ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー   作:通りすがる傭兵

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METAL GEAR DOLLSから来た人はこんにちわ。
そうでない人もこんにちわ。

作者です。
今回はコラボストーリーということで、
犬もどき 様作「METAL GEAE DOLLS」よりスコーピオンちゃんが我らがS09基地に遊びに来てくれたようです。
METAL GEAE DOLLSの方で導入編その1(?)をやっているのでみていない方はそちらにゴーゴー!
それでは始まります!


番外編 はた迷惑な侵入者

 

 

 

 

 

 

 

「ん、警報?」

「誤報かの。いちおう準備はしておくか」

 

基地勤務から数年はたつが、侵入者警報なんて訓練以外じゃ始めて聞いたな。

たまたま資料作りを手伝っていたナガンが銃をホルスターから抜き銃弾を確認していた。怖いしとりあえずハンマー持っとこう。

こんこんと扉が叩かれる。ナガンはいつでも引き金が引けるよう準備をして待ち構えていたのだが、

 

「マスター、いる?」

「その声はモシン・ナガンか。てかバーでもないのにマスターはやめてくれ」

「いいじゃんいいじゃん」

 

いたのは白い服のナガンと仲のいいRFのモシン・ナガン。顔見知りだったので拍子抜けだ、というようにナガンの纏う空気が緩む。

 

「何の用だ?」

「ガンスミスさん宛に荷物だってさ」

「送り主は」

「さあ? 宛先しか書いてないや」

 

『 御機嫌よう、グリフィンの雑兵諸君。第十三大隊監督役をしている上級AIのウロボロスだ、そっちでは有名なのかな? わたしはよく分からないのだが』

 

白い顔の怪物リスナー(ウロボロス)の顔が思い浮かぶ。こんなこと前にもあったなぁオイ。

またあいつか? でもあいつだったら普通に手紙も送りつけてくるはずだ。だったら誰だ......?

 

「忙しいからこの辺で。サボってるとこわーい同士に怒られちゃうからね」

 

さよならー、と手を振って出ていくモシン・ナガン。サバサバしたところは嫌いじゃないがあの酒豪ぶりだけは好きになれないんだよ。

 

「さて、これどうするのじゃ?」

「開けてみたいことにはわからないでしょ。手紙も付いてないし、案外普通の荷物だったりして」

 

カッターナイフでガムテープが貼られた継ぎ目に刃を入れてと、

 

「いたい!」

 

......。

............えい。

 

「いったい!」

 

いやいや、まさかな。

ダンボールの中に人が入ってるなんてそんなアホな事が。

 

「だから痛いってばっ!」

「ぐふっ!?」

 

突如ダンボール箱から飛び出してきた金色のなにかが顎にクリティカル。

「なんで箱の中に人が......ぐふ」

 

 

 

 

「おーい、起きろお主。仕事じゃぞ」

「ったー、まだ頭がガンガンするぞ」

「あはははは、ごめんねー」

 

眼を覚ますと馴染みのナガンの顔と顔見知りの顔が。金髪のツインテールに眼帯が特徴のトラブルメーカー、SMGのスコーピオンだ。

 

「んで、なんで仕事サボってダンボール箱に閉じこもってたんだこの馬鹿は? 怒られても知らねえぞ?」

「イタズラ好きなのは許容しよう。じゃが、職務怠慢は見過ごせんな」

「そうじゃないんだよ、ほら!......ってあれ?」

 

えーと、どこにやったかなーと身体中のポケットを漁っているらしいスコーピオン。

 

「このやたら重い荷物は?」

「見ていいよ! ガンスミスさんなら喜ぶと思うから」

「喜ぶぅ?」

 

一体何が入ってるんだか。俺や喜ぶものなんてそうそうあるもんじゃ......

 

「やばい興奮しすぎて死ぬ」

「一体何があったんじゃお主」

 

恐る恐る、カバンの中に入っていた一丁を取り出す。

素人が見れたただの旧式拳銃M1911。だが、外見を一見すればわかる。

 

「こいつ......できる」

「えへへー、すごいでしょ。なんてったんてスネークの愛銃だからね!」

「珍しいな。お主が他人の仕事を褒めるなど」

「珍しいどころじゃない。正直、自分より上の仕事を見たのは初めてだ。

 

まずフィーディングランプが鏡のように磨き上げてある、これはマガジンから弾丸をせり上げて装填するパーツだ。給弾不良を起こすことはまずないだろうな。

 

スライドは......強化スライドに交換してあるな。

スライドとフレームの噛み合わせにもガタつきが全くない。

フレームに鉄を溶接しては削る作業を繰り返して徹底的に精度を上げてあるようだな。手間のかかる。

 

フレームのフロントストラップ部分にはチェッカリングが施してある、手に食いつくようだ。

これなら滑ることは無いだろう。

 

サイトシステムもオリジナルに改造してある、3ドットタイプだな。

フロントサイトは大型で、視認性が非常に高い。まさに実戦を知る者の改造だ。

 

ハンマーも軽量のリングハンマーに替えてある。

コッキングの操作性を上げ、ハンマーダウンの速度も確保するためだ。グリップセイフティもリングハンマーに合わせて加工してある。

グリップセイフティの機能はキャンセルしてあるようだ。とにかく即応性を求めるプロ仕様だな。

サムセイフティ、スライドストップも延長してあるから確実な操作が可能だ。

 

トリガーガードの付け根を削りこんであるから、ハイグリップで握りこめる。この様子じゃトリガーにも手を入れてるかもしれんな。

 

マガジン導入部もマガジンが入れやすいよう広げられている。マガジンキャッチボタンも低く切り落としてあるから誤動作も起こしにくいだろう。

 

メインスプリングハウジングも、より握りこむためにフラットタイプにしてある。

更に射撃時の反動で滑らないようステッピングが施してある。

その上、スライド前後にもコッキングセレーションを追加してある。

緊急時の装弾、排莢をより確実に行うことが出来るはずだ。

 

レストマシンでの射撃なら25ヤード、ワンホールも狙えるに違いない。

 

悔しいが......負けたよ」

「早口で気持ち悪い、というか何が言いたいのかサッパリじゃ」

「俺より仕事できる」

「やっぱスネークって凄いや!」

「このSAAもいいセンスをしている......」

「だよねー! でもこれ使ってるオセロットってほんと愛想がなくてさあ!」

「銃を見ればわかる、クソ真面目」

 

マシンガンやライフル、アサルトライフルにショットガン。多種多様な銃がカバンに詰め込まれてるが、どれ一つとして整備に手を抜いたものがなく、全てにおいて芸術品といっても過言でない完成度と整備の素晴らしさ。俺からすればこれと同じ量の宝石よりも価値を感じる。

 

「凄いでしょ! それでね「正座」......え?」

 

ただ、ひとつだけ許せない点がある。

 

「座れ」

「はっ、はいぃ!」

「......言いたいことはひとつだけだ。人形ならみんなわかってることだと思ってたんだが、お前はイタズラの件といい仕事のサボりの件といい、常識が足りない」

「......逆鱗に触れたか」

「なになに、逆鱗て何さ!」

「ああ、こやつはのう」

 

「銃をガンケースに入れて持ち歩かないとか銃に向けて申し訳ないと思わんのかああん!?」

 

「銃をおざなりに扱う奴に対してはすごく怒るからのう」

「ラジオで聞いてた声と違う!」

「ガタガタ抜かすなこの間抜け! 今すぐ倉庫に行って対応するガンケース担いで持って来る! ナウ!」

「はいいいいいいいい!」

「だから銃をおざなりに扱う奴は嫌いだ!」

 

 

「スコーピオンは一度怒らせておるし、あれ以来は大切に扱ってはくれてるのじゃがな。

別個体、他の基地のスコーピオンということかのう。まさか、スパイ、か?」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「足が、足が......」

「これで基礎は叩き込んだ感じか」

「あれから2時間ぶっ続けか、よく喋るのう」

「今のはただのイロハだし本気出せば1日は話せるが? ちなみに今のを紙にまとめたのがこちらに」

「辞書並みにぶっといんじゃが」

 

キュキュとホワイトボードの文字を消す。やっぱ書くもんがあると色々と捗るよな。紙ばかりでもアイデア出ないこともあるし、大きいは正義だ。

 

「さて、何の用でこちらに来たの、他所の基地のスコーピオンさん」

「あれ、言ってなかったっけ?」

「言ってないわ一言も。お主まさかスパイとかではあるまいな? 場合によっては......」

「全然違うって、そんなことないってば」

 

言い出せなかったんだけど、とおずおずとポッケから出したバッジのようなものを見せるスコーピオン。

 

「これは?」

「MSFのエンブレム?! お主、まさかあの」

「えへへー、そうなんだよね」

「ナガン、MSFってなにさ?」

「......国境無き軍隊、MSF。

MSFはいかなる国家、組織、思想、イデオロギー、協定に囚われることなく、軍事力を必要とするあらゆる勢力にその力を供給し、戦いの中に生きる者たちの理想郷となることを目的にしてる。革命勢力に雇われて国家の体制を転覆させた事例もあると聞く。

要はPMCのひとつじゃ。最近ではG&K社とほぼ同等の規模を持つとして注意喚起がなされておるのう」

「そんなになってるの?」

「お前当事者なのに知らないのかよ」

「難しいことはわかんないや」

「そういうやつだったな......」

 

「ところでなんであたしが別の基地のやつだってわかったの? 見た目おんなじじゃん」

「銃が違う」

「さっすがー、ガンスミスさんは凄いねぇ!」

「お主さらっと変態ぶりを発揮してるんじゃが」

「普通じゃん」

 

 

 

「ところで本題なのじゃが」

 

和気藹々とした空気が霧散する。滅多に聞かないようなナガンの冷え切った声。振り向けば、真剣な顔をしたナガンがホルスターに手をやり、いつでも抜けるように身構えていた。

 

「お主の目的はなんじゃ。場合によっては」

 

カチリ、と撃鉄の音。

 

「やだなぁ、あたしはただあのラジオに出てみたかっただけだよー」

「..................なんと?」

「だーかーらー、ガンスミスさんのラジオに出てみたかっただけなの。ついでに銃を見せたら喜ぶかなあって!」

「......アホじゃ、アホが此処におる」

「へへーん、褒めないでよね」

「褒めてなどおらぬわ!」

「なーんだ、ただのゲスト希望かよ。だったらちょいと時間をくれないか。今日の分の放送までに資料まとめとかないといけないんでな」

「いいの!」

「いいも何も断る理由はねえよ。機密に触れるわけでもない。ただ遊びに来ただけ、そうだろう?」

「わーい、いやったぁ!」

「でも変な真似はするなよ。ただでさえ基地がピリピリしてるんだから、ずっと此処にいること、いいな」

「はーい!」

 

元気よく返事を返すスコーピオン。とりあえずはこれでオッケー。ただまあ、出撃を知ってる上の方の連中をどう誤魔化すかな。ウッカリしたら反逆罪にもなりかねないけど......

 

「指揮官なら話は通る。後輩ちゃんもまあ認めてくれるだろ。事後でいいや事後で」

「お主って少し......いや、かなり欲望に忠実に生きておるよな」

「いやー、あのクソ餓鬼みたいに落ち着きのないスコーピオンをゲストにできるチャンスは滅多にないだろうし。いい機会だと思ってな」

「......わしはみなかったことにしておくから、うまくやるのじゃぞ」

「ナガンも随分と毒されてきたネェ。昔はこんなこと言わなかったのに」

「本当に、わしも丸くなったもんじゃのう」

「そうだなー、って。

 

工具に触るんじぁねえ死にてえのかああん!?」

 

「ご、ごめんなさーい!」

 

「お主はむしろ尖ってきてはおらぬかのう」





色々と構想を練っている時に、「なんか裏でコソコソやるの楽しいなあ」とか言ったり言われたりしてました。

ちょっとした背徳感とドキドキが味わえるのでみんなコラボ、しよう!
でも自分の世界観を大切にしたい人には要注意。

ちなみにウチの基地はいつでもウェルカムですよ。お便りをいただければガンスミスも作者もカッ飛んでいきますので、ぜひぜひ。

次の番外編のネタ(仮)

  • 後輩ちゃんと元指揮官の馴れ初め
  • しぶとく生きてた死神さん家の娘
  • 料理下手を克服したいガンスミス
  • そんなことよりさっさと解説しろ作者ァ!

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