ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー 作:通りすがる傭兵
フライングだけどクリスマスですね!
忙しいのでそれどころじゃないから先にやっちゃいます。
それでは皆様メリークリスマス!
今回はめちゃめちゃ難産でした。やりたいけど蛇足にしかならないネタが多すぎる。
トンプソンにピアノ弾かせたかったよう......
「ガンスミスと」
「M1895ナガンの」
「「銃器紹介、番外編!」」
ガンスミス
「教えて」
ナガン←E:サンタ帽
「ナガン先生! のコーナーなのじゃ」
ガンスミス
「このコーナーはいつもと趣向を変えて解説する不定期開催コーナーです」
ナガン
「今回はクリスマスじゃ。と言うても、少し毛色は違うがのう」
ガンスミス
「サンタクロースとか、クリスマスの起源を解説しても良かったんだがな」
ナガン
「甘ったれた話ではなく、身が引き締まるようなお話をとな」
ガンスミス
「メタ話すると他所ではクリスマスパーティーとかで盛り上がるだろうから、硬派なやつをやってもいいんじゃないと言うわけで」
サンタクロース......小アジアの聖人「聖ニコラウス」が由来。
貧しい家庭が3人の娘を身売りさせなければならない、と言う話を聞き、彼は3枚の金貨を窓から投げ入れた。
その時暖炉にかかっていた靴下に金貨が入ったのが、今日のプレゼントは靴下に入れる、ということの由来だと思われる。
また聖ニコラウスは海運、学問の守護聖人である。
繰り返す、学問の守護聖人である!
(学生の皆さん頑張りましょう)
クリスマスの起源......伝承上のキリストの誕生日を祝う日である。
またローマの農耕神サトゥルヌスのための祝祭(サートゥルナーリア)を挙げる説がある。
ブレイブウィッチーズで見た気がする。
クリスマス休戦
人間の良心、その最後の残光
ナガン
「今回解説するのは、クリスマス休戦じゃ」
ガンスミス
「WW1中の1914年、12月24〜25日、クリスマス。西部戦線で行われた休戦の事を指す言葉だ」
ナガン
「その前に
必要な予備知識じゃからの」
WW1についてのエトセトラ
ガンスミス
「サライェヴォ事件を皮切りに始まったヨーロッパ中を巻き込んだ世界大戦だ。
主な参戦国はイギリス、フランス、ドイツなどだな。アメリカはちと参加は遅い」
ナガン
「戦闘機や戦車、毒ガスなんかの新兵器が多く登場したんじゃ。
じゃが、開始当初の1914年は特になにもなく......というか、泥沼の塹壕戦が始まったところじゃ」
塹壕戦......WW1時に行なわれた戦法の一つ。
人がすっぽりと埋まるほどの深さと、人がすれ違えるくらいの隙間しかない塹壕。
土の地面で水はけは最悪、更に当時の軍靴は水が染み込む革靴。水虫が横行したようだ。
そして直面する死の恐怖。
......言うまでもなく、地獄である。
ナガン
「ドイツ軍の快進撃は停滞。クリスマスまでには、と家を出たはずの男たちはクリスマスを家族と過ごすことは出来なかったんじゃ」
そして本題、クリスマス休戦
ナガン
「1914年12月25日、フランドル地方地方の戦場においてクリスマス休戦は確認されたのじゃ」
フランドル地方...... オランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にかけての地域のことを指す。海に結構近い。
英語ではフランダース地方と読む。
「フランダースの犬」って聞いたことあるじゃん?
ガンスミス
「その始まりは場所によって異なるが、一番映えるエピソードをあげていこう」
ナガン
「......BGMとか流せたら幻想的なんじゃがなぁ」
ガンスミス
「それは各自で流してもらうという事で」
ナガン
「では、推奨BGMは『きよしこの夜』。ドイツ語が一番望ましいのう。
両軍がたった100mの距離で、鉄条網越しに睨み合っておる時、ふとイギリス軍の耳に『きよしこの夜』のメロディが聞こえてきたのじゃ。
合唱はドイツ軍側からじゃった。
歌声はどんどんと大きくなり、終わることには戦場に響き渡るほど大きな声になっておった。
そしてイギリス軍もまた、同じように『きよしこの夜』を歌った。
塹壕の上には、ただロウソクを灯した粗末なツリーが掲げられていた。
その時じゃった。
あるドイツ軍兵士が武器を持たず、塹壕を乗り越え、イギリス軍側へと歩いてきた。
当然イギリス軍陣地は殺気立つ。じゃが、上官は兵士を制すると、同じように塹壕を乗り越えた。
そして両者が、塹壕の間で向かい合う。
そして、どちらかがいったんじゃろうな。それは資料には残されておらん。想像で語るとするなれば、
『今日はクリスマスだ』
そして誰がいうまでもなく、停戦した。
両軍は互いの戦死者を埋葬し合同で祈りを捧げ、酒類、タバコ、チョコレートといった嗜好品を交換し、一緒に記念写真を撮ってクリスマスを祝った。その時の写真も伝わっておる。
いくつかの地域ではサッカーの試合が行われたそうじゃな。
まともなボールがなかった場合、空き缶や小さい土嚢が代わりに使われたそうじゃ。
そして夜が明けた。
指揮官が拳銃を天に向かってはなつ。いっときの休戦は終わりを告げられたのじゃ。
そして両軍は陣地へ戻り銃を構えた。
先ほどまで共にクリスマスを祝った友人に向かってのう。
この休戦は、1918年の終戦まで行われることはなく、世界史上で見てもこのような休戦が行われた資料はないとされておる。
人間でないわしがいうのもどうかとは思うが、まさに神がくれた奇跡、というものじゃなぁ......」
ガンスミス
「そんなに簡単な話でもないんだがなぁ」
ナガン
「え」
奇跡の裏側
ガンスミス
「残念ながら、この休戦は美談で終わった訳ではないことをここに明記したい。
気持ちよく終わりたいなら今すぐにラジオのスイッチを切ってほしい。
そんで今までの話をクリスマスパーティでの話のネタにしてくれ。
今から説明するのは『戦争の負の面』が濃いぁらな、人によっては不快な気分になる。
だが、正の面も負の面も踏まえて説明するのがポリシーなもんでな。
いいな?
じゃあ今から説明するぞ。
まず想定として各国は『12月までには終わるだろう』と思っていた。当然銃弾や食料の備蓄なんかも、12月分までしか生産されていなかったはずだ。戦況を見て増産を急いだとしても、すぐにはできない。
要は前線に弾が少なく、大掛かりな戦闘行為は行われることは少なかった。
次に、この休戦の申し入れは『ドイツ軍』が殆どだった。イギリス軍から休戦が申し込まれた例は資料にはない。
この理由は、1914年当時の戦況がドイツ軍優勢だったからだと考えられる。
悪く言うなれば勝者の余裕だったのかもしれん。
そして、クリスマス休戦が行われたのは、さっきも言ったようにフランドル地方......西部戦線の一部のみであり、他では普通に戦闘が行われていた。
特に国土が侵攻されたフランス、ベルギーなどの兵士はクリスマスをドイツ軍と祝おうとしなかった。
戦場によってはクリスマスを祝おうとした相手方の兵士を撃ち殺す場所もあった。
また、クリスマス休戦を快く思わないものもいる。
戦友を殺された怒りに燃えるもの、国のため勝利を必要とした将校などがそうだ。
かのヒトラーはこの日『戦時中にこのようなことをするべきではない』と仲間を叱りつけたが、ある意味正しいとも思える。
戦場では情けは無用だ。
そうでなくては正気は保てない。
そもそも人間は人間を殺すようには出来ていないんだからな。
この後両軍の上層部はこのような非公式の休戦を禁じる命令を出した。
そして、1918年の休戦まではこのようなことは行われなかった」
ヒトラー......通称ちょび髭美大落ち伍長閣下、数々の大罪を犯したヤバいやつ。
しかし社会政策手腕は褒められるべきところもあったりする。
けどユダヤ人に対するヘイトがやばい。
けどキルスコアはスターリンの方が多かったりする(うろ覚え)。お前もシベリア送りだ。
推奨BGM
作曲 坂本龍一『戦場のメリークリスマス』
まとめ
ナガン
「資料を集める時いい話だとは思っていたんだがのう」
ガンスミス
「人間そこまで割り切れないのさ。
別の意味で捉えるなら、戦場に礼儀がまかり通ったのはこの日までだと思うね」
ナガン
「礼儀ぃ?」
ガンスミス
「騎士道、武士道、そして貴族の嗜み......中世ヨーロッパなどではそう言った礼儀が戦場の中にもあった。
直近の日露戦争では示し合わせて戦闘行為を互いにやめ、死体を回収する時間を作るなんて取り決めもあった。
ある程度はルールがあったんだよ」
ナガン
「確かにWW2ではそのような例はないのう」
ガンスミス
「文字通りの総力戦、殺さなければ自分が殺される。そこまでの極限状態に陥らせた近代戦争の罪は重い」
ナガン
「クリスマスの話だというのに、重くなってしまったのう」
ガンスミス
「そのために前もって放送してるんだ。こんなの当日に聞かせられっかよ」
ナガン
「そうじゃのう......」
ガンスミス
「まとめちまおう。
戦場で一回だけ起きた奇跡の休戦。
そこにどんな事情があれ、その日戦闘行為をやめクリスマスを祝おうと武器を置いた人を、その尊い意思を感じて欲しい。
今回の放送が、その一端を担うことができれば満足だ。
雪を見ながら過去の出来事に浸るのも、悪くないだろう?」
ナガン
「では、また次回じゃ。最近忙しいゆえ次はいつになるのかのう。
メリークリスマス」
ガンスミス
「メリークリスマス」
次の番外編のネタ(仮)
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料理下手を克服したいガンスミス
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そんなことよりさっさと解説しろ作者ァ!