ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー   作:通りすがる傭兵

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さて盛り上がってまいりましたね(白目)
詳細は省きますが無線封鎖にダミー使用禁止に敵の増援とバフのコンボが襲いかかります楽しいね()


番外編 鉄血にボコボコにされかねない大規模コラボ-6

 戦場というのはいつだってどんでん返しを引き起こす。

幾ら不利な状況でも諦めてはいけない、逆転の可能性は0ではないからだ。

幾ら有利な状況でも気を抜いてもいけない。

 

逆転の可能性は、0ではないからだ。

 

 

『こちら観測班リーダー! 敵地にて未確認の大型の装甲兵器を確認、至急これを全域に伝えられたし! 繰り返ーーーーーーッ』

「観測班からの通信及び反応途絶! いや、これはー!」

「状況報告!」

 

 始まりは観測ダミーの報告が途切れたことからだった。焦るカリーナを指揮官は一括し、冷静に状況報告を命じたが心中は穏やかではない。

 

(観測班が砲撃を受けた? 違う、通信に砲撃や戦闘音はない。だとすればジャミング? 今更? 何故?

 

もしかして、こちらは()()()()()()()()()())

「指揮官に報告します! 考え事は後でする!」

「は、はい先輩!」

(そうだ、今は僕が指揮官なんだ。この状況をなんとかするのは僕じゃなきゃいけない、落ち着け)

 

一度深呼吸をし、軽くジャンプして気を鎮める。そして頬を叩き、自分に喝と気合を入れ直した。

 

「今わかっていることを教えてください」

「はい、現在、観測班及びA小隊の本隊、B小隊の通信が途絶えました。同時に、反応も途絶し生死が不明です」

「他には?」

「本部との通信がジャミングにより妨害、補給所も同じです」

「正規軍からは何かありませんか?」

「......通信不可能です、ジャミングされています」

「なるほど。広域通信妨害ですか、厄介ですね」

「合同作戦が裏目に出るね。早く原因を探って復旧しないと、このままじゃ各個撃破されちゃう」

「不味い展開になりました。ですが、ここまで温存した理由がどこかにあるはずです。展開時間、範囲、どこかに突破口があるはずです。これを最初から展開していれば最初の防御陣地の突破には1週間はかかっていたはずですよ」

「こちらを誘い込んで一網打尽にする作戦も忘れないで、敵も頭が回るんだから」

「その可能性も捨てきれないか......」

 

 むむ、と腕を組み考え始める。考えなければ突破口は見つからず、だがその考える時間も今は惜しい。

 

「指揮官、この状況は考えこまされるだけで敵の思う壺なんだよ、即断即決、指揮官はあなた!」

「......迷ってる暇はありません! 指揮車で本部に向かい合流と同時に情報の共有を行います!」

 カリン! ()()の準備は出来てますね?」

「うえええっ!? アレやるんですか」

「そのための資材です!」

「了解しました! もう無茶苦茶だよ!」

 

 ひーんと泣きながら天幕奥へと消えていくカリーナを見送ることもなく、指揮官は即応用の防弾チョッキと武器を取る。自分が戦闘に巻き込まれる可能性があるときに備えたソレは、指揮官が着てはいけないはずのものだ。

 隣ではもうすでに戦術補佐官も同様に装備一式を揃え、準備万端といった様子。サムズアップする様子を一瞥し同じようにハンドサインを返してから無線の番号を入れ替える。

 

「基地の広域アナウンスは使える。なら無線妨害だけですね、幸運でした。

 

 

「これより本指揮車は最前線に向かい、通信支援を行います! それに伴いB基地臨時本部はその役割を放棄! 残り人員は本部との合流を行ってください!」

 

「「「「了解!」」」」

「最高の活躍を期待します!」

 

 無線機はもう役立たずなので接続コードは引き抜き置いていく。カリンがその作業と並行してとっておきの資材を積み込むのと同時に、戦術補佐官と指揮官は運転席に乗り込んだ。

 

「初めての実戦がこうなるとは......」

「大丈夫、なんとかなる!」

「先輩......」

「それにほら、ガンスミスさんを拾っていけるくらいには冷静だ! まだなんとかなるよ。この状況も、戦局も」

「そう、ですね。ここさえ乗り越えてしまったら敵に策は多くはないでしょう。正面突破です」

「よく出来ました!」

「うう、頭撫でないでください」

「......かっわ」

「ソレは禁句ですっ!」

 

 いつの間にか頭に乗せられていた手を気持ち強めに払いつつ、エンジンをかける。ドルルル、とレトロなガソリンエンジン特有の振動を身体に感じながら報告を待つばかり。

 目を瞑り、待つことしばし。助手席の扉を荒々しく叩く音がし、窓の外でオレンジ髪の頭がぴょんと跳ねた。

 

「指揮官積み込み完了です、行ってください!」

「了解カリン、さあ全開で行きますよ先輩!」

「イェッサー!」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

それと同じ時刻。

 

「ダメね、ピクリとも動かないわ」

「こちらも同じです。どこに繋いでもノイズばかり」

「これは相当な手を打たれてしまったな。ジャミングぐらいは予想はしていたが、まさかダミーすら稼働を阻害するものとは」

「これじゃ戦力が半減どころかそれ以上ですよ!」

「早いところなんとかせにゃ不味いのう」

 

 戦場のB正体といえば人気のない廃屋に車を隠し、状況把握に努める。と同時に輸送車の後部に詰め込まれたダミーから弾薬をはじめ装備や非常用食料などを取る作業に入っていた。

 

「ジャミングの大元は敵の防衛施設で間違いはないのですよね?」

「衛生写真にそのような大幅なレーダー施設、ジャミング施設になりそうなものは写り込んではおらなんだ。となれば、得体の知れない施設内になるな」

「作戦は?」

「我々でこれを破壊する。突入作戦に距離的な問題で乗り遅れたのが幸いして前線の混乱には巻き込まれずに済んだからの」

「ただ不穏なのは最後の通信よね。『敵に未確認の大型装甲兵器』データリンク間に合わなかったから、姿形もわからないわ」

「マンティコア級、以上ですよね」

「恐らくは」

「うわあヤダヤダ! あんなのがいるとか嫌になりますよ! 誰か対戦車ライフルかミサイルとかないんですか!」

「主目標は偵察任務よ、そんなのないわよ」

「あるとしても誰かが忘れていったライフル用の榴弾くらいか。カルカノ、今のうちに空砲を10発。弾頭を抜くだけで良い」

「あんまり訓練してないから命中精度は期待しないでくださいよ」

「意地でも当てなさいよそこは」

「可能性に100はないんですからね!」

 

 ああやだやだ、と非常用に積んでいたコンテナを奥から引っ張り出しに戻るカルカノ。ソレを見つつ、ナガンはこっそりと白い弾丸をポーチに詰めていた。

 

(フロストノヴァのアーツを込めた源石(オリジニウム)弾頭、汚染もあるし使わずには置きたいが......この際構ってはいられぬか)

「準備は終わりましたか?」

「ソレは......ジャラジャラうるさくて逆に迷惑じゃありません?」

「そうかな、私はこれくらいでちょうどいいかなって感じなんですけれど」

「あんたのせいで見つからないことを祈るわ」

 

 ポーチに長いマガジンをこれでもかと差した上に鎧と取れるくらいつけられる場所にありったけマガジンポーチを括り付けているスペクトラに対し、弾数を必要としないのでいつも通りの姿のウェルロッドが呟く。

 

「私の仕事はどうしましょうか、偵察手もこの状況ではお役御免ですよ」

「手旗信号でも送ればいいんじゃないの?」

「マリーンじゃないんですよ! まあ口頭なら阻害もされませんし、スポッターくらいは」

「いつものってやつね」

「皆、ハンドサインは覚えておるな。教習の時一度やったきりではあるがゴミ箱に叩き込んだ阿呆は居らぬよな?」

「はい! 不肖カルカノ大丈夫です!」

「ではやってみせよ」

 

 そう言われ姿勢を正したカルカノ。一息置いてまず手を叩き、次に指を2本立てたのちマルを作る。そして何かを覗き込むような仕草を見せて、

 

「ぱん、つー、丸、見え」

「イェア!」

 

 何かが通じ合ったスペクトラと勢いよくハイタッチ。そのスペクトラはといえば彼女と拳を突き合わせたのちアッパーカットで顎を撃ち抜き天高く打ち上げた。

 

「ふざけてる場合ですかちゃんと覚えてますよね!?」

「あやつなりの場を和ませようとしただけじゃろ......駄々滑りだったが、その心意気はかってやる。

お主ら! 準備は整ったか! 出発じゃ!

車と無線機はここに置いていく。ここからはダミーも救援も来ない、まさに人間と同じかソレ以下の立場に置かれたと心得よ。

 そして死を恐れよ。ワシらが死ねば、背後にいる10の戦術人形もまた犠牲になる。死ぬな! 全員生きて帰る! そしてこの作戦を遂行する! ワシの命令はこの2つじゃ!」

「了解、ソレは命令3つじゃなくて?」

「行きましょう。たとえ黙示録の彼方でも、貴方が隊長なら乗り越えられます」

「じ、地獄だろうとお供します!」

「昔に戻ったみたい。いつも通り行こうよナガン」

「うむ、では出発じゃ!」




指揮官ちゃんはこの後大変なことになりますが、ナガンとB小隊の愉快な仲間達をどうかよろしく。自由に使ってくれれば援護くらいなんとかこなしてくれるでしょう。


追記) 勘違いにより内容を微修正。
なおマジでナガンはジャミング装置が重要拠点内にあると勘違いしたのでB小隊は 

突 撃 します。アホかな?

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