ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー 作:通りすがる傭兵
NKT(長く苦しい戦いだった......)
というわけで大規模戦闘これにて終幕でございます。
「おお、絶景かな絶景かな、眩暈がするほど大量じゃのう」
「これでも最初の半分くらいだよ。こっちは吐き気がしそうなんだが、お前さんはなんでそうもヘラヘラしてられるんだ?」
「こうでもせんとやってられんからじゃよ、ハッハッハ」
「ヤケになってるだけじゃねーか!」
「1時方向に敵多数じゃ、ブチ込め」
「アイアイサー!」
ガチガチに要塞化された平地、その装甲板にこそこそと隠れるようにしながらレーダーを見て乾いた笑いを飛ばしながら、隣のリバイバーに指示を飛ばすナガン。
リバイバーの大型レールカノンの咆哮と共に、万能者の奥の手を守り切るための最終決戦が始まった。
「......なんというか、WW1の塹壕戦の様相を呈してきたのう」
「相手が空を飛ばなきゃな! 対空レーザー!」
「5時方向弾幕薄いぞ、何やってんのじゃ!」
「こっちはこっちで一杯一杯なんだ!」
「気を遣ったても敵は手を緩めてくれんぞ、ハリーハリー!」
「だったらお前さんも戦ってくれよヘラヘラしてないでさぁ!」
「HG戦術人形の仕事は部隊の指揮統制じゃぞ? 火力などもとより期待されておらん。それに拳銃弾で倒せる相手ならこんなに苦労せんわい」
「そうだったな畜生!」
ほぼ穀潰しじゃねーかよ、というリバイバーの叫びを都合よく聞き流しつつナガンは臨時司令部から飛ぶリアルタイムの戦場データをにらみつける。
(なかなかに戦力も集中しておる。隣はフロストノヴァと
あとは万能者の奥の手まで時間を稼ぐだけの簡単な仕事じゃ。
何より防衛戦闘はワシの得意分野、これで遅れを取ってはここに命がけで飛び降りた意味もない)
銃火を交えるだけが戦争にあらず。
派手な戦闘はスーパーヒーローが必要だが、それ以外にもそれを支援する指揮官や雑兵、戦闘を途切れさせないための補給部隊がいる。
たったの数人で戦闘はできても戦争はできない。
古来より数多の英雄が猛将が生まれたが、その悉くを打ち破ったのは『数の暴力』。数で勝るだけの弱者が強者に勝る方法を古来より『戦術』と呼ぶ。
戦術とはもとより弱者の兵法。
弱者であればあるほど、その戦術が戦争を左右する。
(質のある少数部隊を全力が出せるように支え、取りこぼす数は同じく数で留める。仕留める必要がないのなら
「そうじゃろう、指揮官」
『その通り。倒せなくとも注意くらいは引けますよ。
防衛を除く全部隊は指定ポイント付近まで急行、砲撃でも銃撃でもなんでも構いません。ありったけ攻撃を叩き込んで1秒でも時間を稼いでください!』
指揮官の叫びに呼応するように敵後方から爆発音が響き、銃撃音が一斉に轟く。
一瞬でも注意をこちらに向けるのならば。
一秒でも足を止めてくれるのならば。
一分でも攻撃しようと振り向いてくれるのならば。
そんな決死の覚悟のもと弱者は引き金を引き続ける。
一度折れた心を奮い立たせて、彼女たちは銃を構える。
「撃って撃って撃ちまくるのよ!」
「これで最後なんだ、やってみる価値はある!」
「お願い、止まって!」
威力は少なくとも無視はできない。
一機また一機と膝を折り、振り向いて応戦する機体が現れるのを見てナガンがニヤリと笑った。
「我々は蹂躙されるだけの存在でじゃないのじゃ、例え力及ばずとも最後まで抗って見せるぞ」
戦闘終了まで、あとーーー。
◇◇◇
『こちらオモイカネ。第7中隊に負傷者多数、活動限界です!』
「第7中隊は司令部まで撤退を、無理する必要はありませんよ!
4ラインはどうなってますか?」
「現在砲撃支援を実行中だよ、何機か砲撃陣地を潰しに来てる!」
「全力で敵を押し留めさせてください! あそこの砲撃陣地は時間稼ぎの要です、ギリギリまで支援を続行するんですよ!」
「了解、38中隊と正規軍D小隊はそちらに急行! H-4あたりが最終防衛ラインになります、至急防御陣地を!」
勝利の光明が見えたことによりにわかに慌ただしくなる臨時司令部。P基地オペレーター『オモイカネ』の情報共有をもに大きく変わる戦場を混乱させないため、司令部は各地に散らばる部隊へ指示を飛ばし続ける。
『こちら臨時中継地点、応急処理が終わった戦術人形と我々正規軍の希望者で部隊を結成したい、どうか?』
「許可します! 最寄りの第2支援部隊に合流を!」
『了解だ。最後のひと暴れ、行くぞお前ら!』
「無茶しないでくださいよ!」
『こちら第7中隊副隊長、まだやれます!』
「他の部隊に任せて下がってください、拾った命を無駄にするつもりですか?」
『やられた隊長の仇を取らせて欲しいんです!』
「目的を見失わないでください、今の目標は時間稼ぎなんです。貴方たちは十分役目を果たしてくれました。あとは、任せましょう」
『了解......』
『こちら第5中隊、敵が食いついた』
「では即撤退を。前線から一歩でも敵を遠ざけるだけで構いませんからね!」
『イェッサー』
(リーダーユニットを撃破したことで、わずかながら敵の指揮系統に乱れが生じてます。
こんな陽動にも引っかかるのがその証拠、つまりサブの指揮系統では全体の目標がしっかりと統制されていないということ。
こればかりはあの2人に感謝しかありませんね、時間稼ぎが捗ります♪)
にひひ、と小悪魔めいた笑みを浮かべる指揮官。こういった泥沼の戦闘は攻める側は悪夢、守る側は気が楽なモノ。
かつてのベトナム戦争で質も量も勝るアメリカ軍が攻めあぐねたのは、こんなズブズブの泥沼戦況にベトナム側が持ち込めたからだ。
敵が焦れば焦るほど判断を誤り、各個がバラバラに行動し出す。あとはそれを沼に引きずり込んでやればいい。
時間は我々に味方している。
『こちら万能者!
正規軍とG&Kの戦術人形に伝達!
目と識別、位置をこちらの方で勝手に接続して調べさせてもらう!必要な情報が色々と足りん! あとそこの鉄血のデカい蜂か一つ目のデカブツ!
そっちのボスか上司に鉄血戦術人形と兵器などの識別、位置の視界データを俺に送ってくれと伝えてくれ!
アンタらのあのジャミングは無くなったが、アンタらのネットワークの規格がかなり違うから色々と情報が入らん!』
「お、いい知らせが来ましたね。オモイカネさん、万能者に情報共有を。彼らで無理に引っこ抜くより渡した方が手早いでしょう?」
『わかりました、データ送信します』
「照準諸元が必要となればあと少しといったところでしょうか。さ、気張っていきますよ、先輩」
「おっしゃーーーー!!!! 終わったら焼き肉じゃーい!」
「元気ですねェ......」
戦闘終了まで、あとーー。
◇◇◇
『こちら万能者! この状況を打開できる兵器の設定は完了した! 後はコイツを上に発射準備をして発射するだけだが、その兵器の発射を邪魔されるか、撃ち落とされてでもしたら終わりだ。
それを迎撃できそうな奴の撃破か妨害、その兵器が発射された後、目的の高度まで上がるまで守るのを頼む!』
「......だ、そうだ。やれるか?」
やれるさ、と鉄の巨人は頷いた。
盾は半壊し、身体も万全とは程遠い状態、戦力としては半減以下。今ここで撤退する選択肢を取る事はできないが、通常の戦闘であれば撤退を選択すべき状況にある。
だが、計算できる勝率は悪くない。
彼女の支援があれば目標達成までの時間まで、充分戦うことはできる。
「あり合わせで悪いな。だが、代わりにはなろう」
女が呟くと、盾が黒い氷に覆われる。使える武装部分は穴になってその機能を阻害するところはなく欠けた部分を重点的に補うように。
現象としてはまるで意志を持った氷。しかも、計算される重量よりはるかに軽量であることに思わずエラーを吐くが修正した。
「あと数分か、十数分か」
万能者からの回答はなされなかった。
故にその兵器が撃ち込まれるまで、抗おう。
「これが最後の、決戦だ」
彼女の呟きと共に、膠着した戦況が動き出す。
打ち上げられた兵器を叩き落とそうとする機体に重点的に接近戦を仕掛け、こちらに注意を向けさせる。
それでも取りこぼす敵機は、女が気温を操作することによって関節ごと凍らせ地面に留める。打ち上がる弾丸も氷で防ぎ、反撃にその氷を空から打ち下ろす。
「姉貴の援護だ!」
「行かせるかよ!」
「関節を狙え、頭を潰せ、武器を壊すんだ!」
その号令と共に、機能を停止していたはずの戦術人形が動き出す。ノイズまじりの叫びを上げ、四肢を失った人形が鉄器に噛みつき、とりつき襲いかかる。G&K社、鉄血の区別なく、動作しないはずの人形が立ち上がり銃を取っている。
この戦場は理解不能なことばかりが発生する。
だが、勝利のために過程は問題ではない。
「......お前たちは一体どういう存在になったんだ?」
「ゴースト兵的な?」
「いや、違うと思うんだが......」
戦闘終了まで、あとー。
『こちら万能者、お待たせしたな......あのフード付きマントの集団に一泡吹かせる用意が完了した。それじゃ攻撃を開始する! サンライト・パラノイア攻撃開始ィ!』