ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー 作:通りすがる傭兵
んなもん知るかよ。
余興を披露するために設置された特設ステージ。
まず最初に他所の基地の人形がプロも裸足で逃げ出すようなキレキレのダンスを披露し場を温め、俺の弟子(自称)のP38がアイドルらしい明るい歌で場を盛り上げた。
その次に現れたのは......よりにもよってこの基地所属であろうあのVector。
面白くもないダジャレを隙あらば挟み、場に吹雪を吹き荒らさせる事でおなじみのあのVectorである。
(......もしかしてひとりコントでも披露するんじゃなかろうな)
俺の心配をよそにスポットライトの下でマイクを握りしめて目を伏せ、気を落ち着かせていたらしいVectorが面をあげた。
「Vector、歌います」
その中央スポットライトに照らされた彼女の歌声にこの場にいる全員が魅了され、俺はというとあんぐりと口を開けていた。
「......うせやろ」
歌もロクに聞いたことのない俺ではあるが、素晴らしい歌だというのはわかる。透き通るような高い声に、恋心を鮮やかに綴った歌詞。
演奏こそデジタルではあるが、これがもし本物のオーケストラであれば......そう考えただけでも鳥肌が立った。
まさに魂を震わせるような歌。
自分が命を預けるにたると認めた指揮官の門出には、この上のない贈り物であるだろう。
気がつけば演奏は終わり、若葉色のドレスを纏った歌姫は息を吐いた。
「静聴ありがとうございます。ふふっ、流石に久し振りは疲れるわね」
「......すんげー」
思わずパチパチと手を叩く。周りも言うまでもなく自分と同様に手を叩き、彼女の歌声に賞賛の気持ちをあらわにしていた。
「では、二人の馴れ初めエピソードを話すにゃ」
「雰囲気ぶち壊しじゃねえか!」
「ちっちっ、野暮なことは言わないのがお約束にゃー」
このあとめちゃくちゃ過去話した。
「あやつ、外見通りヤることやっておるのじゃなぁ」
「あんなにちっこいのにヤることやってるんだ。
......つまりウチのPPKちゃんもスケベ?」
「よそはよそ! 勝手な思い込みはやめなさい!」
「あやつは損傷すると喜ぶぞ」
「ドMというやつですね」
「まじかよ」
◇◇◇
「大規模作戦指揮お疲れ様、ということであたらめてかんぱーい!」
「「「かんぱーい!」」」
「か、かんぱーい?」
場末の居酒屋かくもやと言わんばかりの挨拶だが、ここは結婚式場でかつ俺らが持ってるのはワイングラスだ自重しろ元指揮官、3人とも困惑してるじゃないのよ。
「はじめましてかな。私がこいつの元上司、なんだけどみーんな指揮官って呼ぶんだよね。早い所慣れて欲しいんだけどねえ」
「先輩はいつまでも指揮官ということですよ」
「そんでこの男か女かわかりにくいのがウチの指揮官だ。なんか後輩ちゃんとしか呼ばれないけど」
「ま、どうせしっかりと見えてはおらぬだろうし、なんか面白いのがいると思ってくれればそれで良い。
質問があればわしかこやつが通訳するからの」
「良い人ではないのは保証するが、良いやつではある。隣だから関わりも多くなるだろうし、人見知りを直す第一歩として接してくれや」
「こ、これからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いしますね」
にこやかに挨拶する後輩ちゃんに対してまだ表情も硬い。初対面だし後輩ちゃんが人形みたいに見えてると思うんだが、進歩したんだな。
ここの指揮官が人を認識できていないのは2人には説明してあるし、それを失礼ことと思わないでほしい、見守ってほしいと頼んだ。
めでたい席だ、つまらない事で楽しくない思い出を残したくはない。
「まだ慣れないようじゃな」
「こればかりは仕方ない事じゃ」
「徐々に慣れさせれば良かろうて。急がば回れ、というコトワザもあるしの。そう一〇〇式が言っておったわ」
「すまんナガンとナガンで喋られると全くわからんからやめてほしい」
「え、すぐ判別できるでしょ。最後に喋った方がおばあちゃん」
「今のどこに判別できる要素あった」
「なんとなく?」
「なんとなくときますか」
「わしとユノは長い付き合いじゃからの。わしも理解していない特徴を感じ取っているのかもしれん」
「というかお主も銃であれば同じじゃ、この似た者同士め」
「あんなもの見ればわかるでしょうが」
「わかんない」
「わからんのう」
「銃はよくわかんない」
「ボクもサッパリですね、先輩は?」
「同じくー」
全否定されるとかマジで?
いやあれって、1ヶ月もあれば身につくというかなんというか。心得さえあれば誰だって出来るしもちろんP38ちゃんも出来るでしょ、ねえ?
「流石にまだ無理です。あと2年ください」
「出来るのかよ」
「師匠ができるんですから弟子の私もできます」
「オーケー理解した。半年くらいつきっきりで鍛えていい?」
「その間仕事できる?」
「......出来るけど俺のプライドが許せない」
「あと、低体温症作戦の時は......」
「ちょうど引き継ぎでもたついてた時期だったから後方支援しか出来なくてゴメンね?
拠点攻略とかもうすこしだけ手伝えたらよかったんだけど、指揮系統がめちゃくちゃになってて」
「いえいえ! 後方支援だけでも充分だった、じゃなくてでした!」
「敬語なんて要らない要らない、気軽な感じで接してくれていいのよ」
「じゃあボクも気軽な感じで接します! 先輩ハグしましょうハグ! ぎゅーっと!」
「ぎゅーっと鯖折りにしてやる」
「にぎゃあああああああああああ!」
◇◇◇
「はー、食ったねぇ」
「きゅう」
「......後輩を締め上げて楽しいのかのう?」
「楽しいヨォ、とっても!」
「最後に一杯やっただけでこうかよ、つくづく酒に弱いなお前は」
「なっはっは、知ってらい」
帰りの車中、ほぼノンアルのカクテルで酔っ払ったらしい指揮官が後輩ちゃんを締め上げてノックアウトし後部座席でいつかのようにクダを巻いていた。
流石に距離があるので手は出して来ないのが救いだが、やかましいのでノーカンだ。
「結婚か、羨ましい限りだね」
「後輩ちゃんのラブコール、受ける気は無いのか?
性格はともかく、金もあるし地位もある、仕事も似たようなもんだし、休みも取れるだろ」
「それはいいんだけど、後輩ちゃんはそれで良いのかねってのがねえ」
「これだけ好意を伝えておるんじゃろ、それは結婚したいということではないのか?」
「人間心理はもうちょい複雑なのよ、ナガンちゃん」
相変わらず自己評価が低いんだからうちの指揮官は。どうせ後輩ちゃんをもっと幸せにできる相手はいるとか、私がふさわしくないとか思ってるんでしょ?
そういうところよ指揮官。
「ところで私らさ、なんか贈り物したっけ? なんかガンスミスさんが張り切って作るとか言ってた気がするんだけど、渡した?」
「あっ」
「えっ?」
「......ごめんすっかり忘れてた」
「お馬鹿!」
「運転中だぞ座席蹴り飛ばすんじゃねえ! 事故ったらどうするんだローンまだ2年も残ってるんだぞこの車!」
「基地の経費でどうにでもなるからぶっ壊しても別にいいもん!」
「お主もう指揮官では無いからそんなことは無理じゃろ」
「......」
「指揮官?」
「やっべ吐きそう」
「おい待て待て車内で吐くとかやめてくれよにおいが染み付くだろうが今車止めるから外で頼むぞマジでいやほんとマジで耐えてあと10秒でいいからそうゆっくり落ち着いてなだああああああああああああああ!」
ぎゅーっと(背骨はへし折れる音)
しばらくは50話記念に色々やるつもり、紹介もなるだけ頑張るけどね!
まだ色々リクエストは募集中やでい。
版権モノとのクロスオーバーってあり?
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いけるやん!
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いかんでしょ
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そんなことより続きをどうぞ