ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー   作:通りすがる傭兵

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少し早いですが、ハロウィンスペシャルを。

みなさん、ハロウィンを楽しむ準備はいいですか?


教えてナガン先生! その2

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

 

「「銃器紹介、番外編!」」

 

ガンスミス

「教えて」

 

ナガン

「ナガン先生! のコーナーなのじゃ」

 

ガンスミス

「このコーナーはいつもと趣向を変えて解説する不定期開催コーナーです」

 

ナガン

「今日はハロウィンじゃ、というわけで、わしらも頑張って仮装してみたぞ?」

 

ガンスミス

「ラジオだから見えないんだけども」

 

ナガン

「雰囲気が大事なのじゃ雰囲気が。

わしは......戦車兵のコスプレじゃな」

 

ナガン......アニメ『ガールズ&パンツァー』よりプラウダ高校カチューシャ。あのヘルメット絶対似合う気がする、だれか描いて?

 

ナガン

「ところでなぜお主は白いマスクに黒いつなぎ.......手抜きではないのか?」

 

ガンスミス

「ちゃんとハロウィン関係あるし! むしろモロハロウィンだし!」

 

ガンスミス......映画『Halloween』よりプギーマン、ことマイケル・マイヤーズ。

映画は多数のホラーに影響を与えた名作で、2018年には一作目のその後を描く作品も公開されている。

寒い秋こそホラー、見よう!

 

ナガン

「それはさておき、皆が現在楽しんであろうハロウィーンではあるが......実は起源を知るものはそう多くはないのではないか?」

 

ガンスミス

「起源を知れば物事はもっと面白くなる!」

 

ナガン

「というわけで、今日はハロウィンを解説するのじゃ」

 

 

ハロウィンのはじまり

 

ナガン

「ハロウィンの起源は、古代ケルト人の祝祭が始まりだと言われておる」

 

ガンスミス

「ケルト人?」

 

ナガン

「中央アジアからヨーロッパ圏に移動してきた民族の事じゃ。現在ではアイルランド、スコットランド、ウェールズ、及びブルターニュなどイギリスのいち地方にその末裔が住んでおるようじゃの。古代ではヨーロッパの広い地域に住んでおったようじゃな」

 

ガンスミス

「ふーん、話の腰折って悪かった、続けてくれ」

 

ナガン

「では続きを、こほん。

ケルト人の文化において、11月1日は冬の季節の始まりであり1年での始まりでもあった。

そして、日没から新しい日が始まる、という考え方も相まって、新年を祝う収穫祭が現在の10月31日に行われるようになった、これがハロウィンの始まるになったと言われておるな」

 

ガンスミス

「要するに今で言う12月31日に当たるわけな」

 

ナガン

「それに近しいものはあるじゃろう。

同時に、古代ローマでは11月1日ごろに果樹園の女神であり、リンゴをシンボルにとる女神ポーモーナを讃える祭りが行われていたとされる。紀元1世紀ごろにイギリスに侵入したローマのこの祭りも影響を与えたとされておるな」

 

ガンスミス

「今じゃアメリカで有名だけど、その理由はどうなのさ」

 

ナガン

「そうじゃのう、アメリカにハロウィンという行事が広まったのは19世紀とされておる。

きっかけは、アイルランドやスコットランドから大量に移民が来た事じゃろう。その特定の移民のグループでの内輪の祭りから、徐々に対外的なイベントとして受け入れられていったようじゃな」

 

ガンスミス

「アメリカの国民性とか歴史とかも関係してるかもな。なまじっか歴史が浅い分不要なしがらみも少ないわけだし、むしろ積極的に取り入れたんだろ」

 

ナガン

「そして20世紀にはほぼ受け入れられるようになった。1950年代には、大量消費社会の風潮もあるじゃろうが、企業の宣伝活動であの「トリック・オア・トリート!」のセリフが普及した。

現代のような騒がしいイベントとして定着したのは、おそらくこういった要因があるんじゃろうな」

 

 

ハロウィンといえば仮装だよね!

 

ガンスミス

「ところで何で仮装すんの?」

 

ナガン

「ざっくばらんに言うなら、子供達を悪霊や悪い精霊、魔女から隠すためじゃな。

ケルト人の風習によれば、10月31日は死者の霊が家を訪れる日であり、悪い物が活動する時期でもあった。

そういったものから子供達を覆い隠し退けるため、初期には仮面を、そして幽霊や魔女といったおどろおどろしいものへと変化していったようじゃな」

 

ガンスミス

「なるほど、だから魔女や幽霊なんかが定番の仮装ってわけだ」

 

ナガン

「そうじゃな。時代の移り変わりとともにコウモリ、悪魔、黒猫、ゴブリン、バンシー、ゾンビなどの民間伝承の怪物、さらには吸血鬼、狼男、フランケンシュタインなどの創作上の怪物も含まれるようになった」

 

ガンスミス

「最近じゃコスプレパーティーだよな、もう何が何だか」

 

ナガン

「その先駆けはディ○ニーじゃろうな」

 

ガンスミス

「○ィズニー?」

 

ナガン

「シンデレラや白雪姫、ピーターパン。

ある程度実態はあっても、明確なキャラ付けがなされておらんかった話に強烈な印象を植え付けたのがディズ○ーじゃ。

これはわしの予想にすぎんが、ディ○ニーのイベントにハロウィンを取り入れていったのが始まりではないかのう」

 

ガンスミス

「あー、なるほど......」

 

ディ○ニー......言わずと知れた有名アニメ会社。書いたら消されそうなので伏せ字。

???「ハハッ!」

 

ガンスミス

「でも日本じゃただのコスプレ祭りとしか認識してないけどな」

 

ナガン

「それは......あれじゃろ。日本人の気風というか、文化の受け入れ方というか」

 

気風......車とか戦艦とかイロイロ擬人化したり、個人で本作るイベントが命がけでになったりする。だいたい全部魔改造する。

最近だと大陸まで侵食し始めた模様、というかドルフロがその一例だろ。

 

 

ジャック・オー・ランタン

 

ガンスミス

「じゃあもう一つの定番について解説よろしく」

 

ナガン

「かぼちゃのアレじゃろ?

アレはジャック・オー・ランタン。

日本語にするなら「お化けかぼちゃ」や「かぼちゃちょうちん」になる。

大きなかぼちゃをくり抜き、おどろおどろしい顔を彫り込んだものじゃな」

 

ガンスミス

「予想するに、あれも魔除けの一種だろ。仮装と同じで怖い顔だしな」

 

ナガン

「そうじゃ、アレを玄関などに飾り、悪いものを追い払うのが目的じゃな。

かぼちゃが発見される以前は、大きなカブを使っていたようじゃな」

 

ガンスミス

「カブはそんなにでかいイメージないけどな......あっちの方はデカイんだな」

 

ナガン

「それと同時に、ジャック・オー・ランタンは伝承上の存在でもある」

 

ガンスミス

「ただの魔除けのライトじゃなくてか」

 

ナガン

「伝承によれば、地獄にも天国にも行けなかった魂が、悪魔のくれた石炭で火を灯し、カブで作ったランタンを下げている姿というものらしい。

別名を鬼火、ウィル・オー・ザ・ウィスプというそうじゃ」

 

ガンスミス

「日本でいうと火の玉とか狐火とかいうアレか」

 

ナガン

「自然発火でなにもないところが燃え上がる現象の事でもある。こうした不可解な現象に名前をつけることは、世界でもよくあることじゃな」

 

ガンスミス

「じゃバミューダトライアングルは?」

 

ナガン

「......あそこに鉄血叩き込んだら消滅してくれんかのう」

 

バミューダトライアングル......魔の三角海域、異界の入り口などなど。

アメリカ東海岸の近くにある一部海域のことであり、よく航空機や船舶が消失する。

原因は不明。

 

 

トリック・オア・トリート!

 

ナガン

「お菓子くれなきゃ眉間に穴が開くゾ☆」

 

ガンスミス

「怖っ! 二重の意味で怖い!」

 

ナガン

「冗談じゃ。試作品は山ほど食うたしのう」

 

ガンスミス

「春田さんも自信作って言ってたし、今夜は楽しみにしててよ」

 

ナガン

「むしろ暴動鎮圧が目的じゃろうに」

 

ガンスミス

「抑止力がいないと、ね」

 

暴動鎮圧......ゴム弾装填のナガンが警備します、実際コワイので抑止力。

 

ガンスミス

「ところでトリック・オア・トリートってどういうわけで始まったのさ。単純に訳せば『ご馳走か、いたずらか』だよこれ」

 

ナガン

「どうにも地域交流の場として発達した風習のようじゃの」

 

ガンスミス

「地域交流」

 

 

まとめ

 

ナガン

「この祭りの起源自体は、悪霊を祓い身を守るための儀式的なもの。

それが現在ではただのお祭りに成り下がってしまったわけじゃが、あの騒ぎようでは案外悪霊避けとしての役割は果たせておるのかもしれんのかのう」

 

ガンスミス

「別に本来の行事に戻せとは言わないけど、頭の片隅にでも置いてくれると、ちょいと楽しくなるんじゃないかな」

 

ナガン

「節度を守って楽しくハロウィンを、なのじゃ!」

 

節度......軽トラをひっくり返したり窓ガラスを叩き割ったりしないように(時事ネタ)。

 

ガンスミス

「それではまた次回!」

 

 

 

小話-4 ハロウィン・フロントライン

 

 

日中の出撃任務も終わり、警戒にあたる人形を除きほとんどの人員や人形は暇になる夜。

何時もであれば、俺は気まぐれにカフェに行ってロハで働いていたり、身体の疲れを癒していたりするのだが、今日は10月31日。

 

そう、ハロウィンである。

 

最前線だから家族連れの兵士はほぼゼロ、というよりそもそもの人間の数が少ないのだが、子供は存在する。

別の言い方をするならば、子供っぽい性格をプログラムされている戦術人形が、だ。

 

というわけで数日前からそのための対策を春田さんと練り、手製の菓子を振る舞うということが決まった。

 

 

そこからが地獄の始まりだった。

 

「何個作ります?」

「小さめに作って種類を多く、てのが妥当じゃねえか? 大きいと焼く時間もかかるし、微調整も難しくなる」

「ですよねぇ」

 

そして人員名簿から、余裕を持った数を逆算したところ。

 

「春田さん」

「何でしょう?」

「有給休暇ってあまってる?」

「......そういう事ですか」

「覚悟しないとこの数は無理」

 

試作を数個作り、ナガンに味見をしてもらいゴーサインが出たところで作戦開始。

ハロウィンまで全休にしてカフェの厨房にこもり、生地と格闘する事ウン時間。さらにそれをオーブンに叩きこみ、その間にラッピングとコスプレ準備と店の飾り付け。

焼きあがったところでラッピングと、焼き作業をひたすらに繰り返す事気が遠くなるほど。

 

「お、わっ、たぁ......」

「もう、身体中ガタガタですね......」

「ラジオが録音放送で助かった、この有様じゃまともに解説なんて出来るわけがねえや......」

 

そして5時間ほどぶっ倒れ、本番の夜がやってきた。

 

「「「トリック、オア、トリート!」」」

「あらあら、皆お揃いで」

「トリート!」

「......カリーナまで参加してんのか」

「いいじゃないですかぁ、イベントは好きですから」

「儲かるからだろ」

「......」

 

ぷい、とよそを向くカリーナ、その様子を見る限りだいぶ儲かったらしい。

その本人の仮装はというと、日本の古い学生服であり、水兵服をかたどったセーラー服。

普段まとめている髪をすっかり下ろしてあり、そのらしくない見た目とは裏腹に案外似合っているのが驚きだった。

 

「......ただ、その手の人にしか見えないというか、なんというか」

「ひどいっ!」

 

飲まなきゃやってられないです、と適当にドリンクをオーダーされたのでカウンターに戻る。お菓子を配るのは春田さんに一任しているが、今のところ問題はなさそうだ。

 

「くくく......今宵は祭りよ、血が騒ぐ!」

「あ、ウェルロッド。闇に飲まれよ」

「闇に飲まれよ!」

 

次に現れた顔見知りはウェルロッドMk.Ⅱ。

その仮装はというと、黒系のレース付きドレス。それを俗にゴスロリ風、というんだっけか。長く縦に巻いたカールのついた銀色のウィッグもよく似合っている、が。

 

「なんでそれにした」

「天啓が舞い降りたのだ」

「......なんにせよよく似合ってる。今夜は楽しんで」

「では早速注文を、今宵は私は血を求める貴婦人が望ましい」

「ブラッディマリーか、了解」

 

確かイギリスの王族の名前が由来だったはず。多くの人を処刑したからついたあだ名が『ブラッディ・メアリ』。その名の通り、真っ赤な色をしているのが特徴だ。

 

「はいよ、いっちょあがり」

「かたじけない」

「お邪魔しまーす」

「その声はM14か......うげっ」

「何ですか、見た途端にへんな声あげて」

「そんなカッコしてれば誰だってビビるさ」

 

もう、と腰に手を当ててむくれているM14の格好は、カーキの軍服にテンガロンハット、つまるところあの軍曹殿である。

その割りには随分と可愛らしいが、正直トラウマがな......

 

「まあいいでしょう。スプリングフィールドさん、トリックオアトリート!」

「あらあら、随分と可愛らしい兵隊さんですね」

 

なんにせよ、楽しんでくれているようで何よりだ。

 

「ガンスミスさんウォッカー!」

「ええい、ハロウィンだろそれらしいもの頼めよ!」

「では、ハロウィンらしくオレンジ色のジャックダニエルを」

「今日は自重してくれよな酒飲みども!」

 

 

 

 

注文もひと段落したところで、俺の正面に座り直してきたカリーナ、どうにも手持ち無沙汰になったらしい。

 

「ほい、アイスティー」

「私もう大人なんですけど」

「まあまあ、飲んで見りゃわかるさ」

 

渋々といった様子で差し出されたグラスを傾けて一口飲んだところで、

 

「けほっ、これお酒じゃないですか!?」

「リキュールを混ぜて作ったアイスティー風カクテルだそうだ」

「コレ悪用できますよね」

「やんねーよ。それに咳き込むくらいだからそれなりに強いし、すぐわかるさ」

「とはいえ、一口で酔っ払う人には効きますよね」

「......やらねーからな」

「その沈黙はなんなんですか、考えたんでしょー?」

 

嘘だと否定できないのが辛い。最近カフェに来ては酒も入っていないのに管を巻いてやかましいのがいるから、そいつを潰すにはうってつけだろう。

 

「トリックオアトリート! お菓子くれなきゃいたずらするぞー!」

「あらあら、イタズラされるのは困りましたねぇ」

「ふへへ、おかしもーらいっ!」

 

颯爽と登場した我らが指揮官。やはり女子の血が騒ぐのか、気合の入った小悪魔風コスプレ、ミニスカートと大きく切り取られた胸元が目に悪い。

「......飲ませちゃいます? 騒がしくなりますよ」

「いや、今日はやめとこう」

「珍しいですね」

「......まあな」

 

俺の目線につられて、カリーナも指揮官の方を見やる。

「うりうり、いたずらしちゃうぞー!」

「ちょっと、離しなさいよ!」

「やだもーん。わーちゃんが可愛いのが悪いんだから」

「この、ちょ、どこ触って!」

「今日はお触り厳禁じゃ、引き締めるところは引き締めい」

「ちぇー」

 

怒られながらも笑顔でいる指揮官と、それを囲む人形たちは、とても楽しそうだった。

 

「今日は祭りだ。楽しまなきゃ勿体無い」

「......ですね」

 

自分のグラスにはソフトドリンクを入れて、軽くカリーナの方へ突き出す。意図を察したカリーナが同じくグラスを突き出した。

 

「夜は長いぞ、楽しもうや」

「ええ、今日はじゃんじゃん飲みますとも」

「......そこはほどほどにしといてくれ」

 

からんと軽い音が響き、騒がしさに溶けてゆく。

 

こんな騒がしい日も、たまにはいいかもな。

 

 

 

 

 

 

 





やっぱ自分で思うけど、普通に書くと実力不足が目立ちますねこれは

次の番外編のネタ(仮)

  • 後輩ちゃんと元指揮官の馴れ初め
  • しぶとく生きてた死神さん家の娘
  • 料理下手を克服したいガンスミス
  • そんなことよりさっさと解説しろ作者ァ!

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