岸辺露伴は騎士である 作:究極生命体と化した先輩
「ここは……どこだ?」
男の目の前には巨大な城が
「まさか……そんな……」
その城は見たことがある。かつて読んだ資料の中にあったもの
キャメロット城
作品を作るために読んでいた資料に出てきた建物
かの有名なアーサー王の居城であった城で、現在は失われたと言われている
あくまで伝説で、ある可能性があった程度。最初から存在しなかった可能性もあったはず
目の前の城は、細部は若干違うものの、資料の中に描かれたキャメロット城と瓜二つであった
「実在したというのか……キャメロット城……!! これは……最高じゃないか……!」
男、岸辺露伴は方から下げていたショルダーバッグから鉛筆とスケッチノートを取り出し、キャメロット城を描き始める
人間とは思えないスピードで描かれる城は、鉛筆だけで描かれるものの、写真のように美しかった
「最高だ……最高のネタじゃないか……」
ブツブツと独り言を漏らしながら残像すら見える程の速さで鉛筆をうごかすその姿は、誰がどう見ても常軌を逸した人間にしか見えず、しかし彼の友人が見れば、「あぁ、いつもの事だな」と納得する物だった
ひとしきり描き終えるとスケッチノートと鉛筆をしまい、入れ違いにバッグからとある紙袋を取り出す
それはサンジェルマンというパン屋の紙袋。紙袋を開けずとも、香ばしい香りが漂う
無意識のうちに唾を飲み込み露伴は紙袋から取り出したカツサンドの包装を剥がし、かぶりつく
元々露伴は食にこだわる方ではないが、マンガの参考にと様々な美食や高級食材、さらには珍味までも食べているため、そこそこ舌は肥えている
しかしその露伴を唸らせるほどに、そのカツサンドは美味だった
買ってからそれなりに時間が経っているものの、カツのサクサクとした食感は失われず、一緒に挟まれたキャベツもシャキシャキと、しかし特有の辛味はない
露伴はやがて1つ目のサンドを食べ尽くす。見た目は量少なめだが、このカツサンドはひとつ食べるとそこそこ満腹になる。そして腹持ちがいい
「それにしても……ここはどこなんだ……」
今日、露伴は久々に時間が取れたので取材旅行に出かけようとしていた
朝10時に起床。シャワーを浴び朝食を食べ、家を出たのは11時5分ほど前。昼食にとサンジェルマンでカツサンドを買い、杜王駅へ向かうため歩く。しかしその前に思い返し、オーソンの通りへと向かい、しばらく『あの子』がいた場所を眺め、改めて駅に向かおうとした……
そして、気がつけばここに立っていた
「一体何が起こったのか……。まさかタイムスリップなんてことは無いだろうな」
原因としてはあの路地があった場所か……
露伴が1人ウンウンと悩んでいると、露伴に近づく影
「見ない格好ですが旅のお方ですか?」
その声に露伴が顔を上げれば、目の前には鎧を着込んだやや中性的な
「やはり活気が無くなっている……」
キャメロットの城下町を1人歩く騎士
名はアルトリア。アルトリア・ペンドラゴン
ブリテンを治める騎士王である
王として生きるため、男と偽っているが性別は女
そんな彼女は視察へと来ていた
とは言っても、どちらかと言えば息抜き。友であり配下の騎士、ランスロットに勧められ、姿を偽り城下町へ降りていた
「あ……美味しそう」
店の軒先に積まれた赤い果実
それは今のブリテンにしては珍しく、艶があり、実も大きい
「ひとつ……いや、2つ」
店へ行き、店主へ指をさし伝える。代金を払うと果実を渡された
2つのうち、ひとつを齧りながらぶらりぶらりらと当てなく歩く
やがて建物は減っていき、町の外れの湖に着いた。そこからはキャメロット城を一望出来る場所
アルトリアは何回か来るが、人がいたことはなく、今回もそうだと思いやってきた
ランスロットは偶にアルトリアに休息として、名目上は視察という体で城下町などに送り出す
ほかの騎士達もアルトリアの仕事ぶりを知っているので基本スルー
とは言っても月1回あるかないか程度
そしてそんな『視察』の日は大抵この場所でただボーッと城を眺めたり、昼寝をしたりしていた
「……誰かいるのか?」
ほとりに近づくと何者かの気配。いつもはないこと故、驚くが気を取り直し、その気配の元へ向かう
近づくにつれ、食欲を誘う匂いが鼻をつく
グギュルルルと腹がなれば、改めてアルトリアは自分の飢えに気づく
思い返せば朝は食べず、そのまま出てきた
今日食べたのは果実1つ。元々多く食べるアルトリアは1度思い出したその飢えをなかなか抑えることがなきなかった
やがて気配と匂いの主を見つける
見たことの無い服装の緑髪の男。その細長い体を猫のように曲げ座っている
アルトリアはやや迷うも、話しかけることにした
「見ない格好ですが旅のお方ですか?」
(鎧……?)
目の前の男を見て露伴は驚愕する。このご時世、鎧なんか着る者はいない
(まさか……本当にタイムスリップでもしたのか?)
露伴は再び考えを巡らせようとするも、再びかけられた声に我に返る
「あの、大丈夫ですか?」
「ああ、いや、大丈夫だ……なんでもない……」
小首傾げこちらをのぞき込んでいた騎士は首を元に戻す
そしてしばし流れる無言の空気
やがて空気に耐えられなかったのか、騎士が喋り出す
「……あ、すいません。申し遅れました……」
「いや……大丈夫だ」
自己紹介をしようとした騎士に露伴は手を上げる
「人の記憶を本にして読める……そーゆー能力がある」
騎士の顔に亀裂が入り、ペラペラと本のページのように……否、実際に、本のページとなりめくれる
「自己紹介は要らない……すまないが少し読ませてもらう……」
露伴は開いたページを読み始め
その冒頭で盛大に顔を顰めた
私の名はアルトリア・ペンドラゴン。このブリテンを治める王である
「どうやら予想は当たっていたようだな……くそ、これも取材旅行だと思っておこう……」
To Be Continued…
実は続くか未定
カントリーローー……
フフフンフーン
フンフンフーン……