ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー   作:通りすがる傭兵

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正直、自分でもどうしてこうなったのかわからない。


焔薙さん作「それいけポンコツ指揮官(以下略)」さんとのプチコラボで、TOKIO系アイドルP38ちゃんにジャガイモを大量に貰ってしまったので、それをどうこうしようと悩むお話。


番外編 ジャガイモ

 

 

 

目の前には大量の段ボール箱。

中には大量のジャガイモが入っている......という。

この前、基地間の交流としてこちらの基地に来たP38はお礼に、とプレゼントしてくれたのだ。自家菜園で育てたという割には多いが、あのP38は一体どこへ向かっているんだろうか。

お前ら戦術人形だよな、戦闘が仕事のはずだよな?

なんで菜園なんかやってんの。

別に気にするわけでもないけど。

 

「うーん」

 

その好意は嬉しかった、ただ使い道に困る。

食堂に入れるには量がちと足らない、かといって自前で食うには多すぎる。

「まさに帯に短し襷に長し」

「何やっとるんじゃ、お主」

「ああナガンか。いや、貰い物をどうしたもんかなと」

「お主、コレを使ってスイーツとか出来んのか」

「レパートリーがない」

「そうか......」

 

お菓子となるとマジで活用方法が思いつかないんだわ、すまんな、期待させて。

 

「それに俺料理だけはできないんだよなぁ」

「お主不思議と料理だけはできんのよな」

「別にうまくなろうとも思ってないしな」

 

かといってナガンもそこまで料理は出来ないし......そうだ。

 

「困った時の春田さん。カフェ行こう。あそこの軽食としてなら捌けるかもしれない」

「おお、ナイスアイデアじゃの!」

「とりあえず一箱持っていって、そんで試作品を作ってもらおう」

 

よっ、と。結構重いな。さて、移動するか。

 

「しかし、同じHG戦術人形がやったとは思えないのう。見れば見るほどいい出来じゃ」

 

ひとつ適当にジャガイモを取り出したナガンがしげしげと眺め入っていた。ほのかに土の香りが残ったそれは大きも手ごろで、虫食いもない。誰が見てもいいものだ、と判を押される事間違いなしの逸品だろう。

 

「......して思ったんじゃが、そもそもこれ、なんなのじゃ?」

「なんなの、とは」

「植物なのはわかるが、どこの部分がなにをどうしてこうなったのかサッパリなのじゃ」

「じゃカフェに着いたら調べてみるか」

「頼むのじゃ」

 

そういや俺もジャガイモについてあんまし詳しくは知らないな。いい機会だ、根掘り葉掘り調べちまおう、ジャガイモだけに。

 

「......面白くねえわ」

「なんじゃ突然。先日のvectorといい、お主といい、急によくわからんことを」

「まあなんというか......何だろうな」

 

そんなこんなでカフェに到着。クローズの看板がかかったドアを遠慮なく押しあけると、箒を持って床を掃いている春田さんが。

 

「どうされました? 開店にはまだ早いですよ」

「実はーーー」

 

 

「potato、ですか」

「ああ、大量に貰ったもんでな、どうしたもんかと悩んでるんだ」

「カフェで引き取るのもアリですよね。おつまみにはもってこいです」

「だがな、ジャガイモのおつまみってワンパターンじゃねえか。揚げるの1択しか思い浮かばねえぞ?」

「......何品か作ってみます」

 

しばらく考え込んでいた春田さんだったが、エプロンを締めなおして厨房の方へ引っ込んでしまった。こうなると俺ができることもないので、調べものでもすることにしよう。

 

「ナス目、ナス科、ナス属、ジャガイモ......」

「どうしたのじゃ?」

「......あーうん、結構難航しそうな予感だ」

 

植物学は流石に専門外だわ。

 

 

 

◇◇◇

 

 

ジャガイモの概要について

 

「ジャガイモはナス科ナス目の植物であり、食べられる部分は茎の一部......まあ要するに根っこな。それが肥大化し、球状になった部分のようだな」

「ナス科? スープとかに入っておるあの、紫と薄緑のアレと同類なのか」

「そうらしい。言われてみれば葉っぱとか似てなくもない......のか?」

「似てるようには思えませんね」

「......人による」

 

なんだろうこの歯切れの悪さは。

専門外なだけでこんなにグダグダになってしまうとは予想外だったな。

と、とりあえずいつも通り進めていこう。

 

「ジャガイモは加熱......煮るなり焼くなり蒸すなり揚げるなり、火を通せば食べられることができる。

そしてデンプンが豊富だから、それを利用した食品に加工されることもあるようだ」

「例えば?」

「アルコール、とからしい。実際ジャガイモを使った焼酎? が作られた資料があるな」

「酒か......いい思い出はないのう」

「俺も飲めないしなぁ。面倒そうだし却下」

「アルコールはビールで事足りますからね、在庫も十分ですし」

「他にデンプンは化学製品にも利用されてるらしい。

まあ、食品以外にも利用できる万能品という訳だな」

「おお、夢が広がるのう」

「とはいえ、プラスチックになったりはしないから応用力には欠けるんだがな。風の噂で聞いたが食べられるプラスチックも開発されてるとか」

「......味はどうなんでしょう?」

 

春田さん、いの1番に気にするのがそこのあたりだいぶ毒されてるよね、うん。

 

「保管の上での注意点としては、日光が当たって変色した部分や芽は毒性があるらしい。廃棄するか、切り落とすかが理想だ」

「......それわしらには関係なさそうじゃの」

「人間のことも慮ってくれやしませんかね」

「見た目にも悪そうですし、気をつけましょう」

 

 

 

植物としてのジャガイモについて

 

「ジャガイモはタネから育てるんじゃなく、種芋といって、ジャガイモを地面に植えてしまうらしい。そこから芽が生えて成長するんだってさ」

「種からではないのか?」

「......あるにはあるけど、あんまり成長しないらしい。食べるためにと思うなら、種芋を使うべきだとさ」

「食べられる部分を植えてしまうのはもったいない気もしますね」

「俺もそう思う。というか誰がこの方法思いついたんだろうな。

次、芽が生えた後は、だいたい50cm〜1mほどの大きさに成長する。その時花を咲かせるらしいが、種類によって色は様々だ。うまく受粉すれば実ができる事もあるそうだが」

「あるそうじゃが?」

「少量の毒性を帯びるため食用には適さない、つかそもそも不味いらしい」

「......やっぱ根っこが本体なのかのう」

「他の特徴として、やせた土地にはめっぽう強く、土が多少難くともなんとかなるようだ。

ただ、病気には弱い部分もある。あと同じ土地で連続して育成するのは推奨されない、と書いてあるな」

 

 

ジャガイモの歴史について

 

「南米アンデス地方が原産地と推測されている。ヨーロッパには15世紀〜16世紀にかけて伝わったとされるが、詳細な記録はない。

兵士たちの「お土産」として物珍しさに持ち込まれた、という説が有力だ」

「ふむふむ」

「16世紀〜17世紀初頭にかけて植物学者による栽培が細々と続けられた。

ジャガイモが歴史の舞台に上がるのは、17世紀前半に行われた三十年戦争が終わってからだ」

「戦争の後に普及したと?」

「そう、時のプロイセン......現在のドイツのあたりだ。戦争で国が荒れ果てたのを憂慮した時の国王が、踏み荒らされにくく育成しやすいジャガイモの栽培を推奨したのがキッカケらしい」

「たしかに、ドイツ料理はジャガイモをよく付け合わせに使いますね。それが影響でしょうか」

「多分そうだろうな。さらに海を渡りイギリス、アイルランド、そして北アメリカと全世界に広まっていったようだ。

日本に来たのは江戸時代中期〜後期だ。明治に始まった洋食文化に追随する形で、全国での栽培が始まったようだな」

 

 

料理法について

 

「それで本題の料理法なんだけども......なんか案ある?」

「そうですね。フライドポテトやマッシュポテト、ベイクドポテトは定番として、ハッシュドポテトなどはいかがでしょう?」

「コロッケなどもなかなか定番じゃな」

「聞いてるだけで胃がもたれそうなんだが」

 

俺の発言を受けうーん、と考え込む2人。とはいえ、俺にいい考えがあるわけでも無いんだがな。思いつくのはポテトサラダくらいだし。

 

「......食堂に一部回しましょう」

「......その方がいいかもしれんのお」

「だなー」

 

3人集まればなんとやらというが、どうやら人形2人に人間1人は何も思いつかないらしい。

 

「今蒸しているところなので、気分転換にじゃがバターで食べるのはどうでしょう?」

「ナイスアイデア」

 





冬でジャガイモといえばスープ系。ポトフとかいいんじゃないと思う。
というか年末にジャガイモのことばっかり考えてるのは人としてどうなの?

次の番外編のネタ(仮)

  • 後輩ちゃんと元指揮官の馴れ初め
  • しぶとく生きてた死神さん家の娘
  • 料理下手を克服したいガンスミス
  • そんなことよりさっさと解説しろ作者ァ!

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