスもない、デジタルワールドからすれば多少戦闘力のある程度の子供や。

 

 うん、多少のはず……。

 成熟期ぐらいやったら勝てる程度のはず、どこぞの兄貴みたいに素手で究極体を殴り倒したりはまだできへんよ。

 実際に完全体と戦ったわけやないからわからんけど。

 

 浦飯さん達は勝てるんやろうけどな~。

 

 

 

 

 

 日記のページは続き、デジタルワールド事件について書かれている……。

 

 

 一部抜粋するなら、一部の死亡フラグが折れたこと、ヴァンデモン事件で桑原先輩が関わったり、コエンマ様からデジタルワールドに関する報告書を求められたことだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日記を振り返って見ると、ここまで来るのに色々有り過ぎや!

 

 自室で今までを振り返り、思わず叫びそうになった。

 

 

 デジモン事件から数日後、建物自体に住むのが難しくなった関係で海鳴市に引っ越す事になった。

 おのれヴァンデモン、あの戦いの余波で建物に罅やら何やらと入ったせいで夏の終わりに引っ越す予定が急遽引っ越すことになったんや!

 ああ、夏のコミケが……、あの事件の後でも開催される予定のコミケにも驚きやけどな。

 

 というかお父さん、引っ越し先のチョイスが八神家のお向かいさんとかどんなやねん!

 流石にフラグ立てすぎやで!

 お父さんがフラグメイカー過ぎて困るでさすがに!

 

 

 

 

 

 ほんま……こんなん困るで……。

 

 

 

 

 

 引っ越しの準備を終えた後にお父さんが倒れた。

 

 

 

 

 

 慌てて病院に連絡しようとしたら意識がまだあったお父さんに止められ「幻海師範の所へ……」

 そう言われて、意識を手放したお父さんを幻海師範の所へ慌てて連れて行くことに。

 

 

 

「……寿命じゃな、むしろよくここまで持ったもんだよ」

 

 

 

 そこで聞かされたのはお父さんの出生と、寿命が残されていないということだった。

 

 

 お父さんの体はある種のクローン体で、その技術も完成されたものではなかったみたいや。

 体の中もいじられた事により、大幅に寿命が縮められ、今に至ってる。

 どうもお父さんは、ポッドごと廃棄されてるところを幻海師範が拾ったのが始まりだったとか。

 

 幻海師範の伝で廃棄されたポッドの残留思念を読み取って調べた結果出てきたのは、研究室の光景と、ゼスト、魔力資質の遺伝に失敗、人造魔道士計画、管理局最高評議会という異界の情報。

 失敗した実験体の廃棄と、廃棄された後に偶然空いた時空の穴に落ちたということだけだった。

 

 

 

 人造魔道士ってむっちゃ管理局の闇やんけ!?

 ああいや、確かベルカ時代から行われてるけど禁忌とされてたんやったかな?

 けど思いっきり管理局最高評議会って事は三頭脳とかが関わっとるな。

 けどたぶんやけどスカリエッティはこれ関わっとらんのんちゃうかな?

 

 寿命的な意味やったらフェイトちゃんは、プレシアさんが技術的な意味では完成させとったみたいやからな……。

 

 

「し、師範」

「お父さん!」

 意識を取り戻したお父さんの手を握った。

 

「師範、私の体は後、どのぐらい持つでしょうか?」

 いやや、その先は……聞きとうない。

「早ければ今日明日にでも……」

 それを聞いた私は泣き出してしまった。

 

「いやや、お父さん! もっと生きて! うちを置いてかんで! うちを一人にせんといてぇな!」

「神奈」

「うちはまだなんも、なんも親孝行できてへんのんや!」

「……」

()()()()()()()()()()()()()

 

 私は無意識のうちにそう零してしまった。

 前世のうちは病弱で、まともに学校に行けていたかと言われたら、行けてへんかったと答えるしか無いねん。

 小学校の最初のうちはまだ行けとったけど、学年が上がるに連れてだんだん体調を崩すようになって、最終的にはなかなか部屋から出られんようになったんよね。

 親孝行ができたかと言われれば、むしろ邪魔でしかなかったんやないかな……。

 

 そこそこ裕福な家やったから経済的には問題なかったとはいえ、ただそこで横になるしかないうちは、前世の良心はどう思っとったんやろうな。

 うちができたのは、体が辛いときも、苦しいときも、誰かがいるときだけは笑っている、笑顔でいるぐらいしかできへんかった。

 

 それも最後には……。

 

 せやから転生できたこの世では、親孝行するって決めてたのに……。

 

「なんで、なんでなん、うち、まだ親孝行できてへんのに」

 

「今度こそ、か」

 

 お父さんがそう聞き返してきた時に、自分がうっかり口に出してしまった事実に気づいた。

 それから思わずお父さんの顔を見てしまう。

 思わず体が震えてしまった……、嫌われてしまうか、それとも自分の娘じゃないと言われるのか、拒絶されるんじゃないかと恐怖してしまった。

 

 

 お父さんはしばらく私の顔を真剣に見つめながら。

 

 

 

 

 

 

 

「知っていた」

 

 

 

 

 

 

 一瞬、お父さんが何を言ってるのわからなかった。

 

「母さんが神奈を身ごもってしばらくした後に、幻海師範に報告を兼ねて見てもらっていたからな……。最初は驚いていたが、母さんはそれでも『私の子供であることに変わりはないでしょ? なら、精いっぱい愛してあげないとね』と言っていた」

 お父さんは懐かしむように言った。

 

「最初に見たときは、お腹の中の赤ん坊の魂が明らかに普通とは異なっておったから、妖魔の類がついたのかとも思ったが、妖気のたぐいでも邪悪な気配もなし、かと言って普通の魂とは明らかに魂の質がおかしかったからな。

 おそらく前世の記憶とも言える物を持っているのではないかと当たりをつけておった」

 

「……ほなら、お父さんは……最初っから」

「前世の記憶があろうとなかろうと、お前は私と香里の子供だ」

 そう言ってお父さんは私を精いっぱい抱きしめてくれた。

 

 それから私はいっぱい話した。

 身近なことはもちろん、病弱で親に何一つ返せなかった、両親の前でただ笑顔でいることしかできなかった人生を。

 そして生まれてからのこれまでの、一種の大冒険を。

 

 途中から幻海師範の方をじーっと見つめるお父さんの姿もあったけど、幻海師範はぷいっと視線をそらしていた。

 

「仕方ないだろう? 神奈のことを考えれば霊界に貸しの一つや二つ作って置かなければ危険じゃったからな。

 私等と違って修行の末に仙骨を持ってしまったのではなく、生まれながらにしての仙人、更には世界から失われたとされる宝貝まで持っておるんじゃ、いつまで隠し通せるかわからんからん、自己防衛の一つもできんのではこの先生きていくにはあまりにも危険すぎる! お前さんもそう思っておったから武術の指導をしとったんじゃないか?」

 

 お父さんは幻海師範にそう言われ、図星を突かれたように黙ってしまった。

 

「お父さん、前にも言うたけど、幻海師範がきっかけでちゃんと友だちができたで、確かに年は離れとるから、お父さんの望んだ同年代や無いけど、それでも命も背中も預けられる大事な友だちや、それに同年代の友達やったらはやてだっておる、海鳴市に引っ越したらお向かいさんやで、お引越ししたら一緒に挨拶に行こうな」

 

「そうか、そういう友だちができていたんだな……安心した」

 

 あかん!? そのセリフはあかんて!

 その瞬間、おとんの生命力が一気に衰えていくのを感じたうちは、慌ててお父さんの体にさらに霊力を、生命力を流し込む。

 幻海師範も力を注いでいるが、その反応は芳しくない。

 

「待って! 待ってやお父さん、うちまだ親孝行しとらんで!」

 泣きながらお父さんにしがみつき、命をつなぎとめるように霊力を流し続ける。

 それと並行してなにか打つ手はないか思考する。

(使い魔を作る魔法……だめや、あれは擬似的な魂を与える魔法やから記憶はいくらか残ってもお父さんとは違う存在になってしまう、他になにか手は……せや! あの時分けてもろうた時爛れの花の果肉! あれを使えばもしかしたら若返りの薬も……ってそんな時間無い!)

 

 なにか手はないか、頭の中はお父さんを助ける事でいっぱいになっていたそんなうちの頭に手を置き、あやすように言った。

 

「いいや、いっぱい親孝行してくれたさ」

「えっ?」

 

 そう言われた瞬間に頭の中で考えてた事が全て吹っ飛び、止まってしまう。

 

「お父さんと呼んでくれたこと、仕事に出かける時に笑顔で行ってらっしゃいって見送ってくれたこと、家に帰ってきた時におかえりなさいって嬉しそうに言ってくれたこと、小さいのにがんばってご飯を作って待っていてくれたこと、今でもあのときの味は忘れられないな……、味付けが香里そっくりだった、神奈は間違いなく香里の娘だ。疲れていた時に肩をたたいてくれたりもしたね」

 

 そこからお父さんは一緒にいて嬉しかったことを話し始めた。

 

「そういえば幻海師範がカメラで撮ってくれていた中に歌を歌ってるのがあったね、最後にまた、神奈の歌が聞きたい……な」

 

「う、歌う、歌うから、お願いやからこれが最後なんて言わんで、うちともっと生きて! 歌やったらもっとうたったるから!」

 

 歌は前世で辛い時、悲しい時、苦しい時には特に口遊んだりした。

 声をだすのは年齢とともに出せなくなったけど、口ずさんだり、頭の中で歌って気を紛らわせてた。

 転生してからは自由に声を出せた、そのせいか私はよくいろいろな歌を口遊んだ。

 その中で真っ先に出てきたのは、旋律が気に入っていた7つの譜歌をつなげた歌。

 

「……♪~♪♪」

 

 そして、歌い終わった所でお父さんが口を開いた。

 

「あっちで香里に自慢できるな、俺達の娘はアイドルにだってなれる自慢の娘だと……そして最後に、私達夫婦の娘として生まれてくれてありがとう……神奈は立派な親孝行娘だ」

 

「お父さん……」

 

 そしてお父さんは精いっぱいの笑顔を向けながら

 

「神奈、いままで、ありがとう、愛してる、大好き……だよ、かん……な」

 

 そういった瞬間、お父さんの体がずっしりと重くのしかかった。

 

「うちも……、うちも大好きや、愛しとるで、お父さん……」

 

「そし……て、師範、いや……、母さん、今までありがとう……ございました」

 

「ああ、後のことは任せておけ、バカ息子め……」

 

「父さんにも、バカ息子で、すみませんでした……っと」

 

「ここにいる、全く不器用なところは一体誰に似たんだか……」

 

「「「…………」」」

 

 

 こうして、お父さんの魂を見送った。

 

 

 その後うちは泣いた、遺体となったお父さんを抱きしめながら……。

 

 その後気がついたらもうお昼を回ってたんや。

 泣きつかれてそのまま眠ってしまったって幻海師範は言うてた。

 

 お父さんは、とても安らかで、幸せそうな顔をして眠りについていた。

 

 

 

 そこからは先は慌ただしくも時が過ぎていきました。

 

 葬式の手配なんかは幻海師範と戸愚呂さんが手配してくれたのでそこから先はあっという間だった気がします。

 身内だけのひっそりとした葬式でした、だったんです!

 飛影さんと浦飯さんは流石に無理でしたが、桑原さんや蔵馬さん、螢子さんや静流お姉さんと+1……。

 ここまではひっそりとできる人たちだったんです……。

 蔵馬さんに修行で預けられた酎さん達まで加わると、ひっそりとしたとは言えませんでしたが、この方がいいのかもしれませんね。

 

 +1に関してはもう原作なんてとうの昔にぶん投げられとる気もするけど、まぁ、ええか、幸せそうやし。

 

 

 これがうちの人生のプロローグ。

 

 

 

「こんにちわ~、向かい側に引っ越してきたものです」

 

 

 

 リリカルなのは 戦女神奈の転生物語、はじまります。

 

 

 

 

 

 葬式後の後日談

 

 

 

 

「なあ幻海おばあちゃん、どうしてお父さんは寿命のことをうちに話さなかったんやろうか? 話してくれてたらうちは……」

 延命させるための術の開発もそうやけど、それこそ願いを叶えるという意味でのチャンスもあった、月光鏡の時、暗黒武術会優勝者の権利しかり……そういえば、優勝者の権利があの爆発のドサクサで流れとったな。

 こんどコエンマ様にあったら聞いとかないと。

 

「いつの頃だったかあいつは言っとった、作られた命である自分だからこそ、残された時間を懸命に生きたいとな、神奈に伝えれば無茶をしかねないと口止めされとった」

 

「そっか……、うちも隠し事してたんやからお互い様やったんやね」

 うちがそうつぶやくと、茶をすすりながらこう告げた。

「あやつの体は神奈が生まれた頃にはすでに限界に近かったんじゃ、それを自身の霊力のほとんど回して命をつなぎとめておった。

 ここまで命をつないでおったのは紛れもなく強力な意思の力じゃ、娘をそれほどまでに愛しておったということじゃよ」

「愛って、強いんやね」

「……そうじゃな」

 縁側で茶をすする中、一陣の風が頬をなでた気がした。

 




 前にとある文面を見たせいで、これができました。
 だれだ! 太極図は魔法少女のステッキってpi◯iv大百科に書いた人!

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