ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー   作:通りすがる傭兵

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ハッピーニューイヤー! あけおめことよろ!

FGO福袋はサンタアイランド仮面とクハハの2枚抜きでした、やったぜベイビー!

というわけで大規模コラボは続くよどこまでも。適当に捏造してもバレへんやろ(小声


番外編 鉄血をぎったぎたに叩きのめす大規模コラボ-5

 

 

 

『こちらFrost、最前線までは数分といったところだ。何もなければな』

「では合流にはその倍はかかると伝えておくべきかの。ここまで戦線が入り乱れておるんじゃ。最前線など秒で変わる。Foxリーダー了解、戦場で会おうぞ」

『了解、コマンダー』

「今のは新入りから?」

「そうじゃ。もう少しかかると言ったところかの」

 

 WA2000からの質問にナガンが答えると、不満を隠さない様子でフンと彼女は鼻を鳴らした。どうにも、最近やってきたのにすぐ重要作戦に組み込まれた新入りが面白くはないらしい。

 

「いつぞやの生意気なやつね。それにナガンの義体のクセに射撃はヘタクソだし......」

「そう神経質にならずとも、新しい仲間じゃあないですか。ベテランなんですから新人は快く迎えないと」

「仲間が増えることはいいことですとも!」

「外野は黙ってなさい、ケジメの問題よケジメの!」

「おうおう、面子だかケジメにこだわるとはお主もまだまだ若いのう」

「そのうちわからせてやるわよ、にしても」

「たった今本部より報告、防衛施設3棟の撃破を確認したそうです」

「......私らいらないんじゃないのこれ?」

 

 この状況下、まだ先頭が終わってはいないとはいえ通信担当のウェルロッドMk-Ⅱの報告に思わずぼやくのも無理はない。

 目玉の戦果は他部隊に全てかっさらわれた後だ、本陣への詰めには参加するだろうが、WA2000としてはまともな戦果を期待するのは難しいだろうという判断からこれ以上の戦闘は面白くない、そう感じていた。

 ナガン的には別に誰も傷つかないならそれでいいのだが、これは前線に立ち続けるものとそうでないものの価値観の違いだろうと納得できなくもない。

 迷彩用のマントを畳み、低倍率スコープのレンズを取り付け市街戦に備えるWA2000の愚痴は止まらない。

 

「スナイパーは大物喰ってナンボよ。せっかく高初速の特製徹甲弾を2マガジンも持ってきたのに腐りっぱなし。せっかくの炸薬3倍の出費がパーだわ」

「私は派手にバンバンやったから満足です!」

「お陰で不要な敵と追いかけっこするハメになったのは誰のせいよ誰の!」

「ひいい頭ぐりぐりしないでくださいよセンパイー!」

「仲良きことはなんとやら、ですね」

「スペもいい感じに纏めない!」

「いいじゃないですかこれくらい」

「っっもー!」

「いつもはこんなに騒がしくはないんですけどね」

「そうじゃなぁ」

 

 後部座席ではしゃぐ後輩達をみながら相槌を打つ。

 前線を引いた身だが、昔の光景が少しだけ蘇ったようで嬉しかった。手のかかる後輩に、ツンデレで騒がしいスナイパー、呆れながらも笑う同僚も相変わらず。地図は見ているが、ナガンはそこに昔の光景を重ねていた。

 

「昔を思い出すのう」

「スペクトラさんにWAは立ち上げ初期のメンバーでしたっけ」

「うむ、もう前線に出ずっぱりなのはWAくらいでお主やわしをはじめ他所に行ったり訓練官になったり。随分とロートルになってしまったからのう」

「今でもナガンさんは現役ですよ」

「そんなもんかのう......通信が来とるぞ」

 

 その一言に場が静まり返る。馬鹿騒ぎで通信を聞き逃したとなれば基地中で阿呆とネタにされかねない。

 無線手ウェルロッドの短い返事と共に彼女が通信機の電源を切り、ふう、と短く履いてから全員を見渡す。

 

「これより我が軍は敵司令部制圧、そして主要ハイエンドモデルの撃破を行うとの通達が入りました」

「ハイエンドのモデルは?」

「不明です。新型の可能性が大きいと。また傘ウイルスという人形の回路を汚染する電子ウイルスが散布させる可能性が指摘されますが、本部がワクチンをすでに開発、我々にもDL済みですので心配入りません」

「司令部戦力は?」

「これも不明。少なくとも大隊規模かと予想されます」

「何も情報が伝わってこないってことじゃないですかぁ!?」

「ま、ぶっつけ本番もよくあることじゃろう。文句を言うな、若いの」

「傾向と対策がなきゃ作戦もできませんよう」

「そこは臨機応変にと言うやつじゃ、むしろ敵さんが毎回毎回律儀に情報を明かすと思うか?」

「うう......」

 

 不安げに自身のライフルを抱き寄せるカルカノ。もうすぐ戦場に立って1年だってのにとぼやきながら脇腹を突いて文句をつける先輩(WA)は置いておいて、ナガンは指揮官に連絡を飛ばす。

 

「そちら掴んでいる情報はないか?」

『決死隊の一部はそっちに合流するみたいだね。戦力に不安があるところは後方支援に徹する旨の連絡来てるしそうさせとくよ。なんで応急修理だけで戦場にほっぽり出しますかねえ』

「他には?」

『P基地の面々も参加予定ですね。

 あと敵はほんとの最終防衛戦てことで、包囲されてるとこ以外の戦力をかき集めてるみたいだよ。予備も虎の子も全部吐き出すだろうし、まさに最終決戦てやつ。

正規軍の列車砲はそろそろ弾薬補給でしばらく打ち止めと聞くし、FFも怖くなってくる頃合い。

 本格的にインファイトの殴り合いになりそうだね。

派遣してるフロストと合流は?』

「まだじゃ、少しかかると聞く」

『了解。無線妨害もないですし、何かあればまた連絡します。無事に帰ってきてくださいね』

「指揮官の命令とあればな」

 

 総括すれば援護は来るが砲撃支援はない、グリフィン側は全戦力で得体の知れない基地をどうにか制圧しボスも殺せ、ということ。

 無策極まれりと言ったところだがナガン達からすれば『いつものこと』。黎明期は情報も戦術ドクトリンもないに同じ、こんな戦いは毎日のように行われていたものだ。ブランクがあるとはいえ、何度も踏んだ轍だ。

 

「今日はよく昔を思い出す、おいぼれの記憶回路を酷使させるな」

「それを見越して私を入れたんだろうか、あの指揮官」

「食えないやつじゃからな。もしかすれば」

「現地合流地点もうすぐです......おや、誰かいますね。それにあれは、正規軍の外骨格(スーツ)ですか。みたことのないものです、恐らくは新型ですね」

「他にも戦術人形の反応アリ、となると決死隊の面々かのう」

 

 目のいいカルカノが言うには正規軍や決死隊の面々は先に着いているようだ。と、こちらを認識したか手を振る人影もあり、何故かこちらの通信機も鳴った。

 

「通信か。本部ではないが」

「識別コード、これはP基地のものですね。つなぎますか?」

「こちらにまわせ」

「了解」

 

 短く頷きナガンが無線機の通話ボタンを押す。そう間を置くこともなく、相手型の声がこちらに届いた。

 

『もしもし、B基地のナガンさんですか?』

「......はいこちらB基地のナガンじゃ。息災のようじゃな」

『えへへ、バッチリ元気だよ。そうだ、ナガンさん達は今決死隊の皆さんと合流するでしょ? P基地(私たち)も部隊を向かわせてるから、会ったら仲良くしてね。それじゃ!』

「ああ、うむ......」

 

 無線から漏れ出る人当たりの良さそうな、年頃の女の子の声と何故か煮え切らない態度のナガンに車内が静まり返る。WA2000は少しだけ深呼吸をしてから、ぽつりと呟いた。

 

「こんだけの要件をわざわざ伝える意味はあるのかしら? 能天気なオペレーターね」

「さあ...... また通信ですが繋ぎます?」

「繋げ。今度は別口じゃろう?」

 

 ナガンの言う通り、識別コードは同じだが末尾が違う。また同じように通信を開けば、先とは違う堅物そのもののような声が聞こえて来る。

 

『お初にお目にかかります、我々はS09P基地所属のオートスコアラー小隊の部隊長ということになってますスユーフ、そして右からダラーヒム、トゥーマーン、ジャウカーンです』

「そっちの指揮官から話は聞いておる、お主らもこっちに来たのか」

『それがマスターからの指示ですから、何か有りましたら我々が支援等に回れますので何時でも声を掛けて下さい、では失礼致します』

 

 窓の外で手を振る戦術人形よりカラフルで、ともすれば少し鉄血のハイエンドとも見間違えられそうな一部異形とも見える服装に少しだけ納得ができたナガン。FFに気をつけてね、という注意喚起だったんだろう。

 

「全くみないうちに新型の自主開発か、あそこも大きくなったもんじゃのう......」

「そろそろ突入予定時刻です」

『こちら正規軍AA-2、コード『タロス3』だ。よろしく頼むぜ嬢ちゃん方』

『こちらこの場所に配置された決死隊の臨時隊長『ワカ』。本部隊は後方支援に徹する事になっている。そのことを考慮に入れて行動してくれ、こちらの戦力は万全とは言い難い』

「こちらB基地所属Fox小隊、隊長M1895である。貴官らの働きに期待する、それぞれの職務にてベストを尽くせ、オーバー」

 

 手を振ってくるパワードスーツや戦場らしからぬペンギンの戦闘人形の言葉にナガンはいつもより低い声で返事をした。返す言葉はそっけないものなのだが、それは今はまだ緊張感が必要だからだ。雰囲気を和らげる軽いジョークの引き出しもあるが、今使う時ではない。

 ナガンは無線機を戻し自身の愛銃のグリップに軽く指を滑らせる。滑らかで、傷一つない木製のグリップ。それを整備した人物を少しだけ脳裏に浮かべ、すぐにそれを振り払い前を見据えた。感傷に浸るのは死ぬ前か作戦が終わってからだ。

 

 

 

最後の作戦(ラストダンス)が、始まる。

 

 

 

「言い忘れていたが、さっきの声はP基地の司令官じゃぞ。もしさっきの言葉聞こえておったら懲罰ものじゃったからな」

「冗談も大概にしたらどうなのよ」

「......ま、信じてはくれぬか」


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