ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー 作:通りすがる傭兵
リクエストはこれから順次消化していく予定です。資料が少ないものは弾きますけどね......
「机の上に拳銃を並べてどうしたのじゃ? しかも見たこともないようなものも並んでおるのじゃが」
「依頼で銃を選んで欲しいんだと。しかもそこそこ戦えるやつで」
ナガンにまあ座れよと座るよう促せば俺の隣に座った。対面の方が見やすいとは思うんだが、こっちの方がいつもらしいというか慣れてるんだろうな。ラジオじゃいつも隣の席同士だし。
「依頼?」
「なんでも、妊婦でも安心できるような護身用の武器を選んで欲しいって事だそうだ。って事で、使えそうな銃をリストアップして並べたところ。実物あった方が選びやすいだろ?」
「また無駄に仕事を引き受けおってからに......まあよい、話を聞こうではないか。幸いかどうかは知らぬがわしはHG戦術人形、アドバイスは出来るぞ」
じゃあ早速と机のはしに置かれた‘M1895’リボルバーを指差して、
「あれは妊婦にふさわしいと思うかい?」
「護身用とするならば不適じゃろうな」
自分の現し身にかかわらずざっくりと切って捨ててみせた。その理由を聞けば、
「7.6mmでは口径不足じゃよ。マカロフのような徹甲弾を使うならばともかくワシのはそういうのは仕込むことは難しい」
「だよなー」
「リボルバーであればSAAはわりかしオススメなのじゃが。口径は大きいし何より頑丈じゃからの」
「いんや、俺はダメだと思うね」
「ほう、それは一体?」
「妊婦つーことは要は一般人かもしれないわけじゃないのよ。そいつに安全装置のないこいつを持たせるのは俺は反対だよ。弾倉から一発弾を抜いて置くのも手だけど、護身用の意味がない」
「となれば安全装置のかかる
「グロックとか割とオススメかもな。カスタムモデルならSMGも真っ青な弾幕張れるし」
「そいつは素人にはキツイじゃろうて」
というかそもそも、とナガンが思い出したように立ち上がっていった。
「そもそも護身用の銃となると何が求められるんじゃ? それが決まらぬことにはどうしようもあるまいて」
「それもそうか、ホワイトボード出してくれる?」
こういう場合はディスカッションでたくさん意見を出した方がいいだろう。護衛経験も豊富なナガンの意見は現場側としての意見で参考になるはずだ。
人間側としての意見は俺が出せばいいだろう。ちょうど非戦闘員だからな、都合のいいことに。
「まず口径は大きい方が良いな。脅しの意味にもなるし、ストッピングパワーは高いに越した事はない」
「妊婦と考えるならば反動は小さい方が望ましいところじゃな。子供が心配じゃ」
「暴発の可能性は低い方が良い、安全装置は欲しいな」
「連射能力はあってもなくても問題ないかの?」
「口径が小さいならもたせたいな」
「携帯性は高いものが良いな」
「上限は大型拳銃サイズまでにするべきか」
と色々と意見を出し合う事しばし。だいぶ方向性がまとまってきたところで、その条件に当てはまるそうな武器をリストアップしてゆく。
「拳銃であればワルサーPPKはまず入るとして、G18C、マカロフ、M1911のショートバレルモデル......スチェッキンは個人差あるから一応カウントって形だ。あとM93Rくらいか。
SMGだとスコーピオンやイングラムも候補には入る。
妊婦さんが力に自信があるならソードオフのダブルバレルショットガンなんかも面白いかもな。
他にはコンビネーション用ショットガン、ああ、ARとかの下についてる小柄なショットガンとかも扱いやすいだろ。
他にゃああれだ、スタンバトンとか、スタンガンとか、あと刃が飛ばせるナイフとかで良いんじゃね?」
「お主の趣味混ぜ込みすぎじゃろ」
「なぜばれたし」
「長い付き合いじゃぞ? このくらい予測できぬならHG戦術人形とは言えぬよ」
ふふんと自慢げに胸を張るナガンだが、その外見上の幼さと相まって子供っぽさしか感じられないのは黙っておこう。本人に言えばきっと気にするだろうし、いらない事は言わずにおくが吉というものだ。
「しかし妊婦とは、しあわせな家庭を築いておるようじゃの。確かD08地区基地の司令であったか」
「そうだな。しかもたくさん選んでくれってんだからよっぽど心配性なんだろう。嫁さんは幸せもんだな」
「それに比べてこの基地の指揮官といえば......」
相変わらずウチの指揮官と元指揮官はアホをやっている様子をそこかしこで見かける。毎度のごとく後輩ちゃんが指揮官に付きまといあれやこれやと絡み合い、耐えきれない指揮官が手を出して後輩ちゃんが宙を舞う。
本人的には加減してるようだし、今まで怪我らしい怪我を見かけたわけじゃないから遊びの範疇なんだろう。
「「いい加減結婚すればいいのに」」
繰り広げられる痴話喧嘩?を見てそう呟かずにはいられないくらいには、仲良く見えてしまうんだなこれが。
「指揮官ももうすぐ30、身を固めてもいい時期ではあるはずじゃろうて。それに、今の仕事は昔のような激務ではない、妊娠しても多少は仕事もできようて」
「本人の問題だぜそれは、小姑だかそんなような台詞を言うなよ。本人達に満足するまで殴らせてやろうぜ。そのうちくっつくだろ、多分」
「案外ずっとあのままかもしれぬかのう」
はぁ、とため息をつかずにはいられない。他所も結婚してるんだから、意識くらいすりゃあいいのに。
◇◇◇
「というわけでD08基地への派遣、頑張って下さいね」
「あいよー、着いたら連絡するわ」
「セクハラされないように気をつけてね! 胸触られたら股座蹴り上げればいいから!」
「んな物騒な......」
見送りの後輩ちゃんと指揮官に手を振って車に乗り込む。助手席にはいつものようにナガンがシートベルトを締めてスタンバイしており、後部にはガンケースと資料がギッシリと詰め込まれてる。
「よいしょっと」
俺はそのまま座席に座りベルトを締め、ハンドルを握ろうとして......無言で座席を前側にずらす。
「まだちょくちょくしか弄らないから慣れんなぁ」
「腕の長さが違うと苦労するのう」
遠距離出張なので通例の通り生身ではなく、AA-12モデルの女性義体こと通称「スミ子ちゃん」での出勤である。俺の本体は今頃グースカ寝ていることだろう。
まだまだここも物騒だから、生身での出張は09地区内だけと後輩ちゃんに制限されているのだ。なんでも軍主導でウチの地区のスラム街を焼き払ったおかげで浮浪者だの失業者だのが増加、犯罪者の巣窟であるスラム街はなくなったはずなのに結果的に治安は悪化しているという本末転倒な現実を受けての事だそう。
「ホント上は現場のこと知らないんだから......」
出張先の指揮官も頭硬いタイプじゃないとやりやすいんだけどなぁ、とぼやきながらアクセルを踏みこむ。
目的地はD08地区基地、少し長いドライブになりそうだ。
とりあえず前振りは作ってぶん投げていくスタイル。
詳細は話しながら決めればええんちゃう(震え)