ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー   作:通りすがる傭兵

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お久しぶりです、通りすがる傭兵です。

大変お待たせしました......というわけで。


野球しようぜ。


番外編 やきうスペシャル 

 

 

 

 

 

 

 

「......そうだ、野球をしよう」

 

きっかけは、指揮官の言い出したこの一言。

 

「やきゅう? ベースボールのこと?」

「最近体動かしてないし! 暇だし!」

「うぃーす、整備予算の提出に来ましたって、なんの話?」

「なんか急に野球したいなって言い出したのよ」

「......乗った」

「ガンスミスさん?」

 

人から人へ。

 

「よし、ホームラーン!」

「つまんなーい! RFBが勝ってばかりじゃん!」

「へへーん、腕を磨きなさいスコーピオン」

「野球ゲームか、懐かしいね」

「あ、補給班のおじちゃん!」

「おにーさん、な? ところで、ガンスミスとかが野球したいって騒いでたな」

「ふーん、いいじゃない」

 

人形から人形へ。

 

「......最近出撃もありませんし、手榴弾を投げる腕も鈍って来たところです」

「SMGの重要な武器のひとつにゃけど、そこまで神経質に、にゃにゃ?」

「これは......」

「ベースボール? 面白いこと考えるにゃー」

「似ている......」

「にゃ?」

 

 

 

と、言うわけで。

 

「さあ始まりました人間vs人形のガチンコ野球勝負! 実況はわたしM1911が! 解説には100式さんをお呼びしています」

「よろしくお願いします」

「審判長にはM21、塁審それぞれファーストベースからM2HB、Mk23、M16A1がつとめます」

「まずスターティングオーダーを見ていきましょう。まずは人形チームから」

 

1二塁(セカンド) スコーピオン

2中堅(センター) 89式

3一塁(ファースト) M14

4DH (指名打者) NTW-20

5左翼 (レフト)AK-47

6三塁(サード)Am RFB

7右翼(ライト)Cz75

8捕手(キャッチャー)ウェルロッドMk-Ⅱ

9遊撃(ショート)IDW

 

P(ピッチャー)先発 WA2000

 

「続いて人間チーム......人数不足から数人ほど人形がいますけどね」

 

1中堅 ジャックス/補給班同僚

2 遊撃 ナガン

3 捕手 レン/指揮官

4 一塁 死神さん

5 三塁 ガンスミス

6投手 アリサ/元指揮官

7 右翼 モシン・ナガン

8 二塁 プログラマー

9 左翼 カリーナ

 

 

「......といっても、この紙を読んだだけじゃよくわかんないこ人も多いですけどね」

「まず遊撃とか未経験者にはわからないですよね」

「じゃあ詳しく説明しよう」

「ガンスミスさん?! 選手のはずじゃ」

「開始まで時間あるし大丈夫でしょ」

 

よっと、とユニホーム姿のガンスミス姿がスターティングメンバー表を手に取った。

 

「まず野球のルールに簡単に説明しよう。

 

基本的に野球は9人対9人で行うスポーツ。攻守に別れ、守備側の1人である投手が投げた球を打者がバットで打つ。

打てたら反時計回りにベース......あそこの白い四角形のやつだ。

それを一周して、ホームベースに触れば得点になる。

 

これを繰り返して、得点数を競うゲームだな。

 

ちなみに攻守交代の方法は3つアウトを取ることだ」

 

「打者が打ったボールを、地面に触るより前に取る。

打者がベースに触るより先にボールを持ってベースに触る。

三振を取る、でしたっけ?」

「だいたいそんなところだな。では次は守備意図についてだ。

 

 投手は文字通り球を投げる選手で、チームの柱的存在になる。

 捕手というのはその球を受ける役割の選手だ。どこに球を投げるか、など一番頭を使うポジションとされている。

一塁、三塁は見て分かる通り、ベース付近の守備を行う。

一塁はゲーム中でかなり球を受け取るポジションであり、しっかり捕球できるかが大事だ。

三塁は一塁方向に球を素早く投げる守備技術が求められる。

二塁手は 一塁と二塁の間を守る。ここは一番ボールが通り抜けるスペースだから、足の速さと守備力が求められる。

遊撃手はその隣、二塁と三塁の間を守る。一説によれば、一番センスを求められる守備位置だそうだ。守備に加えて送球の良さ、速さが求められる。

 次は右翼、中堅、左翼だ。

これはホームベースから向こうをみて右、真ん中、左を守る。まとめて外野ということもあるな。足の速さや肩の強さが求められる」

「じゃあDHというのは?」

「指名打者といって、打撃専門の選手だ。今回はハンディとして人形側のみ採用している。要は投げる専門の投手の代わりに打席に立つんだな」

「なるほど、つまり相当バッティングに自信があるってことですね」

「そうなるな。実に楽しみだ」

 

窓から外を見ていたM1911が気がつき、自分のマイクの電源を入れた。

 

「と、ガンスミスさんの解説も終わったところでウォーミングアップも終わったようです、選手たちが並び始めましたね」

「というわけだ、じゃ、頑張ってくるよ」

「いってらしゃいませ、ガンスミスさん」

 

 

◇◇◇

 

 

「先攻、人形チーム。礼!」

「「「よろしくお願いします!」」」

 

人間側チームが守備位置に散っていき、元指揮官が投球練習を始めたころ。

同じく人形側も作戦を練っていた。

 

「......指揮官さんの持ち球はストレート、スプリット、スライダー、カーブ。

スライダーの変化量が少ないので狙い目かもしれません。しっかり引きつけて球種を見極めていきましょう」

「ありがとう89式。わたしとしては、左翼のカリーナは狙い目ね。そこまで肩も強くなさそう」

「要注意人物はナガンですね......かなり練習したと聞きますし、ガンスミスさんが何を吹き込んだか」

「ジャックスは経験者と言っても私たちの敵じゃないわ。

 悪いけど、10点コールドゲームで決めてやるわよ!」

「「「了解!!」」」

 

 

 

「......とか思ってるんでしょうね」

「まさかカリーナが元ソフトボール選手だとは知らなかったよ」

「えへへ」

「指揮官クンだってなんでそう器用なのかネ? あとオジサン4番とかヤな予感」

「ガンスミスさんには負けるよ」

「ボクがキャッチャーでいいんですかねぇ......特訓したとは言え未経験者ですよ?」

「ままま、なんとかなるよ」

「それじゃ、みなさん頑張っていきましょう!」

「「「了解!」」」

 

 

 

「プレイボール!」

 

 M21の元気な掛け声と共に、男子顔負けの豪快なワインドアップ投法から第一球が投げ込まれ、

 

「あっ」

「あっ」

「あっ」

「やばっ」

 

それはもう、みごとな真ん中高めの力のないすっぽ抜け。

カキン、と芯を捉えたバットの快音が仮設スタジアムに響き渡る。

 ライト方向に高々と上がった打球を守備につくモシンナガンは追うことなく見送った。

 

「......いやー、すごいねぇ」

「やたー! ホームランだー!」

『ホ、ホームランです! 先頭打者ホームラン!スコーピオンの目が醒めるような一撃と共に、先攻チームに1点が入りました!』

『元指揮官さん、緊張してたんですかねぇ......』

 

 白球は建材を利用したフェンスの向こう側へ消え、ゲラゲラと笑いながらM2HBが腕を回す。

 先頭打者初球ホームランという派手な幕開けとともにゲームが始まった。

 

「しょーがないですよ先輩! 切り替えていきましょう!」

「......うん、わかってる」

 

マスク姿の後輩ちゃんが投手の元指揮官を鼓舞するが、いまいちピリッとしない。

 

「ボール、ボールフォア!」

「ラッキー♪」

「ぐぬぬ......」

 

89式はフォアボールで無死(ノーアウト)一塁。

 

「ストラックアウト!」

「あーもう!」

「よしよし......」

 

3番M14は三振に斬って取るものの、4番NTW-20(ダネル)にヒットで一死一、三塁。

 さらに5番のAK-47に犠牲フライ、三塁走者の89式がタッチアップでホームベースを踏み2-0と突き放される。

6番RFBの打球をセカンドのプログラマーが捌いて攻守交代となったが、初回2失点と痛い立ち上がりになった。

 

その一回裏。

 

「......あれ150後半は出てるしょ」

「安心せい、153kmじゃ」

「プロ並かよオイオイ。バッセンでも今日びない速度だぞ」

 

 投球練習で小気味良い音を響かせながら球を投げ込むWA2000。それを横目に1番バッターの同僚ことジャックスがぼやく。

 

「たかが人形だし配球がパターン化されてるだろ」

「人形だって人間並とはいかないけどそこそこ高性能PC入れてんだぞ? 作ってる身からすればどうなるかわからんね」

「とりあえず様子見ながら球数投げさせてって感じか」

 

んじゃ行ってくるわとメットを被り、利き腕と同じ右バッターボックスへと向かう。

 

「プレイ!」

 

(右投げオーバースロー、指揮官ちゃんとは同じフォーム)

「うぉっ!?」

 

 軽く構えたジャックスに投じられた初球は顔そばを掠めるストレート。思わず仰反るバッターには目もくれず、外れたわねと呟きながら返球を受け取る。

 

「オイオイ随分と荒れ玉だな、ぶつけてくれるなよ?」

「彼女に言ってくださいよ」

(典型的ノーコンタイプか? 自滅してくれればいいがそれはそれで面倒だぞ)

 

『おっとピッチャーWA2000初球から危ない投球、コントロールはあまり良くないように感じます。

そして第二球を振りかぶって......

 

ストライク! 落ちる変化球で空振りをとりました』

『スプリットという鋭く打者の手元で落ちるボールです。見逃していればボールの低めでしたが、バッテリーうまく振らせています』

『3球目はストレート! 大きく外に外れました。これでワンストライクツーボール』

 

 返球を受け取り、気に入らない様子で足元をならすWA2000。その様子を注意深く観察し、ある仮説を立てていた。

 

(やはり球威で押す力技にピッチャーだな。甘い球が来るのを待てば十分打ち返せる)

 

バットを長く持ち、フルスイングしやすいように気合を込める。

 

(出塁とはいかないが、同じ先頭打者ホームランと言ってやろうじゃないの!)

 

『さあピッチャー、第4球を振りかぶってー、投げた!』

 

真ん中寄りのストレート、そう読み思い切りバットを振りにいったが......

 

『ショートIDWがボテボテのあたりを捌きワンナウト!』

『打ち損じたんですかね......?』

 

 少し痺れる自分の手を振りながら、ベンチに戻るジャックス。その途中で素振りをするナガンに囁く。

 

「すまん、ストレートと思ったんだが......」

「気にするでない、あそこまでの速度なれば」

「いや......妙なんだよな」

「?」

「いや、引き止めて悪かった」

 

(あきらかにストレートのはずだったんだが......)

 

 最初こそもたついたWA2000だったが、ボール先行が多いながらも続く2番、3番をそれぞれ内野ゴロに打ち取り攻守交代になった。

 

 

 続く2回表。元指揮官は四球を2つ出しながらも無失点で締める。

 

そして2回裏。

 

『4番、ファースト 死神』

「ちょっといってくるヨ」

「デカイの一髪頼むよ死神さーん!」

「ワタシにそれは無茶だと思わないのかネ?」

 

 老齢の姿にはアンバランスのはずのユニホームとヘルメットを着こなし、自然体でバッターボックスにたった。

 

『全てが謎に包まれた人物。素性はもちろんのこと、野球の実力も未知数! さあ、どんなバッティングを見せてくれるのか!?』

(彼の同僚くんが言ってた不思議と打ち損じるストレート、見極めないとネ)

 

「よろしくお願いします」

「よろしくたのむヨ」

 

 捕手と審判に軽く一礼をしたうえでバットを構える死神。 数回のサイン交換の後、大きく振りかぶった投球モーションから繰り出された瞬間。

 

(バットを寝かせた?! セーフティ!)

「三塁! 一塁! 詰めてください!」

「っ!」

「なんとっ!」

 

投じられた球を寝かせたバットで狙って......そのまま死神はなにするでもなくバットを引き棒立ちになる。

 

「ス、ストラーイク!」

『バントの素振りを見せましたがここはやめてストライク。難しい球と見たんでしょう』

『なかなか悪くない撹乱でしたね』

(揺さぶられましたか......! しかし、次はありませんよ!)

 

鼻歌を歌いながら気楽に構え直す死神をマスク越しにキツイ目で見つめる捕手ウェルロッド。

 

(ここは高めで勝負です。ねじ伏せましょう)

(了解)

 

 サインを送り、WA2000がミットの中にあるボールを握り直す。その間何ごともなく打席で鼻歌を歌う死神を間近で感じてしまう捕手には気味悪く感じる。

 

その動揺が伝わったか。

 

「ボール! ボール、フォア!」

「ちょっ、今の入ってるでしょう!?」

「ボール。審判に文句つけると退場させるよ」

「ぐ......」

「悪いネ」

 

(このお嬢さんは確かに強い。けど、それを受けるキャッチャーまでも強いとは限らないヨネ?)

 

 バットを丁寧に字面に置いて一塁まで歩く死神さんに変わって、

 

『さあ先頭打者を出して悪い流れになってきたか? それとも持ち前の豪速球で流れを取り戻せるか?

 というところで、打席には5番ガンスミスさんが入ります』

『チームキャプテン、声だけでなくその打力でもチームを盛り上げていきたいところです』

『さあ、ピッチャー第1球を振りかぶって......』

 

 

 

「無☆理」

「見事な6(ショート)-4(セカンド)-3(ファースト)のダブルプレーでしたね」

「先輩の力投を無駄にしてー!」

「野球道具で人を叩かない!」

「死神さんもなにかひとつ言ってやってくださいよ!」

 

 無様なプレイでベンチに引っ込んできたガンスミスを責めべしべしと叩き、同じくベンチに戻ってきた死神さんがにも同意を求める後輩ちゃん。

 しかし死神さんはキョトンとした顔で。

 

「ン? 今のは必要経費ではないのかネ?」

「はぁ......?」

「やっぱりアレ、覚えてきてますね」

「ダネ」

「ちょちょ、何の話ですか」

「不思議と打ち損じるボールの秘密。

次の回WA2000をめったうちにできるかもしれない......!」

 

 

 

 

 

 

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