ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー 作:通りすがる傭兵
うちの影が薄すぎて他所じゃ触れられないからね! 触れてたらあやまる。
というわけでレッツラ最前線! 次回は派手に行けるかな?
「やっぱり防衛装置ですかあのとっておき」
「衛生写真で確認してたやつ?」
「なんだろうとは思ってましたが古典的な砦とは思いませんでしたよ」
「問題か?」
「ですね」
場所は09B基地前線臨時指揮車、その中にある作戦本部。
そこでは指揮官と戦術補佐官、そして同行するフロストノヴァが顔を突き合わせていた。
きっかけは先ほどの通信、ここにいるグリフィンや正規軍に放たれた、悲痛な叫びとも取れる広域のものだ。
『......こちらタロス1、鉄血の最終防衛ラインに強力な防衛施設があって攻めることができない状態に陥っている......
そのためその状況を打開する決死隊を編成を考えている。そこで腕に自信があるやつに協力を頼みたい。無論、腕に自信がない奴は参加しなくていいし、無理して来なくてもいい......参加して攻める際は我々の戦術人形を盾にしてもらって構わない......協力を頼む!!あの防衛施設を攻略すれば基地まであと一歩なんだ!!』
先の通信が流れてから数分。早くあの厄介な拠点を攻略しなければ、そこを起点として逆にこちらが攻め込まれかねない。現状他の部隊も攻めあぐねていたり敵の処理などで手が回らずと状況は錯綜するばかりだ。
頭痛そうに目頭を抑えつつ、指揮官はつぶやく。
「ここまで来て参加しないと腰抜け呼ばわりされそうなんで参加したいんですよね」
「わかる。作戦後に他所に煽られるよねこれ」
「......それだけで自身の部下を危険に晒すと?」
「まさか、勝算のない戦いはしませんとも。
『今正規軍の列車砲を弾き返すのを観測した。この情報の共有を』
「200mm相当の徹甲弾も弾きますか、これ正攻法じゃ無理じゃないです?」
『ワシもそう思う......A小隊はどうか』
「弾切れで補給所へ帰還しています。修理もありますししばらくは出られませんよ』
『MG3を入れたのはやはり間違いだと思わぬか?』
「2中隊と引き換えならまだ耐えられます。
さて、我々にできることを考えましょう」
先程繋いだ通信をそのままに、4人で衛生写真と地図を見る。フロストノヴァは同時に視覚共有でナガンにもこの光景を見せられるようにスイッチを入れた(これは同じような義体を使ってできる裏技のようなもの)。
「あの防衛装置は防衛線のちょうど急所になるような場所に3箇所置いてあります。周りは平地ですし遮蔽物もないとなると決死隊を作る理由もわかりますね。さて先輩、どうしますか?」
「別方向から攻められないの? 大抵こういうのは前面に火線を集中させるもんだし、裏から攻めれば」
「空を使えれば空挺で決死隊を裏に回せるんですけど、上部には対空砲がびっしりです。アレじゃA-10でも堕ちますね」
「んじゃ
お手上げだ、と両手をあげて椅子に倒れ込む補佐官の言う通り、歩兵火力の延長でしかない戦術人形では無理だ。これを突破するには戦車か航空機か、とにかく火力が必要になる。だが正規軍の火砲支援では突破できない。
その最大火力の列車砲は無力化されているし、他の火砲も別の敵の対処に回っている。それに弾薬も無限なわけではない。
「私の出番か?」
「フロストノヴァの氷結能力は対人特化ですよ。拠点丸ごと凍らせるほど無茶はさせられません」
「そうか。術師や強力なアーツを駆使できる人材であれば突破は可能だったかもしれないが、射手だけでは無理がある。諦めるべきだ」
「ここは他所に任せますか。A小隊はこの攻勢には不参加、それで依存ないです?」
『了解。じゃが突入準備は済ませておくぞ。おそらくもうすぐ落ちるからの、あそこ』
「..................はい?」
ナガンのなんの気無しに放たれた一言に返事を返すのにたっぷり数秒は使ったことだろう。
そして本部すら揺るがすような衝撃波と甲高い音が轟いて、地面が揺れる。思わず人間の職員が耳を塞ぎ、遅れてナガンが呆れや驚きを含んだような声で報告を流す。
『報告、A地点防衛施設に大打撃。決死隊による突入開始じゃ......ワシらはその後詰と突破後の攻勢の先陣を切る。フロストノヴァも来い、良いな』
「え、あ、ハイ」
「わかった、今向か」
『これがあたしの全力だあああああああああああああああああ!』
ダメ押しに広域通信に雄叫びが轟き今度は頭がくらくらするほどの大声が室内に響く。ほぼ同じタイミングで顔を出した職員からは他部隊からもうひとつの砦に大穴を開け、残り一つは陥落寸前との報告。
「......もうやだこの戦場、想定の遥か上ばっかり!」
「では私は行くぞ、バイクを借りるからな」
指揮官の心からの叫びが響く中、足早にフロストノヴァは臨時本部を後にした。
◇◇◇
「この迷彩市街地では逆に目立つのう......」
「だから顔までやらなくったってよかったのに」
「昔サボったおかげで頭をぶち抜かれた。それ以来迷彩に手を抜くつもりはない」
「はいタオル。吹いても落ちないとは思うけど、念のためです」
「助かる。やはり安物は変な匂いがするのう」
拭いても顔料の緑が残る顔とドーランの匂いに顔を顰めつつ、最前線へと装甲車を走らせる。
ナガンは先ほどの視覚共有と絶え間なく飛んでくる本部の報告を聞き流しつつ今後の作戦を練っていた。
(2棟は問題なく落ちるじゃろう。じゃが、G&K社が決死隊を派遣した残りはおそらく苦戦する。報告によればレールガンの狙撃のようじゃが、その後が続かぬ。
つまりそこの戦力が1番の手薄になる、それに決死隊)
昔本部にいた頃の記録を思い出す。まだお互いにセオリーも何もなく正面からぶつかり合っていた頃の、昔の話。
決死隊というのは基本的には志願制ではあるが......無能な指揮官は基本的にそこら辺にいるもの全員を強制的に志願させるのが通例だ。その結果として積み上がった無駄死にした遺体の山を、ナガンはよく覚えている。
(......部隊の士気が高ければよし、低ければ......わしらでどうとするしかあるまい)
「砲撃近いです。そろそろ目的地ですよみなさん。
透明人間のようにこそこそといきましょう」
「そこは名前通り幽霊みたいにじゃなくてスペクトラ? 不思議な例えをするね」
「生きて帰ろうってことですよ。幽霊になろうなんて自殺しようってことですから縁起が悪いじゃあないですか」
「そんなもんかな?」
「つまんないこと言ってないでサッサと飛ばした飛ばした!」
「はい先輩!」
アクセルを踏み込み、一同は道なき道を突き進む。
行き先が最前線、目的は......決死隊の援護だ。