ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー 作:通りすがる傭兵
鉄血側の装備を整備してほしい、という内容だったのですが銃とか装備とかの詳細わかんないわ(白旗)。
結構悩んでこんなもん書いてしまうあたり、経験値が足りないっすわ。
「んーーーーーーーーー」
目の前には無骨な大型拳銃。それを舐めるように眺めること数秒......
「クソッタレかな!」
工具箱から取り出した大柄レンチで目の前の女性、こと鉄血ハイエンドモデル、エクスキューショナーのこめかみに向かってフルスイングした。
◇◇◇
『ガンスミスさんですか? 来てないですよ?』
「そうですか、わかりました」
無線を切った後輩が真剣な顔で椅子に座りなおす。
目の前には心配そうにそわそわするナガンと、どうしたものかとため息をつく元指揮官が立っている。
「さて先輩。ボクに状況を説明してくれますか」
「......前にも似たような事があったんだけどね。今んところ予想されるに、ってヤツだけど」
「気に入られてしまったのかのう」
「似たような事ですか?」
「こんな事があってね」
※番外編「相克の蛇」及び「第38回」を参照。
かくかくしかじか、と説明した元指揮官。それをふんふんと頷きながら聞いていた後輩は机の脇に置いたパソコンを叩き始めた。
「どこへいったのかはこちらで探ります。先輩は捜索隊の編成を非番の皆さんで組んでください。休養日は後日振替することも伝えてください」
「わかった」
「あやつの居場所がわかったのか?!」
「現代機器は便利ですけど、抜け穴が多いですからね」
このPCにはデータが不足ですか、と席を立ちデータルームに向かった後輩。その後をナガンが追いかける。
「GPSというのは現在ほとんどのものに搭載されてますし、第三次世界大戦では衛星にはあまり被害は無いですから探知も簡単なんです」
「だったら何故使われん? 今の主流はドローン、衛星探査の方が便利ではないのか?」
「費用対効果が薄いだけですよ。ECM技術の進歩によってどこでも妨害電波が飛び交ってるような世の中ですから、受送信にはそれなりの強力な機器が必要なんです」
「そんなものウチにはないぞ?」
「ボクの私物です。先輩を追いかけるために作ったんですが、数回使ったらばれましてお蔵入りしてたんですが、持ってきて正解でした」
「お主はブレんのう」
「ブレるも何もそれ以外知りません。さてナガン、この基地のデータルームに繋げば軍用マップと接続できますよね。それと衛星レーダーを組み合わせればS地区内であれば何処へいったかわかります。カリン、いますか」
「はい、なんでしょう指揮官様?」
「マップデータをボクの私物と同期させるので手伝ってください。
「......わかりました、何をすればいいですか?」
「ボクの車をこの部屋の前に回してください。あと後ろのコンテナから配線出てるんで、全部こちらに持ってきてください」
「わかりました、でもなんですそれ?」
「先輩を追尾するための衛星探査システムですけど」
「あ、ハイ」
「......私的利用を記録に残すのもダメですし、ちょっと書き換えちゃいますか」
手慣れた様子でプログラミング画面を開き、目にも留まらぬ速さでプログラムを書き換える。同時並行で携帯片手にカリーナにも指示を出し、居合わせたナガンにもやる事があると指示を飛ばした。
予備ケーブルの入った箱を運ぶ途中合流した元指揮官に、ナガンがポツリと漏らす。
「......あやつ、指揮官より出来がいいという話は本当じゃったのじゃな」
「自慢したくないけど私のロクデナシな後輩だもの、あれくらいできて当然よ?」
「いびつな信頼関係じゃなあ」
「なんかいった?」
「......いや、ただ独り言じゃ」
扉を開けた先にはパソコンを前にして舌なめずりする後輩の姿、真剣な場には不釣り合いなほどに顔は蕩けていて、なにかをブツブツとつぶやいる様子。それに二人が聞き耳を立てていると......
「さーて、先輩以外の人間をストーキングするのは初めてですが、先輩の悲しむ顔の方が見たくないですからね。
ガンスミスさんを無事に見つければ先輩のボクへの評価はストップ高、そのまま結婚まで一直線待った無し......完璧ですね。我ながら恐ろしい計画です!」
「とっくの昔に評価はカンストしてるけど」
「もちろん下でじゃろ?」
「......さっすがナガン、伊達に付き合い長くないね」
「褒めるほどの事でもない。
それで捜索隊の話じゃが、ロートル拳銃の枠一つ分くらいは余っておるじゃろうな?」
「もちろん、頼むよベテランさん」
「任せるのじゃ。旧式だからといって、ワシは弱くはないぞ?」
「指揮権は任せる、自由にやって」
「最高の言葉じゃな」
それから時を遡ること数時間、ガンスミスは私物の車で隣の基地へと向かっていた。
やたら多趣味なP38に整備のイロハから中上級者向けの技術指南も取り揃えてたガンスミス渾身のマニュアルと、ついでに作り忘れていた小さな新婚夫婦(?)へのささやかなプレゼント、その2つを届けるために車を走らせていた。
のだが、
「あん、お前誰だ?」
「やあやあ、結婚式の時どっかで見なかったっけ。ココの指揮官さんどこにいるか知ってるー?」
「ああ? お前アタマでもイッってんのか?」
ガンスミスの目の前にいるのは、両手足を機械化している彼にとってはどこか見覚えのある女性。基地らしき場所の前で立っていたので声をかけたのだが、どうも不機嫌な様子。
「失礼な、俺はいたってマトモだよ? その証拠のあなたの銃を見てしんぜよう。さあお出しなさいな」
「ああ? 渡すわけねーだろ。こいつヤクでもやってんのか? 話が通じねえぞ?」
「まーまー、騙されたと思ってー?」
ニコニコとしながら、腰部ホルスターに下げられた自身の大型拳銃をじっと見つめる目の前の男。自身の大型実体剣をチラつかせているのに気がつく様子もなく女性、ことエクスキューショナーはため息をつきながら自身の大型拳銃を投げ渡した。
(変な真似すりゃ殺せばいいだろ)
「んーーーーーーーー」
(しっかし物好きな奴もいるもんだな。銃なんてジロジロ見て楽しーーーー)
「クソッタレかな!」
視界が白く点滅し、遅れて側頭部の痛みが彼女を襲う。 だが高性能なカメラアイはキッチリと下手人と捉えていた。
「な、にするんだテメェ!」
「銃を雑に扱わないとか控え目に言って死んで欲しい」
俺が悪いのかと言わんばかりのとぼけ顔を披露しながら手はしっかりと動かしている。
1分と経たないうちにエクスキューショナーの大型拳銃はパーツごとにバラバラにされ、ガンスミスはフレーム部分に噛みついていた。
「この味はなんとなんの合金だか。レアメタル......クロムとかかねぇ。寸法は......アレが使えるね。ちょっと削ればいいでしょ。
あと君これで結構ぶん殴ってきたでしょ、強化フレームなりに組み替えないとそろそろ暴発してたんじゃない?
それと銃口押し付けて撃つならオススメのオプションパーツあるからつけとくね。
駆動系はやっぱエネルギー式ですか、ハイテクではあるけどアナログの方がロマンがあるとは思うけどね。ウロボロスさんのお土産分解して勉強しといて良かった。
電子系でも面白いモンだね、選り好みしないで勉強しとけばよかった。ただブラックボックス部分はノータッチで行こう、まーだ勉強不足だからね。
あと剣についてもメンテを進めとくよ。カッターナイフみたいに刀身を変えられるならしといた方がいいね。
人工血液と人工皮膚とはいえ脂はベッタリつくからね、人間は言わずもがな。ちゃんと毎回拭いて粉叩いて脂落とさないと斬れ味落ちるよ。
西洋剣モデルだから気にしなくていいけど、刀身の上から45センチのとこヒビ入ってるから打ち付けると多分ぽっきり折れるんじゃない?」
「いい加減ごちゃごちゃうるせえ殺すぞ! さっさと俺の銃返しやがれ!」
怒り任せにエクスキューショナーは剣をたまたま近くにあったガンスミスの軍用車に叩きつける。
するとカインと音を立て、刀身ちょうど上から45センチの部分から綺麗に割れクルクルと回ってから彼女の足元に突き刺さった。
「言ったでしょ?」
表情は変わらず楽しそうにニコニコ笑っている。
人の良さそうな笑みに対するエクスキューショナーは不気味さすら覚え始めていた。
◇◇◇
「珍しいな。無頓着なお前が」
戦術人形の残骸と、人工血液と大量の空薬莢が散乱する戦場。エクスキューショナーと合同で作戦にあたっていたハンターが驚いた様子でつぶやいた。
「んー、まーな、気が向いたんだよ」
「得物の掃除なんてやった事ないだろう?」
「イロイロあったんだよ、聞くな」
人形から剥ぎ取ったであろう服で大剣の血糊を拭き取ろうとこするエクスキューショナー。
(......しっかし、俺に物怖じしない人間なんぞ、初めてみたな)
「そのうち拳銃もメンテしねーとな」
「......お前一回頭診てもらえ」
「んだよ俺がこんなことしちゃいけねーのかよ!?」
◇◇◇
「いまどきケータイも持ってない人間なんて......」
「うまくいかないこともあるから、ね?」
(クソざまあ!)
「心配したんじゃぞおおおおおおおお!」
おいおいと泣いてがっしりとガンスミスに抱きついているナガン。作戦が上手くいかず凹んでいる後輩に、それを慰める振りをしている元指揮官。
とうの本人、心配されているガンスミスはというと......
(ここ最近の記憶がない)
結局、予定通り1週間ほどの有給休暇を言い渡されたガンスミスは暇を持て余すことになるのだった。
ガンスミス「鉄血の装備もイケる」
エクス「あいつ怖い」
後輩ちゃん「ボクの完璧な計画ががががが」
プログラマー「お、出番かな?」
版権モノとのクロスオーバーってあり?
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いけるやん!
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いかんでしょ
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そんなことより続きをどうぞ